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2011年8月

2011年8月27日 (土)

「菅首相、原発ロビーの反対で自らの方針を貫けず」仏メディア、浜岡原発停止と脱原発社会への足がかりを築いた首相を評価/ルモンド紙(8月28日)

ルモンド紙は8月26日に辞意を表明した菅首相について、その70%以上が段階的な脱原発を望む国民の期待に応え、浜岡原発の停止、原発の無い社会の実現を目指す方向性の打ち出し、全原発におけるストレステストの義務づけなどを行った点を評価。首相は脱原発政策や夏期の電力使用量15%減の促進などで財界から強い批判を浴びたが、日本では現在54基ある原発のうち39基が停止しているにもかかわらず、機能を続けているとも指摘した。尚、菅首相はその後権力層からの批判の高まりを受けて首相の座を守るべく術数に走るに至り、6月初旬には不信任の動議に直面、今回の辞任に至った、と分析している。

(Philippe Mesme, « Naoto Kan n’a pas su s’imposer face aux lobbies », Le Monde, 2011.08.27)

2011年8月25日 (木)

国は私達を守ってくれるのか?「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く(その2)」ルモンド紙(8月6日)

その1に続き、8月6日に掲載されたフィリップ・ポンス記者による記事「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く」の続きを掲載します。

(その1はこちら http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/86-5756.html

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官僚・政治・財界の鉄の三角形がもたらした公害被害

福島での大惨事は、政府への信頼失墜の危機をもたらした。明治維新以来、官僚制度は政治を二次的な地位へと貶め、尊大な態度で国をおさめて来た。こうした方策は、確かにうまくいった。官僚、政界、財界からなる「鉄の三角形」は、日本を世界でも有数の経済大国にまでのしあがらせたのである。

しかし、1960年代から70年代にかけて発生した水俣病その他の公害病が示しているように、問題が無かったわけではない。何百人という人が命を失い、そして一生障害者として生きることになった。既に国家は国民を守ってはいなかった。公害病の被害者たちが自ら何年もかけて戦い、汚染と病の因果関係を否定する国家の態度に終止符を打たせたのだ。

チッソ工場が地域に繁栄をもたらすと信じた水俣の住民たちのように、多くの日本人は学校の教科書すら褒めそやす科学技術に過剰な信頼を抱いていた、と言う事実に気づきつつある。


国家による原発反対者への抑圧、そして福島へ

国民は、政府が危険な道具を制御するための器具を持ち合わせていなかった事実を発見した。原子力産業の監視を行う最高機関が原子力の推進を受け持つ経済産業省の指示下に置かれている。そして経済産業省は各地域で電気会社が市場を独占し、自らの決まりを人々に強制するのを許してきた。1990年代の終わりに現状を変えようとした幾人かの経産省官僚たちは政治家たちに道を塞がれ、その試みは揉み消された。

加えて国家は、地方自治体に対し湯水のごとき補助金によって原子力発電所の建設を受け入れるよう説得した。全ての住民が賛成だった訳ではない。1973年以来、原発反対者達は電力会社に対し地震や津波の危険性を過小評価しているとして裁判を起こして来た。これらの原発反対者達は、常に裁判に負けた。そして、彼等の議論はメディアからも黙視された。近所の住民達から村八分にされ、仕事先から監視され、人々は頭を押さえつけられた。

広島と長崎への原爆投下から66年が経ち、日本は再び原子力の被害者となった。しかし今回は、自らに惨事への責任がある。そして今年、1965年に結成され日本における反原子力運動の中で最も重要な組織である「原水爆禁止日本国民会議」(原水禁)は、「ノーモア広島、ノーモア長崎!」のスローガンに「ノーモア福島!」を加えた。

日本は過去に復興の力を証明した。今回も同じく復興をとげることだろう。しかし今回は、国家と国民の間にある社会契約関係が損なわれている。

(Philippe Pons, « D’Hiroshima à Fukushima, la tragédie du nucléaire », Le Monde, 2011.08.06)

国は私達を守ってくれるのか?「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く(その1)」ルモンド紙(8月6日)

日本に数十年の滞在歴を持つルモンド紙日本特派員のフィリップ・ポンス記者。東北大地震発生後、迷わず気仙沼へ向かい、破壊された農村・漁村の姿をフランスと世界に書き送りました。福島原発事故発生直後、「東電さん」に裏切られた年老いた漁民達が夜の居酒屋で交わす東北弁のしみじみとした会話がフランス語で綴られ発信されているのを目にした時、改めてポンス記者が日本に寄せる深い愛情と日本語への造詣の深さを感じたものでした。

広島への原爆投下記念日である8月6日、ポンス記者の「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く」という記事が掲載されました。少し遅くなりましたが、夏の終わりが近づくこの時期に、記事を御紹介したいと思います(小見出しは訳者によるものです)。

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「広島から福島へ 原子力の悲劇は続く」

被爆国家から被曝国家へ

広島と長崎に原子爆弾が投下された1945年8月6日と8月9日という日付は、今も日本人の記憶につきまとう。そして2011年3月11日は、日本の歴史を新たに区切るもう一つの重要な日となった。この日起きた地震、そしてこれに続いた津波は、福島原発をも道連れにした。1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故以来の最も悲惨な原発惨事は、こうして起きたのである。

何百、何千もの人々が一瞬のうちに原爆で被爆し亡くなった日本、破壊され尽くした敗戦国であったかつての日本と、(今日の)生涯ずっと(放射線障害に)苦しめ続けるであろう(福島の)人々、そして今後必ず深刻な放射線被害が起きるであろうと漠然と予想されつつも今のところはその被害が一部の地域にとどまっている(福島)原発事故の間には、確かに大きな違いがある。

それでもやはり、今年、原爆の生存者たちが亡くなった被爆者たちのための慰霊式典で行った証言は、鋭い調子を帯びていた。

骨の髄から原子力の火が持つ恐ろしさを知る人々が作る国が、なぜこれほどまでに原子力の危険に注意を払わずにいられたのか?(福島原発事故によって)ヨウ素131の威力にさらされた国においては、なおさらのことだ。


