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2011年9月

2011年9月30日 (金)

「食品の汚染に注意」在日フランス人向け公報・IRSN(9月22日)

フランス放射線防護原子力安全研究(IRSN)は9月22日、日本在住のフランス人向けに「福島第一原発事故に関する公報(7)」を発表しました。福島県をはじめとする4県(茨城、栃木、福島、宮城)周辺における放射能汚染への注意喚起については前回の公報(6月8日)の内容からは大きく変わっていませんが、今回は特に食品汚染の広がりに対する注意喚起が中心となっています。

尚、本公報はフランス政府が自国民あてに発表しているものではありますが、一般の目に触れることを意識し日本政府への外交的配慮のもとに作成されています。「日本政府による放射能汚染の基準」に多く言及しているのは、こうした配慮の表れと見ることができます。また、一部の食品については、本公報に記載されているものより高い汚染が既に公表されていますが、発表当時の原文そのままの訳とさせて頂きました。ご理解の上、お読みいただければと思います。

(以下、食品汚染および提言の部分を中心に要点のみまとめました。)

1. 食品汚染の状況

今日、放射能による汚染の可能性があるのは次の食品群である。

・ 放射性降下物が降った3月の時点で葉がついていた植物からなる食品類(例えば、茶、柚子、刺のある小低木になる果実類)、および事故当時に花が付いていた果実類(梅、桃、あんずなど)。

「刺のある小低木になる果実類」にはブルーベリー、ラズベリー、レモンなどが含まれます。参考写真はこちら
http://www.google.co.jp/search?q=arbuste+épineux&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=F7iFTrzzBoncmAXKyfUE&ved=0CB4QsAQ&biw=1259&bih=636


・ 汚染された土壌で育成された野菜類

・ 汚染された草や藁で育成された動物による食品(特に、牛乳および肉)


海産物については、海底に蓄積した放射性物質が海藻類や魚介類への汚染を引き起こしている。
8月1日以来、下記の食品についての汚染が報告されている。

・ 福島県において育成された、柚子・かりん・イチジクなどの果物

・ 千葉県および群馬県で生産された茶葉

・ ワカサギ、エイ、メバル、マコガレイなどの海の魚、および福島県にある真野川で取れた鮎などの川魚(注:「キュリウオ類」については「ワカサギ」に該当すると思われますので、記載を修正しました。本来は川魚ですが、間違って海魚に分類されているようです。フランスにはいない魚なのでしょうか。以下、同様です。)

・ 海藻、ウニ

・ 福島県の杉茸原木栽培によるナメコ、チチタケなどのキノコ類

・ 福島、宮城、岩手、栃木、秋田県産の牛肉、およびイノシシ肉


米については、福島県と茨城県産の米について低い濃度のセシウムによる汚染が見つかっている。

・ 福島県産の米については、現在に至るまで、福島第一原発から50〜100キロ地点にある田から収穫された米についての9件の検査しか行われていない。このため、福島県産の米の汚染度については判断することができない。

・ 日本政府は土壌におけるセシウムの汚染が1キロあたり5000ベクレル未満の場合にのみ稲作を認めている。国際的な文献によれば、このレベルの汚染がある土壌から籾(もみ)に移行するセシウムの最大値は理論上1キロあたり300ベクレルとされている。しかし、事故が起きた原子力発電所の近辺で栽培された籾に理論値以上の汚染度のものが現れる可能性は否定できない。

・ 米における放射能の汚染は主に籾殻(もみがら)に溜まる。従って、白米への精製の過程で汚染度はより低くなる。

・ 一般に、米は精製の過程で種々のものが混ぜられるため、汚染度の検査を受ける段階での白米は異なる田から収穫された米が混ざったものである可能性がある。このため、米全体の汚染度は下がる可能性がある。

・ 栗やその他の食品について、日本における食品の汚染基準に近いレベルでの汚染(1キロ当たり500ベクレル)が見つかっている。

・ 以前、基準値を超える汚染が見つかったタケノコや梅についての検査結果は発表されなくなっているが、生、乾燥、缶詰などの形で市場に出回る可能性がある。


2. 日本に住むフランス人一般への食品についての勧告

食品への放射能汚染は低下してきているが、福島第一原発における事故によって発生した放射性降下物の被害を強く受けた県においては、引き続き厳重な注意が必要である。IRSNは下記を勧告する。

・ 3月11日以降、基準値を超える放射能汚染が見つかっている県(福島、栃木、茨城、宮城、群馬、埼玉、東京、神奈川、千葉の各県)で生産された、柚子やイチジクなどの果物、およびキノコ類を避ける。もしくは、汚染度が基準値を超えないことが確認されている食品のみを摂取する。

・ 缶詰や乾燥食品などの保存食のうち、特に茶、タケノコ、梅を含む食品については、生産日が原発事故の発生前であることを確認する、もしくは出荷制限のかかっている地域外で生産されたものであることを確認してから摂取する。

・ 生産地や放射線濃度が分からない食品については、日常的な摂取を控える。

・ 穫れたばかりの生産物は市場に出たばかりで汚染値に関する検査が発表されていないことから、摂取をさけること。

・ 海産物については、特にイカナゴ、ワカサギ、エイ、メバル、マコガレイなどの海魚、および鮎、鮭などの川魚、海藻、その他の魚介類について、汚染度が基準値を超えていないことを確認する、もしくは西日本の海でとれたものであることを確認してから摂取すること。

・ 牛肉については、検査を経たもののみを摂取する。また、可能な限り生産者が全ての製品について検査を行っている質の高い肉を選ぶこと。


3. 放射性降下物の影響が最も高い地域(福島周辺の4県)に渡航する可能性のある者への勧告

・ IRSNは、宮城、茨城、栃木、そして特に福島県が福島原発事故による放射性降下物の深刻な被害を被ったと考えている。立ち入り禁止区域を除く福島、宮城、茨城、栃木については、業務上の渡航および重要な所用がある場合には、下記の注意事項を全て遵守することを条件に渡航することができる。しかし不要に放射能による被曝を受けることを避けるため、趣味や旅行などの重要な所用以外での渡航は控えること。

・ 日本政府が立ち入りを禁止している、福島原発から半径20キロメートルの地域、及び葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町、南相馬市等に立ち入らないこと。


4. 宮城、茨城、栃木、福島の4県に居住するフランス人への勧告事項

・ 汚染度に関する検査が実施されていない自宅の家庭菜園から収穫した野菜や、家庭で飼っている家畜動物を食用に用いるのを最大限に控える。

・ 土壌に触れた野菜や果物については、食べる前に注意してよく洗うこと。

外部から建物の内部に汚染物質を持ち込まないよう、家庭での衛生状態を良好に保つようつとめること。特に、下記に注意する。

・ 雨の日は靴を家の中に持ち込まない。

・ 濡れた雑巾で床を定期的に拭く。

・ 家具、カーペット、敷物の表面に定期的に掃除機をかける。掃除機の中袋を定期的に交換する。

・ 無意識に手が口に触れて汚染が起きないよう、ポンプ式容器に入った液体石けんで手を定期的に洗う。

・ 幼い子どもが遊んでいて戸外の土や砂を口にいれないよう、常に見張っていること。


IRSN「福島第一原発事故に関する公報(7)」 9月22日号(仏文)

http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN_Residents-Japon_Bulletin7_22092011.pdf

2011年9月26日 (月)

原発を止めるためのカーニバル「楽しさがあって初めて人は動く。10万人集まれば国も変わってくる。(その3)」毛利嘉孝/クーリエ・アンテルナショナル(9月15日)

前回に続き、「お祭り」デモについての毛利嘉孝教授へのインタビューその3をお届けします。

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──デモが国を変えることもあり得そうですか?

