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2011年12月

2011年12月30日 (金)

事故「収束」宣言後の福島第一原発と消される被曝労働者(その2)/フクシマ・オーバー・ブログ(12月17日)

(「その1」からの続き)

2. 「闇労働」の実情と公式記録から消される高度被曝作業員

(福島第一原発で東芝系列会社の請負作業員として汚染水の処理に従事した)独立系記者の鈴木智彦記者はまた、福島原発内の事故処理現場における悲惨な労働環境について証言し、作業員が被る健康被害へのリスクに警笛をならしている。

すなわち、臨時の請負作業員についてはその経歴すら確認しない。東芝と日立が繰り広げる「競争」のせいで、共有されるべき情報が互いに隠されている。日本ではこうした情報全てが日常的に隠されている。原発作業員が契約の中で、現場で見聞きしたことを外部の人間に話す権利を奪われているからである。

東京電力は6月20日、福島第一原発で事故処理作業に従事した69名の作業員に関する名簿を紛失したと発表した。東京電力が「紛失」した名簿に記された作業員の数は、その後7月21日のNHKによる発表では198名、12月15日のFukushima Diary(注2)によれば840名にまで膨れ上がっている。これら「行方不明」扱いの作業員たちの健康状態については、これまで継続して危惧の声が上がってきている。

Fukushima Diaryによれば、3月から7月にかけ福島第一原発で働いた21歳の作業員が心筋梗塞で死亡している。死亡後に遺体の解剖が行われなかったために、この作業員の死は福島原発における公式の死亡者記録からは消されている。福島原発から東に22キロの距離にある川俣町に住む自営業の佐久間さんが、岩上靖己記者の取材に答え明らかにしたものだ。(注3)

死亡した青年には、銀行に三千万円の借金があった。自分の身に及ぶ放射能の危険を知りながらも、福島原発へと働きに向かったのである。こうした証言によって、最も汚染された地域で極限の状態での作業を強いられている「名前の無い」労働者たちの状況が明らかになっている。毎時1〜2シーベルトもの放射線量の場所で除染を強いられるなど、最悪の条件下での労働を強制され、最後には(死亡して)「行方不明者」にされてしまうのである。

原発から20キロ圏内の立ち入り禁止地域を守る警察官もまた、被曝の被害者である。彼等は自らが働く場所の放射線量を知らされていない。佐久間さんが計測した時には、毎時約100マイクロシーベルトを記録していた。警察官に死亡者が出ても、彼等は原発による死亡者リストには加えられない。原発作業員ではないからである。

ホコリよけのマスク一つで汚染地域に立つ警察官たちは、自分たちの身が危険にさらされていることを知っているのだろうか?今日、実際に何人の関係者が原発事故に関する作業の後で生存しているのかは明らかになっていない。東京電力が公表している匿名のリストでは、確認が不可能なのだ。

(抜粋、一部編集。小見出しはフランスねこが付けました。)

(« Les disparus de Fukushima », Fukushima over blog, 2011.12.18)
http://fukushima.over-blog.fr/article-les-disparus-de-fukushima-93065109.html 

(注2)Fukushima Diary http://fukushima-diary.com/

(注3)
● 「福島県伊達郡川俣町 東電住民説明会 10月20日」
(岩上安身オフィシャルブログUstream) http://iwakamiyasumi.com/archives/13861#more-13861

●<参考>「21歳原発作業員の死について東電を追及した福島県川俣町の佐久間忍氏インタビュー」(Tommy さんのマイページ 10月25日)
http://www.freeml.com/bl/8513681/37822/

事故「収束」宣言後の福島第一原発と消される被曝労働者(その1)/フクシマ・オーバー・ブログ(12月17日)

今月も、フランス各紙は日本政府の原発政策と福島第一原発事故への対応をリアルタイムでほぼ連日報道しました。今回は「フクシマ・オーバー・ブログ」から、福島原発の現状と被曝を強いられる原発作業員についての記事を2回に分けてお届けします。

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1. 原発事故「収束」宣言と継続する非常事態

野田総理が12月16日に行った福島第一原発の冷温停止と原発事故収束宣言に対し、同原発で働く作業員たちからはあきれと憤りの声が上がっている(以下、東京新聞より引用)。

「政府はウソばっかりだ」
「言っている意味が理解できない」
「ろくに建屋にも入れず、どう核燃料を取り出すかも分からないのに」

作業を終え、首相会見をテレビで見た男性作業員は

「俺は日本語の意味がわからなくなったのか。言っていることがわからない。毎日見ている原発の状態からみてあり得ない。これから何十年もかかるのに、何を焦って年内にこだわったのか」

とあきれ返った。

(東京新聞 「作業員『政府ウソばかり』」2011年12月17日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121702000035.html 

独立系記者の鈴木智彦は、7月13日から8月22日までの間、福島第一原発で東芝系列会社の請負作業員として汚染水の処理に従事した(注1)。この勇気ある現場記者によれば、福島原発の状況は「収束」どころか、全く進展していない。東京電力は第一号機への「建家カバー」取り付け、第四号機の外壁洗浄など、分かりやすく目立つ部分の処置を行って状況が制御できているかのような印象を与えようとしている。しかしこのような短期的な処置は、何の解決にもつながらない。

問題は以下の3点に集約される。

・ 原子炉の冷却作業により発生し続ける汚染水への対処方法はいまだ見つかっていない。11月15日の時点では既に10万6千トンにも達していると見られるが、世論の圧力が無ければ、東京電力はこの汚染水を海へ投棄していただろう。

