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2012年1月10日 (火)

元フランス電力公社社員&元フランス原子力庁の技術担当官が語る「原子力はやめられる」/その2:原子力をやめるには/ルモンド紙(1月4日)

「その1」に引き続き、元フランス電力公社(EDF)の技術者ベンジャミン・デュス氏と、元フランス原子力庁(CEA)の技術担当官ベルナール・ラポンシュ氏(注1)によるルモンド紙への寄稿記事の後半を御紹介します。

(1月11日に和訳を多少修正しました)
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3. フランスは今後20年で原子力をやめられるか?

ドイツ人は10年のうちに、ロウソク生活に戻ることなく、また国を滅ぼすこともなく原子力をやめようとしている。フランスでも、20年をかけてドイツ人のように原子力をやめることができるだろうか。答えは「イエス」だ。ただし、開発途上にある新興国を発展させ、化石燃料の採掘を最大限に抑え、世界的な二酸化炭素の排出量を二分の一に削減する、という3点を全て同時に可能にするためには、原発をやめるのに不可欠な電力供給体制の転換を、世界規模で行うことが前提となる。

電力供給体制の転換は、地球上の全ての国に適用されることになる。その核となるのは、電力使用量の抑制と効率化である。これは、石炭、石油、ガス、ウランといった化石燃料を、水力、風力、太陽光、バイオマス、地熱発電、潮力発電などの代替可能エネルギーにどんどん置き換えてゆくことにより達成される。こうした電力供給体制の転換は、電力や環境面での利点に加え、全ての国で新たな事業や雇用を生み出すことにも貢献する。


3.1.最新技術による電力使用量の削減

この転換をうながすためには、電力の節約が第一の優先事項となる。しかしフランスはこれまで、原子力発電のおかげで豊富でお買い得な電力が十分にあるという言い訳のもとに、最小限の節電努力すら行ってきていない。

あなたは知っているだろうか。私たちの隣人であるドイツ人たちは、1999年には私たちフランス人と同じだけの電力(注2)を消費していた。しかし2009年には、私たちフランス人より27%も電力の消費量を抑えることができるようになったという事実を?

また、現在使われている電熱式暖房機器の使用をできる限り早くやめて、より熱効率の高いヒートポンプや凝縮ボイラー(注3)などの暖房機器に転換する必要がある。そうすれば、私たちが必要とする電力量は現在の516兆ワット時(注4)から2020年には392兆ワット時に、そして2030年には338兆ワット時にまで削減することができる。

原子炉は使用後平均30年で廃炉になるが、その後の電力をどのように補えばよいだろうか。2009年にはフランス人消費者のために365兆ワット時の発電量を担っていた原子力は、2020年には180兆ワット時しか発電しないことになる。しかし、(サルコジ大統領が提唱する環境プロジェクト)グレネル環境円卓会議では、2020年までに代替エネルギーによる143兆ワット時の電力生産を目指している。これが実現すれば、エネルギー需要のほとんどを満たすことができる。

こうして、電力セクターから排出される二酸化炭素の量を現在のレベルより増やすことなく、天然ガスによる発電で70兆ワット時を補うだけで十分電力を確保できるということになる。代替エネルギーの開発を続ければ、2030年には原子力がなくとも同じく70兆ワット時の天然ガスによる発電で電力はまかなえるようになる。


3.2 原子力を続けるか、やめるか 〜費用面での比較〜

発電には、いくらかかるのか?計算によれば、同じ程度の経費で二つの選択肢がありえる。原子力を続けるシナリオでは、新しい原発の建設を行う場合の必要経費で全体の経費は上がって行く。他方、原発をやめるというシナリオでは、節電に必要な投資や電力生産や送電にかかる費用はそれほど多くない。

ところで、原発をやめる場合より、原発の維持管理にかかる費用の方がより大きくなる、という点を忘れてはならない。つまり、我が国の政府が何度も繰り返し言っているのとは逆に、20年後に大きな生活の変化をとげることなく原発をやめることは可能だ。原発をやめられるか否かは、私たちの意志にかかっているのだ。(了)


(注1)2人はスイユ出版より『原子力にさよなら』という本を出版している。

(注2)電化製品や電灯やオーディオ製品、コンピューターについての電力使用量。家庭用暖房に使用される電力を除く。

(注3)<参考>
ヒートポンプ(財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターのHPから)
http://www.hptcj.or.jp/hp_ts/chikunetu_m/index.html

凝縮ボイラー
http://blogs.yahoo.co.jp/yjmailinglist/trackback/924399/14250492

(注4)「1ワット時」とは、1ワットの電力を1時間消費もしくは発電したときの電力量。

(一部編集。小見出しはフランスねこが付けました。)

(Benjamin Dessus & Bernard Laponche, « En finir avec l’atome, c’est possible ! », Le Monde, 2012.01.04)
http://www.lemonde.fr/idees/article/2012/01/04/en-finir-avec-l-atome-c-est-possible_1625544_3232.html

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