毛利 一日に10万人集まれば変わってくると思いますよ。基本的に政治家にしてもメディアにしても、世間の意見には一定限度を超えるとどこかで従わざるを得ないので。今回の原発は停まらないと本当にヤバいけれど、現実的にはすぐに停まるものではない。いったん停止した後も15年とか20年かけて徐々に処理するしかないものだから、やっぱり反原発というよりは、脱原発というのがコンセンサスになっていくと思います。それをどうやって主張するかっていうと、当面デモくらいしかない。ネットで呼び掛けて署名を10万集めても、それだけで何も変わらない。実際に外に人が出て具体的に姿を見せないと変わらないと思います。10万人集まる段階でも、メディアが世論調査をしたら脱原発派は5割を切るかもしれませんが、10万人が街中に集まったときのインパクトはすごい。さらに、本格的にミュージシャンなど影響力のある人が入ってくるとだいぶ変わると思いますよ。今の時代、1人のカリスマが出てくることは難しいと思いますが、マスにアピールできる人たちが何人か出てくれば。

――今、何かしたいけど何をしたらいいか分からないという人が多くいると思います。脱原発デモに参加したいという人が、自分に合ったデモを見つけるにはどうしたらいいのでしょうか?

毛利 ネットで情報を集めることもできるけど、やっぱりこういうのって人間関係なんですよ。行ったことがある人に聞くというのが一番ですね。明確な意見がなくても、実際に身体を動かして情報収集したり行動することには意味があると思いますよ。今はシュプレヒコールとかも無理に声を出さなくても構わないし、気軽に参加してみればいいんじゃないでしょうか。

──気軽に参加してみてもいい。

毛利 最初は不真面目でもいいんですよ。最終的にどこにデモの到達点があるかというと、結局みんな楽しく生きたいわけですよね。楽しい世界を獲得したいのに、そのために必要以上に苦労するというのはあり得ないですよ。もともとお祭りやカーニバルっていうのは、普段自由に意見を言えないような民衆が爆発するという政治的なものだし、ボトムアップの民主的な政治の現れでもあると思いますよ。


                                        (了)

●もうり・よしたか
1963年、長崎県生まれ。京都大学経済学部卒業。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにてPh.D(sociology)を取得。九州大学助教授などを経て、現在東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。専攻は社会学、文化研究。著書に『文化=政治――グローバリゼーション時代の空間叛乱』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、『ストリートの思想』(NHK出版)などがある。

<出典>
日刊サイゾー「『"お祭り"デモは社会を変えるか?』活発化する反原発・脱原発運動に見る現代デモ事情」http://www.cyzo.com/2011/04/post_7196.html

(Cyzo, « Un carnaval pour arrêter les centrales », Le Courrier international, n°1089, du 15 au 21 septembre 2011.p.36)

原発を止めるためのカーニバル「楽しさがあって初めて人は動く。10万人集まれば国も変わってくる。(その2)」毛利嘉孝/クーリエ・アンテルナショナル(9月15日)

前回に引き続き、「お祭り」デモについての毛利嘉孝教授へのインタビューその2をお届けします。

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──高円寺の話に戻りますが、ロックバンドやチンドン屋、パフォーマーの方も数多く参加していて、従来テレビなどで報道されてきた「デモ」とは違ったイメージを受け取った人も多かったようです。

毛利 昔はデモといえば左翼のもので、イデオロギー的な側面が強かった。社会党系や共産党系、労組をはじめ組織に属する人たちが中心だったんですよね。それが2003年の反イラク戦争デモくらいから、フリーター層を中心に作家やミュージシャンを巻き込んだ、組織に属さない形の今までとは違ったデモが形成されはじめ、世間の"デモアレルギー"のようなものは比較的少なくなってきていると感じます。

 今回の高円寺に関して言えば、あの街はやっぱりサブカルチャーなんですよね。ロックミュージシャンやライブハウス、飲み屋が多いし、ヒッピー文化も残っているから、ああいうデモになったと思うんです。高円寺が持つ独特のくさみというのは多くの人に受け入れられないものかもしれないけれど、逆にそこが魅力的だったりする。だからこそ1万5,000人もの人が集まったんだと思います。

──そうした雰囲気、「祝祭性」のようなものに対して、切実に原発を停めたいと思っている人や、反でも推進派でもない人の中には違和感を覚えた人も少なくなかったようです。

毛利 確かに、「もっと真面目にやれ」「代替エネルギーをどうするんだ」などの批判もありましたが、今回のデモを主宰した「素人の乱」の松本哉さんはそんなことは考えていない。彼はただ原発を停めたいだけでデモをやった。けれど、生真面目で知識がある人だけのものだった政治のすそ野を広げたということは、今回の高円寺デモの最大の功績だと思います。「素人の乱」がこれまで培ってきたデモのノウハウが生かされたと思いますよ。でも、それは生真面目な政治を否定するものでは決してありません。それはそういう議論の場所を別に確保していけばいいんじゃないでしょうか。

 海外でも30万人規模のデモになれば、基本的には巨大レイブパーティーみたいなもんですよ。やっぱり生真面目な政治に特化しても、それだけでは人は集まらないんです。情動だとか楽しさだとか快楽だとかがあって、初めて人は動く。だからこそ、今はデモが祝祭的になっていると思うんですよ。

──ドイツでは福島第一原発の事故を受けて、25万人が反原発デモに参加し、実際に原発が一時停止しました。日本でもこうした大規模デモが発生する可能性はあるんでしょうか。

毛利 反原発に関して言うと、やっぱりまだ多くの人が原発は必要だと思っていると思うんですよね。「簡単に停めるって言っても難しい」というのが大きな意味での国民のコンセンサスでしょう。多くの人にとってまだ問題にさえなっていない。それがこれまでデモに人が集まってこなかった、ひとつの要因ですよね。一種の無力感もあるのではないでしょうか。

──その無力感の正体とは何なのでしょうか。

毛利 今までデモで何も変わってこなかったというのが大きいと思います。何かを変えた経験もないし、市民革命も一度も起こらなかった国ですから。外国からの外圧と上からの改革で乗り切ってきたわけで、こう言うと日本人の国民性という話になってしまいますが。

 でも今回はさすがに「福島ちょっとまずいんじゃない?」という雰囲気が出てきている。だから今後、"統一行動デー"みたいなものはあると思いますよ。高円寺や下北沢、芝公園、東電前など分散化して最後にどこかで集まるとか。それぞれに1万人が集まれば10万ぐらいになりますからね。そこからさらに広がる可能性はあります。全然原発問題に関心のない人がそういうデモを見たら、「こんなにみんな反対しているのか」とショックを受けますよね。会社や学校では誰も「原発ヤバい」と言っていなくても、週末に街に出たらみんな反対している。そういうアピール力はあると思います。

(続く)

●もうり・よしたか
1963年、長崎県生まれ。京都大学経済学部卒業。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにてPh.D(sociology)を取得。九州大学助教授などを経て、現在東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。専攻は社会学、文化研究。著書に『文化=政治――グローバリゼーション時代の空間叛乱』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、『ストリートの思想』(NHK出版)などがある。

<出典>
日刊サイゾー「『"お祭り"デモは社会を変えるか?』活発化する反原発・脱原発運動に見る現代デモ事情」http://www.cyzo.com/2011/04/post_7196.html

(Cyzo, « Un carnaval pour arrêter les centrales », Le Courrier international, n°1089, du 15 au 21 septembre 2011.p.36)

原発を止めるためのカーニバル「楽しさがあって初めて人は動く。10万人集まれば国も変わってくる。(その1)」毛利嘉孝/クーリエ・アンテルナショナル(9月15日)

国民の70%以上が段階的な原子力の廃止を望む国、日本。しかし我が国の政府は原発の再稼働や海外への原発輸出の継続を国内外に明言しています。そんな中、4月10日の高円寺デモに続き、9月19日に明治公園で行われた「さようなら原発」集会には6万人もの人が参加、大きな成功をおさめました。

「お祭り」デモについての議論が盛り上がる中、雑誌クーリエ・アンテルナショナルに、著書『ストリートの思想』などで知られる現代文化と社会運動の社会学者、毛利嘉孝準教授(東京藝術大学)へのインタビュー「『"お祭り"デモは社会を変えるか?』活発化する反原発・脱原発運動に見る現代デモ事情」(日刊サイゾー)が転載されました。日本語版は4月に掲載されたものであり、少し長めでもありますが、興味深い議論だと思いましたので、御紹介させて頂きます。尚、原文が見つかったので、今回は翻訳の代わりに引用させて頂きます。

