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2011年7月27日 (水)

「フランスの夢の『最先端原子炉』EPR、福島原発事故と同様の電源喪失で壊滅的ダメージの恐れ」ルモンド紙(7月25日)

フランスが自国の原子炉輸出における戦略的存在と位置づける「欧州加圧水型軽水炉(EPR)」(注1)。Mox燃料の使用も可能な低コストでの発電を実現する新型原子炉、として当初は注目を浴び売り出されました。既にフィンランド、フランスのフラマンビル、中国(「台山原子力発電所1号機」)などで着工していますが、相次ぐトラブルによる工事の遅れと膨らむ総費用が問題化しています。これに加え、7月25日、環境団体のグリーンピースは、EPRにおける電源喪失の可能性とこれによる壊滅的な打撃を指摘する報告書を発表しました。

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1.福島での「電源の完全喪失」、再び

環境NGOのグリーンピースは7月25日、「未来の第三世代原子炉」と目されるEPRに、福島原発で3月11日の地震および津波の後で起きたような停電が発生した場合に起きる安全性の欠陥を指摘した。

グリーンピースは「(EPRの)安全対策は、電力網もしくは発電機による電力供給が24時間以内に復旧する、という仮説に基づいている」と指摘、「福島では完全な電源喪失が11日間継続した」と述べている。今回のグリーンピースの指摘は、原子力分野におけるドイツ・オーストリア両政府の技術専門家をつとめ、かつ経済協力開発機構(OECD)の原子力エネルギー機構が設ける専門家部会の委員をつとめるオーストリア人専門家、エルムート・イルシュ氏が作成した報告書(注2)に基づいている。                                                    

2.アレバ社による危険の軽視

この報告書は、「福島原発事故から導かれる重要な教訓は、安全装置への電源喪失が起きた場合、原子炉は脆弱であるという事実である」と述べている。さらに報告書では「日本で起きたような全電源喪失のような状態がEPRに起きた場合には、原子炉内の水を100度以下に冷やすことができない。また、原子炉を安定した安全な形で停止することはできなくなる」としている。

報告書はまた、「アレバ社は、EPRにおける停電の予防策をむしろ減らすという程度にまで停電の危険性を軽視している。」と指摘している。グリーンピースによれば、アレバ社は非常用の発電機の数を減らしており、発電機は手動でスイッチを入れなければならないため、ヒューマンエラーの可能性を増幅させている。

日本で大地震と津波が起きて5日後の3月16日、当時のアレバ社社長だったアン・ロヴェルジェオン氏は国会議員による委員会での聴取の後で行った記者会見で「福島でEPRを使っていたならば、どんな状況でも外部へ放射性物質が漏れることはなかった」述べた。

他方、7月25日朝のテレビ番組「ラ・マティナル・ド・フランス・インター」(早起きフランス市外局番)に出演したエリック・ベッソン産業省大臣は、オーストリア人の研究者であるヒルシュ氏の専門性とグリーンピースの真剣さに疑問を呈し、次のように述べた。

「グリーンピースはこの件について本当にばかばかしいことを本当に長い間言ってきた。質問の報告書のことは知らないし、私は国際的に最高レベルの専門家、フランス人の、じゃなくてね、の言うことしか認めない。これらの専門家は、現在の知識ではEPRが最も安全なタイプの原子炉だと言っているよ。」

他方、「第三世代の原子炉」第一号であるフラマンビルのEPRは、工事の遅れにより2016年まで稼働が開始できない見込みとなった旨が先週水曜日に発表されたばかりである。

(Le Monde.fr & AFP, « Greenpeace souligne les failles de l’EPR en cas de panne électrique », Le Monde, 2011.07.25)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/07/25/greenpeace-souligne-les-failles-de-l-epr-en-cas-de-panne-electrique_1552664_3244.html 

(注1) 「欧州加圧型軽水炉(EPR)」とは?
財団法人 高度情報化額技術研究機構による解説(2008年当時の解説)。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-08-03-05 

(注2)グリーンピースによる報告書(英文)
http://www.greenpeace.org/france/PageFiles/266521/EPR_Report_Greenpeace.fr.pdf

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