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2011年11月

2011年11月30日 (水)

手当て削減に抗議するチェルノブイリの「掃除人」、警察による抗議者襲撃後に死亡/20ミニッツ(11月28日)

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の処理にあたった「掃除人」の一人、ゲンナディ・コノプロフはウクライナ当局による「掃除人」への手当て削減に抗議し、約30人の仲間とともに2週間にわたるハンガーストライキを行っていた。しかし11月27日の夜、警察による抗議者テントへの襲撃を受け、直後に病院へ運ばれる救急車の中で死亡した。70歳だった。抗議行動を組織している「掃除人」代表、および救急病院の代表が明らかにした。

<参考動画> 当時の模様(ユーロ・ニュース)※仏語です
http://www.youtube.com/watch?v=KDcnS1oa70c 

30人余りにのぼるチェルノブイリの「掃除人」、もしくはチェルノブイリ原発の爆発事故における生存者たちは、事故の収拾作業にあたった見返りに政府が支給している手当の減額に抗議し、ドネツクの東部で2週間にわたる抗議を行って来た。

11月27日夜、警察は司法判断に基づき、緊急事態対策省が抗議行動を続ける「掃除人」たちに提供していたテントを強制撤去した。抗議行動のリーダーをつとめるニコライ・ゴンチャロフは「警察が行った『掃除人』テントへの襲撃は、テロに匹敵する行為だった」と表現した。

ゲンナディ・コノプロフはこの襲撃の際に病院へと送られたが、途中救急車の中で亡くなった。救急病院によれば、コノプロフはこの数日胸の痛みを訴えていたが、入院を拒んでいた。

今回の事件は、ヴィクトール・ラノコヴィッチ大統領の人気を台無しにする可能性がある。ドネツク市はラノコヴィッチ大統領の生まれた町であり、選挙の地盤だからだ。

今回の「掃除人」に対する手当て制度の変更は、国際通貨基金(I MF)がウクライナ政府に対し行った150億ドル(約1兆1700億円)の援助と引き換えにウクライナ政府に強制的に義務づけ、施行されたもの。チェルノブイリの「掃除人」たちはウクライナ国内で強い影響力を持っており、キエフの国会前で定期的にデモを行っている。

(一部編集)

(20 minutes/Reuters, « Ukraine :Un « liquidateur » de Tchernobyl, en grève de la faim, décède, 20 minutes, 2011.11.28)
http://www.20minutes.fr/ledirect/831884/ukraine-liquidateur-tchernobyl-greve-faim-decede

野田政権の原発政策/鈴木達治郎 原子力委員会委員長代理(11月19日)

政策について考える時、政権の責任者がいつ何を言ったのか、言葉をきちんと残しておくことは重要です。野田政権は未だに原子力政策の今後についてはっきりとした方向性を示していませんが、11月7日に開かれた国際フォーラム「エネルギー・ベストミックスと原子力」(読売新聞社・日本エネルギー経済研究所共催、経団連後援)の中で原子力委員会委員長代理の鈴木達治郎氏が比較的明確な考え方を述べていますので引用しておきます。

国民の70%以上が段階的な脱原発を望む日本、そして原子力政策の今後について明確な数値目標を掲げることを避け続けている野田政権。「エネルギーのベストミックスを目指す」とはフランスの原発推進派の間でもよく使われる単語ですが、こうした言葉の使い方で現政権が間接的に示している政策的意図は何でしょうか。脱原発に賛成であれ反対であれ、今後、政権が向かおうとしている方向を理解するための言葉として参考になると思います。

原子力委員会委員長代理 鈴木達治郎氏

「菅前首相は「原発に依存しなくてもよい社会を作る」と表明し、野田首相は国連で「最高水準の安全性を目指す」と宣言した。これが今の日本の原子力政策の基本だ。原発依存度を下げた中でエネルギーのベストミックスを目指す。
 政府は、(1)これまでの原子力政策の徹底的な再検証(2)新たな分散型電源システムの構築(3)賛成、反対の二分論ではない国民的議論―の3原則に基づき、来年夏をめどに革新的エネルギー・環境戦略を策定する。」

いつのまにか「3原則」というものが言葉の上で作られ語られている訳ですが、(3)は国民投票を阻止したい、という野田政権の考え方の表れでしょうか。

(読売新聞 11月19日「原発開発 国際連携で」)

2011年11月26日 (土)

フランスからドイツへ向かうアレバ社の放射性廃棄物列車/ルモンド紙(11月25日)&リベラシオン紙(11月24日)

今回はルモンド紙とリベラシオン紙の両方からポイントをまとめて掲載します。
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(ルモンド紙)アレバ社の放射性廃棄物輸送列車は11月24日朝、フランスのからドイツ北部の町ゴルレーベンを目指し、1500キロ以上の距離を走り出した。1977年以来ドイツの原発より再処理を委託されていた使用済み核燃料のうち、最後の返送となる。

アレバ社とフランス国鉄はこの日、原発に反対する市民による抗議行動の裏をかくため3種の行程を準備。フランス側では約2万人の市民による反対行動が行われ、同じく約2万人の機動隊が催涙弾や警棒で応戦、いくつかの列車通過地点では機動隊と一部の抗議行動参加者による衝突が起きた。最終的に列車は予定より24時間の遅れを記録。環境保護を訴える市民たちの勝利を象徴する結果となった。

(リベラシオン紙)アレバ社はドイツにある原発との間でフランス国外最大規模の契約を締結、1977年から2008年にかけて5483トンの使用済み核燃料の再処理を行った。今回の返送を最後に、契約は更新されることなく終了する。他国との契約も更新されておらず、アレバ社は新たな顧客を探している。

(ルモンド紙)朝6時、列車が通るヴァローニュ近くにキャンプを張っていた「放射性廃棄物の貯蔵・移動用列車を止める旅行かばん」の関係者は原発作業員を想起させるゴーグルと白いマスク、全身を覆う白のつなぎ姿で線路を目指した。しかし機動隊に押し返され、辺り一面は機動隊がデモ参加者に向かって打ち込んだ催涙ガスに包まれた。

(リベラシオン紙)「旅行かばん」による抗議行動には県の発表で200〜250名(今回の参加者全体の約1%)が参加、フランスのみならずイギリス、ドイツ、スペイン、ベルギーからも若者達が参加した。グリーンピースと市民団体「森の雄牛」は今回「旅行かばん」による活動から距離を取り、別途抗議行動を実施した(「旅行かばん」による暴力行動を懸念したとも考えられる)。