・ 1964トンもの核燃料を格納する7つの燃料プールは、常時冷却が必要な状態にある。東京電力は12月1日、通常7メートルの水位が必要な第四号機の燃料プールの水を、水位1.5メートルまで蒸発させてしまった。これらの燃料プールは非常に危険な状態にあり、今後何十年もの間多大な予算を投入して監視と維持管理を継続しなければならない。

・ 第一号機、第二号機、第三号機で溶融した核燃料257トンに相当する溶融燃料は、未だどこにあるのか分かっていない。どこにあるか分からないものについて、「制御できている」と言うことができるのだろうか。

危機解決には進展が見られていないが、もう予算が無い。日本政府と東京電力は、事故処理にあてる予算を大きく削減するために「収束」を宣言することを思いついたのである。(続く)

(抜粋、一部編集。小見出しはフランスねこが付けました。)

(« Les disparus de Fukushima », Fukushima over blog, 2011.12.18)
http://fukushima.over-blog.fr/article-les-disparus-de-fukushima-93065109.html 

(注1)鈴木智彦氏 潜入取材(Youtube)
http://www.youtube.com/watch?v=H8EJ8ePtOEI&feature=related 
http://www.youtube.com/watch?v=5Yd8DMkhBn0&feature=related 

2011年12月28日 (水)

ビル・ゲイツ、中国の原発開発に投資/12月8日(クーリエ・アンテルナショナル)

今年も残りわずかとなりました。寒さの中、慌ただしく師走を迎えられた方も多いのではないでしょうか。1年前、2011年がこのような年になると想像だにしなかったことを反省しつつ、私たちの日本が少しでも安心して暮らせる国になるよう、そして被災者の皆様が少しでも心に平安を見いだせるよう、祈ってやみません。思う程更新できませんでしたが、このブログについてもマイペースで続けられればと考えています。来年もどうぞよろしくお願い致します。

以下、少し前の記事ですが、人道的支援で注目を浴びるビル・ゲイツ氏が、利益率の高い中国での原発ビジネスに投資しているという記事を御紹介させて頂きます。
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「ビル・ゲイツ氏は、新型原子炉の開発に向けて我々と共に努力を行ってくれています」

中国政府が設立した民間・軍事原子力開発部門の監視機関である中国国家原子力公社(CNNC)のサン・キン局長は12月2日、このように公式宣言を行った。香港のサウス・チャイナ・モーニング紙によれば、マイクロソフト社の創立者であるビル・ゲイツ氏は、2009年来取り組んでいる中国での核の共同開発に関する中国国家原子力公社との協議に向け、12月中に訪中の見込みである。ビル・ゲイツ氏は従来の原子炉に比べ放射性廃棄物の排出が少ない、低い濃縮度のウランを使用する「清潔な」原子炉の開発に注力するテラ・パワー社を主催している。

( « Bill Gates se branche sur le nucléaire», Courrier International, n°1101, 2011.12.08)
http://www.courrierinternational.com/article/2011/12/08/bill-gates-se-branche-sur-le-nucleaire

<参考> ビル・ゲイツが中国との原発共同事業模索(by Various Topics)
http://afternoon-tea-club.blog.ocn.ne.jp/blog/2011/12/post_be1c.html

2011年12月25日 (日)

「引き続き、食品の汚染に注意」在日フランス人向け公報(8)/IRSN(12月12日)

フランス放射線防護原子力安全研究(IRSN)は12月12日、日本在住のフランス人向けに「福島第一原発事故に関する公報(8)」を発表しました。前回の公報(9月22日)から大きくは変わっていませんが、食品汚染の広がりに対し引き続き強い注意喚起をうながす内容となっています。特に、米の汚染について重点的に言及しています。

尚、本公報はフランス政府が自国民あてに発表しているものではありますが、一般の目に触れることを意識し日本政府への外交的配慮のもとに作成されています。日本政府による取り組みや検査結果に言及しているのは、こうした配慮の表れと見ることができます。また一部の食品については、既に出荷制限の解除等が実施されていますが、発表当時の原文そのままの訳とさせて頂きました。ご理解の上、お読みいただければと思います。

※12月26日追記:訳の確認がとれましたので、「1.1 10月と11月の食品汚染 概況」に「アイナメ」(下線標記)を追記しました(ユキさん、御指摘ありがとうございました)。

(一部省略・編集しています)
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1. 食品汚染の状況

今日、放射能による汚染の可能性があるのは次の食品群である。

・ 放射性降下物が降った3月の時点で葉がついていた植物からなる食品類(例:茶をはじめとする常緑樹、柚子、および刺のある小低木になる果実類)、

・ 同じく、事故当時に花が付いていた果実類(例:桃などの早咲きの花をつける果実類)。

<参考>「刺のある小低木になる果実類」には、ブルーベリー、レモンなどが含まれます。参考写真はこちら:http://www.google.co.jp/search?q=arbuste+épineux&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=F7iFTrzzBoncmAXKyfUE&ved=0CB4QsAQ&biw=1259&bih=636 

・ 汚染された土壌で生産された野菜類

・ 汚染された草や藁で育成された動物からなる食品(特に、牛乳および肉)

・ 海産物については、福島第一原発近郊の海底に蓄積した放射性物質により、海藻類や魚介類への汚染が継続している。


1.1 10月と11月の食品汚染 概況

土壌で生産される野菜類については、全般的に汚染度が下がる傾向が見られた。しかし下記のものについては、日本政府が設定した出荷基準、および摂取基準を超えるものが見つかっている。

(※がついたものは、該当県内の複数の地域において出荷制限の対象となっている)

・ 福島県において生産された柚子(※)、キウイフルーツ、柿、ザクロ

・ 東京都および埼玉県で生産された精製済み茶葉、および神奈川県で生産された茶の生葉(※)