崩れる国家「エリート」への信頼

新たな事実の暴露から、原発ロビーにより長い間排除され、メディアによって無視されて続けて来た専門家の意見に至るまで、一連の証言の数々を聞くにつれ、日本人は日々少しずつ、その深刻さが明らかになりつつあるこの惨事の背景を理解し始めている。日本人は、自国のエリート達が原発のリスクを最小限に見せかけて行っていた罪深い「ばくち」のことを認識しつつある。

福島原発の事業責任者である東京電力の腐敗や、原発に賛成か反対か、という問題以前により重要なのは、国民を守ることをしなかった国家の問題であり、国民を代表していながら国民を放射能から守るという当然の期待を裏切った国会議員における問題である。国家は国会議員同様、国民が危険を知らされる権利を無視し、無視したのでなければそうした権利を剥奪した。

福島原発事故発生から5ヶ月が経っても、今だに事故を起こした原発が制御されたというには程遠い状況にある。こうした状況で、人々は事故の予防に向けた準備の不足、事実の隠蔽、書類の改ざん、嘘、そして世論の操作、といったものが中で全て混ぜこぜになった大惨事の責任者を探している。

「チェルノブイリ程ではないけれど、誰も責任を認めない。」

ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎は言う。どうして責任を認めようか。怠慢な体制は、政府、電力会社、原発製造メーカー、「専門家」たちの「安全です」という声を伝達する巨大メディアたち―いわゆる「原発ムラ」―が共謀し作り出す混沌の中で溶解する。

(その2に続く)

(Philippe Pons, « D’Hiroshima à Fukushima, la tragédie du nucléaire », Le Monde, 2011.08.06)

「チェルノブイリ原発事故の被災国・ウクライナ、福島へ放射線測定器等を寄贈」東京新聞・岩手日報(8月19日)

フランス語の記事ではありませんが、興味深い記事だと思いましたので一部をご紹介します。

「東日本大震災から5ヵ月が経過した今も世界各国からの支援が続いている。外務省によると、18日現在、124の国・地域、国際機関が支援を実施し、寄付金は計174億円に上っている。(略)

旧ソ連時代の1986年にチェルノブイリ原発事故が起きたウクライナのクリニチ駐日大使は9日、福島県庁内にある政府の原子力災害現地対策本部などを訪れ、自国製の個人線量計やサーベイメーター、防護マスク各1000個を寄贈した。(略)」

出典:
東京新聞 8月19日「震災義援金 海外から174億円」
岩手日報 8月19日朝刊「大震災から5ヵ月経過 各国支援今も続く」

参考:
外務省発表 各国による物的支援と寄付金一覧(8月17日付)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/saigai/pdfs/bussisien.pdf

2011年8月20日 (土)

「英国発、余震が続く六ヶ所村へ向かう30トンの核廃棄物」ルモンド紙(8月20日)

819日(金)、マグニチュード6.8の地震が福島一帯を襲った。東京電力によれば、福島第一原発の作業員達は一時的に同発電所から避難したものの、大きな被害は無かった。311日の大地震で既に大きな被害を受けた東北地方はこの日、パニックに陥った。福島第一原発の南250キロの地点に位置する東京でも、建物が揺れるなどの被害があった。

こうした中、「パシフィック・グレーブ号」に積まれた30トン以上もの放射性廃棄物(注)が、英国を出発し日本列島を目指して航行中である。日本への到着は9月初旬を予定しており、福島から北方400キロの地点にある六ヶ所村に保管されることになっている。頻発する余震は、こうした放射性廃棄物の来航を前に原発の安全性についての議論が日本国内で急遽再び沸き上がる可能性を示唆している。

六ヶ所村における放射性廃棄物の保管については、多くの不安が残されている。

六ヶ所村の核廃棄物・再処理工場は最大3000トンの放射性廃棄物を保管することができるが、既に2,837トンの廃棄物が持ち込まれており、同村の容量は既にほぼ飽和状態にある。

別の心配もある。六ヶ所村の核廃棄物・再処理工場は、最大マグニチュード8.3の地震に耐えられるよう設計されている。しかしマグニチュード9以上を記録した311日レベルの地震が起きた場合には、施設は耐えることができるのだろうか。六ヶ所村は活断層の至近距離に位置していることから、グリーンピースを初めとする環境団体は、安全を強調する「動力炉・核燃料開発事業団」(通称「動燃」。六ヶ所村再処理工場を経営。)の見解に疑いを持っている。

六ヶ所村に非常に高い放射線を発する核廃棄物が保管されていることを考慮すると、事故が起きた際には、先の福島第一原発事故の場合よりずっと深刻な結果を招くことが予想されている。

尚、福島原発の近隣に住む子どもたちのうち半数の甲状腺から、放射性物質が検出された。日本政府は、基準を上回る量の被曝を受けた子どもは一人もいない、としている。

(以上、要約です)

(注) 

先に日本がイギリスに再処理を委託していた放射線廃棄物を指す。一部についてはイギリスで再処理がなされておりMox燃料としての再利用が可能だが、残りは高度の放射線を発する放射性廃棄物のままで返還されており、六ヶ所村の地中深くに保管されることになっている。

(Philippe Pons, « Le Japon s’interroge sur le scénario de Fukushima », Le Monde, 2011.08.20)

2011年8月19日 (金)

原発礼賛の論理を読み解く:「環境活動家」(?)ジョージ・モンビオは、科学データを読むのをやめたのか?(その2)/ガーディアン&クーリエ・アンテルナショナル(7月28日)

「その1」掲載から少し時間がたってしまいましたが、福島原発事故の後に原発礼賛派に転向した英ガーディアン紙の環境コラムニスト、ジョージ・モンビオによる記事の続きをお送りします。

 

環境分野に詳しい原発礼賛派の活動家がどのような論理で原発擁護を語るのかを知ることは、「御用学者」対策同様に私たちが情報を見分け自らを守るための参考になるでしょう。モンビオによる議論の特徴は、地球温暖化や環境に関する部分的に正しい情報や政府・電力会社批判とともに、原発推進を正当化する非科学的な情報が混ぜて提示され、原発推進に信憑性があるような印象を与える点です。

