「IAEAは『原子力産業による原子力産業のための組織』」ル・モンド・ブログ(4月1日)
日本で起きている福島原発事故における危機対応において、国際原子力機関(IAEA)の不在感には際立つものがある。IAEAは3月11日以来、原子炉の冷却状況に関する進捗について遅滞なく関係各国に報告することができていないばかりか、惨事の規模を国際基準に照らして推定することすらできずにいる。
なぜなのか?
ル・モンド紙のオードレイ・ガリック記者は4月1日、自らのコラム記事を掲載しているブログにて、ステファン・ロム氏(注1)に対して行ったIAEAに関するインタビュー記事を掲載した。
ロム氏によれば、「IAEAは原子力業界と近しい関係にあるため、原発の安全基準を十分に強化することができない。」 1957年に生まれたこの組織は、実質的には原子炉の建設に関する各国への支援を行ってきた。
オードレイ・ガリック:「IAEAは原子力の安全に関する規範を守らせる役割を負っていますが」
ステファン・ロム:「ここで言う安全の規範とは、実際には各国政府と原発建設会社が自ら作った最小限の『規範』、ということなのです。 (。。。) IAEAは事実上、(規範を守らせるべき対象国に対して)全く強制力を持っていません。」
オ:「なぜIAEAは強制力を持たないのでしょうか。」
ス:「原子力産業が原子力産業のために作った組織だからです。この組織はそれぞれのメンバー国出身の専門家から成り立っていますが、小さな世界ですから、お互いが皆友達です。そしてお互いに都合が良いように動くのです。他国に対して現状をチェックする代表団を出す場合でも、後で自分たちの国に仕返しをされると困るので、あまり厳しいことを言えないのです。
2007年に地震で柏崎 刈羽 原子力発電所が被害を受けた時もIAEAは調査団を派遣しましたが、マグニチュード6.8もある地震の被害を受けたにも関わらず、同原発の安全対策の強化には結びつきませんでした。」
(注1)元「原子力監視機関」代表、仏NGO「脱原発ネットワーク」の元スポークスマン。「原子力監視機関」は原子力産業を監視するフランスの独立機関。http://observ.nucleaire.free.fr/
記事(仏語全文)はこちら http://ecologie.blog.lemonde.fr/2011/04/01/nucleaire-laiea-est-impuissante-par-nature/
(Audrey Garric, Le Monde:fr Blogs "Chroniques pour économie sociale et durable")
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