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2015年2月26日 (木)

メルトダウンし続けるアレバ社:「産業界の福島第一」、2014年度6600億円の損失/「現在の技術動向」(2月24日)

アレバ社は2014年度、49億ユーロ(約6600億円、速報値)の損失を計上、政府と産業界に大きな懸念を引き起こした。

「産業界の福島第一」
「メルトダウンし、格納容器が崩壊しかけた原発同様の状態」

ルモンド紙のジャンミシェル・ベザ記者はためらい無くこう指摘する。経済情報サイト「キャピタル.fr」は「天文学的な損失額」、レゼコー紙は「フランスの原子力業界全体の未来がかかわる緊急事態」と報じた。

アレバ社は2013年の時点で既に5億ユーロ(約670億円)もの赤字を抱えていた。2014年度は更にその8.8倍の損失を被ったことになる。ところで、上記の49億ユーロにはフィンランドで建設中の最新式原子炉の工期が遅れていることによる賠償金23億ユーロ(3100億円)は含まれていない。

現在、フランスのボルドー地方にはヨーロッパ最大の太陽光発電設備(3キロ平方メートル当たり300メガワット)が設置されている。減価償却期間を過ぎた古い原発による発電費用は5.98ユーロ(約807円、キロワット時あたり)、しかし減価償却期間が過ぎた太陽光発電設備による発電には費用はかからない。フランス議会で電気料金に関する調査委員会でフランス電力公社(フランス最大の電力会社)のジャンベルナール・レヴィー代表はボルドーにある太陽光発電所における発電費用が新しい原発による発電費用より20%安いことを認めている。

実はボルドーは取り立てて太陽に恵まれた地域では無い。例えばトゥーロン市では更に30%多い太陽の光が得られる。フランスにおける太陽光の普及はドイツの8分の1にとどまっている。しかしアレバの損失額に相当する額の予算があれば、フランス国内における太陽光発電施設の発電容量を倍増することが可能だ。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「アレバのフクシマ:マクロン経産省大臣『アレバ社の資本金注入は優先事項では無い』」「現在の技術動向」(2月24日)
(« Le Fukushima d’AREVA / Areva : une augmentation de capital "pas la priorité" (Macron) », Actualités techniques de l’ingénieur, 2015.02.24)
http://www.techniques-ingenieur.fr/actualite/technologies-de-l-energie-thematique_89428/le-fukushima-d-areva-article_292592/

2015年2月18日 (水)

チェルノブイリ事故から29年: 野火で広がり続ける放射能汚染/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)

1986年4月にチェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故によって放出された死の灰は簡単には消えない。ウクライナとベラルーシをまたぐチェルノブイリ近辺の深い森の中の土の表面近くに今も残る放射性物質は、頻発する野火によって空中に放出され続けており、今後放射性の雲となってヨーロッパの上空を再び覆う可能性がある。ノルウェー大気研究所のニコラオス・エバンゲリオウ氏が率いる研究チームが発表した。

<画像>  チェルノブイリの野火(イメージ)/ロイター
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D


◆森の土壌に蓄積する放射能

エバンゲリオウ氏らはチェルノブイリ近辺における野火が2002年以降にもたらした影響を分析、同地域の汚染レベルを考慮した上で将来起きうる新たな野火の頻度とその影響規模を予測した。エバンゲリオウ氏によると森の中の地表近くの土壌には、現在も高い濃度で放射性物質が残留している。土壌中の放射性物質の濃度は通常、徐々に土が流されたり植物とともに土から引き抜かれることにより低下する。しかし人の出入りが途切れた深い森の中では、樹木が放射性物質を吸収し枯葉として放出した後、汚染はそのまま高い濃度で土壌に残留する。

エバンゲリオウ氏の指摘によれば、放射能による被害により虫や微生物が殺され減少したために、枯れ葉の腐食には通常以上に時間がかかっていると見られ、チェルノブイリ近辺の立ち入り禁止区域では森の手入れをする人がいないことと相まって土壌の放射性物質濃度を上昇させている。過去にWHOヨーロッパ事務所で放射線防護課の代表を務め、現在は東フィンランド大学で教えるキース・バヴェストックは同様の問題が福島にも起きうることを指摘する。