 

少し復習しておきましょう。

前回取り上げたモンビオの主張の要点(と対応する現状)は、以下のとおりでした。

(「その1」はこちらhttp://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/08/1728-94b4.html

 

 電力業界は政府と癒着することによって原発を安全と見せかけ、適切な安全対策を怠っている。福島原発事故でも明らかになった通り、これが原因で事故が発生する。しかしこのような癒着・腐敗は自然エネルギーや火力・水力発電においても同じことである。

 

(現状:原発推進ロビーの巨大な政治力、財力、ネットワークは日本・フランスでもよく知られている。太陽光や風力発電についての状況は同じではない。安全対策を怠ることによる被害も、原子力は他の発電方法と比較できない程深刻である。)

 

 原子力の技術は日々進化しており、現在の技術は安全である。福島第一原発は1970年代に作られた古い原子炉だったために故障したが、1980年代に作られた福島第二原発については停止・冷却とも問題無かった。従って、原発は安全である。

 

(現状:福島第二原発は過去にも深刻なパイプ破損事故を起こしており、震災の際も原子炉をすぐに停止させることができなかった。モンビオの記事は、事実に反している。)

 

 国際原子力機関(IAEA)によれば、福島原発事故による健康被害は現在のところ確認されていない。

 

(現状:福島原発事故以来、子どもの甲状腺被曝を初め多数の急性被曝症状が公的機関によって確認されている。チェルノブイリ事故の教訓から、今後は癌を初めとする多数の晩発性症状の発生が見込まれる。)

 

それでは続きをどうぞ。

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国際原子力機関(IAEA)によれば、福島第一原発で起きた原子炉の溶解による健康への影響は、一切無いらしい。今回の事故は人びとの心に傷を残し混乱を招くものであったにせよ、事故の発生以来放出された放射能にさらされた人たちについては、「今のところいかなる健康被害も確認されていない」(IAEAによる報告書を引用)。

 

この状況を毎年10万人もの死者を出している石炭による火力発電が引き起こす環境汚染と比較すれば、あなたは原発がスケープゴートにされていることに気づくだろう。更には、原発の安全性を気候変動による被害や死者数にも比較してみてほしい。私たちが原発に対して示す反応が、気ちがいじみているさえ言えるくらいオーバーなものであることが分かるだろう。

 

原発を選ぶか否かの選択の結果は、単純だ。ドイツは原子力を一切やめると決めたが、これは4000万トンもの二酸化炭素を毎年排出することを意味する。この6月、アンゲラ・メルケル首相は今後10年間で石炭とガスによる火力発電所の発電可能量を倍増させるべく発電所の建設を行うと宣言したのだ。現状での発電量が下がるのを補うために、ドイツはすでに最もひどい汚染をひきおこすとされる褐炭燃料を使用している。

 

原発の問題について、原発に反対する者たちは4つの議論を展開している。まず第一に、「電力の使用量を減らさなければならない」というものだ。これはどんな科学技術が可能になろうとも必要なことだ。しかしたとえ世界の電力需要が大きく減少したとしても、交通機関や暖房機器から放出される二酸化炭素の削減は、電力供給の増加なしにはあり得ない。イギリスでは代替技術研究所(Centre for Alternative Technology)が、我が国の二酸化炭素の排出量削減を目指し2030年までに電力使用量を55%削減する、というとても楽観的なプロジェクトを行っている。しかし、同センターは同じ期間中に電力への需要が倍増することを見込んでいるのである。

 

反原発を唱える関係者が挙げる第二の議論は、新しい原発を建設するのは10年から15年の歳月を要し、これは長過ぎる、というものだ。しかし再生可能エネルギーのための事業を立ち上げるのにだって、10年から15年の歳月が必要になるはずだ。

 

3つ目の議論は、ウランの貯蔵庫が空っぽにな(り原発の燃料が不足す)るかもしれない、というものだ。その通りだ。我が国の気候変動委員会ですら、ウラン鉱山の埋蔵量は50年で底をつくと予想している。しかし私たちはその前に、今ある原発から出される放射性廃棄物で稼働する原発の利用を含めた「第四世代の原子力技術」へと移行しなければならない(注:現状では、核廃棄物の再利用によるMox燃料を用いた原子力発電は世界で多くの技術的問題を証明している。我が国の「もんじゅ」高速増殖炉がその一例である)。

 

原発反対の議論で挙げられる4つ目の理由は、核廃棄物を安全に処理することができない、というものだ。たとえ核廃棄物を貴重な燃料として利用するという考えを脇に置いて、廃棄物を捨てたいという考えから出発するとしても、核分裂性物質を地下に埋めることが危険だという考えは、支離滅裂だ。そもそも、核分裂性物質は地下の土の中から来たんじゃなかったっけ?なぜ鉛の箱に閉じ込めコンクリートにはめ込んだウランを、さらにその上からコンクリートで覆った形で地下何千メートルの場所に埋めるのが危険なのだろう?自然界では地球のあちこちの表面に近い部分にウランが埋まっているというのに?将来そんな奥まったところに埋められた廃棄物を取り出す技術が開発されて、核廃棄物の有毒性に気づかぬまま取り出ししまう、なんてことが起きるとでも言うのだろうか?

