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2015年3月31日 (火)

台湾の大手スーパーで福島周辺地域からの産地偽装食品が蔓延/台湾info(3月26日)

台湾で、福島原発事故発生以来輸入が禁止されている福島周辺地域の食品が不法に出回っていることが確認された。

福島原発事故の発生を受け、台湾では2011年3月30日以降、福島県、茨城県、群馬県、栃木県、千葉県からの食品の輸入が禁止された。しかし政府の調査によると、Aマート、ウエルカム、シンコン三越等の一部の大型スーパーの食品棚にこれらの産地からの食品が産地を偽る形で販売されているのが確認された。該当する偽装食品には、しょうゆ、和菓子、インスタントヌードル、和風調味料が含まれる。パッケージに記載された産地名の上から、別の産地名を記載したシールが貼られていた。厚生省のチャン・ビーン・フアン大臣は今回明るみになった偽装事件の責任者を追及する調査を開始したことを表明。台湾ではこうした偽装は3万~300万台湾ドル(約11万5千円〜1150万円)の罰金を科されることと定められている。

厚生省大臣によると、日本政府は2011年以降、日本産の食品は安全であるとして、台湾に対し食品への輸入規制を撤廃することを要求している。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「台湾で不法に販売される日本食品」/台湾info(3月26日)
« Des denrées japonaises illégalement commercialisées à Taiwan », Taïwan Info
http://taiwaninfo.nat.gov.tw/ct.asp?xItem=228725&ctNode=1999&mp=4

2015年3月23日 (月)

眠りに落ちた村:旧ソ連のウラン鉱跡で広がる謎の「眠り病」/英ガーディアン紙(3月18日)

●「謎の眠り病」

昨年の最後の夏の日、ビクトール・カザチェンコはカザフスタン(ロシアと中国に挟まれた中央アジアの小国)北部の自分の村から、ちょっとした用で近くの村へと車を走らせていた。ビクトールは草原を横切ろうとしていた。しかし、目的地に着くことはなかった。

「私の脳のスイッチが切れてしまったんです。」

ビクトールはこう述べる。

「そうとしか言えません。覚えていないんです。」

ビクトールはカザフスタンの首都から300マイル西にあるカラチ村を襲ったいわゆる「眠り病」にやられたのだった。

この不可解な病にかかった住民は昏睡状態に陥る。そして時に数日間・数週間にわたり眠り続けるのだ。

「私が町へ行こうとしていたのは8月28日のことでした。」

ビクトールはまだ自分の不可解な経験のせいで方向感覚を失ったかのようにインターネット誌「ユーラシア・ネット」からのインタビューに答えた。

「目が覚めたら9月2日でした。病院で目が覚めてやっと眠っていたことを知りました。」

ビクトールが突如昏睡状態に陥った時、彼は妻を後ろに乗せてバイクを運転していた。

「乗りなれていない乗り物でなくて良かった」

ビクトールは自分の車のそばに立って冗談めかしてこんな風に言った。ユーモアのセンスが無ければやっていけない。しかしビクトールが昏睡状態の発作に見舞われたのはもう二回目だった。


●様々な衰弱症状

しかし昏睡状態から覚めた後、ビクトールは原因不明の高血圧とひどい頭痛に襲われた。

「頭痛などという生易しいものではありません。6週間の間、どうすることもできませんでした。頭を働かすことができなかったのです。」

過去2年間、村の住民たちは突如として起きる昏睡状態の発作とめまい、吐き気、目の前が真っ白になるようなひどい頭痛、記憶喪失といった重篤な衰弱症状に悩まされている。被害者は152名、村全体の25%以上にのぼる。


●汚染と住民移転

旧ソ連時代のウラン鉱後が残るカラチ村では、放射線量の高まりと重金属を含む塩の集積が医師や科学者らによって確認されている。科学者らはこれらについて「許容範囲」だと述べている。しかし国立原子力センターのセルゲイ・ルカシェンコ所長は今年の1月、一部の被害者宅では一酸化炭素が通常の10倍以上にものぼっていたことを認めた。所長はまた、高い濃度の一酸化炭素が発生することにより「眠り病」のような症状が現れることも可能だと指摘している。