(元の記事はこちら http://www.cyzo.com/2011/04/post_7196.html

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 福島第一原発事故に収束の見通しが立たない中、各地で反原発・脱原発を訴えるデモ運動が活発化している。中でも、震災から1カ月後の4月10日に東京・高円寺で行われたデモには約1万5,000人が集まり、Twitterなどネット上で大きな話題を呼んだ。

 だがその一方で、新聞・テレビなどの大手メディアはこのデモを軒並みスルー。また、一部ネットメディアに報じられたレポートに対しても「単なるお祭りでは?」「遊んでいるだけにしか見えない」といった否定的な意見が散見された。

 安保闘争や全共闘の時代には社会現象として一般にも強く訴求した「デモ」という行為は、現代においてどんな意味を持っているのか。果たしてデモ行進は、社会を変える求心力たり得るのか。『ストリートの思想』(NHK出版)の著者であり、音楽や美術などの現代文化やメディア、社会運動などの研究・批評を行っている東京藝術大学准教授・毛利嘉孝氏に話を聞いた。

――毛利さんも「4.10高円寺デモ」に参加されたそうですが、まずは率直な印象を聞かせてください。

毛利嘉孝氏(以下、毛利) みんな「誰かと話をしたかったんだな」ということをすごく感じましたね。3月11日の震災以降、人が集まることが難しくなっていたし、報道を見ていると言論が抑圧されているように感じることもあって「このままじゃ日本がダメになるんじゃないか」という不安を抱えた人たちが集まっていた。僕自身も、外に出て誰かと話せるという開放感はありましたね。

――確かに、震災からしばらくは"自粛ムード"もあって、外出を控えていた人が多かったように思います。では、そもそものデモの定義とはどんなものなのでしょうか。

毛利 民主主義を支えるひとつの表現形式だと思います。民主主義には、直接民主主義と間接民主主義という2つの形式がありますが、選挙で誰かを選んで政治をやらせるという間接民主主義を補完する役割が、デモにはあると思います。選挙では4年から6年間の代表を選びますが、その人にすべてを任せているわけではなくて、当然、状況が変われば民意も変わっていく。でも、それを示す方法って実はほとんどないんですよね。世論調査もありますが、調査機関によっては、どの程度信用できるのか分からない。これだけ世の中が複雑化してくると、直接的に何かを表現するような空間が必要で、デモはその場所として機能していると思います。

──種の抗議運動とは、また別の役割ということでしょうか。

毛利 何かに対しての直接的な"抗議"というよりは、もう少し大きな意味で社会を変えていくような機能だと思います。デモって、複雑なことはできなくて、基本的には「戦争反対」とか「原発なくせ」とかシングル・イシュー(一つの問題をめぐる政治運動)にしか対応できないんです。でも、これが重要になる瞬間があるんですよ。そうした状況では、デモは選挙以外にアクションが起こせる数少ない手段だと思います。

 よく東電の前でデモをやればいいじゃないかという声がありますが、あれは直接的な抗議なんですよね。不特定多数の前でやることで、原発問題に興味のない人やあまり否定的ではない人たちに対して何か意見を訴えていく、世論をつくっていくという機能も、デモにはあります。

(続く)

●もうり・よしたか
1963年、長崎県生まれ。京都大学経済学部卒業。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジにてPh.D(sociology)を取得。九州大学助教授などを経て、現在東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科准教授。専攻は社会学、文化研究。著書に『文化=政治――グローバリゼーション時代の空間叛乱』(月曜社)、『ポピュラー音楽と資本主義』(せりか書房)、『ストリートの思想』(NHK出版)などがある。

<出典>
日刊サイゾー「『"お祭り"デモは社会を変えるか?』活発化する反原発・脱原発運動に見る現代デモ事情」http://www.cyzo.com/2011/04/post_7196.html

(Cyzo, « Un carnaval pour arrêter les centrales », Le Courrier international, n°1089, du 15 au 21 septembre 2011.p.36)

2011年9月25日 (日)

「福島の避難区域は、補償を避けるために小さく設定されている。農家を含めた市民は、政府に圧力をかけ続けることが大切だ」フーベルト・ヴァイガー(9月21日)

台風が日本を直撃した9月21日の午後、ドイツ最大の環境団体「FoEドイツ」の代表を務めるドイツのミュンヘン大学教授、フーベルト・ヴァイガー氏が衆議院第二議員会館内で「チェルノブイリの経験と福島の今」と題して講演を行いました。ヴァイガー氏の講演、および東京新聞による9月22日付の記事「チェルノブイリ、政府の『遅い対応』共通―環境団体・独代表が講演、『原発は倫理に反する』」からポイントを御紹介します。

講演の動画はこちら(冒頭部分は、「FoE日本」による福島の現状報告です。ヴァイガー氏の講演は43分51秒から。Iwakamiyasumi4さんがupしてくださっています。)

http://www.ustream.tv/recorded/17407792

当日の資料、その他講演に関する情報はこちら(FoE日本のHP)

http://www.foejapan.org/energy/news/evt_110921.html 

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講演の概要

 自己紹介
 チェルノブイリ原発事故の概要
 チェルノブイリ原発事故の後、ドイツで起きたこと

FoEドイツは1975年に発足し、約50万人の会員を擁するドイツ最大の環境団体。講演の中で、ヴァイガー氏はチェルノブイリ事故と福島原発事故の類似点を指摘しました。

「政府が沈黙していることと、被害を小さく見せようとしていること」。
チェルノブイリ事故の後のドイツでは、政府が「大丈夫だ」とアナウンスしていた。福島原発事故でも、大量の放射性物質が放出されているにもかかわらず、その拡散を予測するデータが長く隠された。政府は「直ちに健康への影響はない」というコメントを繰り返し、情報公開には消極的だった。

「さまざまな基準値が引き上げられていること」。
チェルノブイリ事故の後、ドイツ国内では食品に含まれる放射性物質の基準値が引き上げられた。「そうしないと、ドイツ産の農産物がまったく売れなくなってしまうという理由だった」。日本でも、年間100ミリシーベルトだった緊急時時の被曝線量の上限は、福島での事故の処理にあたる労働者については250ミリシーベルトに引き上げられたままだ。

 チェルノブイリ原発事故の事後処理にあたった約80万人のうち、2万5千人が死亡。30キロ圏内は、現在もほぼ無人の状態が続いており、近隣の都市ではがんの罹患率が40%近く上昇した。

 ヴァイガー氏は「福島の避難地域は、補償しなければならないという経済的な理由によって小さく設定されている。政府が最優先で守らなくてはならないのは子どもたちであって、原子力産業ではない」と批判し、会場の聴衆にこう求めた。「ドイツでは事故によって生計に影響を受けた農家が、自分たちの声を政治に届けようと立ち上がった。市民自らが政府に対し、圧力をかけ続けることが大切だ」

特に、「重度の放射能汚染地域は除染することができないため、住民は避難するしかない。」と述べていたのが印象的でした。

引用一部改変:
東京新聞 9月22日付朝刊「チェルノブイリ、政府の『遅い対応』共通―環境団体・独代表が講演、『原発は倫理に反する』」

2011年9月24日 (土)

「私たちは奴隷じゃない」原発で働く下請け作業員の労働条件改善を求め、大手労働組合がフランス全土で抗議行動/ルモンド紙(9月22日)

フランス労働総同盟(CGT、仏最大の労働組合)は9月22日、原子力セクターで働く3万5千人の下請け労働者に「高い社会的地位」を要求する全国行動を組織した。集会は、ほぼ全ての核施設の前で実施された。「我々はサービス提供者だ。奴隷ではない。」と記された請願書には、これらの下請け労働者にフランス電力公社(EDF)やアレバ社の社員待遇に基づいた労働条件を求めており、2万人の同意署名を獲得している。フランス労働総同盟の代表団は、同日、産業省との面会を予定している。

労働組合によれば、フランス電力公社、アレバ社、原子力委員会(CEA)が管理する原子力発電所の維持管理業務のうち、80%を下請け作業員が担っている。

「我々は、原子力セクターにおける(被曝、化学物質の取り扱い、労災事故、長距離移動といった)業務上リスクの80%を負わされている3万5千人の下請け労働者たちが、このように劣悪な契約条件のもとで働かされていることを容認できない。」

