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2012年1月 9日 (月)

元フランス電力公社社員&元フランス原子力庁の技術担当官が語る「原子力はやめられる」/その1:原子力は必要か?/ルモンド紙(1月4日)

フランス電力公社(EDF、フランス最大の電力会社)の技術者だったベンジャミン・デュスと、フランス原子力庁(CEA)の技術担当官を務めたベルナール・ラポンシュ。原子力を推進するフランス政府の手足としてこれらの組織を支え続けたかつての専門家たちは今日、政府から独立した電力分野の専門家集団「グローバル・チャンス」(世界的な機会)のメンバーとして、科学者の立場から脱原発に向けた発言を行っています。

今回は、1月4日にルモンド紙に掲載された2人の寄稿論文を、

「その1 原子力は必要か?」
「その2 原子力をやめるには」

の2回に分けて御紹介します。
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1. 「原子力は本当に必要か?」もうタブーは無い

フランスではこれまで常に、原子力は触れてはならない話題だと考えられて来た。しかし福島で起きた大惨事は状況を一変させた。最先端技術を持った国においてさえ、大事故は起きうるのだ。こうして、これまで念入りに避けられてきた全ての疑問が新たに沸き起こって来た。

●大規模な原発事故が起きる可能性

はもちろん、

●非常に危険な放射性廃棄物が(原子力発電をとおして)生み出されるという問題、

そして

●原子力兵器が(世界に)拡散する危険が増大するという問題

などがこれにあたる。

過去30年のうちに世界中にある450基の原子炉について深刻な被害を引き起こした大惨事は4例あったが(チェルノブイリ原発事故と福島の3基の原子炉が該当、約0.9%)、(フランス政府による)公式の事故発生の可能性は0.014%と実際の286倍も少ない数値を「想像」するにとどまっている。こうした状況から、私たちにはごく当然のこととして、原子力をやめることの正当性について問う権利がある。


2. 「原子力が必要」という3つの神話

こんな話をすると、原子力の信奉者たちは(原子力が必要であることを正当化するために)次の3つの議論を持ち出す。

① フランスがエネルギーを自給し他国からの自立を保つ必要性、
② 二酸化炭素の排出削減、
③ 原子力発電により非常に安価に抑えられている電気料金、

の3点である。これらの一つ一つについて検証してみよう。


神話(1)「原子力でエネルギーを自給」

フランスがエネルギーを自給しているというのは、全くの単純な思い違いだ。フランスは、石油や石炭やガスと同様、(原子力発電に使用する)ウランの供給についても他国に依存している。自給率50%どころか、我が国における実際のエネルギー自給率は8.9%でしかない。


神話(2)「原子力で二酸化炭素を削減」

また、フランスは原子力の利用により二酸化炭素を通常より40%も多く削減できているとされている。しかしこの数値は、原子力以外の電力を全て石炭で発電した場合を想定して計算されており、原子力の二酸化炭素削減効果を実際より非常に大きく見積もった上で算出されている。実際の削減効果は20%程度だ。


神話(3)「原子力で安い電気料金を実現」

原子力のお陰で、電気が破格の安値に抑えられている、ですって?ほとんどが使い古され老朽化した我が国の原子力設備を全て数に入れる現在の計算方法が正しい、というなら、それは本当だ。フランスの原発は使用耐用年数を30年に設定し建設されているが、全原発の平均使用年数はすでに26年にもなる。

また、現在の電気料金の計算方法では、必要不可欠な様々な必要経費が「注意深く」忘れ去られている。年月を経るに従い老朽化する原発に必要不可欠なリハビリ経費、福島原発事故の後で新たに見直された安全規定を満たすための安全対策費用、使用不能になった原発を廃炉にする費用、といった費用はこうした計算には含まれていない。これらを含めれば、原子力による発電経費は現在の2倍にまで膨れ上がる可能性がある。最新式の欧州加圧水型炉(EPR)に移行しても同じことだ。EPRについては、建設投資額の最高記録を日々更新しているが、これもまた電気料金に含まれることになる。

フランス原子力安全機関(ASN)は、福島原発事故の発生を受け追加的に実施した安全耐性評価(ストレステスト)に関する報告書の中で、安全対策のための膨大な命令事項のリストを示して我が国の原発が脆弱であることを明確にした。この命令を実行すれば、原子力発電による電気料金の値上げは避けられない。

フランス政府はこういい続けている。「我が国は約80%もの電力を原子力に頼っているのだから、これを続けるしか無い。」過去の悪い慣習は、こうして同じ悪習を正当化するために使われる。風が吹こうが、潮が満ちようが、新たな津波が来ようが、という訳である。

(その2に続く。一部編集。小見出しはフランスねこが付けました。)

(Benjamin Dessus & Bernard Laponche, « En finir avec l’atome, c’est possible ! », Le Monde, 2012.01.04)
http://www.lemonde.fr/idees/article/2012/01/04/en-finir-avec-l-atome-c-est-possible_1625544_3232.html

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コメント

このお二人の話は下記の理由により、まっとうな認識であり、共有できます。

原発の危険性は福島で起こり得る事態として明らかになった。

ISO 12100機械安全性ガイドラインに従った
装置、燃料などについて、適切なリスクアセスメントが行われているか?

そしてその査定結果は公表されたいるか?(危険の内容と危険場所の熟知徹底)
また、これに対する安全対策はしっかりと行われたいるか?
安全対策費用は原価に見積もられているか?

原発のシビアアクシデントについて。
・リスクのグレード =「壊滅的」:死亡・障害・重傷で最悪。および被害人数規模も数千人と甚大
・リスク・カテゴリー=劇毒物、爆発、火災、広大かつ大量のな汚染物質飛散範囲、回収、回復の困難さ
・リスクの発生頻度=外的要因(天災・予期せぬ事故・テロなど)数十年に一度
             内的要因:冷却システム停止、動力源断、核燃料着脱移動時の落下
             誤操作、主要機器の老朽劣化・破損など、無数にあり
             きちんと網羅し、リスク査定し対策(不具合履歴分析)が取られているか?

その他の重大問題
・取り入れた水、空気は使用前の清浄さに戻して放出しているか?
・汚染水・空気の浄化。使用済核燃料の最終処分方法は確立しているか?
・事故発生時の近隣地域への広報、職員・住民の救出・避難・治療体制は有効に機能しているか?
・立地周辺を含めた広域オンライン放射線監視システムは災害時でも機能しているか?
・軍隊、消防隊などは放射線物質大事故に対する備えは十分か?

東京電力福島原発は全てが駄目でした。
1980年以降の比較的新しい原発でも、危険度の基本構造は変わらないでしょう。

などなど、原発とは
不明確かつ未解決の問題だらけの発電施設です。
利益を得ているのは電力企業と原発行政だけではないか?

                       

いつも 情報提供をして頂き ありがとうございます。

urakaze sayakaさん

詳しい御指摘ありがとうございます。科学者や技術者の立場からの発言についても、注意深く耳を傾けてゆきたいと思います。


奥田さん

遊びに来てくださってありがとうございます。
マイペースでやっていますが、引き続きどうぞよろしくお願い致します。

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