住民たちは村の入り口にあるウラン鉱後が原因不明の病の原因だと考えている。ここで採掘されたウランは、原発や核兵器に使われた。1990年代に閉山となった後は、だんだんと打ち捨てられゴーストタウンのようになっている。

カザフスタン政府とカラチ市の市長は住民移転を提案している。「自発的な移転」とは言っているが、実際のところは不透明であり、強く反対している住民もいる。

ビクトールは言う。

「私はどこにも行きません。なぜ出て行かなければならないのでしょうか。私はここに40年住んでいるのですよ。私はここで死ぬ覚悟です。」

ビクトールの妻ライザも言う。

「私はこの界隈にもう60年住んでいるのですよ。」

住民たちは眠り病の原因をウラン鉱跡から発生する有害物質だと考えている。

(抜粋、一部編集)


●元の記事:「眠りに落ちた村:カザフスタンの科学者を戸惑わせる『不可解な病』」/英ガーディアン紙(3月18日)
http://www.theguardian.com/world/2015/mar/18/kazakhstan-sleeping-village-mystery

2015年3月12日 (木)

戻らない故郷、福島―原発避難民の苦しみ続く/BBCグローバル・ニュース(3月11日15時)

3月11日午後14時46分。4年前未曾有の地震と津波が日本列島襲ったこの日、全国で数分間の黙祷が捧げられた。東北大震災で無くなった人の数は1万6千人にのぼる。

他方、家を失った人々のための住宅建設は遅々として進んでいない。何万人もの人が今も仮設住宅に住み続けなければならない現実がある。福島第一原発の周辺地域から避難した人々は、今も自宅に帰れる見込みが立っていない。BBCの特派員が現場を取材した。


●仮設住宅

(大音響で水前寺清子の「三百六十五歩のマーチ」が流れている)
「幸せは歩いて来ない だから歩いて行くんだね。。」
https://www.youtube.com/watch?v=1Skn0HuLkfs 

6時半、雨の降る寒い朝。福島市郊外の駐車場ではダウンジャケットと毛糸の帽子をかぶった老人たちが朝の体操を行っている。

「人生はワンツーパンチ。。」

絶え間なく流れる陽気な音楽とは裏腹に、人々のムードは暗く沈んだままだ。彼らは皆、「原発難民」だ。

「寒い。」

体操が終わるや否や、飯舘村から避難している60歳の安斎徹(あんざい とおる)は急いで部屋が二つあるだけの仮設住宅の部屋へと急いだ。

<安斎さんの写真展>
http://ameblo.jp/fukushima-yamaguchi/entry-11882498710.html


安斎氏は2011年3月の原発事故以来この仮設住宅で暮らしている。中は暖かくて居心地が良い。しかし自らの家を失ったという事実は安斎氏に大きな代償を強いて来た。

「事故前は、医者いらず薬いらずで暮らしていました。」

しかし原発事故の後、安斎氏はストレスのために心筋梗塞に見舞われた。

「今もあまりのストレスで、時々食べることすらできなくなるんです。これから先どうなるか、全く分からないからです。いつ家に帰れるのかも分かりません。」


●300年の家業と

福島市から車で2時間の距離にある福島第一原発の事故処理現場は巨大な建設現場と化していた。何千人もの作業員が全身を防護服と呼吸用マスクに包んで24時間休み無く働いている。破壊された原発の残骸は今も非常に高い量の放射線を発し続けており、事故処理は早くても数十年先のことになる。

第一号機の近くで記者がガイガーカウンターを掲げると、すぐに警告音の「ピー」という音が鳴り響いた。毎時100ミリシーベルト。特派員記者は安全の観点からこの場所に20分以上立っている事はできない。