・ 福島県で生産された乾燥ハーブ類(ドクダミ茶)

・ 福島県で生産されたわさび

・ 海・湖・川で取れた特定の魚介類(ワカサギ、エイ、メバル、マコガレイ、アイナメ、オヒョウなどの海の魚、および福島県・秋元湖で穫れた鮭)

・ 温室栽培・露地栽培・野生を問わず、福島県(※)、千葉県(※)、宮城県、茨城県(※)、栃木県(※)、神奈川県、長野県、静岡県の各県で栽培されたキノコ類

・ 福島県と宮城県産の牛(※)

・ 福島県と栃木県のイノシシ、鹿、および熊の肉

・ 福島県の米と宮城県産の糠(ぬか)

・ 以前、基準値を超える汚染が見つかったタケノコや梅についての検査結果は発表されなくなっているが、生、乾燥、缶詰などの形で市場に出回る可能性がある。


1.2 米への汚染に関する注意点

・ 日本政府は土壌におけるセシウムの汚染が1キロあたり5000ベクレル未満の場合にのみ稲作を認めている。国際的な文献によれば、このレベルの汚染がある土壌から籾(もみ)に移行するセシウムの最大値は理論上1キロあたり300ベクレルとされている。(参考:前回は、以下に「しかし、事故が起きた原子力発電所の近辺で栽培された籾に理論値以上の汚染度のものが現れる可能性は否定できない。」が追記されている)

・ 日本政府は、放射性セシウムによる土壌の汚染度が1キロ当たり1000ベクレル以上、もしくは土地の放射線量が毎時0.1マイクロシーベルト以上の主に東北と関東の自治体において、米の収穫1週間前と収穫後の二段階にわたる検査を義務づけている。

・ 収穫前に実施される米の抜き取り検査で放射性セシウムの含有量が1キロ当たり200ベクレルを超えた場合には、該当地域は検査の優先対象地域に指定され、収穫後の米について比較的多くのサンプルの抜き取り検査が実施される。しかし1キロ当たり200ベクレルを下回った場合には少数のサンプルについてのみ収穫後の検査が実施される。

・ こうした日本政府による検査体制には限界が見られる。福島市では、収穫前の検査で米1キロ当たりにつき136ベクレルの放射性セシウムしか検出されなかったのに対し、収穫後には検査の対象となった2つの田のうちの1つで、1キロ当たり630ベクレルの汚染が見つかった。収穫前と収穫後の検査の間に米が熟成し米粒が乾燥することにより、自然と放射性セシウムの含有量が上昇することが考えられる。

・ 収穫前の検査では放射性セシウムによる汚染を十分に把握できないことから、こうした検査体制には不安が残る。(現在、)複数の自治体が日本政府に対し、全ての米を検査するよう求めている。

・ 米における放射能汚染は主に籾殻(もみがら)に溜まる。従って、白米への精製の過程で汚染度はより低くなる。逆に、糠(ぬか)については米に含まれる放射性セシウムの主要部分が含まれている。糠はそのまま食される、もしくは家畜の餌として使用されうる。

・ 一般に、米は精製の過程で種々のものが混ぜられるため、検査の対象となっている白米は異なる複数の田から収穫された米の混合物である可能性がある。このため米全体の汚染は薄められ、市販される米の汚染度は下がる可能性がある。


2. 日本に住むフランス人一般への食品汚染に関する勧告

日本で実施されている食品の放射能汚染に関する検査では、野菜に関する汚染度が全般的に低下しているように見える。しかし福島第一原発における事故によって発生した放射性降下物の被害を強く受けた県の生産物については、引き続き厳重な注意が必要である。IRSNは下記を勧告する。(前回からの追加点は下線で表示しています)

・ 3月11日以降、基準値を超える放射能汚染が見つかっている県(福島、栃木、茨城、宮城、群馬、埼玉、東京、神奈川、千葉の各県)で生産された、柚子、イチジク、柿、ざくろ、キウイフルーツなどの果物類、およびキノコ類を避ける。もしくは、汚染度が基準値を超えないことが確認されている食品のみを摂取する。

・ 缶詰や乾燥食品などの保存食のうち、特に茶、ハーブティー(注:ドクダミ茶等を指していると思われます)、タケノコ、梅、を含む食品については、生産日が原発事故の発生前であることを確認する、もしくは出荷制限のかかっている地域外で生産されたものであることを確認してから摂取する。

米については、可能な限り特定の産地のものに偏らないよう注意し、福島、宮城、栃木、茨城の各県で生産された糠(ぬか)を摂取しないこと。

・ 生産地や放射線濃度が分からない食品については、日常的な摂取を控える。

・ 収穫されたばかりの生産物は、市場に出たばかりで汚染値に関する検査が発表されていないことから、摂取をさけること。

・ 海産物については、特にイカナゴ、ワカサギ、エイ、メバル、マコガレイなどの海魚、および鮎、鮭などの川魚、海藻、その他の魚介類について、汚染度が基準値を超えていないことを確認する、もしくは西日本の海でとれたものであることを確認してから摂取すること。

・ 牛肉については、検査を経たもののみを摂取する。また、可能な限り生産者が全ての製品について検査を行っている質の高い肉を選ぶこと。

森林地帯に住む野生動物の肉(イノシシ、鹿)を摂取しない。


3. 放射性降下物の影響が最も高い地域(福島周辺の4県)に渡航する可能性のある者、および現地に居住する者への勧告(前回からほぼ変更無し)