(ルモンド紙)
「警察の皆さん、あなた方が守っているのは、私たちの人生を汚染する物質です」

段ボールに手書きのプラカードを胸にかかえ、ゴーグルと白いマスクをつけた24歳のアンナは、失業者による市民団体から別の地点での抗議に参加した。

「原子力には絶対反対だって、知らせるためにここに来ました。そして私たちが使う電気で成長し続ける産業界の代表にも、反対だと言うために。」

ドイツ側でも2万人の反対運動参加者が見込まれている。昨年は5万人が参加、参加者数の最高記録を更新した。今年はドイツの原子力政策が脱原発へと大きく転換したこと受け、輸送列車への国民の反発が大幅に縮小した。ドイツ政府は、放射性廃棄物の格納場所として使用して来たゴルレーベン施設の地下に水やガスがしみ出しており、安全性に問題があることを既に認めている。又、これを受けて、環境大臣が新たな貯蔵施設の設置場所を探すことを公言し、各県の代表者との調整に入っている。最終的な貯蔵施設の場所については国民投票による決定が提案されている。

フランスからの放射性廃棄物の送付は今回が最後となる。しかし今後2017年まで、イギリスのセラフィールドよりさらに21個の貯蔵容器につめた放射性廃棄物が届く予定となっている。

● Hervé Kempf & Frédéric Lemaître, « De la France à l’Allemagne, mobilisation contre le convoi de déchets radioactifs », Le Monde, 2011.11.25


● ARP, « Déchets nucléaires : le convoi s’approche de l’Allemagne, malgré les manifestations », Libération, 2011.11.24
http://www.liberation.fr/societe/01012373342-dechets-nucleaires-le-convoi-roule-vers-l-allemagne-echauffourees-le-long-de-la-voie

2011年11月24日 (木)

フランス電力公社、「最新型原子炉EPRからの撤退」を報じたトリビューン紙から広告引き揚げ/ル・パリジャン(11月16日)

フランス国内最大手の電力会社であるフランス電力公社(EDF)は11月18日、同社が最新型原子炉EPRから撤退することを示唆する記事を掲載したトリビューン紙に不満を表明、2011年末まで広告の掲載を中止した。トリビューン紙のジャック・ロゼラン代表が自らのツイートで明らかにした。広告の掲載中止による損害額は8万ユーロ(約830万円)。

トリビューン紙はフランスの経済紙として知られる。11月16日付けの同紙の記事によれば、フランス電力公社の技術者はアレバ社とドイツのジーメンス社によって開発されたEPRに反発。中国と共同で別の新型原子炉の開発に着手していることを暴露した。最新型原子炉EPRによる原発建設の是非は、2012年の大統領選に向けた緑の党とフランス社会党の政策協議における焦点の一つともなっている。

●Le Parisien, « Piqué au vif après un article, EDF supprime ses pubs dans la Tribune », 2011.11.16
http://www.leparisien.fr/economie/pique-au-vif-apres-un-article-edf-supprime-ses-pubs-dans-la-tribune-16-11-2011-1723225.php

●La Tribune, « En pleine polémique sur Flamanville, EDF se prépare à abandonner l’EPR », 2011.11.16
http://www.latribune.fr/entreprises-finance/industrie/energie-environnement/20111113trib000663723/en-pleine-polemique-sur-flamanville-edf-se-prepare-a-abandonner-l-epr.html

2011年11月23日 (水)

福島原発事故から8ヶ月―IAEAが提言する「効率的な除染」は可能か?/IAEA(11月16日)

国際原子力機関(IAEA)は11月15日、日本政府による福島原発20キロ圏外における除染への提言を、81ページの調査報告書として発表しました。この報告書は、IAEAが10月7日から15日にかけ派遣した調査団の報告に基づいたものです(一部公表済み)。日本政府による除染の努力を認めつつも、たまり続ける大量の放射性廃棄物の処理に不安を示し、「効率性」を重視した除染へと更なる改善を求める提言を行っています。

原子力の推進を任務とするIAEAは、原子力産業との強い結びつきをかねてから指摘されてきました。従って、今回の報告書の内容についても精査の必要があります。また、今回の提言と矛盾する事実や指摘も、チェルノブイリ原発事故後に専門家が行った報告等に複数見られます。しかし、日本政府による今後の除染政策に大きな影響を与える提言の一つとして、今回その要旨を御紹介します。
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1. 除染の対象地区
・ 除染の対象となっているのは、次の二種類の地区である。なお、本報告書が調査の対象としたのは福島原発から20キロを超える地域である。

➢ 年間被曝量が20ミリシーベルト以上の500km2
➢ 年間被曝量が5〜20ミリシーベルトに上る1300km2


2. 日本政府の取り組みと進捗
日本政府は福島原発事故の被災者を対象とした除染プログラムにおいて子どもを優先した活動を実践している。学校の除染については、生徒の親を中心としたボランティアによって除染が実施されており、効果的な自助努力と評価する。


3. 改善に向けた提言

● 除染については、(限られた投入により)最大限の放射線量低減を実施することを念頭に、慎重になりすぎないことが望ましい。また、特段の放射線防御手段を必要としない廃棄物については、「放射性廃棄物」と分類することを避けることが重要。日本政府は、現実的かつ信頼に足りる形での放射性廃棄物の廃棄承認レベルの上限について再検討すべき。承認レベルを満たす廃棄物の残骸については、建設資材に混ぜるなどしてリサイクルが可能である。

<参考>20年以上にわたり水と土壌の除染を研究するべラルーシのソスヌイ研究所 ユーリー・ダビドフ研究員
「最も簡単で効果的なのは、当時も今も、表土をはいで人の少ないところに持って行くこと。でも、畑や森林など広い面積には対応できない。経済的に見合わないから。」
(朝日新聞 11月23日「汚染大地から チェルノブイリ原発事故25年(上)森も畑も除染断念」)

● 都市部の廃棄物については、大部分の放射線量は比較的低いと考えられることから、一時的、もしくは中間貯蔵庫を設置することを検討すべきと思われる。産業廃棄物については、自治体による既存の施設を活用すべきである。

<参考>現在日本政府が焼却可能としている「1キロあたり8000ベクレル」という放射能汚染の基準については、「米国であれば放射性廃棄物と定義され、燃焼させるには危険なレベル」と一部の海外の学者から指摘されている。