原発から約5キロ先には過去300年、16世代にわたり大堀相馬焼きの生産を続けて来た滋賀喜宏(しが よしひろ)の家があった。

http://www.miru.co.jp/14/075.html

村は完全に打ち捨てられ、滋賀氏の家の庭は2メートルもの草が茂る「ホットスポット」となっていた。

ガイガーカウンターをかざすと針が振り切れて「ピー」という音が鳴る。陶器製作所の裏手には今も震災の瓦礫が置かれたままだ。誰もいつ瓦礫の処理がなされるのか検討もつかない。滋賀氏は郡山市に移り新しい土地で陶器の生産を続けることを決めた。

「あんなことが起きて。。 原発事故などで300年続いた家業を途絶えさせることはできません。」

志賀氏はこう語る。

「東京電力についてどう思いますか」

記者が訪ねると、

「聞きたくない社名です。」

志賀氏は引きつった顔で答え、長い間黙っていた。

「くやしいです。」

長い沈黙の後、志賀氏はこう答えた。

日本政府は福島原発事故の処理はやがて終わり住民たちは皆家に帰れる日が来ると主張してきた。今日、その言葉を信じる者は誰もいない。

(一部編集)

● BBCグローバル・ニュース(3月11日15時。20分〜26分までの間に当記事が放送されています)
http://www.bbc.co.uk/podcasts/series/globalnews/all

2015年3月11日 (水)

福島―終わらない除染の日々/ルモンド紙(3月11日)

1.「非常に困難」な状況

フクシマの大惨事から4年の月日が流れた。しかし東京電力は太平洋に注ぎ続ける放射性の汚染水を止める事ができないでいる。

「福島原発事故の収拾作業についてはこれまで多くの前進があった。状況は改善した。しかし現場は今も非常な困難を極めている。」

2月半ばに福島原発事故の現場を視察したIAEA(国際原子力機関)の関係者はこう述べた。フランス放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)のティエリー・シャールも同様の見方を示している。

「事故現場は巨大です。そして最も困難な部分には、まだ手がついていません。」

福島第一原発の事故現場では今日6千人以上の作業員が交代で作業にあたっている。


2.汚染水の「ざる」

福島原発の事業責任者である東京電力は汚染水への対応に追われている。破壊された原発は汚染水を垂れ流す「ざる」と化した。毎日650トンもの放射性汚染水が発生し、汲み出しと汚染の除去を待っている。貯蔵されている汚染水は既に60万トンにのぼる。東京電力が貯蔵できるのは80万トンに過ぎない。2月末、海に注ぐ排水溝では通常計測されている値の70倍にも上る高濃度の放射能汚染水が発見された。IAEAは最終的に汚染水を海へと放出するしか無いだろうと見込んでいる。しかし地元の漁業関係者や環境保護団体は強く反対している。


3.「汚染魚」と漁業への被害

福島第一の周囲半径20キロの範囲には放射能汚染が海中の堆積物1キロあたり5千ベクレルにものぼる危険なホットスポットが存在している。特にカレイ、あなご、ホウボウ、エイといった海底に住む生物への汚染が著しい。2014年8月、福島港の近隣で東京電力が捕まえた魚の中には一キロあたり32,500ベクレルもの汚染が計測された。漁業は禁止されたままだ。

IAEAですら福島第一を「福島以外の場所ではまだ全く経験したことのない非常に深刻な問題に直面している」と指摘している。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事「福島―終わらない除染」/ルモンド紙(3月11日)
(A Fukushima, l’interminable décontamination », Le Monde, 2015.03.11)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2015/03/10/a-fukushima-l-interminable-decontamination_4590677_3244.html

2015年3月10日 (火)

太陽光飛行機「ソーラー・インパルス2」、モナコ王国から世界一周の旅へ:「ガソリン・ゼロ、汚染ゼロ」/ルモンド紙(3月9日)

モナコ公国、2月10日。太陽飛行機「インパルス2」はアルベール二世皇太子らが見守る中、お揃いのハイセンスな「つなぎ」を着た二人のパイロット(ベルトランド・ピッカードとアンドレ・ボルシュベルク)と共に飛び立った。

●二人のパイロットとモナコ公国皇太子(画像)
http://www.tdg.ch/suisse/solar-impulse-pilote-monaco/story/13223683