・ IRSNは、宮城、茨城、栃木、そして特に福島県が福島原発事故による放射性降下物の深刻な被害を被ったと考えている。立ち入り禁止区域を除く福島、宮城、茨城、栃木については、業務上の渡航および重要な所用がある場合には、下記の注意事項を全て遵守することを条件に渡航することができる。しかし不要に放射能による被曝を受けることを避けるため、趣味や旅行などの重要な所用以外での渡航は控えること。

・ 日本政府が立ち入りを禁止している福島原発から半径20キロメートルの地域及び葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町の一部、南相馬市の一部には決して立ち入らないこと。


4. 宮城、茨城、栃木、福島の4県に居住するフランス人への勧告事項(前回からほぼ変更無し)

・ 汚染度に関する検査が実施されていない自宅の家庭菜園から収穫した野菜や、家庭で飼っている家畜動物を食用に用いるのを最大限に控える。

・ 土壌に触れた野菜や果物については、食べる前に注意してよく洗うこと。

外部から建物の内部に汚染物質を持ち込まないよう、家庭での衛生状態を良好に保つようつとめること。特に、下記に注意する。

・ 雨の日は靴を家の中に持ち込まない。

・ 濡れた雑巾で床を定期的に拭く。

・ 家具、カーペット、敷物の表面に定期的に掃除機をかける。掃除機の中袋を定期的に交換する。

・ 無意識に手が口に触れて汚染が起きないよう、ポンプ式容器に入った液体石けんで手を定期的に洗う。

・ 幼い子どもが遊んでいて戸外の土や砂の粒を口にいれないよう、常に見張っていること。

IRSN「福島第一原発事故に関する公報(8)」 12月12日号(仏文)
http://www.irsn.fr/FR/Actualites_presse/Actualites/Documents/IRSN_Residents-Japon_Bulletin8_12122011.pdf

2011年12月22日 (木)

秋の落ち葉で深まるセシウム汚染/ビュルタン・エレクトロニック(12月16日)

日本原子力研究開発機構(JAEA)天野治氏の警告によれば、福島県南部の森林地帯では、放射性セシウム137による汚染濃度が気がかりなレベルにまで上昇している。汚染濃度は6月以降下がり続けていたが、この一ヵ月間は進展が見られない。

森林地帯における放射線汚染濃度が上昇したのは、雨が降り、樹木の木の葉が落ちた後のことだった。樹木を汚染した放射性セシウムは、木の葉に吸収された後に秋の落ち葉となって地面に落ち、土壌の汚染を広げたのである。

「木の葉が地面に落ち始めると、森林地帯の中ではマスクが必要になります」

と天野氏は述べる。こうした汚染は森林地帯にとどまらない。山や樹木から流水がそそぐ都市部もまた、汚染されている。

神戸大学大学院海事科学研究科の山内知也教授(放射線物理、放射線計測)によれば、福島市もまたその被害をこうむっている。6月には1平方メートルあたり93万1千ベクレルだった汚染濃度が、9月には、福島市渡利地区に位置する家屋の軒下で1平方メートルあたり479万4千ベクレルにまで上昇した。森林地帯が福島市の近くに位置するために、汚染はさらに拡大したのである。

福島市から70キロ離れた南相馬市の沿岸でも同じ現象が観測されている。南相馬では、現地の建設業者が周辺の山間部から流れ込む流水の放射線量が上がっていることに気づいた。

他方、南相馬市の異なる地点で観測された放射線量は、6月には毎時2.4から4.5マイクロシーベルトの間を示していたが、11月には毎時1.5から3マイクロシーベルトに推移した。これらの値は自然界に存在する放射線量の範囲にとどまっていることから、それほど深刻ではない。しかし数値が減少していない点については懸念が残る。しかし、小学校の近隣地域など幾つかの地点では放射線量が毎時20マイクロシーベルトを上回っており、深刻なレベルに達している。

(一部編集)

(« Fukushima : la contamination des forêts atteint un niveau critique », Bulletin Electroniques, 2011.12.16)
http://www.bulletins-electroniques.com/actualites/68548.htm

2011年12月18日 (日)

福島原発から200キロ―岩手、千葉でもセシウムによる住居内汚染、「深刻」/ACRO&ヌーベル・オプセルヴァトゥール(12月15日)

放射性セシウムは福島原発の周辺にとどまらず、日本の広い地域で食品や住居内を汚染している。チェルノブイリ原発事故の後にフランスで設立された市民による独立研究機関の一つ「西部地域・放射能検査室」(ACRO)は、福島原発から200キロ圏内に住む住民13世帯宅で使用されている掃除機の中袋に付着したホコリを調査、その結果を公表した。

<参考>ACROによる公表データ(日本語)はこちら
http://www.acro.eu.org/OCJ_jp#23

これによれば、全ての世帯について掃除機の中袋から放射性セシウム134と137が検出された。当然ながら、福島原発に一番近い地域は放射能による最も深刻な汚染の被害を受けており、原発から50キロの地点にある福島市渡利(わたり)では、ホコリ1キロ当たりにつき約2万ベクレル(セシウム134と137の合計)が検出された。渡利では現在、米の出荷が禁止されている。

セシウムによる深刻な汚染は福島県にとどまらず、岩手県一関市や(福島原発から約200キロの距離にある)千葉県柏市の民家屋内における調査でも見つかっている(1キロあたり5千〜6千ベクレル)。

こうした状況についてACRO関係者は、

「日本政府が定める避難の基準は屋外における土壌汚染の度合いにのみ基づいており、汚染された地域であっても、屋内にいれば住民に危険が及ばないかのように想定している。」