「ガンダーセン博士 8月21日 がれき 焼却で 汚染拡大 」
http://www.youtube.com/watch?v=LoEC7Tph9OM

● 計画的避難区域については、市民が区域に立ち入り不要な被曝を受けることを避けるため、明確な標示を行うべき。

<参考>「計画的避難区域」
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-5.pdf

● 森や比較的外部被曝が少ないと思われる地域については、被爆線量を下げるのに最適な除染対象箇所にフォーカスをあてるよう留意すべき。

● 来年以降の収穫期には、汚染された地域の農業生産に関する現在のような慎重な態度を改めるべき。

<参考>チェルノブイリ原発事故から数年がたっても、周辺地域での生産物には強い放射能汚染
デビル-カベリンG.他『農業における対策:チェルノブイリ事故後15年における効率の評価とその教訓』(2001年キエフ国際会議のプロシーディング)(国連人道問題調整部、ニューヨーク(2001)118-128、翻訳責任:国際医療福祉大学 鈴木元)(国立保健医療科学院生活環境研究部によるサイトに掲載されています)http://trustrad.sixcore.jp/kiev_proceedings.htmlfd

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●IAEAによる報告書はこちら(英文)
« Final Report of the International Mission on Remediation of Large Contaminated Areas Off-site the Fukushima Dai-ichi NPP » (7 – 15 October 2011) http://www.iaea.org/newscenter/focus/fukushima/final_report151111.pdf 

2011年11月20日 (日)

レスキュー隊員が瓦礫の撤去で被曝後に死亡(未確認情報/11月6日)

福島県および岩手県で瓦礫の撤去にかかわった大阪のレスキュー隊員が、7月に内部被曝の診断を受けた後、体調を崩し死亡したとの証言が、11月6日に開かれた「全国学校給食フォーラムin札幌」の参加者よりなされています。

(Fukushima311さんがupしてくださっています。本件については、1分42秒あたりから始まります。)
http://www.youtube.com/watch?v=bqV80A860fc

これは未確認情報ですが、被災地での瓦礫撤去や除染作業において有毒な物質にさらされたり被曝する可能性は否定できません。福島第一原発で事故の収拾にあたる作業員、除染にかかわる自衛官、被災地ボランティアを含め、私たち国民のために働く人々のために、以下の4点の確認が必要と思われます。

1. 作業に参加する関係者を把握し、その数や健康状態を公表する。
2. 作業を通じて起きうる健康被害を事前に具体的に通知し、了解を得る。
3. 被曝その他の健康被害を避けるために最大限可能な予防措置をとる。

<参考>「原子力安全委員会、作業員への被曝治療用の幹細胞保存を拒否―日欧157医療機関、幹細胞保存への協力を明言」Lancet(4月18日)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/157lancet418-e0.html

4. 作業終了後も関係者の健康状態を把握し、業務に関連して発病・死亡した場合には明確な補償規定のもとに救済を行う。

<参考>「福島原発の『作業員』が払う命の値段は」消防士の出動手当6020円、自衛官1680円/ル・モンド紙(3月27・28日)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/6020168032728-a.html


そして何より、現場で今何が起きているのかを公表してほしいと思います。

原発輸出の最前線(10)強気のインド政府、日印原子力協定でも「核実験OK」/熊本日日新聞(11月10日)

熊本日日新聞の泉潤記者がインドで現地の外務省や原子力公社を取材、日本とインドが今月後半に再開を予定している原子力協定について社説を掲載しました。

(以下、記事からの抜粋です。)

「中でも深刻なのは電力不足だ。(略)それを支えるのが他国からの先進技術導入を可能にする原子力協定。既に米国、フランス、ロシアなどと結んでいる。日本とも中断していた交渉を今月後半に再開する予定だが、一番のネックとなるのが、インドが核拡散防止条約(NPT)未加盟の核保有国であることだ。

 
 日本は核実験再開時の協力停止などを協定に明記したい意向だが、インドは拒否。米国などとは核兵器計画に支障をきたさないよう確認する条項を協定に盛り込んでおり、取材した外務省、原子力公社幹部からも強気の姿勢がうかがえた。

 

 日本の関係業界からは国際原子力ビジネスに乗り遅れるなとの声が出ているが、非核の国是に照らして慎重な検討が必要だろう。


 福島第1原発事故を受け、インドでも原発そのものに対する反発も強まっている。現地の反核・反原発市民団体の幹部からは、「広島、長崎、福島を経験した日本が、なぜ協定を進めようとするのか」と聞かれた。この疑問には、経済優先の論理だけでは答えられまい。」

熊本日日新聞 2011年11月10日社説「日印原子力協定への『なぜ』」
http://kumanichi.com/syatei/201111/20111110001.shtml

2011年11月19日 (土)

福島県民が被曝しない権利、「わかりません」―政府と国民の関係は/佐藤暁(あきら)原子力災害現地対策本部室長(7月19日)

(少し前の話ですが、重要な記事ですので掲載させて頂きます。)

まだ暑かった頃のこと、「さとう あきら」氏という政府関係者の方の名前をフランス語や英語の記事の中で何度か見かけ、どなたのことだろうと思っていた。記事には「Directeur」とあったから、課長職以上の管理職の人らしかったが、すぐには確認が取れなかったのでそのままにしていた。

「さとうさん」のことはその後忘れかけていたのだが、先日Youtubeで偶然その方を見かける機会があった。

http://www.youtube.com/watch?v=3yFIPwIIVSM 


「福島県民も、他の日本人と同じく等しく、無用な被曝をせずに生活する権利があるでしょう?ちがうんですか?」

福島の住民を代表する男性が、マイクで静かに語りかける。

「権利があるかないか、私は分かりません。」

7月19日、約130人の福島県民を前に答えた日本の役人とおぼしきその人の名前を見て、やっと私は「さとうさん」を見つけたことに気づいた。

「 ミスター・サトー」。

原子力災害現地対策本部室長、佐藤暁(あきら)氏。この組織は総理大臣官邸の直轄下に置かれ経済産業大臣が副部長をつとめる、経済産業省の下部組織である。

●組織図
http://www.kantei.go.jp/saigai/taisei/110722taisakuhonbu.pdf

経済産業省の幹部名簿によれば、佐藤氏は原子力安全・保安委員会にて電気保安室長も併任されているとのこと。

●「経済産業省 幹部一覧」
http://www.meti.go.jp/intro/data/kanbu_ichiranj.html#ene


英語やフランス語に訳され伝えられた彼の発言が世界に与えた驚きと波紋は、決して小さくない。健康への権利は、誰にも奪うことができないものだから。

あの暑い夏の日から、今日でちょうど4ヶ月が過ぎた。でも、福島県の子どもたちが浴びる放射線被曝量の上限は、年間20ミリシーベルトのままだ。放射線量が通常以上に上がる除染の間だけでも、子どもや妊婦さんを逃がしてほしい、という福島の人々の声は、無視され続けている。