●モナコ公国
地中海岸に位置する人口約4万人の世界2番目に小さな都市国家。立憲君主制。
(画像)
https://www.google.co.jp/search?q=Monaco&hl=ja&gbv=2&sa=X&oi=image_result_group&ei=C23-VJ_7KISE8gWhp4LQBQ&ved=0CCMQsAQ&tbm=isch

彼らには大きな挑戦が待ち受けていた。世界で初めてのガソリンに一切頼らない世界一周の空の旅。ガソリンを使わないため汚染も一切ない。使用されるのはクリーンで再生可能な自然エネルギーのみだ。3月9日の早朝、二人は世界一周旅行の出発地点であるアブダビから飛び立った。ソーラー・インパルス2は今後、12か所の地点を通過しながら二つの海を越えて旅をする。

パイロットのピッカード氏はインパルスの発案者で精神科医としての経験も持つ。もう一人のパイロット、ボルシェベルク氏はインパルス・プロジェクトの共同設立者でエンジニア。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「『ソーラー・インパルス2』、世界一周の旅へ」/ルモンド紙(3月9日)
« Solar Impulse 2 autour de la planète », Le Monde, 2015.03.09
http://www.lemonde.fr/sciences/article/2015/02/23/solar-impulse-2-autour-de-la-planete_4581849_1650684.html

2015年3月 5日 (木)

原発でCO2排出量を削減?原発導入にオーストラリア国内で賛否/ルモンド紙(3月5日)

世界一のウラン埋蔵量(注1)を誇るオーストラリアは長い間原発に反対し、全てのウランを輸出に回す一方、これまで一カ所も原発を建設していない。しかし長年自国内に埋蔵する石炭による発電に頼って来た結果、住民一人当たりのCO2排出量が高いレベルにある他、環境汚染が進んでいる。

来年パリで開かれる気候変動に関する国際会議に向け、CO2削減はオーストラリア国内の優先課題に位置づけられている。その結果2014年12月、トニー・アボット首相は原子力への転向を口にした。しかしブリスベーンのグリフィス大学イアン・ロウイ巨教授よれば、太陽光発電や風力発電で必要な電力をまかなうことは可能だ。今オーストラリア国内では、政策転換の可能性に賛否の声が挙っている。

(注) オーストラリアには、現在確認されている世界のウラン埋蔵量のうち31%が存在する。

●元の記事:「気候変動:オーストラリア政府、原子力の選択肢を検討」/ルモンド紙(3月5日)
« Climat : l’Australie réfléchit à l’option du nucléaire », Le Monde, 2015.03.05
http://www.lemonde.fr/climat/article/2015/03/04/climat-l-australie-reflechit-a-l-option-du-nucleaire_4587105_1652612.html

2015年2月26日 (木)

メルトダウンし続けるアレバ社:「産業界の福島第一」、2014年度6600億円の損失/「現在の技術動向」(2月24日)

アレバ社は2014年度、49億ユーロ(約6600億円、速報値)の損失を計上、政府と産業界に大きな懸念を引き起こした。

「産業界の福島第一」
「メルトダウンし、格納容器が崩壊しかけた原発同様の状態」

ルモンド紙のジャンミシェル・ベザ記者はためらい無くこう指摘する。経済情報サイト「キャピタル.fr」は「天文学的な損失額」、レゼコー紙は「フランスの原子力業界全体の未来がかかわる緊急事態」と報じた。

アレバ社は2013年の時点で既に5億ユーロ(約670億円)もの赤字を抱えていた。2014年度は更にその8.8倍の損失を被ったことになる。ところで、上記の49億ユーロにはフィンランドで建設中の最新式原子炉の工期が遅れていることによる賠償金23億ユーロ(3100億円)は含まれていない。

現在、フランスのボルドー地方にはヨーロッパ最大の太陽光発電設備(3キロ平方メートル当たり300メガワット)が設置されている。減価償却期間を過ぎた古い原発による発電費用は5.98ユーロ(約807円、キロワット時あたり)、しかし減価償却期間が過ぎた太陽光発電設備による発電には費用はかからない。フランス議会で電気料金に関する調査委員会でフランス電力公社(フランス最大の電力会社)のジャンベルナール・レヴィー代表はボルドーにある太陽光発電所における発電費用が新しい原発による発電費用より20%安いことを認めている。