 

これらの議論は全て、電力業界が情報を操作し政府と共謀したことで醸成された不信感から来るものだ。しかし、電力業界の陰謀を批判しながらも原子力を支持することは可能だ。新しい原発の建設はこれまでにない監視と透明性を確保した形で実施されなければならない(注:福島第二原発での事故は、作業員が警報を無視したために大事故につながった。原子力の危険性は、「監視と透明性の確保」で解決するレベルのものだろうか。)―他のどんな電力源による発電の場合と同じように。大きな電力業界に権力を任せておけだって?ノーサンキュー。

 

(George Monbiot, « Les antinucléaires se trompent ! » Courrier international n°1082, 2011.07.28)

2011年8月15日 (月)

「小出裕章著『原発のウソ』が売り上げ25万部を記録―政治家、官僚、専門家、メディアへの日本人の怒りは収まらない」ルモンド紙(8月14日)

福島原発事故の勃発から既に5ヶ月が経過し、私たちの生活は徐々に日常を取り戻しつつあるように見える。福島県その他の被災地を除いては、表面上は以前の通常の暮らしが戻りつつある―役所や企業の電灯が以前より減り、空調の温度が上がっていること以外は、特に変わりない。

しかしこうした印象は、人びとが居酒屋で友人たちや原発事故の被災者たちと交わす会話とは全く相容れない。ブログや動画には人びとの怒りが溢れている。多くは、「裏切られた」と感じている。そして彼等の怒りは、エリート層―政治家、官僚、専門家、メディア―に向いている。原発事故の背後にある共謀、陰謀、操作、工作。こうしたテーマについて、150冊以上の書籍がアマゾンのサイトに並んでいることすらも、人びとのこうした気持ちを代弁している。

最も売れているベストセラーの一つは、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教による『原発のウソ』。既に25万部が完売した。著者は以前より地震国家日本で原発事故が起きる可能性をとなえて警告を発し、原発を抱える地域の住民たちが起こした訴訟のために証言を続けて来た。しかし以前出版した著作の売り上げは数千冊にとどまり、福島での原発事故以前は、その発言に耳を傾ける者は全くいなかった。

その他によく売れているのは、佐藤栄佐久元福島県知事による『福島原発の真実』。東京電力に対し正面から反対を唱えている。原発建設にかかわる技術者として働いた菊池洋一による『原発をつくった私が、原発に反対する理由』も良く読まれている。

まだ萌芽期にある原発事故の被災者による運動は、人びとに耳を傾けてもらうのにまだ苦労を重ねている。しかし今回の大惨事をきっかけに、被災者、ボランティア、そして未来について心配する人びとが、これまで日本に存在して来なかった民主主義の新たな結集と運動を体現しようとしている。この怒りの声は方々に響いている―しかし、まだ政治的な声としての形には落ち着いていない。

(要約、一部編集)
(Philippe Pons, « Après Fukushima, la colère rentrée des Japonais se lit dans les succès de librairie » Le Monde, 2011.08.14)

2011年8月14日 (日)

「なぜあの子どもたちが、まだそんな学校に残っているのかが分からないんだ。」ジャン=ポール・ジョー監督が福島原発事故について取材/ネオン・マガジン(6月25日)

(来週以降に掲載予定でしたが、映画についての話題、ということでお盆休みに合わせ繰り上げてご紹介します。)

福島原発事故は、その発生から5ヶ月たった今も収拾に向かっていない。事故が引き起こした重度の放射能汚染によって生活の場を失った農民、漁民たちへの補償は遅々としたままで、人びとの不安は高まるばかりだ。

日本に足を踏み入れることを躊躇する外国人がいまだ多い中(注)、福島で苦悩する農民の状況や山口県祝島で原発建設反対運動に取り組む漁民たちに取材し、新作映画の撮影を行ったフランス人のジャン=ポール・ジョー監督へのインタビューの一部をご紹介します。

前作「未来の食卓」、現在公開中の「セヴァンの地球のなおしかた」では大量の農薬使用が農民や消費者たちに引き起こす白血病などの健康問題と、昔ながらの有機農法に戻ることで自らの土地を守ろうとする農民や小さな村の取り組みをとりあげたジョー監督。常に、地に生きる農民の視点、自然を見つめる子どもの視点に焦点をあてて来ました。今回の取材では正面から「反原発」を表明して撮影にのぞみ、一部の取材相手先からキャンセルを受けるなど、決して平坦な道ではなかったとのこと。2012年に公開予定の新作の出来にも期待しましょう。

(現在、鎌仲ひとみ監督による「ミツバチの羽音と地球の回転」、「100000後の安全」など、原子力について取材した映画が多数公開中です。ご興味ある方は、お盆休みの機会に涼みがてら出かけられても良いかもしれません。参考:渋谷「アップリンク」の8月のスケジュールhttp://www.uplink.co.jp/schedule/ )

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「ご自分の自己紹介をお願いします。」
「(略)今回は日本に長く滞在しました。福島を訪問したからです。なぜ福島へ行ったのか、というと(今回の原発事故は)地球規模での大惨事だったからです。もちろん、日本にとって本当に深刻な大事故でした。でも世界中にとっての大事故でもあったのです。環境を守るために行動する人間として(…)福島に根を張る『怪物』がしたことをこの目で見て映画に残す必要があったのです。」

「『怪物』に近づくことができたのですか?」
「残念ながら、原発そのものには近づけませんでした。でも、『怪物』が引き起こした惨憺たる結果には、事故の被害を受けた人びとに会うことで触れることができました。あらゆる多様な生物たちをかかえる農地が、何世代にもわたって被曝し、日本という国から切り離されたのです。」

「被曝の影響に触れられたのですか?」
「捨てられた村々、人びとがいなくなって打ち捨てられた農地。。でも、常に何らかの命が宿っていました。そうそう、子どもが全然いませんでした! 学校の校舎に閉じ込められた子ども以外はね。地表から1メートルの所でも、これ以上は上がらないというくらい目一杯高い放射線量なので、外に出るのを禁止されているのです。ところで、なぜあの子どもたちがまだそんな学校にいるのかが分からないんだけど! 子どもたちは身長が1メートルとか1メートル20センチとかで。。 

まあ、そんなことがことが分かりました。この怪物がやったことが分かったんです。僕が『原発』というかわりに『怪物』っていう言葉を使うのは、福島のある農民がそんな風に言っていたからです。その農民はこんな風に言っていました。

『福島に、怪物を作っちまったんだ。怪物を怒らしちまった。それで俺たち、この怪物の怒りをどうやって静めていいか分からないんだ。』

どんな国も科学者も、この種の『怪物』の怒りを静める方法なんて知りません。」

「たくさんのアーチストたちが福島原発事故を理由に日本への渡航を取りやめています。あなたは福島へ行くことに迷いはなかったんですか?」
「もちろん、迷ったよ! そりゃあ。。人間誰でも迷うよ。だいたい、フランスじゃ僕たち地震に慣れていない。地震を想像して直感的に『嫌だ!』って言っちゃうさ。それから、放射能で被曝するのにだって躊躇する。僕は僕の妻(映画監督)と一緒に被曝しました。僕らは一緒に放射能を浴びました。でも、こんな化け物みたいな醜いものについて語るんだったら、そこへ行かなくちゃ!

