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2011年4月22日 (金)

「『長期汚染』の現実否定、『普通の生活』回帰と内部被曝。汚染を生きる私達の心理と行動を予測する」ル・モンド紙(4月19日)

ル・モンド紙は419日、チェルノブイリ原発事故の後にウクライナやベラルーシの汚染地域で長く調査を行ってきた社会学者フレデリック・ルマルシャン助教授(カン大学)の寄稿文を掲載し、福島におけるチェルノブイリ体験の再来を指摘。チェルノブイリ事故の後に汚染地域に住み続けざるを得なかった住民達が取った「現実逃避」の行動と心理、そしてその結果起きた内部被曝の増長に言及しながら、福島原発事故の後、深刻な放射能汚染に直面する日本人にも同じ問題が起きることを予測している。

ルマルシャン助教授の専門分野は「原子力やバイオテクノロジー産業が環境や健康もたらす危険」。主要著書に「チェルノブイリの沈黙」(2006年)などがある。 (以下、ポイントのみ要約)

確かに、チェルノブイリの原発事故と福島原発事故の間には幾つかの相違点がある。福島では今も800万人もの人が、今後何百年にもわたって汚染され続けるであろう土地に住み続けている。しかし福島で繰り広げられているのは、新しい歴史などではない。チェルノブイリの歴史が繰り返されているだけだ。

チェルノブイリ事故からの生存者が私に教えてくれたことが二つあった。一つ目は、原子力による大規模な汚染が一度起きた後は、「普通の状態に戻る」ということは決してありえない、ということだ。

どこにも逃げられないとしたら、避難する場所が他にないとしたら、どうすればいいのか?

チェルノブイリから学んだ二つ目の教訓は、日本国内で将来汚染され続けるであろう地域に居住する住民達が学ばなければならない点だ。

今後長期にわたって汚染が続く地域に生活し続けるしかない人が、ある程度落ち着いた気持ちで将来に立ち向かうためには、現実を否定するしかない。ベラルーシの物理学者ワシリ・ネステレンコ氏は、チェルノブイリ事故の後10年の間、本来であれば時間の経過とともに自然に低下するはずの汚染地域の住民の被曝量が、増加してゆくのを目にした。

住民達は「突発的な事故」(として原発事故をとらえる)段階でのストレスを何とか乗り越えた後、もう普通の生活に戻れるだろうという希望を抱く。しかしこれに反して、汚染が長期間続くという受け入れることが非常に難しい現実に直面させられる。そして、(汚染の現実をわざと無視することによって)事故が起こる前の生活習慣を再び取り戻してしまう。

これは、福島でも同じことが起きるだろうと思われる。

チェルノブイリと福島での事故はかつて人間が経験したことのない新しい形の災害となった。人間の生物学的、社会的、精神的生活だけでなく、まだ生まれて来ていない未来の世代、将来の存在までが、「核エネルギー」によって既に征服されてしまっている。


チェルノブイリと福島では、農地、水資源、そしてもっと悪いことには、人々が密集する都市部までもが汚染されてしまった。こうした地域は今後あらゆる形での利用が禁止され、完全に失われた土地となる。このような足かせは、社会主義経済にとっても自由主義社会にとっても(経済的な観点からは)到底受け入れがたいものだ。こうした理由から、福島県の汚染地域における長期の退避は行われないことになると予想している。

(Frédérick Lemarchand, « Fukushima, l’autre Tchernobyl », Le Monde, 2011.04.19)

日本語の要約(フランス・メディアネットワーク)

http://www.francemedianews.com/article-72051157.html 

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