◆ヨーロッパ全土を覆う煙

野火は以前から続いており、既に多くの放射性物質がヨーロッパ全土に放出された。現在、野火によって煙の形で放出されている放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故が起きた1986年に放出された量の約10分の1にあたり、近辺に残留しているセシウムの2~8%に相当する。煙はヨーロッパの東部一帯に放出され、遠くトルコやイタリア、北欧諸国にまで到達している。更には近年の気候変動で野火の発生が増加しており、ウクライナ近辺の不安定な政治状況によって野火の消火を担当する消防団の人員が手薄になっている。

あなたは野火によって空中に放出される放射性物質の量などそれほどの量では無い、と思うかもしれない。エバンゲリオウ氏らの研究チームがチェルノブイリから近いウクライナの首都キエフで想定したところ、空気中の放射性物質濃度は平均で10マイクロシーベルトにとどまっていた。年間被ばく量の上限の1%である。

しかし米国サウス・キャロライナ大学のティム・ムッソー氏によれば、被ばくのリスクは放出された汚染物質がどこへ行くかによって決まる。野火の勢いが強まればより多くの放射性物質が放出される危険がある。汚染の平均値は問題では無い。野火でストロンチウムやプルトニウム、アメリシウム等の放射性物質が放出された際に、これを浴びたり、汚染物質が凝縮されたキノコを食べた場合には、これら特定の人たちが重度の汚染にさらされる。一度口から入った放射性物質は深刻な内部被ばくを引き起こす。このように被ばくは特定の人に集中して発生する傾向がある。他方、広い地域に広がる煙を通じてまき散らされた放射能による癌の発生を証明することは困難となる。ムッソー氏は言う。

「どんな少量の被ばく量であっても、人体に何の影響も与えないということはありません。安全な被ばく量、しきい値というものは無いのです。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事「野火の増加でチェルノブイリの放射能汚染、復活の可能性」/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)
( « Rise in wildfires may resurrect Chernobyl’s radiation », New Scientist, 2015.02.09)
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D 

2015年2月 7日 (土)

ドイツ環境大臣からフランスの環境大臣へ:「フェッセンハイム原発を今すぐ廃炉に」/ドイツ環境大臣書簡&原発をやめる会(1月12日)

ドイツのバーバラ・ヘンドリクス環境大臣は1月12日、フランスのセゴレーヌ・ロワイヤル環境大臣に対し独仏の国境にあるフランス最古の原発フェッセンハイム原発を迅速に廃止するよう求める書簡を送り、具体的な廃炉日程を示すよう要求した。フェッセンハイム原発は2基の原子炉を抱えており2基とも1978年より37年にわたり稼働している。オランド大統領は大統領選挙の際、フェッセンハイム原発を2017年までに廃炉することを約束し勝利した。しかしロワイヤル大臣は原発推進派の影響を受けているとされ廃炉には前向きでは無いとの観測が出ている。

ヘンドリクス環境大臣はその書簡の中で、「原発の周辺住民は原発の安全性について強い不安を抱いています。オランド大統領の公約どおり、可能な限り早くフェッセンハイム原発を廃止してくださるよう強く望みます」と述べた。又、同時に今後の具体的な廃炉日程を知らせるよう求めている。

(要旨、一部編集)

●元の記事:「ドイツ環境大臣、セゴレーヌ・ロワイヤル仏環境大臣にフェッセンハイム原発の廃止を要求」/原発をやめる会(1月12日)

http://www.sortirdunucleaire.org/spip.php?page=article_dossier&id_article=41197

2015年2月 2日 (月)

原発推進派ロワイヤル環境大臣の矛盾発言:オランド大統領の公約を無視し「新規建設が必要」―緑の党は反発/カナール・アンシェネ(1月21日)

セゴレーヌ・ロワイヤル仏エネルギー・環境大臣は危うく危険な連鎖反応を引き起こすところだった。1月13日、マダム・ロワイヤルはユジーン・ヌベル紙にて「新世代型の原発の建設を計画しなければ」と発言しセシール・ドゥフロ前住宅大臣(緑の党)の怒りを買った。しかしその後ロワイヤル大臣は「これまでの方針から変更は無い」と緑の党に電話をかけている。