あの日、人々を振り切って足早にエレベーターに乗った「さとうさん」は、私たちと政府の関係を象徴しているのだろうか。被災地で命を時に削りながら被災した人々のために働いてきた他の「公務員」たちは、どんな気持ちで彼の映像に目を向けたのだろう。「さとうさん」をもう一度呼び戻さなければ、と思う。水に流してはいけない、忘れてはいけない。人の命がかかっているのだから。

2011年11月16日 (水)

原発輸出の最前線(9)インド首相が3兆円規模の汚職事件を黙認/ルモンド紙(11月14日)

(お断り:誤って同じ記事を2つ掲載してしまいましたので、一つを削除させて頂きました。Tweetしてくださった方、申し訳ありませんでした。)

来月の野田首相によるインド訪問を控え、インドとの原子力協定にかかる交渉再開に向けた調整が日本とインドの外務省の間で進んでいると思われます。平行して先週金曜日より、インドの元大臣や高級官僚を巻き込んだ、インド史上最大と言われる汚職事件に関する公判が始まりました。主犯とされるラジャ元通信大臣は、マンモハン・シン首相が不正なやりとりを知っていたと証言しています。このような国に原発を輸出した場合、インド国民の安全はどう守られるのでしょうか。そして、輸出国となる日本の責任は、世界にどう問われるのでしょうか。

今日はインドの汚職事件に関するルモンド紙の記事から、ポイントのみを御紹介します。

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11月11日、インドで史上最大の大規模な汚職スキャンダルについての裁判が幕を開けた。アンディムス・ラジャ元通信大臣(2007年~2010年)は、2008年にデジタル方式の携帯電話が導入された際の通信会社へのライセンス割り当てに関し、特定の企業に便宜をはかり賄賂を受け取ったとして起訴されている。汚職に絡む額は、300億ユーロ(現在のレートで約3兆1700億円)。被告席には、元大臣、国会議員、多数の政府高官、3つの通信企業、の総勢14名が名をつらねている。便宜を受けた企業の一部は、ライセンスを転売して巨額の利益を得た。

昨年秋に明らかになったこのスキャンダルは、現政権を大きく揺さぶった。辞職を余儀なくされたラジャ元通信省は現在に至るまで、「ミスター・クリーン」の異名を持つマンモハン・シン首相が自らの汚職を知っていたと認めている。シン首相が率いる与党は、ラジャ元大臣が属する野党との連立を守るために、汚職に目をつぶったとして批判されている。

汚職や賄賂はインド社会を根本から腐らせている。国際的な汚職に関する研究機関「トランスペアレンシー・インターナショナル」(「政権の透明性に関する国際組織」)によれば、世界の汚職ランキングで、インドは世界178ヵ国中アフリカのリベリアなどと並ぶ87番目にランクされている。また国民は、市場の開放に伴い汚職が増加したと感じている。

8月にはアンナ・ハザレ氏が、独立した汚職摘発機関の設立を求めてハンガー・ストライキを行おうとしたところ、インド政府がハザレ氏を逮捕して妨害。ハザレ氏の釈放を求める国民の大規模な抗議運動により、数日後に解放された。インドの国会は、独立した汚職摘発機関の設立を認める法案を、1942年の提案以来可決していない。

(LeMond.FR, « En Inde, une gigantesque affaire de corruption ébranle le gouvernement », Le Monde, 2011.11.14)
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2011/11/14/en-inde-une-gigantesque-affaire-de-corruption-ebranle-le-gouvernement_1603273_3216.html

<参考記事>
「汚職撲滅訴えるインドのハザレ氏、13日目でハンスト終える」AFP 8月29日
http://www.afpbb.com/article/politics/2822902/7684197

2011年11月14日 (月)

約半数のフランス人が原発に「不安」/ルモンド紙(11月14日)

自国の原発に不安を感じているフランス人の割合は、6月の同じ調査から2ポイント上昇し、47%にのぼっている。イフォップ社が11月8日から10日にかけ、インターネットを通じて18歳以上の1008人を対象に行った調査は、このような結果を示している。また、40%のフランス人が原子力発電の利用に「躊躇する」と答えている。

2012年に行われるフランス大統領選挙を睨み、フランス社会党とヨーロッパ・エコロジー・緑の党は合同統一候補の擁立に向けて原子力政策の擦り合わせを実施中。緑の党が脱原発に向けた「見通し」を示すことを求め、緑の党大統領候補であるエヴァ・ジョリー氏がフラマンヴィルにおける最新型原子炉の建設工事中止を求めているのに対し、フランス社会党のフランソワ・オランド大統領候補は、2025年までに原子力発電を現在の75%から50%に削減することを提言している。

(一部抜粋・要約)
(LeMonde.Fr avec AFP, « 47% des Français « inquiets » des centrales nucléaires françaises », Le Monde, 2011.11.13)
http://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2012/article/2011/11/13/47-des-francais-inquiets-des-centrales-nucleaires-francaises_1603103_1471069.html


<参考>
10月に福島を訪問したヨーロッパ・エコロジー・緑の党のエヴァ・ジョリー大統領候補の発言については、村野瀬玲奈さんが詳しくまとめてくださっています。

「村野瀬玲奈の秘書課広報室」フランス環境保護政党のエヴァ・ジョリー氏福島訪問 (3)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2949.html

2011年11月12日 (土)

原発輸出の最前線(8):「インド・ジャイタプールは『第2の福島』となるのか?」最終回/バスタマグ・ネット(7月18日)

世界でも有数の生物の宝庫であるインド西岸の町、ジャイタプール。環境や健康を守るために活動する世界100余りの市民団体が、ジャイタプールへの原発輸出に関する支援中止を求めフランスのサルコジ大統領に送った書簡を読む最終回です。

(以下、サルコジ大統領に送られた手紙の続きです。小見出しはフランスねこによるものです。)
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4.開示されなかった環境影響評価と立ち退きの強制

