無料ブログはココログ

« 「葉野菜、キノコ、イカナゴの摂取を控える。福島原発事故にかかる在日仏人向け勧告」公報IRSN(4月20日) | トップページ | 「消される被曝者(2)『チェルノブイリ事故の死者4000人』の謎とIAEA・WHOの調査手法」ヤブロコフ他 »

2011年4月25日 (月)

「消される被曝者(1)広島・被爆者調査での『内部被曝の否定』」沢田昭二、他

日本政府は今後、福島周辺地域の住民に対し、原発事故による放射線の影響を調べる疫学調査の実施を計画している。今回の調査の中心となっているのは「放射線影響研究機関協議会」という組織。協議会の中心となっているのは「財団法人 放射線影響研究所」である。世界保健機構(WHO)もまた、調査における日本政府への協力を宣言している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110421-00000541-san-soci 

この調査は私たちにとって、どのような意味を持つのだろうか?

広島・長崎への原爆投下後、そしてチェルノブイリ原発事故の後にも、同様の調査が実施されてきた。広島やチェルノブイリでの被害と福島原発事故における健康被害にはある程度の違いが見られるが、共通点も多くある。更には広島・長崎で調査を行った「放射線影響研究所」とチェルノブイリで調査を行った世界保健機構(WHO)が、今回の福島での調査実施を担う予定となっているとうい事実がある。

それなら、これら2機関が過去に行った調査から学ぶことがあるだろう。

こうした視点から、2009年に出版されたチェルノブイリ原発事故の被害に関する詳細な報告書『チェルノブイリ―大惨事が環境と人々にもたらしたもの』(注1)とその他の資料を参考に、「調査」について考えてみました。

※仏語記事ではありませんが、重要度に鑑み例外的に取り上げます。また、長くなってしまったので、(1)広島編と(2)チェルノブイリ編に分けて掲載します。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

尚、今回は「調査」の在り方についてのみ触れますが、同書にはチェルノブイリ原発事故によって起きた健康被害と環境への影響が詳細なデータとともに示されており、一読の価値があります。英語ですが、ゆっくり辞書を片手に関心のある章を読まれることをお勧めします。

http://www.infoark.org/InfoArk/Energy/Nuclear/Chernobyl,%20Consequences%20of%20the%20Catastrophe%20for%20People%20and%20the%20Environment%20-%20Yablokov_2009.pdf#page=310 

英語はちょっと。。と言う方には、この本の概要を紹介している下記の動画がおすすめです。 カール・グロスマンのテレビ番組「環境クローズ・アップ」による特集『チェルノブイリ原発事故、百万人の犠牲者』(日本語の字幕付きです)

http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/ 

インターネットにアクセスできない方用に、文字でも読めます。

http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/753.html 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

1.広島から学ぶ

今回の福島での調査の中心となっている「放射線影響研究所」の前身は、終戦直後の1947年に米国原子力委員会の資金で作られた「原爆傷害調査委員会」である。

冷戦下での核兵器開発を目的に広島・長崎の被爆者から放射能被害データの収集を行っていたとの見方が複数なされており、被爆者への検査を行うのみで治療は行わなかったとされる。米国主導の組織として世論の批判を受け、1975年に日米共同管理下に置かれる財団法人「放射能影響研究所」となって現在に至る。

日本政府と放射能影響研究所の前身である「原爆傷害調査委員会」は、原爆被害者における「放射性降下物」および「内部被曝」の被害を長い間認めて来なかった。内部被曝を軽視する姿勢は、福島原発事故における住民や原発作業員における内部被曝の軽視にもつながっている、と名古屋大学名誉教授で自身も被爆者である沢田昭二名誉教授は述べている。

沢田昭二 名古屋大学名誉教授による講演「放射線による内部被曝~福島原発事故に関連して~」

http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_20.html

ヤブロコフ・ネステレンコ両博士による上記の本によれば、広島と長崎では原爆投下後の4年間、「原爆傷害調査委員会」以外の組織や個人による調査が禁止されていた。その間、約10万人の最も弱い人々が死んで行ったとされる。このように、最初に死んで行った人々の状況は、記録に残っていない。

また、日米政府による合同調査では、放射能による急性障害に関する調査の対象範囲を爆心地から半径2キロ以内に限定、放射線障害として認定する症状についても、脱毛と皮膚出血斑(紫斑)だけと定義して、一般的症状である下痢、嘔吐、食欲不振、倦怠感、発熱などは急性障害のあらわれとは認めなかった。

http://www.nuketext.org/kenkoueikyou.html 

結論として、「原爆傷害調査委員会」が広島で実施した調査については次のことが言えるだろう。

 住民の健康被害を救済することには主眼を置いていなかった。

 データを収集する期間や対象者の居住地域、放射能障害と認定する症状を限定することで、放射能による影響・被害を小さく見積もっていた。

 放射性降下物の影響や内部被曝の影響を認めず、放射能の影響・被害を小さく見積もっていた。

(注1)ヤブロコフ、ネステレンコ、ネステレンコ著、ニューヨーク科学アカデミー出版。

Alexey V. Yablokov, Vassily B. Nesterenko, Alexey V. Nesterenko, 2009, Chernobyl: Consequences of the Catastrophe for People and the Environment.

http://www.infoark.org/InfoArk/Energy/Nuclear/Chernobyl,%20Consequences%20of%20the%20Catastrophe%20for%20People%20and%20the%20Environment%20-%20Yablokov_2009.pdf#page=310 

この本についての紹介ブログ

http://blog.awakenature.org/?eid=238  

« 「葉野菜、キノコ、イカナゴの摂取を控える。福島原発事故にかかる在日仏人向け勧告」公報IRSN(4月20日) | トップページ | 「消される被曝者(2)『チェルノブイリ事故の死者4000人』の謎とIAEA・WHOの調査手法」ヤブロコフ他 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「葉野菜、キノコ、イカナゴの摂取を控える。福島原発事故にかかる在日仏人向け勧告」公報IRSN(4月20日) | トップページ | 「消される被曝者(2)『チェルノブイリ事故の死者4000人』の謎とIAEA・WHOの調査手法」ヤブロコフ他 »