しかしなぜロワイヤル大臣はこんな爆弾発言をしたのだろうか?その次の日からは上院でオランド大統領が選挙で公約した「原発の使用を2025年までに50%以下に削減する」という目標を掲げたエネルギー転換政策の議論が予定されていたのに、である。

ロワイヤル大臣は原発推進派ロビーに味方し、フランス電力公社の株が上がることを期待している。実際、マダム・ロワイヤルの発言の後、フランス電力公社の株価は5%上昇した。つまりこういうことだろう。エネルギー転換政策は原発をゼロにするとは言っていない。減るけれども無くならない。原発の寿命とて永遠に続く訳ではないから、新しい原発が必要になるということなのである。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「原発推進派のロワイヤル環境大臣、原発維持を主張」/カナール・アンシェネ(1月21日)
« Atomic Royal défend le nucléaire durable », Le Canard Enchaîné.

2015年1月19日 (月)

ウクライナ:欧州最大の原発密集地域、崩壊の危機/ルモンド紙(12月5日)

停戦協定にも関わらず、ウクライナ東部での戦闘はこの1月に入っても続いている。15基の原発を抱えるウクライナにとって、ロシアとの戦闘は原発崩壊の危機を倍増させるものだ。

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事故の公式発表は遅れて実施された。ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク首相は12月3日、11月28日(金)に起きた欧州最大規模の原子力発電所ザポリジア原発(ウクライナ南東部、原子炉6基を設置)における電気系統のショート事故について「危険は全く無い」と述べた。

1986年4月に起きた世界最大の原発事故、チェルノブイリ原発事故で4基の原子炉が永久停止となった後も、ウクライナ国内では4つの原子力施設/15基の原発が稼働中であり、国内の約半分の電力をまかなっている。

ロシアと戦火を交えるウクライナでは、現在原子力施設が二つの深刻な危機に見舞われている。ちょっとした電気供給路の切断であっても、原子炉の冷却装置は停止され福島で起きたのと同じ深刻な原発事故につながりかねない。戦闘はこうした危険を大きく増加させた。それだけではない。老朽化したこれらの原発はロシア製であり、スペアパーツはロシアから輸入されていた。ロシアとの関係が悪化した現在、消耗したスペアパーツの更新は困難になっている。

ウクライナで原発事故が起きれば、チェルノブイリ事故の時同様、ヨーロッパ全体が汚染にさらされかねない。戦争状態にあるウクライナの原発は今危機を迎えている。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「ウクライナにおける原発安全性に対する不安」/ルモンド紙(12月5日)
(« Inquiétudes sur la sûreté nucléaire en Ukraine », Le Monde, 2014.12.05)

注)上記の訳は紙面に発表された当初版に基づいています。ウエブサイト上の記事はアップデートされたものであり若干異なりますので御了承ください。

http://www.lemonde.fr/planete/article/2014/12/03/l-ukraine-une-puissance-nucleaire-a-haut-risque_4533592_3244.html

2015年1月 8日 (木)

サイエンス誌が主張する「癌は偶然の産物」という嘘: 発がん性物質に汚染された環境で働く労働者が癌にかかる確率は、会社幹部の10倍/ルモンド紙(1月7日)

新年あけましておめでとうございます。
マイペースですが、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

1月7日にパリで起きた新聞社シャルリー・エブド社本部への襲撃事件につきましては、日々のニュースに目を通す市民の一人として一日も早い解決を望んでおります。時に読者を驚かせ笑わせ、権力者を怒らせる風刺漫画を発信の柱とする同社は、政治家、宗教指導者にかかわらず権威者への皮肉という武器で自由な意見表明に貢献してきました(反イスラム教ではなく、宗教的な中立を掲げています)。昨夜フランス全土で「表現の自由を守れ」「民主主義を守れ」との声を上げて街頭に繰り出した10万人以上の市民とともに、一部の犯罪者をイスラム教徒と同一視するという誤りを犯すことなく、言論を力で封じる暴力への抗議の声に賛意を示したいと思います。