「(インドとフランスの両政府が)ジャイタプール原発の建設について環境への影響が無いとして承認を行った過程では、インドの国内法と、フランスが加盟国となっている経済協力開発機構(OECD)において政府の融資機関が(インフラ)輸出を行う際のきまり、の両方が破られたという事実を強調する必要があります。

(インド政府は)原発の建設によって生活に影響を受ける住民たちに対し、環境影響評価の結果を公表することを拒否した上に、住民への公聴会が終了する前に、彼等の土地を強制的に取り上げたのです。こうしてこの計画は、深刻な争いと地元からの強い反対を引き起こすに至ったのです。4月には、建設反対デモに参加していた住民一名が警官によって殺され、1500人以上の人々が、建設計画反対デモの直後に逮捕されています。

ここに述べた全ての理由のために、ジャイタプールでの原発建設計画には多くの反対が寄せられています。インド政府における原発の運営能力が非常に低いこと、インドの原子力セクターにおける安全基準が(他国に比べて)低いことのみならず、建設予定地で地震が起きる危険性があることが、ジャイタプールが次の「福島」となる候補である第一の理由なのです。原子力の安全性や、以上の運営体制の問題により、フランスはこの原発建設計画のために原発を輸出することに対して、融資の保障を与えてはならないのです。」

(翻訳は以上)


5.まとめ

これまで複数回に分けて、インドのジャイタプールにおける原発建設計画を先進国からインドという開発途上国への原発輸出、という視点を交えつつ取り上げてきました。ジャイタプール計画が持つ以下5つの問題点は、他の先進国が進める原発輸出の事例の多くにも共通して見られます。


(1) 地震の危険性
  (ア) 活断層の上に原発を建設

(2) 安全管理体制の不備
  (ア) 原発の推進官庁が原発の安全管理を所管
  (イ) 原発の運営管理能力や安全基準が低い
  (ウ) 政府内の汚職によるずさんな安全管理

(3) 安全に関する設計上の不備

(4) 民主主義を欠く強権政権による建設の強行
  (ア) 住民に対し環境影響評価の結果を開示しない
  (イ) 公聴会を実施しない
  (ウ) 住民の土地を強制収用
  (エ) 不法逮捕と暴力の使用、それによる死者や怪我人の発生

(5) 提供技術が軍事転用される危険性
  (ア) 原発の輸出先が核拡散防止条約に加盟していない


10月23日、トルコ東部ではマグニチュード7.2の大地震が起き、多数の死傷者を出しました。今回地震が起きた地域は、トルコ政府が「地震が起きにくい」としていた地域です(注1)。地震が発生する地域を事前に特定できない中、野田首相はG20サミットでトルコ首相に対し「地震に強い日本の原発」を売り込みました。これなどは、(1)に至る最初の一歩かもしれません。

(2)については、フランスが原発を輸出している中国、日本が輸出を決めたベトナム、ロシアが原子力協定を結んだバングラデシュ、全ての国で深刻な運営能力の不足が指摘されています。

(4)については、日本が原発輸出を計画しているベトナムの建設予定地から、ベトナム政府が既に少数民族を強制移住させたという情報があります(注2)。

インドに見られるように、深刻な汚職(注3)や民主主義の欠如により、原発の建設はその国の国民を不幸にする一方、深刻な事故の温床にもなっています。

(了)

●記事の原文(仏語です)
(« Jaitapur, candidat à un second Fukushima ? », Bastamag.net, 2011.07.18) http://www.bastamag.net/article1665.html

● 注1)ルモンド紙 10月26日「原子力:トルコ地震の後、(原発建設に関する契約について)日本が韓国を追い出す可能性」(Philippe Mesmer, « Nucléaire : après le séisme en Turquie, les Japonais pourraient évincer les Coréens », Le Monde, 2011.10.26)

● 注2)朝日新聞 10月7日「私の視点 ベトナム原発輸出 国情や安全考え見直しを」京都大学准教授 伊藤正子 (以下、一部引用)

「ベトナム原発は中南部の人口密度が低い地域を建設予定地とし、すでに住民は安価な立ち退き料で強制的に移住させられている。少数民族チャム族が主たる移住対象だが、現状を目にした日本側関係者でさえ「こんなことをしてよいのかと思った」と漏らしていた。(略)ベトナムは経済こそ「新自由主義」的な側面も多いが、政治的には共産党一党独裁国家でありつづけている。言論や集会の自由が制限され、党が国是とする政策を正面から批判することが許されず、チャム族のような弱者の声は政府を含めどこにも届かない。」

● 注3)産経ビズ/ブルームバーグ 「インドの闇 消される汚職告発者」
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/111101/cpd1111010505011-n1.htm 

2011年11月10日 (木)

原発輸出の最前線(7):「インド・ジャイタプールは『第2の福島』となるのか?」その2/バスタマグ・ネット(7月18日)

前回に引き続き、世界の市民団体がフランスのサルコジ大統領にインドの町ジャイタプールにおける原発建設への出資をやめるよう求め送った書簡の後半を読んで行きます。

ジャイタプールと福島の類似点を指摘する手紙の前半では、次の2点が指摘されていました。


(1) ジャイタプールが活断層の上に位置しているにもかかわらず、地震の危険性を無視して原発建設予定地に選ばれたこと

(2) インド政府は小規模な原発ですら炉心溶融などの深刻な事故を起こしており、大規模かつ複雑な原発を運営・管理する能力に疑問があること


後半では、インド政府内の安全管理体制や原発の設計について見て行きます。

(以下、サルコジ大統領に送られた手紙の続きです。小見出しはフランスねこによるものです。)
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2. 原子力推進官庁が原発の安全を監督

欧州議会では、「EUメンバー国における(原子力部門の)監督官庁は、他の公的役割、および原子力推進部門から完全に分離されていなければならない」と定めています。しかし、インドにおける原子力分野の監督官庁である原子力監督委員会はこの基準を満たしていません。原子力監督委員会は、実際には原子力エネルギーの推進を所管する原子力省の下部組織なのです。原子力省はジャイタプールに原発を建設し運営したいと考えている国営企業(NPCIL)の所有者でもあります。

