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2011年6月 7日 (火)

番外編★チェルノブイリ事故の爪痕が残る仏東部の農村にて:福島事故への関心、依然強く(6月7日)

いつも御愛読ありがとうございます。ブログその他を1週間ほどお休みさせて頂きまして、先週よりフランスの東端にある農村を訪問しました。以下、簡単ながらご報告です。

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地平線まで続く緑の草原、その中に点々と色を添える牛たちの群れ。昔ながらの酪農とチーズの生産で生計を立てる人口数十人の村。先祖代々から受け継いだ厳しい自然を生きぬいてきた人々は、遠い国からの訪問者を地元のワインと暖かい笑顔で迎えてくれた。

楽しそうに家の前で馬を駆る若者たちを横目にお喋りが一息つくと、誰もが日本の様子を聞きたがって同じ質問を繰り返した。

「それで福島は今、どうなの?あの事故の後、全然ニュースで報道しないんだけど。」

電力の約75%を原子力に頼る世界最大の原子力大国、フランス。サルコジ大統領はヨーロッパ連合内の強力な原子力推進派の代表者としても知られる。日本以上に強力なこれらの政治勢力は、福島での事故の後、早速「原子力は危険じゃない」という内容の本を何冊も出版してパリの書店に並べている。しかし田舎の村にまで降りて行けば、その地域の情報を詳しく伝える地元の新聞が日々の主な情報源だ。人々が日本での原発事故に強い関心を寄せていることが改めて感じられた。

25年前の4月、遠くチェルノブイリから飛んできた放射能を含む雲は、フランス東部に位置するこの村の隣村の上空を通過し、地中海へと向かった。多くの人が甲状腺癌に罹り苦しみ始めたのは、その後すぐのことだった。

ワインがまわって、誰もが口々に同じ話をする。

「『放射能の雲はフランスの国境で止まりますから』って、言ったんだよ!本当に。。雲が国境で止まる訳ないよ。あの時『死の灰』は(フランス上空を通りぬけて)地中海まで行ったんだから!」

当時の政府責任者ペルラン教授は、隣国が事前にヨウ素剤を配布し生鮮食品の摂取を控えるよう国民に呼びかけたにもかかわらず、「フランス国内は安全」との声明を繰り返した。政府の発表を信じて放射性物質に汚染されたレタスを食べ、知らぬうちに放射性物質を含んだ空気を吸いこんだ人々の多くは、多くの大人を含め今日も甲状腺がんに苦しんでいる。ペルラン教授は国民に偽った情報を流したとしてその後その責任を問われて起訴され、今年9月の判決を待っている。

人々は、あの時政府がついた嘘を忘れていない。
広大な草原が汚染されチーズが売れなくなれば、彼等は生活することができない。夏の間だけこの村を訪れる都会の観光客も、やって来なくなるだろう。長い治療を要する癌にかかれば、自営業の農民たちには大きな負担となる。

「水は大丈夫?飲めるのかい?」
「おい、放射能汚染っていうのは、その場所だけじゃ済まないんだから。俺たちの時もそうだったじゃないか。チェルノブイリからここまで、雲が来たんだから。。」

気遣いの中にある深い懸念が頭をもたげる。

この夏、フランスは史上最悪の旱魃と水不足を経験している。川沿いに建てられた多くの原子力発電所は川の水を用いて原子炉の冷却をおこなっており、旱魃が悪化すれば、過去にも起きたように冷却装置が作動しなくなる危険性が指摘されている。

他方、山の向こう側に広がるスイスは、既に原子力発電からの脱却を宣言している。
スイス側から村を訪れていた元銀行家の老人が言った。

「スイスもドイツも原子力はもうやめることにした。日本はこんな事故があっても、まだ原子力発電を続けるらしいね。」

福島での原発事故は、国境を越えて人々に反省をうながしている。

フランスねこ

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コメント

フランスねこさん、お帰りなさいませ。
アルザスにいらっしゃったのでしょうか?

私のフランシュ・コンテの小さな村に住むフランス人の友人は、震災後に日本のニュースがリビア関連にとって変わってしまったことを嘆いていましたが、サルコジがリビアへの軍事介入へ主導をとったこと自体が福島関連のニュースから国民の目を逸らしたかったから、ということもあったのではないかと最近思うようになりました。
原発維持の為には福島のニュースは不都合ですし、チェルノブイリの情報隠蔽については寝た子を起こしたくないし・・。

日本政府は相変わらずで、後だし発表や、データを2倍に修正・・・と、恥知らずなことをしている上、こんな時期に『地下式原子力発電所推進議連』なるものを発足させたりしている政治家達もいます。しかもメンバーの大物政治家が「菅では復興に支障があるので、退陣を」と言っているのには(菅がリーダーとして不適格なのはおいておいて)、もう言葉も出ません。

さて、以下の吉川真実さんと仰る方のHPをたまたま見つけましたので、送らせていただきます。
http://linked222.free.fr/lien/tchernobyl_france/tchernobyl_france.html

Yukari


Yukariさん

いつもありがとうございます。頂いたサイトも大変興味深く拝見しました。
このサイトを書かれた方の御友人も甲状腺がんに罹られたとのこと、私が訪ねた村の人たちのことを思い出しました。チェルノブイリからの雲は、フランシュ・コンテ上空も通っていったとのこと、村のおばあさんがしきりにその話をしていました。日本でも同じことが起きないよう祈っていますが。。難しいでしょうね。

引き続きどうぞよろしくお願いします。

>「スイスもドイツも原子力はもうやめることにした。日本はこんな事故があっても、まだ原子力発電を続けるらしいね。」


原発国家であるフランスから電力を購入していなければ、説得力のある言葉なんですが。

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