実はボルドーは取り立てて太陽に恵まれた地域では無い。例えばトゥーロン市では更に30%多い太陽の光が得られる。フランスにおける太陽光の普及はドイツの8分の1にとどまっている。しかしアレバの損失額に相当する額の予算があれば、フランス国内における太陽光発電施設の発電容量を倍増することが可能だ。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「アレバのフクシマ:マクロン経産省大臣『アレバ社の資本金注入は優先事項では無い』」「現在の技術動向」(2月24日)
(« Le Fukushima d’AREVA / Areva : une augmentation de capital "pas la priorité" (Macron) », Actualités techniques de l’ingénieur, 2015.02.24)
http://www.techniques-ingenieur.fr/actualite/technologies-de-l-energie-thematique_89428/le-fukushima-d-areva-article_292592/

2015年2月18日 (水)

チェルノブイリ事故から29年: 野火で広がり続ける放射能汚染/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)

1986年4月にチェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故によって放出された死の灰は簡単には消えない。ウクライナとベラルーシをまたぐチェルノブイリ近辺の深い森の中の土の表面近くに今も残る放射性物質は、頻発する野火によって空中に放出され続けており、今後放射性の雲となってヨーロッパの上空を再び覆う可能性がある。ノルウェー大気研究所のニコラオス・エバンゲリオウ氏が率いる研究チームが発表した。

<画像>  チェルノブイリの野火(イメージ)/ロイター
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D


◆森の土壌に蓄積する放射能

エバンゲリオウ氏らはチェルノブイリ近辺における野火が2002年以降にもたらした影響を分析、同地域の汚染レベルを考慮した上で将来起きうる新たな野火の頻度とその影響規模を予測した。エバンゲリオウ氏によると森の中の地表近くの土壌には、現在も高い濃度で放射性物質が残留している。土壌中の放射性物質の濃度は通常、徐々に土が流されたり植物とともに土から引き抜かれることにより低下する。しかし人の出入りが途切れた深い森の中では、樹木が放射性物質を吸収し枯葉として放出した後、汚染はそのまま高い濃度で土壌に残留する。

エバンゲリオウ氏の指摘によれば、放射能による被害により虫や微生物が殺され減少したために、枯れ葉の腐食には通常以上に時間がかかっていると見られ、チェルノブイリ近辺の立ち入り禁止区域では森の手入れをする人がいないことと相まって土壌の放射性物質濃度を上昇させている。過去にWHOヨーロッパ事務所で放射線防護課の代表を務め、現在は東フィンランド大学で教えるキース・バヴェストックは同様の問題が福島にも起きうることを指摘する。


◆ヨーロッパ全土を覆う煙

野火は以前から続いており、既に多くの放射性物質がヨーロッパ全土に放出された。現在、野火によって煙の形で放出されている放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故が起きた1986年に放出された量の約10分の1にあたり、近辺に残留しているセシウムの2~8%に相当する。煙はヨーロッパの東部一帯に放出され、遠くトルコやイタリア、北欧諸国にまで到達している。更には近年の気候変動で野火の発生が増加しており、ウクライナ近辺の不安定な政治状況によって野火の消火を担当する消防団の人員が手薄になっている。

あなたは野火によって空中に放出される放射性物質の量などそれほどの量では無い、と思うかもしれない。エバンゲリオウ氏らの研究チームがチェルノブイリから近いウクライナの首都キエフで想定したところ、空気中の放射性物質濃度は平均で10マイクロシーベルトにとどまっていた。年間被ばく量の上限の1%である。