原子力監督委員会の委員長をつとめたゴパラクリシュナン博士が指摘する通り、こうした事実は原子力の安全管理を深くおびやかしています。

「原子力省はこうした(原子力監督委員会との間にある)上下関係を意図的に利用し、原発の安全性への評価や、原子力監督委員会による様々な決定に、直接・間接に影響を与えてきました。原子力監督委員会はこうした介入によって、(原子炉の安全に関し)重要な部分が何箇所も改ざんされた報告書を承認し、公衆の安全を考慮するのであればただちに停止しなければならないであろう状態にある原発の稼働を許可しながら、原発の安全に関する特定の問題について、その深刻さを実際より軽く見なしてきたのです。

最近インド政府は、将来独立した原子力分野の監督官庁を作る意向であると述べましたが、それでもジャイタプール計画の承認・準備プロセスはこれまでどおりのペースで進められてきています。


3. 原発設計上の問題点

こうした文脈において、ジャイタプールに建設が予定されている原子炉の設計についても幾つかの問題があること、そしてそのために、福島原発事故が起きたのと同様の状況に置かれた場合にこの原発が脆弱であることについても、注意を払って頂きたいと思います。

たとえば、ジャイタプール原発では使用済み核燃料を安置するプールが原子炉格納容器の外に配置されることになっており、原子炉に何らかの損傷があった場合には、この使用済み核燃料プールが直接影響を受けることになります。周りに大量の放射性物質を拡散させる汚染源となる可能性があるのです。

ところで、原子炉の運転室は原子炉の近くに設置されることになっており、深刻な放射能漏れが起きた場合には近づくことができなくなります。最後に、ディーゼルエンジンを搭載した発電機は床の近くに置かれており、床が水浸しになった場合には使えなくなります。

もう一つ知っておかなければならないのは、インドが核拡散防止条約に加盟することを拒否している大変稀な国の一つであるということです。この事実は、インドが手に入れた原子力技術や原子力に関連する物質が、軍事目的に使われないとは限らないということなのです。


(次で最終回です。お楽しみに。)

(« Jaitapur, candidat à un second Fukushima ? », Bastamag.net, 2011.07.18)
http://www.bastamag.net/article1665.html

2011年11月 9日 (水)

原発輸出の最前線(6):「インド・ジャイタプールは『第2の福島』となるのか?」その1/バスタマグ・ネット(7月18日)

インド政府、仏アレバ社、そしてフランス政府が世界最新型の原子炉建設を目指すインド西岸の町、ジャイタプール。4月に原発建設に反対する住民が警官に射殺されてから3ヶ月後、世界の100余りの市民団体はフランスのサルコジ大統領に対し、「ジャイタプール計画」への出資をやめるよう公式に求める公開書簡を送りました。


「ジャイタプール原発計画は世界中の人々に大きな脅威を与えている。」


サルコジ大統領への書簡について報じたバスタマグ・ネットは述べています。書簡はまた、インドと福島原発事故が多くの問題点を共有していることについても指摘しています。原発を積極的に海外へ輸出しようとしている野田首相もまた、いつかこんな手紙を世界の人々から受け取るのでしょうか。

(以下、サルコジ大統領に送られた手紙の和訳です。小見出しはフランスねこによるものです。)
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「サルコジ大統領殿、

福島での原発事故が続く中、インドのジャイタプールに原発を輸出する計画に対し、フランス政府がお墨付きを与える決定を行ったことについて、私たちが深く憂慮していることを伝えるべくこの手紙を書いています。


1. 活断層とインドの原発管理能力

ジャイタプールの原発建設予定地は、インド西岸の地震の危険性が高い地盤の上に位置しているにも関わらず、世界最大の原子力発電施設を建設することが予定されています。3つの活断層がこの地域を横切っているのに、原発の建設予定地を選ぶにあたってこれらの危険は無視されたのです。

今日インドでは19基の原子炉が稼働しており、そのうちの17基は容量220メガワット、残り2基は540メガワットの発電施設となっています。しかしジャイタプールに建設が予定されている原子炉は容量1650メガワットと、これとは比べものにならない規模を持ち、更により多くの核分裂を起こす燃料を使用する計画となっています。すなわち、これまで以上に質の高い原発の建設、運営維持管理、そして監視が求められることになります。しかし、インドにおける原発事故のデータが示しているように、比較的小さな原子炉の運営管理すら、インドではお粗末な安全管理基準や想像を絶する低い技術的レベルによって実施が難しい状況です。(そのために起きた事故のうち)最もひどい例の一つが、1994年にカイガ原発で起きた炉心溶融事故でした。

福島では4つの原子炉における事故がいまだ続いており、複数の原発監視機関が福島の事故からの教訓を分析しているところです。(ジャイタプールのような)地震発生の危険性が高い地域で、又、(インドのように)原子力技術が低い国、ひどい汚職が大きな問題となっている国で、そして原発の運営管理を監督するための独立した監督組織が存在しない国、このように複雑な原子炉の管理経験を持たない国で世界最大規模の原子力発電施設の建設に支援を行うことは、全く常道を逸した行為だと言えるでしょう。」

(続く)
(« Jaitapur, candidat à un second Fukushima ? », Bastamag.net, 2011.07.18)
http://www.bastamag.net/article1665.html

2011年11月 5日 (土)

「汚染瓦礫の移動と焼却により、日本中で癌が増加する」クリストファー・バズビー教授(9月27日)

欧州放射線リスク委員会の技術議長、クリストファー・バズビー教授。福島原発事故の発生直後から、チェルノブイリでの健康被害データに基づく日本での癌発生率の増加予測などを発表してきました。

日本政府が進めている、放射能による汚染瓦礫を日本各地の自治体で焼却処分する方針について、バズビー教授は科学者の立場から3つの問題点を指摘しています。


● 放射能による汚染瓦礫は、汚染の拡散を避けるために(人の居住に適さない重度の)汚染地域の地中に厳重な安全配慮のもとに埋めて処分すべきものである。

● 汚染瓦礫を日本各地(特に汚染の少ない日本南部)で焼却することにより、放射性物質が拡散し、全国で子どもの白血病や心臓疾患を含めた癌が増加することになる。

● 日本全国で癌の発生率が増加することにより、将来、原発事故による放射能被害で癌になった子どもへの補償を求める訴訟を起こす際、被害者との比較対象となる「放射能の被害を受けていない子ども」が存在しないことになり、正確な比較ができなくなる。現在の日本政府の政策は、こうした狙いによるものではないか。