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著名な科学雑誌「サイエンス」誌が現在進めている「癌になるのは偶然」という研究に、原発、石綿、化学物質、殺虫剤、石油などの癌を引き起こす有害物質を放出する産業の関係者は微笑んでいることだろう。この「科学的発見」によって、自らの事業のせいで人々が癌になる危険性についての論争に幕を下ろすことができるのだから。社会科学高等研究院のアニー・テボード・モニ教授(社会学、保健医療)は権威ある科学雑誌に掲載された論文がはらむ詭弁を指摘する。フランスでは大多数の人が発癌性物質にさらされることによって癌になっている。そして、労働者は上級幹部の10倍の高確率で癌にかかるという現実がある。

事の初めは、1月2日にサイエンス誌に掲載されたクリスチャン・トマセッティとベール・ボジェルスタインによる論文である。自ら変化する幹細胞に関する研究で、癌になるのは偶然の確率に寄るもの、と主張している。しかし劣悪な環境で働き癌になった労働者は、癌になる確率がずっと低いホワイトカラーのエクゼキュティブに比べて偶然にも癌になりやすい細胞を持っていたのだろうか?現実には、人々の生活や労働を取り巻く社会環境や汚染についても考慮する必要がある。


●クリスチャン・トマセッティとベール・ボジェルスタインによる論文(英語です)
Christian Tomasetti & Bert Vogelstein
「Variation in cancer risk among tissues can be explained by the number of stem cell divisions」
http://www.sciencemag.org/content/347/6217/78


統計データの解釈に際しては、社会科学高等研究院のジョゼフ・クラッツマンが言うように、1950年から1990年の間に冷蔵庫を使う人が増えたからと行って、同じ時期に起きた発癌率の増加とは何の関係も無い。平行して数値が増えていたからと言って、二つの数値の間には何の因果関係も無い。冷蔵庫を使ったから癌になった、とは言えないのである。あなたはこの例を見て「馬鹿げている」「ひっかかる訳が無い」と笑うかもしれない。しかし、科学雑誌に載っている論文で同じ議論が行われると、いとも簡単に騙されてしまう。

サイエンス誌に掲載された記事も同様である。細胞が癌化するには、石綿や放射線、ディーゼル車の排ガス、殺虫剤などの発癌物質にさらされることが条件となるが、同誌はこの点に触れず発癌物質の役割を無視している。また、トマセッティ氏らの調査は民間企業からの助成金で実施されている。資金提供の筆頭に立つバージニア・DKルードビッヒ財団は石油を運ぶ大型タンカーの使用やアマゾン流域での原生林の伐採で利益を上げており、儲かりそうな癌の研究に関心を持つ一方、貧しい人を含めた全ての人のための公衆衛生には関連が無い研究に予算を費やしている。メディアが大きく取り上げる論文、著名誌に掲載される論文であっても、読者は十分な吟味が必要だ。

(抜粋、一部編集)

元の記事:「いいえ、癌は偶然の産物ではありません!」/ルモンド紙(1月7日)

« Non, le cancer n’est pas le fruit du hasard ! », Le Monde, 2015.01.07
http://www.lemonde.fr/idees/article/2015/01/07/non-le-cancer-n-est-pas-le-fruit-du-hasard_4550613_3232.html

2014年12月18日 (木)

日本における「原子力」という核心/ルモンド紙(12月15日)

日本では、福島原発事故から3年9ヶ月が経過した今も、電力政策の核心-発電費用をどうまかなうか、という問題-についての意見の対立が続いている。12月14日に行われた衆院議員総選挙は、日本の電力政策における課題に答えるものではなかった。電力政策が安倍首相の提唱する「アベノミクス」と呼ばれる経済政策の一部を占めているにもかかわらず、である。

安倍首相は今年4月11日、前政権が2012年に設定した「2030年代までに原発の利用をやめる」という目標を反故にする新たな電力政策を掲げた。原発をやめるという目標を国民の大多数が支持していたにもかかわらず、である。

安倍政権は原子力を「ベースロード電源」(安く電力を供給できる基本電力源)と見なしている。首相が推進する原発の再稼働は経団連、電力会社、および経済産業省に支持されている。そして鹿児島にある川内原発は2015年2月にも再稼働に踏み切る可能性がある。

自然エネルギーは現在日本の電力の10.7%を占めているが、2030年までに20%にまで増加すると見られている。2012年7月に制定された法律によって電力会社は太陽光及び風力発電により生産された電気を固定価格で買い取ることを義務づけられたが、日の目を見ない事業も多く発生している。