フランス労働総同盟の請願書にはこう記載されている。同盟は同時に、企業、国、労働組合の3者が原子力セクターにおける下請け業務の現状に理解を深め、労働者の権利を守るための合同会議の開催を求めている。福島での大惨事を受けて実施された原子力関連施設の安全性確認のための追加評価において、フランス電力公社は下請け企業を3社に限定する措置をとることを決めている。この案は、同社が9月16日に原子力安全機関へ提出した報告書に記載されている。

(LeMonde.fr avec AFP, « Nucléaire : la CGT réclame un vrai statut pour les salariés de la sous-traitance », Le Monde, 2011.09.22)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/22/nucleaire-la-cgt-reclame-un-vrai-statut-pour-les-salaries-de-la-sous-traitance_1576156_3244.html

2011年9月23日 (金)

「福島原発事故から6ヶ月。IAEAは2030年までに90以上の原子炉新設を見込む」ルモンド紙(9月23日)

原子力推進を組織目標の一つに掲げる国際機関、IAEA。主な支援国はアメリカと日本で、両国は2011年度予算の拠出金額においても第1位と2位を占めている(注1、p.5)。

<参考>
「IAEAは『原子力産業による原子力産業のための組織』」ル・モンド・ブログ
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/iaea41-d38f.html

日本政府とIAEAとのつながりは深く、我が国が2011年度にIAEA向けに拠出した分担金は63億円(注2、外務省資料p.15)。今日は、ウィーンで開かれていたIAEA総会の模様を紹介します。

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国際原子力機関(IAEA)は、福島における核の大惨事から6ヶ月が過ぎた今日、先進工業国の大多数、特に新興国が、依然として原子力を支持し続けていると考えている。これは、151カ国の加盟国がIAEAのウィーン本部に集まり9月23日までの日程で開催している第55回IAEA総会における重要なハイライトの一つである。

IAEAは当初の予測を多少下回るとは言え、2030年までに世界に90以上の原子炉を建設することを見込んでいる。また、楽観的なシナリオによれば、350以上の原子炉を建設する可能性も排除していない。IAEAの統計局長を勤めるハンス・ホルガー・ログナーは、これは主に新興国による新設分だと強調している。

事実、インド、中国、韓国、ブラジル、南アフリカなどの新興国は今後も継続して原子力発電所の建設を予定しており、インドは福島で起きたような事故が自国で起きる可能性は低いとしている。

IAEA総会は、現在世界に432ある原子力発電所の安全性を強化するため、9月22日(木)に行動計画を承認した。この中で、IAEA加盟国は(原子力発電所に)国際的な専門家による訪問を受け入れるよう促されている。しかしこうした訪問は、その性質上も日程上も強制を伴うものではない。特に米国と中国からの抵抗と圧力により、原子力の安全に関する問題は(他国が口出しできない)「各国の内政問題」にとどめられた。

欧米の工業国では原子力がいまだにエネルギー戦略の要を担っている。フランスは全エネルギーの75%を原子力に頼る一方、イギリスでは15%にとどまっている。いずれにせよ、ドイツ、スイス、イタリアは原子力をやめることを宣言している。「他国はドイツほど豊かではない」ために原子力をやめることができない、とハンス・ホルガー・ログナーは強調している。

(注1)IAEAの2012年度一般会計予算に関する各国の支援金予測(2011年8月11日付IAEA第55回総会資料)。尚、実際には最終的な交渉を経てこれと違った支援金額となった可能性がある。また、補正予算によって上乗せが行われた可能性がある。
http://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC55/GC55Documents/English/gc55-8_en.pdf 

(注2)外務省 平成23年度予算、平成22年度補正予算(政府案、一般会計)  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/yosan/23/pdfs/h23_seifuan.pdf 


記事の出典(ルモンド紙)

(LeMonde.fr avec AFP, « Malgré Fukushima, l’AIEA annonce 90 nouveaux réacteurs nucléaires d’ici à 2030 », Le Monde, 2011.09.23)

http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/23/malgre-fukushima-l-aiea-promet-90-nouveaux-reacteurs-nucleaires-d-ici-2030_1576565_3244.html

2011年9月20日 (火)

「原発、もう絶対いらない」福島原発事故以来、最大の脱原発デモin東京/ルモンド紙(9月19日)

9月19日、東京の明治公園で約6万人(主催者調べ)が参加して行われた「原発さよなら集会」の模様を、ルモンド紙が6枚の画像で紹介しました。

画像はこちら
http://www.lemonde.fr/planete/portfolio/2011/09/19/fukushima-grande-manifestation-antinucleaire-a-tokyo-pour-dire-plus-jamais-ca_1574418_3244.html 


以下は、それぞれの画像に付された説明文です。


1. 福島原発事故から6ヶ月と少しが経った月曜日、何万人もの市民が「二度と『福島』を繰り返すな!」というメッセージとともに東京でデモ行進を行った。


2. 主催者の発表では約6万人がデモに参加。マグニチュード9の地震と大津波が福島原発の故障を引き起こした3月11日以来、最大規模の集会となった。


3. ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎も集会に参加。集まった人々に「原子力をやめることはできない、と言う人がいる。でもそれは嘘だ。原子力は常に、破壊と犠牲を強いている。」と宣言した。


4. 複数の脱原発団体によって組織されたこのデモには、自宅からの退避を余儀なくされている福島第一原発の周辺住民も参加した。


5. 「今原子力をやめられなかったら、僕らは一生、原子力無しの世界を作れないと思う。」福島で医療にたずさわる橋本かずひろは言う。


6.  日本の新しい首相となった野田佳彦は、2012年の夏までに新しいエネルギー政策を発表することを約束した。この新政策の中で、原子力の割合は再生可能エネルギーによって置き換えられ減少する見通し。


(LeMonde.fr avec AFP, « Fukushima : grande manifestation antinucléaire à Tokyo pour dire « Plus jamais ça ! » », Le Monde, 2011.09.19 )

http://www.lemonde.fr/planete/portfolio/2011/09/19/fukushima-grande-manifestation-antinucleaire-a-tokyo-pour-dire-plus-jamais-ca_1574418_3244.html

参考:東北・関東一帯におけるセシウム汚染の状況/日本原子力研究開発機構(9月6日)

9月6日に日本原子力研究開発機構より発表された「福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算ー世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いたシュミレーション」を、ご参考までに載せておきます。なお、4ページ目に5月1日現在の東北から関東にかけての汚染予想地図が掲載されています。その後も大気中への放射性物質の放出が続いていたことを考えると、実際にはこれ以上の汚染度である可能性があります。

福島原発事故の発生から6ヶ月が経った時点で、やっと福島周辺だけではなく関東・東北一円の状況が分かる情報が公表され始めました。


(独)日本原子力研究開発機構
「福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算ー世界版SPEEDI(WSPEEDI)を用いたシュミレーション」平成23年9月6日

http://nsed.jaea.go.jp/fukushima/data/20110906.pdf

2011年9月19日 (月)

子どもが語る原発事故「生きていたい!」/チェルノブイリ子ども基金(1998年)

父は原子炉を閉鎖する仕事に出かけて行った。
近所の人みんながママをせめる。
「夫を死なせる気なの」と言って。
でも、父は生きて帰って来た。
だけど、いつものようにぼくをだいてくれない。
母は「父さんはとても汚れているから」と言う。
父は原子炉の変わりようにおどろき、
あまりの恐怖に声をあげずに泣いていた。

「プロピャチの町から避難した少年の思い出」より
(イリヤ・アシュチェンコ、14歳、キエフ市、p.12)


美しい絵本を見つけました。
1986年4月26日に当時のソ連(現在のウクライナ)で起きたチェルノブイリ原発事故の10周年を記念して、子どもたちの絵や詩を集めて1998年に出版された本です。

『生きていたい!チェルノブイリの子どもたちの叫び』(チェルノブイリ子ども基金編、小学館、1998年)

