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2011年12月13日 (火)

内部被爆後の「健康な食生活」とは?/土井里紗

「内部被爆はもうゼロにはできない。あとは自分で健康を守る努力をすることだ。僕たちはそうやって放射線に勝って来た」たばこをやめ、早寝早起きし、ご飯をよくかむ―—。

(肥田舜太郎・注1)

放射能を浴びた私たちがこの先ずっと放射性物質と隣り合わせで生き続けなければならない状況にあって、どんな風に「健康な生活」を送れば良いのだろうか。

内科医の土井里紗は、「可能な限り、被曝量を減らし、浴びてしまった分はできる限りの対策をして病気を予防する。」(p.65)という答えとともに、食生活の改善を中心としたいくつかの具体的な方策を提示している。

私は彼女が推奨するサプリメントのファンではない。しかし「被曝」を電磁波やタバコ、化学物質などの他の発癌物質にさらされた場合と同様に「癌の芽を作り出す要因」ととらえて「芽生えてしまった癌を育てないよう気を配る」という考え方自体は、今の状況にあって有用であるように思える。チェルノブイリ原発事故の後、多くの子どもたちは身体の急激な「老化」とともに様々な疾患に襲われ亡くなっていった。彼女が説く老化対策が被曝への対策にある程度重なっているのも、現実の文脈では大きな違和感が無いように見える。

今日は、『内科医が教える放射能に負けない体の作り方』(土井里紗著、光文社新書、2011年(760円+税):注2)から参考になると思われる点をいくつか選んで御紹介します(本稿は特定の療法をお勧めするものではありません)。

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1. 癌は二つの段階を経て発生する〜「放射能」という発癌物質(p.78-80)

癌は二つの段階を経て発生します。第一段階は「イニシエーション」と呼ばれる癌の芽を生む段階です。第二段階は「プロモーション」と言われ、癌を育てて行く段階です。

放射線は、タバコ、紫外線、電磁波、化学物質、古い油などの発癌性物質と同様に、遺伝子に傷をつけて癌を引き起こす「イニシエーター」の一つに数えられます。他方、癌の芽を育てる「プロモーター」に当たるのが、タバコ、過度の脂肪、タンパク質、アルコール、塩分・糖分、人口甘味料などです。正常な細胞がイニシエーションによって突然変異をおこし、プロモーションによって不死化し、「癌細胞」へと成長してゆくのです。

しかし、栄養を与えなければ、イニシエーターによって生まれた癌の芽も枯れてしまいます。それには、食生活が大いに関係しています。特に福島原発事故によって被曝した私たちにとって、プロモーターの影響を断つことが大切になってきます。

2. 「味噌汁と玄米ご飯、甘いものは控えめ」で原爆投下後の長崎を生きのびる(p.107)

被曝を前提とした「健康な食生活」とはどのようなものを指すのでしょうか。例を交えてご説明しましょう。長崎への原爆投下直後から被爆者の救護と治療にあたった正フランシスコ病院の秋月辰一郎医師は、わかめの味噌汁と玄米食を病院の従業員に勧めました。また、味噌は煮ない、砂糖などの甘いものは避ける、等の指導も合わせて行いました。不思議にも、秋月医師および同僚の医師や看護師らは原爆症を発症することが無かった、と言います。

ここで興味深いと思えるのは、広島大学等の研究により味噌の放射性物質に関する除去作用と放射線障害の予防作用が指摘されているという点です。マウスへの実験では、放射線照射の一週間前から味噌を食べさせていた場合でも効果は得られましたが、2週間前から毎日食べさせていた場合が最も効果的であったそうです(p.110-111)。また、味噌の熟度で放射線防御効果に違いが出ることが指摘されており、特に酵素が多く含まれる完熟味噌の効果が高いと言われています。酵素が失活しないようにするには、味噌の温度が65〜70度を噌えないよう煮込まないよう注意する必要がありますが、この点は秋月医師の「味噌を煮込まない」という指導に不思議にも合致しています。

3. 海藻でストロンチウムを排出する

わかめにも放射性物質の除去に重要な成分が含まれています。ヨウ素による放射性ヨウ素への予防はもちろんですが、原発事故の発生後も食品における汚染が十分に計測されておらず、骨の癌などの危険性が懸念されているストロンチウムについても、海藻に含まれるアルギン酸ナトリウムを摂取することでストロンチウム90の腸管からの吸収を50〜80%減らすことができることが報告されています(p.118)。

また、汚染されていないカルシウム源を十分に摂取することで、ストロンチウムが体内に入ることを防ぐことができます。こうした意味では、味噌汁にわかめや煮干しを入れて食べることもストロンチウム対策には効果的かもしれません。わかめの味噌汁は一例に過ぎませんが、放射能の排出をも促す健康な食生活のあり方について示唆を与えてくれています。

(注1)「プロメテウスの罠 無主物の責任13」朝日新聞12月6日

(注2)『内科医が教える放射能に負けない体の作り方』(土井里紗著、光文社新書、2011年(760円+税)http://www.amazon.co.jp/内科医が教える-放射能に負けない体の作り方-光文社新書-土井里紗/dp/4334036376

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