一瞬迷いはするけど、戦いたいのなら、行動しようと思うなら、『セヴァンの地球のなおしかた』でも『言ったことには行動が伴わなければ!』って(12歳の少女セヴァンが)言っているけど、やらなきゃいけないと思うんだ。」


(注)フランス政府は4月以降、対外的には自国民の渡航制限を行っていないが、福島での事故発生後に近隣の中国へすら旅行をとりやめたフランス人は多かった。パリの日本食レストランは今も「日本の食材は一切使っておりません」「中国と地元の食材を使っています」などの張り紙をして遠のいた客足が戻るのを待っている。

ネオンマガジンによる記事(仏語)
(Cedric, « Jean-Paul Jaud, la terre et nous », Neon Magazin, 2011.06.25)
http://www.neonmag.com/2011/06/jean-paul-jaud-la-terre-et-nous/ 
http://www.neonmag.com/2011/06/jean-paul-jaud-la-terre-et-nous/2/

2011年8月12日 (金)

「仏ビュジェー原子力発電所で汚染瓦礫の持ち出しによる放射能汚染」ルモンド紙(8月10日)

フランス電力公社(EDF)は8月10日、ビュジェー地方(スイス国境に近いフランスの町。注を参照。)にある原子力発電所内に置かれていた放射能に汚染された瓦礫が誤って外部に搬出され、石切り場に放出されていた、という「プログレ」紙による報道を公式に認めた。EDFは、今回の事故による放射能汚染は健康に害の無い範囲の量であるとして、原発事故としてはINES尺度で0に相当する、としている。

(注)ビュジェー地方の位置(スイスのジュネーブ市から車で約1時間の距離にある田舎町。)
http://www.paysdubugey.fr/france/DT1232647690/page/Acces.html

(LeMonde.fr & AFP, « Des gravats radioactifs quittent par erreur la central nucléaire du Bugey », Le Monde, 2011.08.10)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/08/10/des-gravats-radioactifs-quittent-par-erreur-la-centrale-nucleaire-du-bugey_1558315_3244.html

2011年8月11日 (木)

フランスねこからのお知らせ (更新がすこ〜しスローダウンします)

いつもご愛読頂きありがとうございます。
現在仕事が少々忙しく、執筆に十分な時間を割くことが難しくなってきているため、更新のペースを少し遅くさせていただきます。ブログをご覧になってくださっている皆様には申し訳ありませんが、ご理解のほどよろしくお願い致します。

なお目安としまして、とりあえず毎週一回程度、更新させていただく予定です。
更新回数が少し減ってしまう分、良い記事を選んでご紹介したいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

フランスねこ

原発礼賛の論理を読み解く:「環境活動家」(?)ジョージ・モンビオは、科学データを読むのをやめたのか?(その1)/ガーディアン&クーリエ・アンテルナショナル(7月28日)

福島原発事故の後、他の複数の「環境活動家」たちと共に原発推進派に転向した英ガーディアン紙の環境コラムニスト、ジョージ・モンビオ(注1)。「福島原発事故の後で、私が原子力を愛するようになった訳」で原発礼賛宣言を行い、その転向ぶりで世界の環境関係者の注目を浴びた。以来、既に複数の環境専門家が、モンビオが記事で引用した科学データの解釈に関する多くの誤りを指摘している(注2)。

日本では長く「原発は(発電時に)二酸化炭素を出さないので、環境に優しい」との広告が使われて来た。福島原発事故の後、原発推進派はどのような論理を用いて生きのびようとしているのだろうか。そしてその論理に正当性はあるのだろうか。

環境問題を専門とするモンビオは、正しいデータに誤ったデータを混ぜて提示することで、原子力を正当化しようとしてみせる。原発反対派に受け入れられやすい政府批判、電力会社批判とともに、原発を擁護する。

モンビオの記事を、原発が抱える問題を指摘する他の科学者たちのデータや解釈と照らし合わせながら、確認してみよう。

(下記の訳は、英ガーディアン紙に掲載された記事の抜粋を『クーリエ・アンテルナショナル』が仏語で掲載したものに基づいています。この記事は、原発のコストを指摘する広瀬隆による「週刊朝日」の記事等と共に、原発推進派の意見として掲載されました。)

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「原子力発電を行う企業は政府と癒着している。でもそれは火力/水力発電、代替エネルギーによる発電でも同じこと」

権力は腐敗している。そして原子力発電は権力の腐敗そのものだ。そもそも、原子力セクターとは核開発研究の副産物として発展したのである。核の軍事利用と民間利用の二つがこれまで無理やり分けられてきた一方で、世界のあちこちにいる原子力関係者たちは、政府との親密な関係、という最も大きな秘密を隠し、説明を拒否した上で維持し続けている。

こうした訳で、イギリス政府が福島での大惨事の影響を最小限に見せるために、企業と共謀していたことが、6月の末にガーディアン紙の手で明るみになったのである。民間企業を所管するイギリス政府の官庁によれば、事故への対応に関連する大臣たちへの公式の要旨説明や大臣たちが行う宣言の内容にすら、電力会社が作成した分析が使用されていたという。

まさに、この種の政府と企業の間の共謀関係があるために、事故が起きる。国際原子力機関(IAEA)による最新の報告書によれば、福島原子力発電所を運営していた東京電力という会社は、津波の脅威を過少評価し、いくつもの故障が起きることを十分に予想していなかった、という(注3)。一時的な法規制では怠慢を防ぐことはできなかったのである。世界中で、原子力発電を行う電力会社は、腐敗と「いんちき」にまみれた「ろくでなし集団」として批判を浴びてきた。

