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2011年11月12日 (土)

原発輸出の最前線(8):「インド・ジャイタプールは『第2の福島』となるのか?」最終回/バスタマグ・ネット(7月18日)

世界でも有数の生物の宝庫であるインド西岸の町、ジャイタプール。環境や健康を守るために活動する世界100余りの市民団体が、ジャイタプールへの原発輸出に関する支援中止を求めフランスのサルコジ大統領に送った書簡を読む最終回です。

(以下、サルコジ大統領に送られた手紙の続きです。小見出しはフランスねこによるものです。)
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4.開示されなかった環境影響評価と立ち退きの強制

「(インドとフランスの両政府が)ジャイタプール原発の建設について環境への影響が無いとして承認を行った過程では、インドの国内法と、フランスが加盟国となっている経済協力開発機構(OECD)において政府の融資機関が(インフラ)輸出を行う際のきまり、の両方が破られたという事実を強調する必要があります。

(インド政府は)原発の建設によって生活に影響を受ける住民たちに対し、環境影響評価の結果を公表することを拒否した上に、住民への公聴会が終了する前に、彼等の土地を強制的に取り上げたのです。こうしてこの計画は、深刻な争いと地元からの強い反対を引き起こすに至ったのです。4月には、建設反対デモに参加していた住民一名が警官によって殺され、1500人以上の人々が、建設計画反対デモの直後に逮捕されています。

ここに述べた全ての理由のために、ジャイタプールでの原発建設計画には多くの反対が寄せられています。インド政府における原発の運営能力が非常に低いこと、インドの原子力セクターにおける安全基準が(他国に比べて)低いことのみならず、建設予定地で地震が起きる危険性があることが、ジャイタプールが次の「福島」となる候補である第一の理由なのです。原子力の安全性や、以上の運営体制の問題により、フランスはこの原発建設計画のために原発を輸出することに対して、融資の保障を与えてはならないのです。」

(翻訳は以上)


5.まとめ

これまで複数回に分けて、インドのジャイタプールにおける原発建設計画を先進国からインドという開発途上国への原発輸出、という視点を交えつつ取り上げてきました。ジャイタプール計画が持つ以下5つの問題点は、他の先進国が進める原発輸出の事例の多くにも共通して見られます。


(1) 地震の危険性
  (ア) 活断層の上に原発を建設

(2) 安全管理体制の不備
  (ア) 原発の推進官庁が原発の安全管理を所管
  (イ) 原発の運営管理能力や安全基準が低い
  (ウ) 政府内の汚職によるずさんな安全管理

(3) 安全に関する設計上の不備

(4) 民主主義を欠く強権政権による建設の強行
  (ア) 住民に対し環境影響評価の結果を開示しない
  (イ) 公聴会を実施しない
  (ウ) 住民の土地を強制収用
  (エ) 不法逮捕と暴力の使用、それによる死者や怪我人の発生

(5) 提供技術が軍事転用される危険性
  (ア) 原発の輸出先が核拡散防止条約に加盟していない


10月23日、トルコ東部ではマグニチュード7.2の大地震が起き、多数の死傷者を出しました。今回地震が起きた地域は、トルコ政府が「地震が起きにくい」としていた地域です(注1)。地震が発生する地域を事前に特定できない中、野田首相はG20サミットでトルコ首相に対し「地震に強い日本の原発」を売り込みました。これなどは、(1)に至る最初の一歩かもしれません。

(2)については、フランスが原発を輸出している中国、日本が輸出を決めたベトナム、ロシアが原子力協定を結んだバングラデシュ、全ての国で深刻な運営能力の不足が指摘されています。

(4)については、日本が原発輸出を計画しているベトナムの建設予定地から、ベトナム政府が既に少数民族を強制移住させたという情報があります(注2)。

インドに見られるように、深刻な汚職(注3)や民主主義の欠如により、原発の建設はその国の国民を不幸にする一方、深刻な事故の温床にもなっています。

(了)

●記事の原文(仏語です)
(« Jaitapur, candidat à un second Fukushima ? », Bastamag.net, 2011.07.18) http://www.bastamag.net/article1665.html

● 注1)ルモンド紙 10月26日「原子力:トルコ地震の後、(原発建設に関する契約について)日本が韓国を追い出す可能性」(Philippe Mesmer, « Nucléaire : après le séisme en Turquie, les Japonais pourraient évincer les Coréens », Le Monde, 2011.10.26)

● 注2)朝日新聞 10月7日「私の視点 ベトナム原発輸出 国情や安全考え見直しを」京都大学准教授 伊藤正子 (以下、一部引用)

「ベトナム原発は中南部の人口密度が低い地域を建設予定地とし、すでに住民は安価な立ち退き料で強制的に移住させられている。少数民族チャム族が主たる移住対象だが、現状を目にした日本側関係者でさえ「こんなことをしてよいのかと思った」と漏らしていた。(略)ベトナムは経済こそ「新自由主義」的な側面も多いが、政治的には共産党一党独裁国家でありつづけている。言論や集会の自由が制限され、党が国是とする政策を正面から批判することが許されず、チャム族のような弱者の声は政府を含めどこにも届かない。」

● 注3)産経ビズ/ブルームバーグ 「インドの闇 消される汚職告発者」
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/111101/cpd1111010505011-n1.htm 

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コメント

原発輸出反対の立場は理解できるのですが、原発輸入を決意した国、地域で必要とされる安定電源は、どうやって確保すればよいのでしょう?

インドやベトナムをはじめとする国々に対し「お前らは発展するな」と言えるのでしょうか?

「数年~数十年先に待ちうける事故という大被害」と「今日食べるパンが無い」問題。
とりあえず、今日食べるパンに困らない我々日本人やフランス人にとっては前者を問題に取り上げることができます。でも、後者で困っている人は、前者より重要なんじゃないでしょうか。

えまのんさん

コメントをありがとうございました。
原子力がなければ、これらの国は発展できないのでしょうか。日本はこれまで、ベトナム、インド、その他の発展途上国に対し、火力・水力その他の発電施設の建設に融資を行い支援を行って来ています。現在も我が国が支援している原子力以外のこれらの発電方法については、どうとらえるべきなのでしょうか。また、「ベトナムやインドが原子力を必要としている」と言うときの「ベトナムやインド」は、誰をさすのでしょうか。特にインドについては大きな反対運動が起きている中で、国民の大多数が原子力発電を望んでいるとは言いがたい状況です。一部の官僚が進める原子力政策に我が国がかかわるべきか否か、特に核不拡散防止条約に加盟していないインドに技術を移転すべきかどうかについては、十分な検討が必要と思われます。

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