と指摘している。

ACROは5月、7月、9月に、福島を初めとする地域において、子どもの尿についても検査を実施した。その結果によれば、汚染されていない食品を摂取していれば1ヶ月で半減すべき体内のセシウムのレベルが、5月以来ずっと下がらない子どもが何人も見つかっている。又、9月には初めて、東京に住む子どもの尿からもセシウムが検出された。食品の放射能汚染は内部被曝の主な原因となっている。しかし食品による汚染もまた、日本政府による避難の基準では考慮されていない。

(要旨、一部編集)

( Morgane Bertrand, « Fukushima : radioactivité sous le tapis », Le Nouvel Observateur, 2011.12.15)
http://tempsreel.nouvelobs.com/planete/20111214.OBS6758/fukushima-radioactivite-sous-le-tapis.html

2011年12月15日 (木)

福島原発事故から9ヶ月―南仏アヴィニョンで脱原発を訴える1キロメートルの人の鎖/ラ・プロヴァンス(12月12日)

「サルコジ仏大統領が進める第二のフクシマへの道、『サルコシマ』を許すな!」

900名のフランス市民たちは、福島原発事故から9ヶ月を迎えた1211日、南仏の古都アヴィニョンの城壁を手に手を取って取り囲み、原子力発電への抗議行動を行った。世界中で環境保護を望む人々が手をつなげば、原子力から素早く脱却することが可能になることだろう。この夢を実現させるために、脱原発を訴える「原子力から脱却する市民の会」(Sortir du nucléaire)、「グリーンピース」、「クレアヴィニョン」などの市民団体らがアヴィニョン市で定期的に行なっている人の鎖による抗議行動は、過去6ヶ月のうちに勢いを増している。924日にダラディエー橋で行なわれた抗議行動に参加した市民の数は500名だったが、1015日にアヴィニョン駅とラ・ポルト・ラムベールの中間地点で行なわれた抗議には600人が参加、今回は900名が参加した。

「今行動しなければ、明日は放射能だ!」

「原発を止めろ!脳味噌を働かせろ!」

「『サルコシマ』を許すな!」

 『サルコシマ』は、サルコジ大統領によるトリカスタン原子力発電所(注)への訪問に対する批判と福島原発事故への反省を同時に言い表した造語である。この日の抗議行動が福島原発事故から9ヶ月目の記念日に重なったのは偶然ではない。日本の原発で起きた事故以来、多くの疑問が噴出した。

「福島での事故は原子力の安全神話を崩壊させ、エネルギー政策を本当に転換させなければならない、という事実を私たちに突き付けたのです。」

抗議行動を行なった市民団体を代表するジャン・ピエール セルバンテスは言う。

「代替エネルギーによる発電料金は、もうすぐ原子力による電気料金を下回ることになります。」

「原子力は、僕たちや僕たちの子供たち、そして僕たちの住む地域にとって脅威なのです。」

 この日リヨン市から参加したヨーロップ・エコロジー・緑の党ローヌ・アルプス地域の副代表フィリップ・メイリュは言う。

「大企業は、原発の技術を外国に売るためにローヌ地方の全ての谷を原発のショールームに作り変えたいと考えているのです。」

 脱原発を訴える関係者たちはもちろん、2012年のフランス大統領選に立候補者を準備している。

(注)トリカスタン原子力発電所では、ウランの流出や放射能漏れなどの事故が相継いでいる。(日本語による報道/動画はこちらhttp://www.youtube.com/watch?v=Ayu4U-QKnEY

(要約、一部編集)

(Jeël RUMELLO, « Avignon : une chaîne humaine d’un kilomètre contre le nucléaire », La Provence, 2011.12.12)

http://www.laprovence.com/article/avignon/avignon-une-chaine-humaine-dun-kilometre-contre-le-nucleaire

2011年12月13日 (火)

内部被爆後の「健康な食生活」とは?/土井里紗

「内部被爆はもうゼロにはできない。あとは自分で健康を守る努力をすることだ。僕たちはそうやって放射線に勝って来た」たばこをやめ、早寝早起きし、ご飯をよくかむ―—。

(肥田舜太郎・注1)

放射能を浴びた私たちがこの先ずっと放射性物質と隣り合わせで生き続けなければならない状況にあって、どんな風に「健康な生活」を送れば良いのだろうか。

内科医の土井里紗は、「可能な限り、被曝量を減らし、浴びてしまった分はできる限りの対策をして病気を予防する。」(p.65)という答えとともに、食生活の改善を中心としたいくつかの具体的な方策を提示している。

私は彼女が推奨するサプリメントのファンではない。しかし「被曝」を電磁波やタバコ、化学物質などの他の発癌物質にさらされた場合と同様に「癌の芽を作り出す要因」ととらえて「芽生えてしまった癌を育てないよう気を配る」という考え方自体は、今の状況にあって有用であるように思える。チェルノブイリ原発事故の後、多くの子どもたちは身体の急激な「老化」とともに様々な疾患に襲われ亡くなっていった。彼女が説く老化対策が被曝への対策にある程度重なっているのも、現実の文脈では大きな違和感が無いように見える。

今日は、『内科医が教える放射能に負けない体の作り方』(土井里紗著、光文社新書、2011年(760円+税):注2)から参考になると思われる点をいくつか選んで御紹介します(本稿は特定の療法をお勧めするものではありません)。

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1. 癌は二つの段階を経て発生する〜「放射能」という発癌物質(p.78-80)

癌は二つの段階を経て発生します。第一段階は「イニシエーション」と呼ばれる癌の芽を生む段階です。第二段階は「プロモーション」と言われ、癌を育てて行く段階です。

放射線は、タバコ、紫外線、電磁波、化学物質、古い油などの発癌性物質と同様に、遺伝子に傷をつけて癌を引き起こす「イニシエーター」の一つに数えられます。他方、癌の芽を育てる「プロモーター」に当たるのが、タバコ、過度の脂肪、タンパク質、アルコール、塩分・糖分、人口甘味料などです。正常な細胞がイニシエーションによって突然変異をおこし、プロモーションによって不死化し、「癌細胞」へと成長してゆくのです。