こうした観点からは、原子力発電を行う電力会社というのは残り電力セクターから明確に区別される。原子力にかかわらない残りの電力セクター関係者にしても、原子力企業よりましだということはない。彼等の唯一の関心ごとは、ちょっとした幸せを広めること、といった次第だ ― 石炭、石油、ガス、原子力、風力、太陽光、といった、電力会社にとっての全ての投資先組織は、政治家たちをあやつり、監視機関に圧力をかけ、世論を丸め込むのである(注4)。これら企業が持つ過度の権力は、多くの被害をひきおこしている。原子力に対する損害は、その一つだ。しかしながら、原子力を支持する議論は手堅い。


「福島原発事故が証明した『最も安全な科学技術』原子力」

安全性についての話から始めよう。原子力発電所の安全性と耐久力は、福島原発事故で一目瞭然となった。メルトダウンや爆発が起きた福島第一原発の方ではない。その隣にある第二原発(注5)のことである。「福島第二原発」なんて、一度も聞いたことがない、だって?説明しよう。こちらの原発も「福島第一」と同様、怠慢な会社が運営している。同じ地震、同じ津波に遭った。でもこちらは良好に維持されている。大波に襲われた他の全ての原発同様、「福島第二」は自動的に停止され冷却された(注6)。核ミサイルによる攻撃と同様、想定される全てのテストの中で最も厳しいテストに耐えたのである。

「福島第一」と「福島第二」の違いは、1970年代に作られた安全装置と1980年代に作られた装置の違いを如実に表している。「福島第一」の最も古い原子炉は、1971年に稼働を始めた。「福島第二」の原子炉は1982年である。そして現在の科学技術は「福島第二」に使われているもの以上に安全だ。21世紀に作られた原発を非難するために40年前に建設された原発の問題を糾弾するのは、現代の飛行機による交通システムを批判するのに、「ヒンデンブルクの悲劇」(35人の死者を出した1937年の旧式飛行機事故)の事例を用いるようなものだ(注7)。

ところで、国際原子力機関(IAEA)によれば、福島第一原発で起きた原子炉のメルトダウンは健康への影響は一切無いということだ(注8)。今回の事故は心に傷を残し混乱を招くものであったにせよ、事故の発生以来放出された「放射能にさらされた人たちについては今のところいかなる健康被害も確認されていない」と記載されている。

(その2に続く)


(注1)ジョージ・モンビオ「私が福島原発事故の後で原子力を愛するようになった訳」ガーディアン紙 3月21日(英文)
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/mar/21/pro-nuclear-japan-fukushima


(注2)「ジョージは原発ロビーに迎合するために、科学データを読むのをやめたらしい」環境専門家のポール・モブスがジョージ・モンビオによる原発記事で使用されている科学データの誤りを詳細に指摘(英文)。
http://www.energybulletin.net/stories/2011-03-31/new-report-picks-apart-george-monbiots-support-nuclear-power-and-finds-factual-an


(注3)IAEAによる報告書は、東京電力の主張に沿って「想定外の地震や津波の被害を受けて福島原発事故が起きた」、との点を強調する内容となっており、全電源喪失の原因となった設備の不備や、原発の管理体制、そして後に述べられる放射能による健康への影響については指摘がなされていない。IAEAと同時期に日本で調査を行い報告書を出したフランスの独立研究所CRIIRADによる分析とは対照的な内容となっている(CRIIRADによる報告書については「注8」を参照)。

IAEAによる報告書(和訳、東京茶とら猫さん訳、ex-skfさん掲載。)
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/06/iaea.html 

<参考>フランスねこ 報告書の一部解説
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/iaea52461617-e6.html


(注4)日本を含む世界各国で強い政治的影響力を誇る原発ロビーの力は広く知られている。少数の独占電力企業が、原発以外の電力源の開発を後回しにして原発を推進する現状では、「風力ロビー」、「太陽光ロビー」などが原発ロビーと同等の影響力で存在している、とは言いがたい。同じ企業が、一方で原発を推進しながら他方で太陽光のロビーとして動くということは考えにくいからである。


(注5)震災前に福島第二原発で発生していた事故

・1989年1月、3号機の原子炉の心臓部にあたる再循環ポンプの内部で異常が起き、異常振動の警報が発せられたにもかかわらず、運転員が警報を無視したためにポンプの内側が大破した。大破の際にポンプの羽根の破片やケースが削られたことによる金属片・金属粉が大量に炉心に入り、その一部はほとんど回収不能となった。ポンプの破損が外側に及んでいたら、一時冷却水が漏れだし空焚き事故やメルトダウンにつながる危険もあった。その後、発電所は長期にわたって停止されるに至った。

・2008年1月、3・4号廃棄物処理建屋(RW/B)の海水ポンプA(以後RWSWポンプ)の吸い込み側配管及び電動機と羽根車をつなぐシャフトが折損するトラブルが発生。これを受け3号RWSWポンプBを緊急点検、東京電力、東電環境、東電工業等が点検を実施する事となった。

・2008年2月、サイドバンカーにて2号の使用済み核燃料を積載したキャスクをクレーンで吊り上げ作業中にクレーンがトリップするという事象が起きた。
(ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/福島第二原子力発電所、高木仁三郎「食卓にあがった放射能」p107-108)


(注6)東日本大震災発生時の福島第二原発における事故対応(朝日新聞、8月10日)

「東京電力は(8月)10日、東日本大震災で被災した福島第二原発(福島県楢葉町、富岡町)の事故直後の対応状況を発表した。福島第一原発のような炉心溶融や爆発は避けられたものの、冷却装置が津波で損傷し、水温が100度以下で安定する冷温停止になるまで最も遅かった4号機で4日近くかかった。」「津波による故障で3号機以外は海水ポンプを使った冷却ができなくなり、地震や津波で外部電源や非常用ディーゼル発電機も一部失われた。」
http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY201108100522.html