美しい絵とは裏腹に、子どもたちの苦しみや悲しみが彼等自身の言葉で伝わってきます。

14歳のニーナが書いた詩の一部です。


「4月のエコー 夢」
わたしたちは町を去った。
子どもたちから、思い出も、友だちも、うばっていった。
一番すばらしいものを取り上げ、
自分の生まれた大好きな町で
子ども時代をすごすことすらゆるさなかった。
あの原子炉は、苦しみと、みんなとの別れを
子どもたちにあたえただけだった。
子どもたちは、自分たちの町に、
いつの日か帰れることを夢見ていたのに。

 …

せめて一瞬でいいから、
わたしたちの町をもとにもどしてほしいのです。
わたしたちの子ども時代と友だちを。
わたしたちの大好きだった幼稚園を。
大好きな町の大切だったすべてのものを。
それをもう一度思い出すために。。。
(ニーナ・グローマク、14歳、キエフ市 p.18、24)


「甲状腺がんはゆっくりと進行するので早期発見が可能」
多くの新聞でこのような記載を見かけます。でも、がんになるという経験がどんなに苦しいか。甲状腺がんは、喉にメスを入れる手術をし、手術後も薬を一生飲み続けなければなりません。喉に残る手術の痕は、手術の後も子どもたちを苦しめています。15歳のイレーナが書いた詩です。


「お願い」
大人のみなさん、わかってください。
話したいことがあるんです。
毎朝、薬を飲むことが
それを一生つづけることが
どんなに、つらいことなのか。
みなさんの視線を感じると
「あの子の首の傷は、いったいどうしたの?」
と言っているのが聞こえます。

 …

ただ首のところは、そんなに見ないで。
どうか、そんなに目をむけないでください。

(イリーナ・レツ、15歳、チェルカスカ州 p.38、39)


最後に、13歳のアンナが書いた短い詩。


「無題」
死にたくありません!
だって、わたしはまだ14才にもなっていないんです。
(アンナ・トカチェンコ、13歳、ホイニキ市 p.44)


日本の子どもたちの言葉にも、もっと耳をかたむける必要があるように感じます。

<参考>
amazon.com『生きていたい!―チェルノブイリの子どもたちの叫び』
http://www.amazon.co.jp/生きていたい-―チェルノブイリの子どもたちの叫び-チェルノブイリ子ども基金/dp/4092902018 

※一部の公共図書館にも入っているようです。ぜひ一度美しい絵をご覧ください。

チェルノブイリ子ども基金のホームページ
http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/index.html

2011年9月17日 (土)

「仏マルクール核廃棄物処理場事故:近隣地域での放射線量上昇データ、最終的な結論下せず」CRIIRAD研究所(9月16日)

訂正とお詫び: 

先に「CRIIRAD研究所がマルクール核廃棄物処理場の近隣地域にて9月12日の午後14時から17時40分にかけて通常の3〜8倍の放射能が観測されていたと発表した」との記事を掲載しましたが、観測データはCRIIRAD研究所自身のものではなく、「CAN84」という別の組織からCRIIRAD研究所宛に分析のため提出されたものであったことが分かりました。

また、CRIIRADは「CAN84」によるデータについて、放射能漏れの可能性は否定できないものの、こうした分析についての結論を出すに当たっては慎重を極める必要があるとの観点から、放射能が漏れていた、との結論を出すには現時点ではデータが十分ではない、との見解を示しました。お詫びして訂正します。

参照記事

CRIIRAD研究所の見解 9月16日
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/marcoule/11-09-16-can84.pdf

IRSNによる9月12日14時時点での放射線濃度についての分析結果
http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Pages/20110914_Synthese_surveillance_environnementale_installation_Centraco_Marcoule.aspx

フランス、2025年までに原子力発電の半減を検討/ルモンド紙(9月16日)

フランス産業省のエリック・ベッソン大臣は9月16日(金)、フランスにおける原子力発電量を2025年までに半減させる案を検討中であることを発表した。社会党の予備選挙でフランソワ・オランド前第一等書記が強く勧めたのを受けたもの。

ベッソン産業大臣は他方で、原子力発電を半減させた場合の代替エネルギー策、電気料金の値上げや新たな状況における原子力施設維持の条件についての検討が必要との考えを示し、これらが次期大統領選挙での争点の一つとなることを示唆した。

(要約)

<ごめんなさい!>

当初、記事の表題を「フランス、2025年までに原子力発電を半減」と既に半減が決まったとも取れる表現にて記載していましたが、実際には複数あるシナリオの一つとして検討されていたことから、修正させて頂きました。お騒がせして申し訳ありません。最近仕事が非常に忙しく、その隙間時間に余裕無く記事を作成したために、訳が不正確になってしまったと反省しています。今後は記事の更新のペースを少し落としても、より正確な訳を心がけたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


(LeMonde.fr avec AFP, « 50 % de nucléaire en 2025 : un scénario à l'étude, selon Besson », Le Monde, 2011.09.16)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/16/50-de-nucleaire-en-2025-un-scenario-a-l-etude-selon-besson_1573620_3244.html

追記:

ベッソン産業大臣は、7月の段階で既に、原子力の削減、もしくは脱原発の可能性について言及していたようです。今回の発言は、その流れの延長上にあると思われます(ブログVarious TopicsのYukariさんより情報のご提供を頂きました。ありがとうございました。)

NNA
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110711-00000014-nna-int

2011年9月15日 (木)

「福島原発事故から6か月、IAEAは世界の原発所有国に強制力を持てず」ルモンド紙(9月14日)

福島での大惨事から6か月が経過した。原子力セクターで秩序維持の役目を負う国際原子力機関(IAEA)は9月13日、世界で稼働中の432基の原発の安全性を高めるための行動計画を承認したが、計画に強制力を持たせることができなかった。

「福島原発事故が起きる前にあった規則に比べれば、重要な前進だ。」

IAEAの天野之也事務局長は言う。

しかし、今後3年間、毎年世界の10%に相当する数の原子炉に対し国際的な専門家による定期的なストレステストを実施する、という従来のIAEAによる提案は、各国からの要請がある場合にのみ実施されることとなった。2009年、ウクライナはロブノ原発における原子炉が放射性の汚染水に52日間浸かったままになる、という深刻な事故が起きたにもかかわらず、IAEAへの報告を怠っていた(抜き打ちの外部者による評価を実施しない場合、こうしたケースが隠されたままになる可能性が残されている)。

ドイツ、フランス、デンマーク、カナダ、シンガポールなどの各国は、IAEAによる今回の会議の結果に失望感を表明した。特にスイスは、IAEAが承認した行動計画について、6月末にウィーンで実施された原子力の安全に関する閣僚級会合での決定から「明らかに後退する内容である」と評している。

福島原発での事故発生に至るまで、原子力に関する情報の透明性という観点からは決して優等生ではなかった日本はどうだろうか。IAEAは何とか今週の火曜日に福島での大惨事に関する新しい報告書を日本政府から入手したが、その内容は公表されていない。一般の日本国民は、どのような失敗の連鎖によって事故が起きたのか、そのより詳細な情報を得るまでには、まだしばらく待たねばならないだろう。

(Joëlle Stolz, « L'AIEA échoue à imposer aux Etats des règles contraignantes de sûreté nucléaire », Le Monde, 2011.09.14)

2011年9月14日 (水)

食品汚染について考える〜政府の暫定基準値で年に5mSv以上被曝/朝日新聞(9月8日)

大型スーパーや自治体等で食品の汚染度を測定するところが、少しづつですが増えています。でも中には測定値を公表せず、「暫定基準値以下」とのみ公表する店や自治体も多々あります。

そもそも事故発生直後に急いで設定した「暫定」値は、一定の期間を経た後により適切な数値に修正されるべきものです。それが、事故から6ヶ月たった今もそのままになっています。

この暫定基準値に従った食品を摂取した場合、どの程度の内部被曝を受けるのでしょうか。

暫定基準値がどのように設定されているのか。そしてこの基準値に従って食品を摂取した場合、どの程度の被曝量が見込まれるのか。朝日新聞に分かりやすい図が載っていたので御紹介します。

Photo_2

注)基準の数値(ベクレル)は、食品1キログラム当たりの量

(出典:朝日新聞 9月8日朝刊)