しかし、栄養を与えなければ、イニシエーターによって生まれた癌の芽も枯れてしまいます。それには、食生活が大いに関係しています。特に福島原発事故によって被曝した私たちにとって、プロモーターの影響を断つことが大切になってきます。

2. 「味噌汁と玄米ご飯、甘いものは控えめ」で原爆投下後の長崎を生きのびる(p.107)

被曝を前提とした「健康な食生活」とはどのようなものを指すのでしょうか。例を交えてご説明しましょう。長崎への原爆投下直後から被爆者の救護と治療にあたった正フランシスコ病院の秋月辰一郎医師は、わかめの味噌汁と玄米食を病院の従業員に勧めました。また、味噌は煮ない、砂糖などの甘いものは避ける、等の指導も合わせて行いました。不思議にも、秋月医師および同僚の医師や看護師らは原爆症を発症することが無かった、と言います。

ここで興味深いと思えるのは、広島大学等の研究により味噌の放射性物質に関する除去作用と放射線障害の予防作用が指摘されているという点です。マウスへの実験では、放射線照射の一週間前から味噌を食べさせていた場合でも効果は得られましたが、2週間前から毎日食べさせていた場合が最も効果的であったそうです(p.110-111)。また、味噌の熟度で放射線防御効果に違いが出ることが指摘されており、特に酵素が多く含まれる完熟味噌の効果が高いと言われています。酵素が失活しないようにするには、味噌の温度が65〜70度を噌えないよう煮込まないよう注意する必要がありますが、この点は秋月医師の「味噌を煮込まない」という指導に不思議にも合致しています。

3. 海藻でストロンチウムを排出する

わかめにも放射性物質の除去に重要な成分が含まれています。ヨウ素による放射性ヨウ素への予防はもちろんですが、原発事故の発生後も食品における汚染が十分に計測されておらず、骨の癌などの危険性が懸念されているストロンチウムについても、海藻に含まれるアルギン酸ナトリウムを摂取することでストロンチウム90の腸管からの吸収を50〜80%減らすことができることが報告されています(p.118)。

また、汚染されていないカルシウム源を十分に摂取することで、ストロンチウムが体内に入ることを防ぐことができます。こうした意味では、味噌汁にわかめや煮干しを入れて食べることもストロンチウム対策には効果的かもしれません。わかめの味噌汁は一例に過ぎませんが、放射能の排出をも促す健康な食生活のあり方について示唆を与えてくれています。

(注1)「プロメテウスの罠 無主物の責任13」朝日新聞12月6日

(注2)『内科医が教える放射能に負けない体の作り方』(土井里紗著、光文社新書、2011年(760円+税)http://www.amazon.co.jp/内科医が教える-放射能に負けない体の作り方-光文社新書-土井里紗/dp/4334036376

2011年12月10日 (土)

「除染は原子力村の新しい収入源になっています」ルモンド紙による小出助教へのインタビュー(12月8日)

ルモンド紙は12月8日、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教へのインタビューを掲載しました。ここではその一部をご紹介します。
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京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は、日本の原子力分野で最も注目される人物の一人だ。日本政府の原子力政策に異を唱えたために、他の同様の考えを持つ科学者たち同様、ほぼ40年間にわたって科学界の「牢獄」に閉じ込められてきた。小出助教は何の責任も任されず、少しの予算しかあてがわれない「助手」に留められてきた。

原子力の危険性に警笛を鳴らす小出助教の著作は(長い間)世間の注意を集めることなく置き去りにされてきた。しかし福島で起きた悲惨な事故の発生以来、小出氏の2冊の著作―『原発はいらない』(注1)と『原発のウソ』(注2、仏語訳では出版されていない)―は現在も上位6位以内に入るベストセラーとなっている。又、小出助教による発言が掲載されているブログは、福島原発事故に関するブログ類の中でも最も読まれているものの一つに数えられる。


● 福島原発事故から9ヶ月が過ぎました。どんな教訓を引き出すべきでしょうか。

原発は人間が操作する機械です。失敗が起きないということは有り得ません。大学で勉強した後、僕は自分の人生を原子力に捧げたいと思っていました。僕は、どちらかと言えば保守的な学生だったと思います。そうしているうちに、1970年代の初め頃、女川原発の建設に反対するデモに同席する機会がありました。なぜ反対するのか、僕には分かりませんでした。しかし自分で調べるうちに、少しずつですが原子力の危険性について自覚が芽生えて行ったのです。日本に地震や津波があるから危険だと言うだけではありません。現在のレベルの科学では、原子力発電は危険なのです。どんな場所にあっても。


●日本政府の態度についてどう思いますか?

恥ずべきものだと思います。日本政府による福島原発事故への対応は、複数の面で非難を免れません。危険の過小評価、情報隠し、当初は原発から半径3キロ以内の地域の住民に対してのみ「念のため」避難するように勧告した、といった被災者の救出に関する遅れがありました。そして避難区域は同心円状に拡大されて行きました。放射能は風の流れによって(北西方向へ)動いて行ったのに、です。


●日本政府は今後、どうすべきでしょうか?

今すぐ全ての原発を停止すべきです。福島原発事故のレベルの事故がもう一度起きたら、日本はもう立ち直ることはできません。原発で発電しなければ電気が足りなくなる、という脅しは嘘です。現在停止させられている水力発電や火力発電の施設を以前のように稼働させれば、従来通り電気が確保できるのです。


●日本の研究者の大多数が政府の原子力政策を支持してきたのはなぜですか?

