無料ブログはココログ

« 「菅首相の脱原発宣言〜財界からは批判、福島県関係者からは強い支持」ルモンド紙(7月15日) | トップページ | フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)による「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」その(2)(7月13日)「梅の実の汚染は数年にわたり続く」 »

2011年7月16日 (土)

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)による「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」その(1)〜「汚染対策には詳細かつ広範囲にわたる汚染地図が必要」(7月13日)

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は7月11日と13日、放射能による海洋汚染、および土壌汚染に関して入手可能な情報を取りまとめた「要旨(要約)」をそれぞれ発表しました。ここでは、「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」におけるポイントのいくつかを2回に分けて御紹介します。今回発表された文書は、4月12日、5月25日に発表されたデータを更新したものです。

なお以前より、CRIIRADなどの放射線防御に関わる組織から、各地域の住民におけるより正確な被曝量を推定するために福島原発事故直後に大気中に放出された放射性物質の種類と構成の発表を東京電力に求める声が出ていました。今回のIRSNによる土壌の汚染状況の分析は、こうしたデータの入手が難しい中、土壌のデータから各地域における福島原発事故直後の大気の状況を推測しようという試みとも言えます。今回の分析で見つかった放射性物質の特性や量を参照することによって、より具体的な健康被害や今後の汚染被害の動向を推測することが可能になると考えられます。

また、土壌汚染の状況をより詳細にかつ広範囲に渡って示す地図の必要性についても指摘しており、静岡県その他での茶葉汚染問題等、広範囲の地域における食品汚染やホットスポットの存在が問題となる中、東京その他の地域を広く含めた詳細地図の作製を専門機関の立場から後押しする内容となっています。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」(7月13日)

1. 大気中に含まれる放射性物質の構成

主に3月12日と22日に大気中に放出された放射性物質の一部は土壌に蓄積し、野菜、土、建物、海や川の表面に汚染を引き起こした。IRSNではNGO「ACRO」(フランス西部地域における放射線調査協会)より提供された飯舘村前田地区の土壌(3月31日採取)を分析した。結果は、以下の通りである。

表1.飯舘村前田地区における放射性降下物による土壌汚染の状況

放射性物質(半減期)/3月31日時点での放射線量(ベクレル/Kg)/3月15日時点での放射線量の推定(ベクレル/Kg)
ヨウ素131(8日) /86,680 / 345,345
ヨウ素132(2.3時間) /7,084 /~250,000
セシウム137(30年) /44,362 / 44,407
セシウム134(2.1年) /45,343 /46,003
セシウム136(13.2日) /4,442 /10,317
テルール129m(33.6日) /34,472 /47,953
テルール129(1.2時間) /21,692 /~45,000
テルール132(3.2日) /7,961 /253,652
バリウム140(12.7日) /859 /2,057
ランタン140(40.2時間) /1,128 /~2,000
銀110m(249日) /309 /323
ストロンチウム90(29.1年) /33 /33


他方、6月13日に浪江町から採取した土壌の分析によると、3月15日の時点で浪江町において観測された放射性降下物の量は、飯舘村における量の10倍に相当する。以下がそのデータである。

表2.浪江町における放射性降下物による土壌汚染の状況

放射性物質(半減期)/6月13日時点での放射線量(ベクレル/Kg)/3月15日時点での放射線量の推定(ベクレル/Kg)
ヨウ素131(8日)     /1,300              /3,096,152
ヨウ素132(2.3時間)  /計測可能値未満           /計測不可能
セシウム137(30年)  /420,000 /422,397
セシウム134(2.1年) /340,000 /368,808
セシウム136(13.2日) /510 /58,383
テルール129m(33.6日) /78,000 /499,373
テルール129(1.2時間) /50,000 /~500,000
テルール132(3.2日) /計測可能値未満 /計測不可能
バリウム140(12.7日) /不明 /計測不可能
ランタン140(40.2時間) /220 /~30,000
銀110m(249日)     /1,600               /2,056
ニオビウム95(35日)   /430                /2,556

放射性降下物の堆積量については、場所によって大きな違いが観測されている。


2. 土壌への放射能汚染

2.1 より詳細かつ広範な地域についての土壌汚染データ地図が必要

5月の初めに米国エネルギー省と日本の文部科学省が合同で発表したセシウム134とセシウム137による土壌汚染の度合いを示す地図データは、航空機による測定値に基づいた福島原発周辺における土壌一平方メートル当たりの放射能汚染(30万ベクレル以上)の量を示している。しかしこの地図のデータは最も深刻な汚染被害を受けた地域についてのもののみに限定されており、より詳細かつ広範囲に渡る汚染状況の地図データが必要である。

実際、一平方メートル当たり30万ベクレル以下のセシウムによる汚染は、東京、および放射性降下物による食品への放射能汚染が見つかった神奈川や静岡などの東京から南東方向に位置する地域を含めたより広範な地域に及んでいたことが考えられる。茶葉や竹の子といった放射性降下物の影響を最も受けやすい作物の生産においては一平方メートル当たり数万ベクレルの汚染であっても重大な食品汚染を引き起こす。しかし、日本には現在こうした放射性降下物による汚染の詳細データを示す地図は作成されていない。

尚、航空機による計測では同一地域内において雨などにより形成された不均一な放射能汚染の状況が的確に把握されないため、そうした意味でも、より詳細な地図データが必要である。IRSNは、現在福島県についてのみこうした地図データの作成が進行中であるとの情報を得ている。

(注:尚、以前このブログでも掲載した7月に発表されたCRIIRADによる報告書でも、被曝量を計算するためには大気中に放出された放射性物質の詳細な構成に関する情報が必要であるとして、東京電力(株)に対しこれを要求する必要性を指摘している。また、日本全国に関するより詳細な放射能汚染の状況を示すデータの開示が必要であるとして、文部科学省等関係機関への働きかけを呼びかけている。従って、今回のIRSNによる報告書の内容はおおよそCRIIRADと方向性を一つにするものであると言えるだろう。)


<出典>
IRSNによる「福島原発事故によって起きた日本の土壌環境における放射能汚染に関する情報要旨」

http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN-NI_Fukushima-Consequences_environnement_Japon-13072011.pdf 

<参考>
IRSNによる「福島原発事故によって排出された放射性降下物による海洋への影響に関する最新情報の要旨」
http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN-NI-Impact_accident_Fukushima_sur_milieu_marin_11072011.pdf

« 「菅首相の脱原発宣言〜財界からは批判、福島県関係者からは強い支持」ルモンド紙(7月15日) | トップページ | フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)による「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」その(2)(7月13日)「梅の実の汚染は数年にわたり続く」 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 「菅首相の脱原発宣言〜財界からは批判、福島県関係者からは強い支持」ルモンド紙(7月15日) | トップページ | フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)による「土壌の放射能汚染に関する情報の要旨」その(2)(7月13日)「梅の実の汚染は数年にわたり続く」 »