詳しくはバズビー教授自身によるyoutubeの動画でどうぞ(sievert311さんがupしてくださっています)。瓦礫処理の問題については、約5分のところから始まります。

http://www.youtube.com/watch?v=ONCvKnwcOBI

<参考>
バズビー教授による試算「2016年までに、福島原発から200キロ圏内で約41万7千件の癌が発生する」
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/20612004174115-.html

2011年11月 3日 (木)

「チェルノブイリの掃除人」一千人が社会手当の打ち切りに一斉抗議。ウクライナ国会前/ルモンド紙(11月1日)

「お前たちは我々の恥だ!」

チェルノブイリ原発事故発生直後、国のため、そして家族のために命をかけて事故処理にあたった「掃除人」たち。その多くが作業直後に死亡しました。11月1日、彼等への社会手当打ち切りに関する法案に抗議して、千人あまりの元事故処理人たちがウクライナ国会前に集結、怒りの声を挙げました。

国のために尽くした人間を捨てようとする政府・政治家への怒り、そして尊厳を持って抵抗を試みる人々の表情が印象的です。
 
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11月1日、チェルノブイリの「掃除人」千人余りがキエフ市にあるウクライナの国会敷地内への入場をこころみた。この日集まったのは、1986年に起きたチェルノブイリ原発での大惨事の後、チェルノブイリ原発周辺の除染作業に関わった元作業員達。彼等への社会手当打ち切りを目指す法案成立に反対している。9月に初めて議決が行われたこの法案は、ウクライナ社会に抗議の怒号を引き起こした。

この日、元作業員たちは「お前たちは我々の恥だ!」と叫びながら国会の周りにある金属製の格子を壊した。抗議者たちの正面には100人余りの機動隊員が立ち、彼等を押し返した。

●写真はこちら
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/11/01/des-liquidateurs-de-tchernobyl-tentent-de-prendre-d-assaut-le-parlement_1596757_3244.html
(画像の左上にある数字をクリックすると次の画像が見れます。)

<各写真の説明>
1.ここが、チェルノブイリ大惨事の際に事故処理や除染に当たった千人近くの元「掃除人」たちが集まるキエフ市の国会前である。

2.(国会を囲むフェンスが壊される。)

以下、写真のみにて省略。

(一部要約・編集)

(LeMonde.Fr avec AFP, « Des liquidateurs de Tchernobyl tentent de prendre d’assaut le Parlement », Le Monde, 2011.11.1)

http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/11/01/des-liquidateurs-de-tchernobyl-tentent-de-prendre-d-assaut-le-parlement_1596757_3244.html

2011年11月 2日 (水)

原発輸出の最前線(5)「インド・ジャイタプールの原発反対運動」その4/ルモンド・ディプロマティーク(4月19日)

ルモンド・ディプロマティークによる記事の最終回です。長い記事ですが、各節に多くの情報が凝縮されています。ゆっくりどうぞ。

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「インド・ジャイタプールの原発反対運動」

プラフル・ビドワイ(Praful Bidwai、ジャーナリスト、ムンバイ在住)
訳:木田剛(ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版2011年4月号)


5. 社運をかけたロビー攻勢

 原発反対派の団結を崩そうと、マハラシュトラ州政府は宗教まで持ち出した。ムスリムの利害は多数派のヒンドゥー教徒とは一致しないと吹聴して、イスラム指導者たちを賛成に回らせようとしているのだ。最近では、高名な市民が相次いで現地入りを阻止された。元最高裁判事や元海軍元帥、共産党書記長、社会科学系の著名な研究者などだ。州政府は3月上旬には、現地で予定されていた民衆法廷の公聴会を禁止し、参加予定の法律家1名を含む活動家数名に退去命令を出した。

 「ジャイタプールはアレヴァの存続に関わる案件だ。アレヴァは経営危機に陥っており、大量の資本投下を必要としている。ジャイタプールの計画が流れれば、経営危機はさらに深刻になる。だから同社は、住民の意に反して計画を続行するために、インド政府に猛烈なロビー攻勢をかけている」。同社の軌跡を追ってきた物理学者ヴィヴェク・モンテイロはこう解説する。

 インドの環境大臣が原発建設に「環境上のゴーサイン」を出したのは、サルコジ仏大統領のインド訪問を間近に控えた2010年11月26日のことだった。他方、インド政府は、同年10月に原発事故時の外国企業の責任を規定した原子力損害賠償法を可決させている。アレヴァが大きな圧力をかけていた法案だ。原発関係者の念頭には、1984年にボパールで起きた化学薬品工場の爆発事故があった。少なくとも2万人の死者が出たが、犠牲者にはいまだに賠償金が支払われてはいない。

 ジャイタプールの原発計画にかかっているのは、アレヴァの採算だけではなく、原子力分野における世界の主導権争いだ。新星のインドと中国は、国内のエネルギー生産を原子力によって3倍、4倍に引き上げるつもりでいる。もし両国の原発計画が頓挫すれば、原子力産業の世界的凋落が一気に加速することになろう。

(了)

この記事は、ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版のサイトからは既に削除されていましたので、リンクは張っていません。フランス語版の出典記事はこちらです。
http://www.monde-diplomatique.fr/2011/04/BIDWAI/20396

原発輸出の最前線(4)「インド・ジャイタプールの原発反対運動」その3/ルモンド・ディプロマティーク(4月19日)

前回に引き続き、ジャイタプールの記事を読んで行きます。

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「インド・ジャイタプールの原発反対運動」

プラフル・ビドワイ(Praful Bidwai、ジャーナリスト、ムンバイ在住)
訳:木田剛(ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版2011年4月号)


4. 生物多様性と地震の危険
 
ジャイタプール原発計画には、植物学者たちによるとインド固有植物の密度が最も高い生態系の真っただ中という立地決定も批判の的だ。ここは生物多様性にとっても、それに依存した豊かな農業・園芸・漁業経済にとっても、かけがえのない地域である。山脈地帯にあるコンカン海岸には、5000種以上の顕花植物、139種の哺乳類、508種の鳥類、179種の両生類が生息しており、その内325種は絶滅が危惧されている(2)。地域の2大河川であるクリシュナ川とゴーダヴァーリー川の水源はここにあり,他に類を見ない生態系が存在するのだ。

 この地域では5000隻以上の漁船が操業している。ムスリムが住民の大多数であるナテ村に住む漁師、アムジャド・ボルケルは言う。「季節労働者に多くの州の最低賃金の3倍から4倍払えるくらいわれわれは稼いでいる。なのに原発はここの経済を破壊してしまう。われわれには漁業しかない。インド第1号のタラプール原発が地域の漁師を壊滅させたように、ここも原発に息の根を止められる。だから、農家と手を携えて反対運動を行っている」