この図によれば、現在使われている暫定基準はセシウムからの被曝だけで年に5mSvを上限に、水、牛乳、野菜、穀類、肉・卵・魚の各々から1mSvの被曝を受けることを前提に設定されています。日本における通常の一般人への被曝上限値が1mSvであることを考えると、これは非常に高い数値です。

また、先日御紹介した「食卓にあがった放射能」(高木仁三郎&渡辺美紀子 著)では、一部の特に汚染が強い食品を除き、特別の選択なしに汚染食品を摂取した場合、年間の食品による被曝値を6.4mSvと試算していました(注:セシウムのみを念頭に置いて計算)。それが、一応の「汚染規制」がかかった上で市場に出されているはずの食品を摂取して5mSvもの被曝をするとすれば、高木&渡辺両氏が想定していた以上の汚染が起きている、そして現在の暫定値が私たちが健康を守る上で大きな意味をなさないことを意味しています。

2011年9月13日 (火)

「ガール県マルクール核廃棄物処理施設で爆発、死傷者発生」ルモンド紙(9月12日)

ガール県のマルクール核施設で9月12日に起きた爆発は、死傷者を出しました。幸いCRIIRAD研究所によれば、今のところ大気中への放射能の放出は観測されていません。しかし、アヴィニヨンやマルセイユといった地中海沿いの大都市に近接する核施設での事故は、人々に波紋を広げています。
………………………………………………………………………………….

原子力セクターの安全を所管する仏原子力庁(ASN)によると、9月12日、ガール県のローヌ川沿いに位置するマルクール核廃棄物処理施設内にある商業用核廃棄物処理を行う半円筒形の施設とみられる施設で爆発が起き、死者が出る事態となった。

1955年に建設されたこの核施設では、約5000人の関係者が働いている。今日、同施設は軍事用の業務に加え4つの商業用原子力施設を備えている。アレバ社による Mox核燃料加工施設や「セントラコ」と呼ばれるフランス電力公社(EDF)による放射性廃棄物処理施設である。

「セントラコ」では1990年代から250人ほどの人を雇い、廃棄物を溶かしたり燃やしたりして処分している。2008年、原子力庁は「組織、および安全に関する習慣面での問題」によっていくつもの「空白」が生じているとして、同施設への検査の回数を増加させた。原子力庁は、当時の「空白」問題と今回の事故の関連を否定している。

CRIIRAD研究所は24時間体制で大気中の放射性物質を監視中。フランス時間の9月13日12時30分(日本時間の9月13日20時30分)現在の計測によれば、放射能汚染は検出されていない。


参考記事:AFPBB Newsによる報道
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2826822/7761376 

出典:
ルモンド紙「ガール県マルクール核施設」
(Le Monde fr & AFP, « Le site de Marcoule, dans le Gard », Le Monde)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/12/le-site-de-marcoule-berceau-de-l-industrie-nucleaire-du-retraitement_1571279_3244.html 

CRIIRAD研究所
フランス国内における大気・水中の放射性物質監視所 測定結果(9月13日12時半)
http://balisescriirad.free.fr/ 

野田首相が所信表明「できる限り原子力発電を減らしてゆきたい」/ルモンド紙(9月13日)

9月13日、野田首相は所信表明演説の中で、日本はできる限り原子力発電を減らし、世界水準に向けて再生可能な自然エネルギーへと切り替えてゆく、という目標を決定すべきだと宣言した。

「これまでの方針を白紙に戻し、来年夏までに2030年までの新たな電力計画を発表する」

と首相は提案している。

3月11日に起きた大震災と津波による福島原発事故が起きるまでは、日本政府は全電力の50%以上を原子力でまかなうことを目指していた。福島での事故は、自然災害にさらされる日本にとって原子力が危険であることを示し、こうした目標を完全にめちゃくちゃにしてしまった。

福島原発周辺から8万人以上が避難を余儀なくされている現在、多くの原子炉は停止されており自治体は再稼働にためらいを見せている。54基ある原発のうち、現在11基のみが稼働中である。

(Le Monde fr & AFP, « Japon: Noda promet une nouvelle politique énergétique sur fond de hausse du yen », Le Monde, 2011.09.13)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/09/13/japon-noda-promet-une-nouvelle-politique-energetique-sur-fond-de-hausse-du-yen_1571364_1492975.html


参考までに、野田首相が所信表明演説で実際に述べた言葉を引用しておきます。

「中長期的には、原発への依存度を可能な限り引き下げて行く、という方向性を目指すべきです。」
(朝日新聞 2011年9月14日朝刊)

2011年9月11日 (日)

チェルノブイリ原発事故によるフランス国内での被曝責任者ぺルラン教授、免訴―「国の責任放棄」「原発ロビーの圧力」高まる甲状腺がん被害者の怒り/ルモンド紙(9月7日)

パリ控訴院(日本の高等裁判所に相当)は9月7日、1986年4月26日に起きたチェルノブイリ原発事故の直後、フランスを通過した放射能雲による被曝の危険性についての警告を怠ったとして「悪性の詐欺罪」に問われていた当時の保健省 放射線防護中央局(SCPRI)の局長ピエール・ペルラン教授(87歳、注1 http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/41-cc0e.html)について、甲状腺がんを発症した患者の訴えを退け「免訴」の判決を行った。

被告側は、教授を詐欺罪に問うにはあらかじめ国民と教授の間に契約関係が設立している必要があったと主張していた。これでペルラン教授に関する審理は実施されないこととなり、本件は事実上棚上げとなる。

ペルラン教授は、「チェルノブイリの放射能雲はフランスの国境で止まる」「チェルノブイリ原発事故による放射性降下物による健康被害は無い」などと述べて、フランス国民に体する葉もの野菜や牛乳などの汚染食品の摂取を控えるための呼びかけを行わず、予めヨウ素剤の配布も行っていなかった。フランスでは、当時の被曝により大量の甲状腺およびその他のがん患者が発生した。

(参考:当時の被害の状況(ブログ記事)
http://linked222.free.fr/lien/tchernobyl_france/tchernobyl_france.html )


この判決について、環境運動家および甲状腺がん患者たちは各地で強い非難の声を挙げている。

「チェルノブイリ事故から25年たっても、裁判所は国の責任を認めようとしない。このような『免訴』は、数多くの甲状腺患者をはじめとした(放射能による)健康被害者が裁判を受ける権利を否定するものだ。欧州連合における大統領選ではこのような災害による健康被害に対応するための新たな立法案を提案する。」(ヨーロッパ環境・緑の党、 欧州議会議員&欧州連合大統領候補、エヴァ・ジョリー)


「今回の『免訴』は司法裁判への権利の否定であり、我が国における原発ロビーによる圧力を証明するものだ。」(ヨーロッパ環境・緑の党、ノエル・マメール)


「『免訴』だなんて、私たちを馬鹿にしている。被害が出ていたことは国の最上位レベルにまで把握されていたんですよ。」(デニス・フォコニエー医師)


尚、今回の判決は、日本国内で8月25日に高裁判決が言い渡された石綿訴訟(大阪南部で石綿による肺がんなどの健康被害を被ったとして労働者と工場周辺住民が国を訴えている裁判。大阪高裁、三浦潤裁判長)において労働者・住民側原告が敗訴したのに続き、公害による環境汚染で健康被害を被った国民に対し、事実上国の責任放棄を認める判決例となった。

大阪南部の石綿訴訟「石綿訴訟:国の責任認めず原告側逆転敗訴」毎日新聞8月25日
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110826k0000m040084000c.html 


これらの判決については、今後、福島原発事故による被曝被害にかかる訴訟が起こされる可能性が予想される中、これを意識した判決であったという見方もできる。石綿裁判は広島や長崎における被爆者認定訴訟や水俣病と同様、国の救済を求める公害の健康被害者の大多数が、長期の裁判の後にその権利を棄却されるという同様の構造を持った裁判と言える。