しかし米国サウス・キャロライナ大学のティム・ムッソー氏によれば、被ばくのリスクは放出された汚染物質がどこへ行くかによって決まる。野火の勢いが強まればより多くの放射性物質が放出される危険がある。汚染の平均値は問題では無い。野火でストロンチウムやプルトニウム、アメリシウム等の放射性物質が放出された際に、これを浴びたり、汚染物質が凝縮されたキノコを食べた場合には、これら特定の人たちが重度の汚染にさらされる。一度口から入った放射性物質は深刻な内部被ばくを引き起こす。このように被ばくは特定の人に集中して発生する傾向がある。他方、広い地域に広がる煙を通じてまき散らされた放射能による癌の発生を証明することは困難となる。ムッソー氏は言う。

「どんな少量の被ばく量であっても、人体に何の影響も与えないということはありません。安全な被ばく量、しきい値というものは無いのです。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事「野火の増加でチェルノブイリの放射能汚染、復活の可能性」/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)
( « Rise in wildfires may resurrect Chernobyl’s radiation », New Scientist, 2015.02.09)
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D 

2015年2月 7日 (土)

ドイツ環境大臣からフランスの環境大臣へ:「フェッセンハイム原発を今すぐ廃炉に」/ドイツ環境大臣書簡&原発をやめる会(1月12日)

ドイツのバーバラ・ヘンドリクス環境大臣は1月12日、フランスのセゴレーヌ・ロワイヤル環境大臣に対し独仏の国境にあるフランス最古の原発フェッセンハイム原発を迅速に廃止するよう求める書簡を送り、具体的な廃炉日程を示すよう要求した。フェッセンハイム原発は2基の原子炉を抱えており2基とも1978年より37年にわたり稼働している。オランド大統領は大統領選挙の際、フェッセンハイム原発を2017年までに廃炉することを約束し勝利した。しかしロワイヤル大臣は原発推進派の影響を受けているとされ廃炉には前向きでは無いとの観測が出ている。

ヘンドリクス環境大臣はその書簡の中で、「原発の周辺住民は原発の安全性について強い不安を抱いています。オランド大統領の公約どおり、可能な限り早くフェッセンハイム原発を廃止してくださるよう強く望みます」と述べた。又、同時に今後の具体的な廃炉日程を知らせるよう求めている。

(要旨、一部編集)

●元の記事:「ドイツ環境大臣、セゴレーヌ・ロワイヤル仏環境大臣にフェッセンハイム原発の廃止を要求」/原発をやめる会(1月12日)

http://www.sortirdunucleaire.org/spip.php?page=article_dossier&id_article=41197

2015年2月 2日 (月)

原発推進派ロワイヤル環境大臣の矛盾発言:オランド大統領の公約を無視し「新規建設が必要」―緑の党は反発/カナール・アンシェネ(1月21日)

セゴレーヌ・ロワイヤル仏エネルギー・環境大臣は危うく危険な連鎖反応を引き起こすところだった。1月13日、マダム・ロワイヤルはユジーン・ヌベル紙にて「新世代型の原発の建設を計画しなければ」と発言しセシール・ドゥフロ前住宅大臣(緑の党)の怒りを買った。しかしその後ロワイヤル大臣は「これまでの方針から変更は無い」と緑の党に電話をかけている。

しかしなぜロワイヤル大臣はこんな爆弾発言をしたのだろうか?その次の日からは上院でオランド大統領が選挙で公約した「原発の使用を2025年までに50%以下に削減する」という目標を掲げたエネルギー転換政策の議論が予定されていたのに、である。

ロワイヤル大臣は原発推進派ロビーに味方し、フランス電力公社の株が上がることを期待している。実際、マダム・ロワイヤルの発言の後、フランス電力公社の株価は5%上昇した。つまりこういうことだろう。エネルギー転換政策は原発をゼロにするとは言っていない。減るけれども無くならない。原発の寿命とて永遠に続く訳ではないから、新しい原発が必要になるということなのである。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「原発推進派のロワイヤル環境大臣、原発維持を主張」/カナール・アンシェネ(1月21日)
« Atomic Royal défend le nucléaire durable », Le Canard Enchaîné.

«ウクライナ:欧州最大の原発密集地域、崩壊の危機/ルモンド紙(12月5日)