しかし2016年に電力市場の自由化が実施されれば、現在の日本国内における独占体制は大きく揺さぶられることになるだろう。そして原発の稼働を40年に制限する決定によって使用年限を過ぎた原発は早晩廃炉になることになる。既に2016年以降、7つの原発が廃炉となることが予定されている。それぞれの廃炉作業には900億円もの費用が見込まれている。

●元の記事:「日本:電力分野における原子力という核心」/ルモンド紙(12月15日)
« Japon : le nucléaire, au cœur des interrogations énergétiques », Le Monde, 2014.12.18
http://www.lemonde.fr/economie/article/2014/12/15/le-nucleaire-au-c-ur-des-interrogations-energetiques_4540691_3234.html

2014年12月13日 (土)

日本の衆院総選挙:経済政策の争点化で「改憲」・「再稼働」への議論を消し去ろうとする安倍政権/ルモンド紙(12月13日)

安倍政権は衆院総選挙の争点を経済政策に限定することで「憲法改正」、「原発の再稼働」、「集団自衛権」、「国家秘密保護法」といった国民の意見が分かれる重要課題から国民の目をそらそうとしている。安倍首相は今回の選挙を「アベノミクス」と呼ばれる自らの経済復興政策への信任投票のように装うことに成功した。「この道しかない」が同首相とその取り巻きのキャッチフレーズである。

不意の選挙に突かれ、野党は新たな政策案の提示に苦戦している。12月12日付の世論調査では、自民党が475議席のうち300議席を獲得し大勝する、との予想が示されている。実現すれば、10月に2名の閣僚が不祥事で相次いで辞任した問題や、11月以降の不景気への逆戻り(フィナンシャル・タイムズは「『不景気を取り戻す』」の見出しを掲げた)による支持率低下を回復できる可能性もある。

「再選されれば、安倍首相はアベノミクスのことは言わなくなると思われます。安倍首相は自分が関心を持つ集団自衛権や改憲に力を注ぐでしょう。」

上智大学の中野晃一教授(政治学)はこう分析する。

「『アベノミクス』で言われているような政策を実行に移すのには大変な労力を要します。また、関係者の利益が対立し、困難を伴うでしょう。」

テンプル大学のマイケル・クーセック教授も指摘する。

世論調査によれば、日本人の約半数が国家秘密保護法や集団自衛権に反対している。国家秘密保護法の成立により、世界報道の自由ランキングにおける日本の順位は昨年の世界180カ国中53位から59位に下降した。

産業界からの圧力により、安倍首相は原発の再稼働を望んでいる。日本はGDPの245%にものぼる借金を抱えているが、「中国への対抗」を理由に来年度の軍事費を大幅に増加させている。これらの政策転換は日本に大きな影響を及ぼすが、安倍政権は選挙での議論を避けている。

このように、今回の選挙の結果は日本社会に大きな変化をもたらすことが予想される。しかしマイケル・クーセック教授によれば、投票率が低い場合、有権者の5分の1の得票で政権を維持できる可能性すらある。ただし少数の有権者からの支持で再選された場合、「経済政策でのちょっとした問題や国民からの不人気で支持率が大きく下がることが予想されます。」

日本の政治は岐路に立っている。

(抜粋、一部編集)

●元の記事「日本の衆院総選挙:隠された争点」/ルモンド紙(12月13日)
(« Au Japon, les enjeux cachés des législatives », Le Monde, 2014.12.13) 
※紙面掲載版を参照しています。
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2014/12/12/au-japon-les-enjeux-caches-des-legislatives_4539503_3216.html

2014年11月27日 (木)

原発周辺住民の甲状腺がん訴訟で裁判所が電力会社に賠償命令:釜山/11月6日(Wall Street Journal+ジュルナル・デナジー)

【御詫びと訂正】 賠償金額の記載に誤りがありましたので訂正します。申し訳ありませんでした。
(誤) 68万円 → (正)168万円
.....................................................