<石綿訴訟に関する毎日新聞記事からの引用>
「とにかく いきがくるしいです こんな体になるとは思いもしませんでした 私がいきている間にかいけつして下さい 其(そ)の日をまっています」。
 大阪・泉南アスベスト訴訟の控訴審判決当日の25日早朝、裁判長に早期解決を願う手紙を出していた原告の原田モツさん(80)が入院先で亡くなった。長女の武村絹代さん(54)は亡母に代わって法廷に駆けつけたが、予想すらしなかった逆転敗訴。「母ちゃん、闘うよ」。娘は母の無念をかみしめた。
 原田さんは70年から約13年間、大阪府岸和田市内の石綿紡織製品製造工場に勤務し、石綿が舞う職場で働いた。5人の子どもを育てるためだった。やがて、せきがひどくなるなどの症状が表れ、石綿肺などを患った。 
 原田さんは今年4月、心情をつづった手紙を裁判長に提出したが、その後は危篤状態に陥るなど深刻な状態が続いていた。


ルモンド紙出典記事

(Hervé Morin, « Nouage de Tchernobyl : non-lieu pour le Pr Pellerin », 2011.09.08)
http://www.lemonde.fr/cgi-bin/ACHATS/acheter.cgi?offre=ARCHIVES&type_item=ART_ARCH_30J&objet_id=1167232

(« Nouage de Tchernobyl : non-lieu général », 2011.09.08)
http://www.lemonde.fr/web/recherche_breve/1,13-0,37-1167198,0.html

(Le Monde.fr & AFP « Tchernobyl: Joly dénonce un Etat “au-dessus des lois », 2011.09.07 )
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/07/tchernobyl-joly-denonce-un-etat-au-dessus-des-lois_1569052_3244.html

2011年9月 8日 (木)

「放射性廃棄物―原子力の終わらない悪夢」Bonne Pioche/Arte France(2009年)

福島第一原発から海に大量に流された高度の放射性汚染水。六ヶ所村の廃棄物処理場には、容量に対して既に満杯に近い放射性廃棄物が保管されていると言われています。原子力発電を続ける限り増え続ける廃棄物。その廃棄物処理の現状について、2009年にフランスのテレビ局が作成したドキュメンタリー「放射性廃棄物―原子力の終わらない悪夢」を御紹介します。(なお、もうご覧になった方も多いかと思いますが、貴重な映像ですのであえて御紹介させて頂きます。)

tensaii2011さんがyoutubeにupしてくださっています(画像が消されている場合には、お手数ですがコメントにてお知らせくださるようお願い致します)

その1 http://www.youtube.com/watch?v=SteP6jHO1x0&feature=related 
その2 http://www.youtube.com/watch?v=ElonJYY0tlM  
その3 http://www.youtube.com/watch?v=A1te458AnOU&feature=related 
その4 http://www.youtube.com/watch?v=j9-jlK6dBx0&feature=related
その5 http://www.youtube.com/watch?v=xRisNwllHcI&feature=related 
その6 http://www.youtube.com/watch?v=gVmd-47SsKE&feature=related 
その7 http://www.youtube.com/watch?v=mQClEPK3g-g&feature=related

2011年9月 7日 (水)

「ルーマニア、サリニー:放射性廃棄物の貯蔵施設建設に揺れる村」ルモンド紙(9月6日)

東欧ルーマニアの奥深くに位置する、ごくありふれた村、サリニー。雑草だらけの道。水道も電気も、ここには通っていない。黒海のすぐ近くに位置するこの田舎町は、10キロほど離れたところにあるチェルナボーダ原発から出る放射性廃棄物を、地下深くに迎えることになっている。


8月2日、村長は放射性廃棄物処理機構が提案する廃棄物処理施設の建設計画に同意した。しかし、福島で起きた日本の原子力発電所事故の記憶は、農民たちを苦しめている。


「私たちは村のすぐ横に本物の爆弾をかかえてるんだ。」
サリニーの住民、フロラン・ゲオルグは言う。
「チェルナボーダの二つの原子炉にもしものことがあったら。日本で起きた事故よりもひどいことになる。」


村長のガブリエル・タトゥレシュクは村人たちのように心配してはいない。
「(放射性廃棄物の処理場を受け入れれば)たくさん有利なことがあります。道路も上水道も下水道も、電気もつきます。」
村長は強調する。
「私達は簡単には折れません。この地区のために最大限の施設を手に入れられるよう交渉します。どちらにしても、村人による意思決定のための一斉投票をやるつもりです。」


貧しいが歴史あるこの村は、19世紀にまで遡るその歴史を誇りにしている。19世紀末に橋や車道建設の先駆者となったアンゲル・サリニーは、チェルナボーダに橋を建設した。しかしルーマニア政府は廃棄物処理場の建設に3.4億ユーロ(約370億円)の予算を見込んでいる。


「村人たちは処理場が頑丈で安全であることを理解すべきです。私たちは将来の世代に危険な場所など残しません。」
放射性廃棄物処理機構の所長であるイオン・ナスタシェスクは言う。しかし、村人たちは諸手を挙げて賛成しているわけではない。


「僕は反対だ。」
村人のミルセア・イオンは言う。
「原発のせいでもう十分ひどい目に遭ってるんだ。木には実がならなくなったし、庭はだめになった。子どもたちは原発のせいで体を壊している。(処理場を作ろうとする人たちは)放射性廃棄物のゴミ箱と一緒に悪魔のところへ行けばいい。」


福島で起きた大惨事にもかかわらず、ルーマニア政府は今後数十年にわたる原子力事業を見直す気配はない。民間セクターと合同で今後チェルナボーダに更に2基の原子炉を建設することを予定している。

(一部要約)

(Mirel Bran, « La Roumanie veut se doter d’un centre de stockage de déchets radioactifs », Le Monde, 2011.09.06)

2011年9月 5日 (月)

福島の農民、大沢さんの畑から〜畑の農生産物の汚染度と自分の被曝量を知ることができません/ドイツZDF・上杉隆(8月9日)

ジャーナリスト上杉隆さんのブログで紹介されました。

「8月9日に放送された第2ドイツテレビ「ZDF」の「フロンタール21」シリーズ福島原発事故報道の日本語字幕付き動画の紹介です。」

もうご覧になった方も多いかと思いますが、重要な内容だと思いますので掲載します。

http://uesugitakashi.com/?p=964

ブログVarious Topicsでも紹介されました。
http://afternoon-tea-club.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/09/post_0c7c.html

農家が自らの生産物や畑の汚染状況、自らの被曝の度合いすら簡単に知ることができない環境に置かれていること。原発事故発生から5ヶ月が過ぎ、福島県内ですら以前の汚染に注意しない生活習慣に戻ってしまった人が多く、今後は汚染食品による内部被曝が懸念されること。などが描かれています。

チェルノブイリ事故の後も、しばらくすると汚染を避けるための制約の多い生活をやめて元の生活に戻り、汚染食品から高い被曝を受けて健康被害を受けた人のケースが多くありました。制約のある生活は苦しいものです。しかし、汚染された大地はもう元には戻りません。チェルノブイリと同じことが今、私たちの国で起きています。

2011年9月 4日 (日)

今、改めて食品汚染を考える(その1)/『食卓にあがった放射能』高木仁三郎

このところ毎日のように、日本のあちこちで放射能による汚染食品(主に牛肉)の報道がなされています。朝刊の地方版ページで、近所のスーパーやデパートで汚染牛肉が販売されていたことを知った方も多いのではないでしょうか。また、福島での原発事故発生直後の汚染食品への緊急警戒体制から、日常的に汚染を避ける体制へとシフトしていらっしゃる方も多いことでしょう。

それでも、全ての食品について放射線量が表示されている訳ではない現状、時に一部の食品については産地までが偽装される現状では、「この食品は大丈夫?」と迷う場面に遭遇されることもあることと思います(ところで東京大学アイソトープ総合センター長の児玉教授は先日国会で食品の放射能汚染に関する検査を最新の機器を用いてどんどん実施すべき、と提言していたはずですが、除染への対応はともかく、汚染食品への対策は忘れ去られてしまったのでしょうか)。

そんな時、せめて過去の具体的な事例やデータに照らして考え判断することができれば、より安心だと思います。「知識は力なり」です。間違った情報にも惑わされずにすみます。