(注7)事故が起きた福島第一原発の第一号機(米ゼネラル・エレクトロニック社製)と同型・同年代の原子炉はアメリカでも広く使用され、現在も稼働している。チェルノブイリ事故の原因となった第四号機と同型の原子炉についても、いまだロシア国内で広く稼働している。従って、古い科学技術が今は使用されていない過去のものだと言うことは難しい。

また、最新式の「第三世代原子炉」と目されるフランスの「欧州加圧水型軽水炉(EPR)」についても、電源喪失の可能性があることが指摘されている。
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/epr725-7cc1.html

EPRを設置予定の「夢の原発」フラマンビル原発竣工に関連した問題の数々
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/15722-f523.html


(注8)IAEAと同時期に日本および福島で福島原発事故について調査を行ったCRIIRADは、事故が与える健康への影響について強く警告している。

CRIIRADによる報告書(パート1〜3)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad20115246.html 
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad201152-1.html
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad201152-2.html 


(George Monbiot, « Les antinucléaires se trompent ! » Courrier international n°1082, 2011.07.28)

2011年8月 6日 (土)

「線量計は子どもたちを守りません。世界で初めて線量計をつけて通学する福島の子どもたち、そして責任ある日本の大人たちへ」アレックス(6月15日)

在日歴10年の普通の(?)フランス人、アレックスが、東京から世界と日本の大人たちに向けて発信した手作りニュース。胸に響くものを感じたのでご紹介します。

http://www.youtube.com/watch?v=uMFk0g5H0QY (Youtubeの動画です)

7月15日に広瀬隆さんが政府と東京電力の関係者を刑事告発した件も、東大の先端科学技術研究センター・アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が行った除染と食品汚染への対応に関する国会への抗議表明も、8月3日に福島の農民たちが汚染された麦わらと牛たちを引き連れて行った東電本社前でのデモも。

私たちが長く信頼してきた大手メディアは全く、もしくはほとんど報道を行っていません。そして、脱原発を叫んだ若いアーチストたちが仕事を失っています。

私たちが愛するこの国では、思ったことを自由に言うことすら難しくなってしまったのでしょうか。

アレックスの答えは、自分でニュースを作って発信することでした。日本が大好きな彼の手作りニュースが生まれたのも、そしてふとどき者に何度もネット上から消された後、こうやって誰かの手で残されているのもまた、今の状況の賜物なのでしょう。

たまにはこんな応援を聞いて元気になりましょう。

2011年8月 4日 (木)

「100ミリシーベルト以下は安全」、給食による汚染タケノコや椎茸の強要。広瀬隆氏ら、高木文部科学省大臣、山下教授、東電幹部らを刑事告発/自由報道協会(7月15日)

こちらも重要な報道ですので、日本語ですが掲載します。

http://www.youtube.com/watch?v=b_mddLgBU38

「国会は福島の子どもたちを守れ」なぜ政府は土壌と食品の放射能汚染を最新機器で計測し除染しないのか?/児玉龍彦(7月27日)

南相馬市で除染に取り組む、東京大学アイソトープ総合研究所の児玉龍彦所長による衆議院厚生労働委員会への証言。既にご覧になった方も多いかと思いますが(それに仏語ではなく日本語なのですが)重要な動画ですので改めて御紹介します。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=DcDs4woeplI

2011年8月 3日 (水)

「5月14日、福島原発における請負作業員の死がドイツ人に与えた衝撃/Jungle World &クーリエ・アンテルナショナル(7月28日)

5月14日に亡くなった一人の原発作業員のことを覚えているだろうか。機材運搬中に倒れ意識不明のまま死亡した60代の作業員男性の死は、国内では「被曝が原因ではなかった」との報道とともに忘れられようとしている。しかし福島原発で亡くなった最初の作業員が厳しい労働環境におかれる「請負労働者」であった事実は、日本の外に大きな波紋を広げた。

現在、フランスの全原子力関係者が浴びる放射線量の80%を、出稼ぎの請負作業員が浴びている。それなのに、20年働いても給料は月15万4千円にしかならない(レートは8月3日現在)。原子炉の検査時期に合わせヨーロッパ中から集まる「原子力の流浪の民」の被曝量を規制する法律は無い。原子力発電所のまわりにキャンプを張り、どんどん短くなる「作業工程」の中で原子炉緊急停止用の制御棒までを取り替える。ドイツの週刊誌「ジャングル・ワールド」が描く「フランスやドイツにも存在する『福島原発』の実態」がここにある。(原文は独語、クーリエ・アンテルナショナルが仏訳し転載。)

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1. 原発で働く請負作業員の現状 〜福島からフランスへ〜

5月14日に福島原発で起きた請負作業員の死は(注1・注2)、ドイツ国内に論争を巻き起こした。私たちは突如として、これまでも大した秘密ですらなかった事実に気がついたのである―原子力発電所では、最も困難で最も危険な仕事を、ろくな給料も払われず、社会保障もほとんど受けられず、原発の停止時期に合わせて原発から原発へと渡り歩くしかない、そんな請負作業員たちにやらせている、という事実を、である。

これは、日本だけの問題ではない。たとえばフランスには3万人以上の「原子力の流浪民」がいる。エリザベス・フィロルは「発電所」という題名でこうした請負の原発作業員たちの話を集めた小説を福島原発事故の前に出版していた(Elisabeth Filhol, « La Centrale »)。

ドイツ人ジャーナリストのハンス・ヴォレーはフランスの原発で働く請負作業員の状況をドイツ国営放送のために取材した。それによると、燃料棒を入れ替えるため原子炉を停止させる度に、フランス中から何百人という請負作業員たちがやってきて、何週間もしくは何ヶ月もの間、原発の近くにキャンピングカーをとめてキャンプをする。もしくは自分の車の中で眠る者すらいるのである。