 漁民たちは、特殊な構造物や沿岸警備隊の展開という施設周辺の警備態勢のせいで、漁場が狭められることを心配している。しかも、原発からは海水より5度高い水が毎日合計520億リットル放出されるようになるため、死んでしまう魚が増えるおそれがある。

 もっと深刻なのは、ジャイタプールが地震多発地帯に位置することだ。1967年12月11日にマグニチュード6.3の地震がジャイタプール北100キロのコイナで発生し、177人が死亡し、約5万人が家を失った。環境保護団体グリーンピースはこう指摘する。「ジャイタプールでは過去20年の間に、マグニチュード5を超える地震が3回起きている。1993年のマグニチュード6.3の地震は、9000人の死者を出した。2009年の地震では、ジャイタプールで橋が崩落した。立地の選択に当たって、こうしたことはまったく考慮に入れられなかった(3)」。インド原子力発電公社は、地震対策のために設計変更するつもりがあるかどうかを明らかにしていない。

(続く)

この記事は、ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版のサイトからは既に削除されていましたので、リンクは張っていません。フランス語版の出典記事はこちらです。
http://www.monde-diplomatique.fr/2011/04/BIDWAI/20396

原発輸出の最前線(3)「インド・ジャイタプールの原発反対運動」その2/ルモンド・ディプロマティーク(4月19日)

10月29日、野田首相は訪日中のインド外務大臣に対し、12月頃を目処にインドを訪問したい意向を伝えました。背景には、福島原発事故の発生により頓挫していた原子力協力協定(原発輸出や技術協力の前提となる協定)締結を加速させたい両国の思惑があります。

昨年12月、フランスのサルコジ大統領はアレバ社の社長(当時)とともに、ジャイタプール原発の建設加速に向けインドを訪問しました。フランスとインドが進める「世界で最も安全」な「最新型」の原発建設計画については、科学者からも疑問の声があがっています。

フランスによるインド訪問の1年後、野田首相もまた、同じ道を行くのでしょうか。

「原発輸出の最前線、インド・ジャイタプール(1)」に続き、インドの西海岸ジャイタプールに再び目を向けたいと思います。前回その一部を掲載した「インド・ジャイタプールの原発反対運動」の続きを掲載します。

(もうこの記事を読んでしまった方、ごめんなさい。大事な記事ですので、読んでいらっしゃらない方向けに掲載します。)
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「インド・ジャイタプールの原発反対運動」

プラフル・ビドワイ(Praful Bidwai、ジャーナリスト、ムンバイ在住)
訳:木田剛(ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版2011年4月号)

<前回のお話はこちら>
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/2419-fb00.html


3. 原発のリスクと「金めっき」の電力

 原発反対派は、この計画が住民の必要性から出てきたものではないと主張する。放射性物質が日常的に排出されることを心配する。フクシマのような惨事への懸念は言うまでもない。北部ラジャスタン州の原発や東部ジャルカンド州のウラン鉱山の周辺ではがんや先天性欠損症の発生率が異常に高いことも、スレンドラ・ガデカルのような政府から独立した国内研究者のデータを通じて住民たちは知っている。数世紀にわたり、危険の消えない高レベル放射性廃棄物が施設内で生み出され、貯蔵されることも不安の種だ。

 「頭が小さかったり、足が無かったりする子供や孫が生まれてくるのは嫌だ」。地域最大の村マドバンに住むプラヴェーン・ガヴァンカルはこう語り、計画に反対することが「われわれの生活と五体の満足を守る唯一の方法だ」と言う。

 原発の抱えるリスクや費用について、村人たちは数年がかりで調べてきた。アレヴァがフィンランドで進めるEPR型原子炉、オルキルオト3の計画が難航していることも、ガヴァンカルは知っていた。チェルノブイリ原発事故後に欧州で初めて着工された原子炉だが、いまだに工事が続いている。工期は42カ月遅れ、予算は90%超過し、アレヴァと現地電力会社が泥沼の訴訟で争っている。もともとは、建設費は30億ユーロで確定、欧州で初めて「市場原理に基づいた」原発計画という触れ込みだった。超過費用を誰が払うかの決着は付いていない。

 ガヴァンカルは憤慨する。「インドの恥さらしだ。どこでも試されたことも、認可を受けたこともない。フィンランド、英国、米国、さらにはフランスの検査官が、3000件あまりの安全上の問題点を指摘している。そんな原子炉を輸入するだなんて」。原子力省の下で原発施設の安全性検討に当たる機関、原子力規制委員会(AERB)のゴパラクリシュナン前委員長の発言もそれを裏付ける。「EPRは規模が大きいため、大量の中性子が生成される。ヨウ素129など腐食性と有害性のある放射性核種が、通常の50万から100万キロワット級よりも大量に生み出され、放射能漏れが起きた場合には、燃料棒の健全性にも住民の健康にも多大な影響を及ぼす。EPRには極めて深刻な安全性の問題があるようだ。インドには、この技術の評価と安全性認証をできるような機関はないのではないか。少なくとも原子力規制委員会にはそうした能力はない」

 インドの原発で用いられているのは、米国やカナダ、近年ではロシアから輸入した型の原子炉だ。ゴパラクリシュナンによれば、EPRの初期投資コストは(オルキルオト3の価格に上乗せがなかったとしても)1000キロワット当たり2億ルピー(約3億6000万円)を超える。国産炉なら8000から9000万ルピー(約1億4000万から1億6000万円)、石炭火力発電所なら5000万ルピー(約9000万円)に収まるところだ。「EPRは『金めっき』の電力を生産し、下流産業を破綻に追い込むだろう。さらに悪いことに、インドは当初、技術を獲得済みのカナダ式天然ウラン重水炉を原発計画の中心に据えていたのに、この方針を転換することになる。EPR路線の採用は、軽率で非合理的ではなかろうか」とゴパラクリシュナンは語る。この見解は原子力委員会のイエンガル元委員長をはじめ、他の有力な原子力関係者にも共有されている。

(続く)

この記事は、ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版のサイトからは既に削除されていましたので、リンクは張っていません。フランス語版の出典記事はこちらです。
http://www.monde-diplomatique.fr/2011/04/BIDWAI/20396

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