既にお読みになった方も多いことと思いますが、名著『食卓にあがった放射能』(高木仁三郎&渡辺美記子著、七つ森書館、1400円+税)http://pen.co.jp/index.php?id=596 
は、チェルノブイリ原発事故の際に起きた食品汚染の状況を具体的なデータを示しつつ分かりやすく解説した良書です。もちろん、チェルノブイリと福島での状況には異なる部分も多々あり、全てをそのまま日本の状況に当てはめることはできません。しかし、どのようなメカニズムでどんな食品にどのような形で汚染が発生したのか、注意すべき点は何か、など参考になる点は多くあります。

という訳で、ここで本書の要点を一部簡単に御紹介したいと思います。ただし、きちんと全体を理解するために、御自分で本を買って(もしくは図書館で借りて)じっくり読まれることを強くお勧めします。

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1. 原発事故の後の1年間で食品から平均6.4mSvの内部被曝

日本で原発事故が起きた際にそれまでと同様の食生活を継続した場合、食品からのセシウム摂取量は年42万ベクレル、想定される被曝量の平均は1年間に6.4ミリシーベルトにまでのぼると推定される。この数値は一般人の年間の線量限度の6倍以上に相当し、日本全体でも10万人に近い癌患者をもたらす可能性がある。しかしこの計算は、事故後の10日間は汚染食品をいっさい遠ざけることができると仮定し、特に汚染の強いものについては政府の規制により出回らない、という仮定をした上での計算である(詳しくはp.126−129)。汚染の強い食品が市場に出回っている場合には、数値は更に高くなると予想される。

ちなみに、ここで述べられている6.4mSvという数字には外部被曝は含まれていない。食品による内部被曝は被曝量全体の80%程なので、これに更に20%相当の外部被曝分が追加されることになる。


2. 汚染食品に気をつけた人、気をつけなかった人の体内に現れる汚染度の差

汚染食品に気をつける人と気をつけない人では、体内への放射性物質の蓄積量、ひいては内部被曝の度合いに差が出る。西ドイツのハンブルクで1987年に報告されたデータによると、チェルノブイリ原発事故の後で汚染された食品に気をつけた人と気をつけなかった人では、事故発生後1年以上にわたって体内に蓄積されたセシウム(134+137)の量に常に250ベクレル以上の違いが見られた(p.47、図2−6)。

住んでいる場所によって、やはりセシウムの蓄積量には差が出てくる。チェルノブイリ事故から約8ヶ月(250日)後、ウィーンに住む人の体内には3000ベクレル近いセシウム137が蓄積されていたが、イタリアのボローニャでは2000を下回り、ベルリンでは1000を下回った(p.60)。


3. 牛肉汚染:時間の経過ではなく、飼料の質で汚染が決まる

西ベルリン市における測定では、チェルノブイリでの事故の後も牛肉の汚染は数年にわたって続き、汚染度の低い餌が不足した1987年の冬(事故の約半年後)には一旦減っていた汚染度が増加している。時間の経過ではなく、牛の飼料によって大きく左右されているのがわかる(p.55)。

他方、チェルノブイリ事故の後、ヨーロッパから日本に輸入された飼料用の脱脂粉乳に汚染が見られ、生産国に送り返されたものもあった(p.140)。当時、汚染レベルの高い脱脂粉乳が廃棄されずに世界的に安売りされ、輸入されて家畜の飼料にまわったと考えられる。汚染された飼料を食べた牛の肉は、当然ながら汚染されてしまう。

ちなみに、当時の西ドイツには商品の放射線量を表示して販売し、1キロ70ベクレルを超えた肉は産地に送り返すことで安全な肉だけを販売するペータ—・ヤコブさんと言う方の肉屋があったそうです。


4. 牛乳と乳製品に含まれる放射能

牛乳に含まれるストロンチウム、セシウム、ヨウ素をそれぞれ100とすると、ヨーグルトの上澄み液(酸性乳しょう、乳清、ホエーとも呼ばれる)にはストロンチウムが86.2%、セシウムが82.9%、ヨウ素が80%移行する(ヨーグルトを食べる時には、ホエーを水切りして取り除いてから頂いた方がよさそうです。p.56)。乳製品でも、多くの放射性物質が移行するものとそうでないものがある(詳しくは本文参照)。


5. 最も放射能に汚染された「動物」、淡水魚

チェルノブイリ事故の後、スウェーデンにおいて最も汚染された植物はキノコ類だった。では動物では?意外にも、湖の淡水魚である。これは、湖が雨によって運ばれるセシウムの「吹きだまり」となり、激しい汚染が起きたため。チェルノブイリ事故が起きた年、スズキ科の淡水魚パーチからは、最高でも1キロあたり4800ベクレルのセシウムが検出されていた。2年後の1988年夏には、なんと最高8万2000ベクレルもの汚染が検出されている(p.57)。

(後半では、「手を変え品を変えて」流通する汚染食品について取り上げる予定です)。

2011年9月 1日 (木)

「2基の原発が新たに停止」ルモンド紙(8月31日)

今日(8月31日)から日曜日にかけ、九州電力と四国電力がそれぞれに運営する2基の原発が、定期点検の目的で新たに停止する。停止するのは九州電力の川内原発2号基と四国電力の伊方原発1号基で、日本国内にある54基の原発のうち、停止する42番目と43番目の原発となる。これで停止した原発は全体の80%となる。

各原発は、ほぼ13ヶ月おきに75日から90日間の間停止し、定期点検を実施することになっている。今後、年末までに更に5基が停止となる見込み。停止された原発の再開目処は立っていない。

(LEMONDE.FR avec AFP, « Deux nouveaux réacteurs nucléaires nippons à l’arrêt », Le Monde, 2011.08.31)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/08/31/deux-nouveaux-reacteurs-nucleaires-nippons-a-l-arret_1565613_1492975.html

「福島を想い、広島に祈る―8枚の画像で見る広島・原爆記念日」ルモンド紙(8月6日)

ルモンド紙が、今年の広島原爆記念日当日の広島と福島での模様を、8枚の画像におさめました。

(こちらからどうぞ)
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/portfolio/2011/08/06/le-japon-commemore-hiroshima-en-pensant-a-fukushima_1556749_3216.html#ens_id=1493262 

以下は、各写真に付された説明文のです(一部要約/省略している部分もあります)。写真と合わせてご覧ください。


1. 8月6日の今日、世界で初めて原子爆弾がこの町に落とされたあの日から66年目を記念して、何千もの日本人がこの地に集まった。

2. この日は、東日本大震災と津波が日本の北部を襲った後に起きた福島原発事故の発生以来、初めての原爆記念日となった。

3. 広島同様、福島でも、次の原発惨事を防ぐべく原発廃止を求める人々のデモが幾つも行われた。

4. 「僕らは原子力兵器の廃絶には力を入れて来たけれど、原子力発電所の設置反対運動には比較的弱いままで来てしまった。」福島でのデモの途中、長崎での原爆投下からの生存者であり、自ら原子力反対運動に取り組む川野浩一は述べた。

5. 菅直人首相は広島原爆記念公園で開かれた原爆記念式典の席で、「原発の無い社会を目指す」との誓いを改めて強調した。世界の平和に捧げられたこの記念碑は、最初の原爆投下における爆心地にそびえている。

6. 「私は原子力に頼らない社会を目指し、日本の原子力への依存を減らして行きます。」菅首相が宣言。

7. 1986年のチェルノブイリ惨事以来、史上最悪の原発事故となった福島原発事故をふまえ、菅首相は7月13日、脱原発という目標を建てた。しかし国民からの低い支持率にあえぐ首相は、具体的な日程案や戦略を示していないと強い非難を浴びた。

8. アメリカ軍によって1945年8月6日に広島へ投下された原子力爆弾は、高熱や爆風によって一瞬のうちに、もしくは放射能被曝によって何ヶ月もの時間をかけた後に、合計14万人もの人々を死に至らしめた。3日後に長崎に投下された原子力爆弾は、約7万5千人もの人々の命を奪った。


(LeMonde.Fr « Le Japon commémore Hiroshima en pensant à Fukushima », Le Monde, 2011.08.06)
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/portfolio/2011/08/06/le-japon-commemore-hiroshima-en-pensant-a-fukushima_1556749_3216.html#ens_id=1493262

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