原子力の推進は政府の政策です。学術界やメディアはそれに追随してきました。そして、科学者たちは自分たちの世界に引きこもって、社会的責任を放棄してきたのです。政府と原発を動かす電力会社は、事故は起きないと信じようとしました―事故は起きないと信じるリスクの方を取ったのです。


●あなたは、原子力の歴史は差別の歴史だと発言しています。

原子力による発電は、特定の社会層を犠牲にすることで成り立っています。原発は電気を使う都市の近くではなく、自らを守る術をもたない人々が住む地方に建設されています。そして、大多数が組合に参加している正社員ではなく、請負労働者に大部分の被曝リスクが押しつけられているのです。原発で働いたことにより被曝に苦しめられている被害者の86%が「原発ジプシー」、すなわち請負契約の労働者なのです。


● 日本政府は「新しい段階」へと移りたがっています。「復興」や「除染」といった言葉が何度も繰り返し聞こえて来ます。

原子力推進のロビー勢力―私たちは「原子力村」と呼んでいますがーは同じ場所に居座り続けています。除染が彼等の新しい収入源となり、「復興」は建設会社にとっての思いがけない贈り物となりました。本当に除染をやるというなら、福島県内の全ての地区でやらなければなりません。でも、放射能に汚染された土をどこに持って行くと言うのでしょうか。


(注1)『原発はいらない』幻灯舎ルネッサンス文庫 880円
http://www.amazon.co.jp/原発はいらない-幻冬舎ルネッサンス新書-こ-3-①-小出-裕章/dp/4779060486

(注2)『原発のウソ』扶桑社新書 777円
http://www.amazon.co.jp/原発のウソ-扶桑社新書-小出-裕章/dp/4594064205/ref=pd_sim_b_1


(Philippe Pons, « Pour le nucléaire, il n’y a jamais de responsables. Trop d’intérêts sont mêlés… », Le Monde, 2011.12.08)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/12/07/pour-le-nucleaire-il-n-y-a-jamais-de-responsables-trop-d-interets-sont-meles_1614282_3244.html

2011年12月 8日 (木)

「福島原発事故の原因は地震」事故調査・検証委員会の報告案固まる/ルモンド紙(12月8日)

政府による「東京電力 福島原子力発電所の事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)は、福島原発事故の原因を津波ではなく地震だったと結論している―同委員会が中間報告書を発表する12月26日を前に、報告書案の骨子が漏れ聞こえ始めている。これは、12月2日に発表した報告書で事故の直接的原因を13メートルに及ぶ津波だったと主張している東京電力にとって悪い知らせだ。

東京電力の主張は全く説得力がないと見なされている。委員の一人をつとめる九州大学の吉岡斉(ひとし)副学長は、「(東京電力の主張は)仮説以上の何者でもない」と考えている。委員会は中間報告書の中で、原発の配管に深刻な損害を引き起こしたのは、むしろ津波の前にやってきた地震だったと述べる予定だ。

「仮に津波への防御があったとしても、何も問題が起きなかったと証明する事実は何も無いのです。」

アエラ誌の記者、吉岡氏は言う。12人いる委員の大多数が同意見だ。

委員会は福島原発第四号基の設計にたずさわった技師の一人、田中三彦氏からの聞き取りを予定している。田中氏は9月に雑誌「科学」に発表した論文の中で、東京電力が5月15日にコンピューター上で行った事故のシュミレーション結果を分析している。この結果は日本政府を通じて国際原子力機関(IAEA)にも報告された。しかし、東京電力が報告した時系列による水位と圧力の変化は事故発生時のものと異なっていた。数ある情報源の中でも技術者の手によるノートを重視する田中氏は、実際のデータによれば、配管が津波の到達前に既にひどい損壊を受けていたとしか考えられない、と言う。大波の前に冷却装置の機能は既に失われていたのだろう。

1997年以来、大きな地震の後には原発事故が起きると予見して来た地震学者の石橋克彦も、同じ説を主張している。

「地震、そしておそらく液状化現象によって、原発の基礎と配管網に直接損壊が起きたと考えられます。」

石橋氏は4月、ルモンド紙にこう述べた。

東京電力は、耐震基準が見直され原発の設計自体を見直すことを余儀なくされることを恐れ、地震が事故の原因だと認めたがらない。もし耐震基準が見直されれば、原発の再稼働は数年先に延期されるからだ。

(要約・一部編集)

(Philippe Mesmer, « Séisme ou tsunami : quelle est la cause de l’accident de Fukushima ? », Le Monde, 2011.12.08)

2011年12月 6日 (火)

ストレステストに合格した原発の安全性は?グリーンピースによる追加の「無料ストレステスト」/ルモンド紙(12月5日)

原発の安全は、完全な警察国家でなければ守れないー

フランスのグリーンピースによる原発内部への侵入成功は、安全性に関するストレステストの実施にもかかわらず脆弱であり続ける原発の姿とともに、その「安全性」の確保が強い警察力を行使する強権国家をもってしてしかなされない矛盾をも示しているように見えます。今日の記事には2つのポイントがあります。

●「ストレステスト」は本当に原発の安全性を示すことができるのか。
●安全管理が難しい発電方法のために警察や軍を強化・動員しなければならない現状を、どうとらえるべきか。

<参考> 産経ニュース 11月14日 「原発テロへの備え強化」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/111114/plc11111419120013-n1.htm