ハンス・ヴォレーによれば、彼等は年に4万から7万キロの距離を移動するが、月に手取りで1400ユーロ(約15万4千円)も稼ぐことはない。20年の経験があっても、である。これらの作業員たちは以前よりますます厳しいプレッシャーの中で働かされている。以前は燃料棒をとりかえるのに原子炉を2ヶ月停止させた。現在は同じ作業に原子炉を1ヶ月以上止めることはない。原発の流浪民は常に危険と背中合わせだ。労働法によって決められている「年間20ミリシーベルト」という被曝許容量の上限を超えないよう、びくびくせざるを得ない。この上限被曝量に達した作業員は、仕事を失うのである。


2. ドイツにも存在する「被曝を強制される最底辺労働者」

フランスでは、公営の大グループであるフランス電力公社(EDF)が原子力産業の運営を行っている。しかし、労働者が働く業務環境には何の良い影響も見られない。原発の維持管理のために原子炉を停止する期間中、最も危険な業務は請負作業員たちによってなされる。4月14日付けの「週刊フォーカス」が報じたところでは、国立健康・医療研究所(Inserm)はフランスにある原発で働く関係者全体が受ける放射線量の80%までを請負作業員たちが浴びていると述べている。2年前、請負作業員たちを正式雇用に切り替えるようEDFに求めるストライキがフランス原子力産業に対して起こされたが、むなしい結果に終わった。

ドイツの原発でも同じことが起きているのだろうか?

恐ろしいほどの類似点が存在する。原発で働く関係者のうち、その大多数を外部企業の雇用者が占めている。実際、6月6日にドイツ政府が発表したところでは、一時的に停止されているものを含む全国12基の原発と17基の原子炉において、24,346人の請負作業員が働いているが、これに対し正社員の数は5,298人にすぎない。こうした不安定な契約で雇われた「請負」たちが、燃料棒を取り替え、高い放射線区域で管を修理し、燃料棒保管用プールの洗浄を行っている。

シーメンス社によれば、非常時に原発を停止させるための制御棒の交換もまた、こうした非正規社員によってなされている。ドイツでも、原発を稼働させているのは基本的に低い賃金しか払われていない労働者たちなのである。

外部からやってくる作業員たちが作業を行うのは年一回、原発を止めて検査を行う時である。エーオン、アール・ヴェー・エー 、EnBW(全てヨーロッパ有数のドイツ電力企業)といった原発運営企業が専門技術を持つ労働者のみならず技術レベルの低い作業員についても集合の号令をかける。部品を製造したメーカーより派遣された技術者を除き、これらの労働者の大多数が人材派遣会社から送られてきている。フランス同様ドイツでも、原発の検査期間は過去数年間のうちにどんどん短縮されている。これには原発の停止期間を最小限にとどめ、コストを下げる狙いがある。

たとえばネックカルヴェストハイムにある原発ではこの5年のうちに検査に要する期間が33日から17日に短縮された。検査はますます形骸化しており、事故の危険を高めている。「週刊金曜日」によれば、ドイツでも被曝量の高い作業を請負に出している。1980年以来、一時雇用の作業員たちが浴びる放射線の量は増え続けており、原発がますます最底辺の労働者に危険な仕事をまかせていると推定せざるを得ない。こうした請負作業員たちは生活を維持するために何度も出稼ぎを重ねざるを得ない。しかし働けば働くほど、より多くの放射能にさらされるのである。


3. 「コスト削減」により減らされる正規雇用技術者、増え続ける非正規雇用労働者

こうした請負労働者たちは全ヨーロッパで働いている。おそらくは、ある国で被曝量の上限に至った労働者の一部は別の国で(被曝を隠して)働いていると思われる。ヨーロッパ全域における統一した放射線防御のための規則が存在しないために、原子力の流浪民たちは致死量の放射線を浴びる可能性もある。

2022年までに原子力発電をやめる、というドイツ政府の決定を受け、(ドイツ国内で現在)原子力にかかわっている企業群は、今後残された11年間のうちに最大限の利益を現在ある原発から引き出そうとするだろう。ヘンリック・パウリッツは原子力戦争を防ぐ医師協会(IPPNW)のドイツ支部に属しているが、こうした見方に同調している。6月7日付の雑誌「グリーンピース」に掲載されたインタビュー記事によれば、パウリッツは次のように述べている。

「経験ある人材は既に非正規雇用の作業員に取って代わられたようだ。方向性も無いままにどんどん強められてゆくコスト低減の圧力によって、こうした政策に歯止めがかからない。これはつまり、将来さらなる手抜かりが起きることを意味している。」

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注(1)「福島原発の作業員死亡 前日働き始めたばかり…体調不良訴え」
スポニチ、2011年5月14日

 東京電力は14日、福島第1原発の集中廃棄物処理施設で機材を運搬していた60代の男性作業員が体調不良を訴えて意識不明となり、病院に運ばれたが死亡したと発表した。けがなどはなく、死因や詳しい状況を調べている。事故の収束作業中に死者が出たのは初めて。男性は東電の協力企業の下請け作業員で、被ばく線量は0・17ミリシーベルト。放射性物質の付着はなかった。
 東電によると、男性は13日から原発で作業に従事。14日午前6時から別の1人と機材を運び、6時50分ごろ体調不良になった。7時すぎに敷地内の免震重要棟の医務室に運び込まれたが既に意識や呼吸はなく、救急車で福島県いわき市内の病院に搬送され、9時33分に死亡が確認された。別の1人に異常はない。

 
 男性は作業衣の上に防護服と全面マスク、手袋などを着用。防護服は水分補給やトイレに不便があるほか、ストレスを抱える人も多く、改善の必要性が指摘されている。

 東電の改善策は、レトルト食品が中心だった食事を弁当中心に変え、シャワーを設置して産業医を常駐させるなどの内容。第1、第2原発の作業員がベッドで寝泊まりできるプレハブの仮設寮の建設も決まっている。
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/05/14/kiji/K20110514000817580.html


注(2)「福島第一原発:東芝協力企業の作業員死亡 労災申請へ」毎日新聞、7月12日
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110712k0000m040148000c.html 

(Lutz Getzschmann, « Courageux « nomades de l’atome » », Jungle World, In Courrier International, n°1082, 2011.07.28 原題『勇気ある「原子力の漂流者たち」』)

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