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2011年4月19日 (火)

「日本の野菜は安全か?『福島後』のフランス家庭の食卓から考える」CRIIRAD(4月9日)

福島原発事故は長期化の様相を見せている。日本から約9600Km離れたフランスで、人々はどのような点に気をつけて生活しているのだろうか。

原発事故に関する独立した調査を行っているCRIIRAD研究所(注1)は49日、フランスに住むフランス人向けに、福島原発事故の影響について注意を促す発表を行った(「福島第一原子力発電所から排出される放射性物質によるフランス国内への汚染:どんな危険があるか?」)。

フランスは25年前のチェルノブイリ原発事故の際、政府が食品への放射能汚染を国民に知らせなかったために多くの甲状腺患者を出した歴史を持つ。CRIIRADが誕生したきっかけは、国を含めた特定の組織に属さない「独立した調査機関が必要」との認識からだ。

今回のCRIIRADによる報告は、フランス国内8ヶ所で収集された大気中の放射線濃度等のデータに基づいた内容となっている。フランス以外にも、ドイツ、スイス、ベルギー、イタリアなどのヨーロッパ諸国にもあてはまる内容と述べられている。ヨーロッパ大陸と福島原発により近い日本の状況は大きく異なっている。しかし日本に住む私たちにとっても参考になる点があるのではないか。

と言うわけで、CRIIRADによるフランス人へのアドバイスを日本の野菜への汚染データと比較しつつ、汚染された食品の摂取に関する問題を考えてみた。

1.   49日時点でのフランスへの汚染概況

CRIIRADはフランスにおける汚染の状況について、放射能による被爆、大気中にある放射性物質の吸引による内部被爆、放射性物質に汚染された飲料水や食料品を摂取することによる内部被爆、の3種の危険は、「無視できるほどの、ごくわずかなものである」と述べている

(但し、雨水にはヨード1311リットル当たり0.244.9ベクレル含まれており、飲み水には使用しないことを勧めている。これは、小さな子どもには特にあてはまる)。

2.   フランスにおける食品への汚染とその対策

(以下、CRIIRADによる報告から要点を引用)

放射性物質に汚染された食品による内部被曝の危険は確かに大変少ない。しかし、

l  汚染が長期化する可能性があること、

l  個人個人で特定の食べ物についての好き嫌いがあること、

l  特に放射能汚染の被害を受けやすい子ども、妊婦、授乳中の女性、といった人々がいること、

を考えれば、私たちは既に無視できない危険に直面する段階にまで来ている。これを考慮して、危険な行動を避けることが望ましい。

ヨーロッパで広く適用されているEURATOMのガイドライン96/291996513日発効)によれば、年0.01ミリシーベルト(10マイクロシーベルト)を超えない放射線量であれば、「無視できる量」とみなされる(注2)。福島原発事故に関しては、食品を通じたヨウ素131の経口摂取を避けることが特に重要となる。

0.01ミリシーベルトのヨウ素131が人体に与える影響は、年齢に大きく左右される。0歳から2歳までの小さな子どもは、最も大きな影響を受ける。これらの子どもたちには、ヨウ素13150ベクレルほど摂取するだけで、0.01ミリシーベルト分の放射線量を摂取した場合と同じだけの影響がある。危険をはらんだ食品が1kg当たり1から10ベクレル、もしくはもっと多くのヨウ素131を含んでいた場合、23週間で0.01ミリシーベルトの摂取限度量を超えても不思議ではない。

放射性物質の汚染を最も受けやすい生鮮食料品は、大きく2つに分類される。

l  レタス、ほうれん草、キャベツなどの大きな葉のついた野菜

l  生乳と生チーズと食肉(屋内で飼われている家畜を除く)

つまりこれから数週間は、家庭で消費する基本的な食品群から放射性物質の汚染の影響を受けやすい食品を避けることが賢明だ。4月の間普段食べる基本的な食料品に気をつけることで、少量の放射性物質にさらされるのを防ぐことができる。生乳の代わりに長期保存の牛乳を飲んだり、生チーズやレタスやホウレンソウを食べ過ぎないようにすることだってできる。良い意味での「常識」に従って行動することで、特に子ども、妊婦、授乳中の女性、といった弱い人たちを守ることができる。

3.   日本における食品への汚染

「大きな葉がついた野菜」の例として、日本におけるホウレン草の汚染状況を確認してみよう。

<ホウレン草における放射性ヨウ素の最大検出値>

福島県福島市                     2100ベクレル/Kg   411日)

茨城県北茨城市               1800ベクレル/Kg (411日)

千葉県多古町                     843ベクレル/Kg    48日)

栃木県宇都宮市                  480ベクレル/Kg    413日)

宮城県名取市                     103ベクレル/Kg    411日)

群馬県                                64ベクレル/Kg      415日)

埼玉県越谷市                84ベクレル/Kg    412日)

長野県長野市                     0                          413日)

神奈川県横浜市                  0                          412日)

新潟県                    0             412日)

(データ元:産業技術総合研究所 河尻耕太郎)

http://atmc.jp/food/?s=i131&a=20&q=407cf&d=7 

(注)各県で計測した日が必ずしも同じではないため、正確な比較は難しい。また、ヨウ素131が検出されていない場合でも、セシウムが検出されている場合がある。データによっては「県」のデータとして表示されているが、県内でも値がこれより高い、もしくは低い場所があることが考えられる。

上記のデータには多少古いものもあるので、現時点ではもっと値が下がっている可能性がある。しかし、0歳児から2歳児については、「危険をはらんだ食品が1kg当たり1から10ベクレル、もしくはもっと多くのヨウ素131を含んでいた場合、23週間で0.01ミリシーベルトの摂取限度量を超えても不思議ではない。」とすれば、ヨウ素131が検出されている野菜を日常的に小さな子どもたちに与えるのは危険だろう。

今後の事故の展開にもよるものの、フランス人たちが気をつけているように、少なくともあと数週間は気をつけて様子を見る必要があるのではないか。

1: CRIIRADとは?

http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/en_japonais/CRIIRAD_presentation.pdf 

2: 「無視できる」量(年10マイクロシーベルト)とは、年1ミリシーベルトの「被曝限度量」とは全く別の意味を持っている。

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CRIIRADによる報告(フランス語全文)

http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/risques_en_france_v5.pdf

和訳by Post-polio

http://postpolio.blog39.fc2.com/blog-entry-10.html 

英訳by Euractive.com

http://www.euractiv.com/en/health/radiation-risks-fukushima-longer-negligible-news-503947

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