(12月7日に一部追記・修正)
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12月5日の朝、仏グリーンピースの活動家たちはノジャンシュールセーヌ原発への侵入、フランスの原発が外部からの侵入に脆弱であることを証明した。活動家たちはこの日、原発の丸い屋根によじ上り「安全な原子力など存在しない」という大弾幕をかかげて見せた。

フランス憲兵隊の特別部隊(注)が設置した監視カメラは、柵を乗り越えて侵入してきた活動家たちをとらえていたが、平和的な反原発活動家であると分かったので過度な暴力を使用せず職務質問をするにとどめることにしたのだと思われる。

クロード・ゲアン内務省大臣はこの日の夕刻、原発周辺の安全設備の改善を宣言しつつこう述べた。

「(グリーンピースによる行動で)我々が設置した安全装置の無能さが歴然となった。安全体制が今日ある状態より堅固になるよう、今回の件から全ての教訓を引き出さなければならない。」

福島原発事故が起きた翌日にフランス政府とEU政府がフランスの原発に課したストレステスト(追加の安全性評価)の結果について、フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)は既にノジャンシュールセーヌ原発を含むフランス国内の58箇所全ての原発について安全かつ合格である旨の報告書を政府に提出している。

しかしこの「テスト」には、地震などの大規模な自然災害、冷却装置の大きな故障、人為的ミスによる事故といったものしか想定しておらず、悪意ある人物による破壊行為やサイバー攻撃、飛行機の墜落やテロリストによる破壊行為は含まれていない。グリーンピースは、IRSNの報告書が過去に見つかった問題点や福島で起きている問題から十分な教訓を引き出してないと指摘している。

EUは5月に27カ国の加盟国が合同ストレステストの内容に合意した際には、(原発を推進する)フランスやイギリスが最小限の項目についてテストを行うことを主張し、安全性の基準を増やすことを提案したドイツやオーストリアを振り切って主張を通すことに成功した。緑の党の関係者たちは、今回のストレステストが重要なリスク要因を審査の対象としていないことから、「原発という選択を正当化するためのアリバイ作りだ」と指摘してストレテストの結果受け入れを拒否している。

(注)2001年9月11日にニューヨークで起きたテロを受け、フランス国内では2009年以来18基の原発に憲兵隊の特別部隊が配置されている。しかし安全体制は万全とは言いがたい。フランス国内には現在58基の原発がある。憲兵隊によれば、外部からの攻撃の際には2時間以内に30人程の警護隊が現地にかけつけることになっていると言う。

(要約、一部編集)

(Louis Imbert, « A Nogent, Greenpeace remet en question les « stress-tests » nucléaires », Le Monde, 2011.12.05)

2011年12月 5日 (月)

フランス国会議員団が2基の原発を抜き打ち検査/ウエスト・フランス(11月30日)

フランスでは2012年の大統領選に向け、原発の安全性、脱原発をはかるための原発産業における従業員への雇用確保、などが毎日のニュースで話題となっています。今日は、過去に事故を起こした二つの原発についての、国会議員団による抜き打ち検査について御紹介します。
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フランスの国会議員が結成する「科学技術の選択に関する評価委員会」は11月30日、パルエルとブライェにある国内2基の原発(注)について、安全に関する抜き打ち検査を行ったと発表した。二つの原発はフランス電力公社(EDF)が所管しているが事前の通告はなされず、原子力安全庁との調整により実施された。

今回の抜き打ち調査は「原子力の安全と関連会社の位置づけ、そしてその将来」についての調査の一環として実施された。フランス電力公社によれば、これら二つの原発はいずれも水辺の脇に建設されており、パルエル原発は海峡を挟むイギリスの対岸に、ブライェはジロンド河の河口に位置している。水位が大幅に上昇した場合には危険が予想されると言う。

(一部編集)

(注)パルエル原発では、冷却装置の故障を含む複数の事故が過去に起きている。バライェ原発でも過去に複数の事故が記録されており、2005年には大量の汚染水が大雨の後に漏れ出し、国際原発事故基準(INES)のレベル3に相当する事故を引き起こした。しかし周辺住民の退避は行われず、後に大きな問題となった。

(« Nucléaire : contrôles parlementaires surprises sur deux centrales » Ouest France, 2011.11.30)
http://www.ouest-france.fr/ofdernmin_-Nucleaire-controles-parlementaires-surprises-sur-deux-centrales_6346-2017014-fils-tous_filDMA.Htm

2011年12月 1日 (木)

12月1日より、稼働中の原発は9基のみに/フィガロ紙(11月30日)

九州電力は12月1日、日本に現在ある54基の原発のうち、45基目の原発停止に踏み切る。今回停止されるのは、2010年11月初めに再稼働となった玄海原発第一号機。この古い原発は既に30年以上稼働しており、今回28回目の維持管理を受ける予定。日本では約13ヶ月ごとに、定期点検のため75日から120日にかけ原子炉を停止することと定められている。これを受け、12月1日以降は九州電力が所有する6基の原発のうち1基のみが稼働していることとなる。最後に残された玄海原発第四号機も、数週間後には定期点検のため停止しなければならない。

先週関西電力が高浜原発二号機を停止したのに続き、今回の玄海原発第一号機停止されれば、日本国内で稼働する原発は9基のみとなる。又、残る原発のうちの3基もまた、数週間のうちに停止させられる予定となっている。再稼働の時期については何も決まっていない。

菅直人前首相は国内世論調査における圧倒的大多数の意見を踏まえ、日本の段階的な原子力脱却を宣言した。しかし、後任の野田佳彦首相は、安全性が確認されることを条件に原発の再稼働を主張している。

http://www.lefigaro.fr/flash-actu/2011/11/30/97001-20111130FILWWW00446-japonnucleaire-un-reacteur-a-l-arret.php

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