韓国第二の都市、釜山の裁判所は10月17日、古里原発から7キロの距離に20年以上年居住していたゲウム・サン・パクさん(48歳、女性)が「原発からの放射線により甲状腺がんに罹患した」との訴えを裁判所に起こしたのに対し、同原発を運営・管理する韓国水力・原子力発電株式会社に約1万1千ユーロ(約168万円)の賠償金の支払いを命じた。

裁判官は「原子炉から発生した放射線と癌の因果関係は明白ではない」としつつも、「原告は原子炉から半径10キロ以内の地点に20年以上居住しており、長期にわたり放射線にさらされてきた」と指摘した。韓国水力・原子力発電株式会社は即時抗告を行った。

チョイ・ホーシク裁判官による今回の判決では、韓国で2012年に実施された疫学調査の結果が根拠となった。調査によれば、原発から5キロ以内の距離に住んでいる女性で甲状腺がんを発症した人の数は、原発から30キロ以内の距離で発症した女性の数に比べ2.5倍以上にのぼっていた。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「甲状腺がん患者の訴え:韓国の裁判所、原子力事業者に敗訴判決」/11月6日(Wall Street Journal+ジュルナル・デナジー)
http://journaldelenergie.com/nucleaire/une-malade-de-la-thyroide-fait-condamner-loperateur-nucleaire-sud-coreen/

2014年11月16日 (日)

「機動隊はフランス人を殺すな」: ダム建設反対デモとある青年の死/ルモンド紙&フランス国際放送(11月13日・14日)

2011年の福島原発事故以降、日本国内では市民による平和的デモが頻繁に組織されるようになりました。フランスではデモによる意見の表明が民主主義の根幹をなす市民の権利として法律で保障されています。しかし10月に起きた機動隊によるデモ参加者殺害事件は国内に大きな波紋を広げています。

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催涙りゅう弾 237発
瞬間炸裂催涙りゅう弾 38発
攻撃用手りゅう弾 23発
護身用の銃弾 41発

10月26日夜、環境保護を訴えシーベンにおけるダム建設に反対するデモに参加していた21歳の青年、レミ・フレッスが機動隊の発射した攻撃用手りゅう弾によって死亡した前後の3時間に機動隊が使用した弾薬の数だ。フランス政府が公表した。

レミ・フレッスが死亡しているのが確認されてからの48時間、フランス政府と機動隊本部は「状況を確認中」と繰り返し沈黙を守り続けた。レミ・フレッスの検死で死因が機動隊の手りゅう弾によるものと確定してからも、ベルナール・カゼヌーヴ内務大臣は機動隊の責任を否定し続けて来た。

しかしルモンド紙が11月12日、青年の死亡直後の機動隊員らによる大声での会話を録画したデモ参加者のビデオの内容を報道した直後、カゼヌーヴ内務大臣は機動隊による手榴弾の使用禁止を発表した。ビデオには次の会話が録音されていた。

「死んじまったよ、こいつ。。。 おい、とんでもないことになったぞ。」

内務大臣はフレッス氏が死亡に至った状況について事件直後は知らされていなかったとして、自らの辞任を求める声には沈黙している。

フランス各地の高校生及び大学生による学生の自治組織は、機動隊による市民への暴力禁止を求める大規模な平和的デモを行った。

「機動隊はフランス人を殺すな」
「市民に武器を使うな」

このようなプラカードにまじって、次のようなメッセージもあった。

「レミ、僕らは君を忘れない」

中立を意識しこれまで口を閉ざしていたレミ・フレミスの両親は、いつまでも責任者を明らかにしようとしない政府に対し、裁判に踏み切った。

「手りゅう弾の使用を禁止するだけでは十分ではありません。」
「政府トップの誰が命令を出したのか。政府は真実を明らかにしてほしいと思います。」

切実な思いは、まだ届いていない。

(複数の記事から抜粋し一部編集しています)

●元の記事:「ベルナール・カゼヌーブ内相、機動隊による攻撃用手榴弾の使用を禁止」/ルモンド紙(11月13日)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2014/11/13/mort-de-remi-fraisse-bernard-cazeneuve-annonce-l-interdiction-des-grenades-offensives_4523447_3244.html

●フランス24時間(フランス国際放送)11月13日・14日号

«福島原発事故から4年、原子力推進へ後戻りする日本/ルモンド紙(11月7日)