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2012年2月 8日 (水)

廃棄物処理場を持たない台湾、「世界で最も危険な原発」の建設を再開/ルモンド紙(2月8日)

台湾で1月に行われた大統領選挙では馬英九総統の再選が決まりました。その馬政権の下で、国民の反対を押し切って原発の建設が再開されようとしています。

1. 台湾の原発:福島原発と同型・同時期の原子炉

昨年3月に福島で起きた原発事故の後、台湾人たちは自らの国にも福島原発と多くの共通点を持つ原発がいくつも建てられていたことを発見した。例えば、台湾の原発第一号機である金山原発(注)は、福島にある6基の原発のうちの5基と同じGE社製の「マーク1」型の原子炉を使用しており、事故を起こした福島原発とほぼ同時期(1978年)に作られた同型の沸騰水型原子炉だ。台湾では、日本と同様に強い地震と大規模な津波の危険性がある。


2. 放射性廃棄物の処理場、「存在せず」

台湾には現在3基の原発があるが、最初の原発が建設された34年前以来、台湾政府は放射性廃棄物を処理することなく敷地内にそのまま溜め込んできた。(「一つの中国」を推進する)中国の反対で国連に加盟できず、国家としてのステータスをも認められていない台湾は、海外に廃棄物処理を依頼することができない。また、台湾によるプルトニウムの抽出とこれに続く核兵器の開発を恐れる米国と中国の反対によって、国内での処理も実施できないままに現在に至っている。処理がなされていない大量の放射性廃棄物は、原発事故が起きた場合には国民を高度の危険にさらすことになる。

現在ある使用済み核燃料用の貯蔵プールの一つは、2014年にはいっぱいになると見られている。また、他の貯蔵プールについても、他の廃棄物と放射性廃棄物が混ぜて捨てられているなど、ずさんな管理が指摘されている。放射線防護協会の会長をつとめるピーター・チャン教授は、蘭嶼にある低放射性廃棄物用の中間貯蔵庫が、5年前より既にいっぱいになっていると指摘している。又、近隣の畑や田んぼでは1999年以来セシウムが検出されており、放射能漏れが指摘されている。政府は新たな廃棄物貯蔵庫の設置場所を探しているが、受け入れを表明している自治体は皆無である。


3. 高まる不安

チャン教授が1月の大統領選前に実施した調査では、70%以上の人が台湾の原発に関する安全対策は日本の対策に比べても劣っていると考えており、80%の人が、原子力に関連する事故が起きた際には、政府はうまく住民を避難させることができないだろうと考えている。


4. 新政権下での新規建設の再開

こうした中、1月14日に誕生した台湾新政権は、政権が誕生したその日に、建設が中断している第4号機の建設再開を指示した。第4号基は先に米国GE社とウェスチングハウス社が合同で建設した3基の原発と異なり、国営企業である「台湾電力」が建設を監修している。しかし台湾電力は第4号基の建設以前に原発を建設した経験が無く、これまでに多くの欠陥工事が指摘されている。台湾当局内で原子力の安全を所管する原子力委員会の安全局チェン・イービン局長は第4号基の建設工事を「完全な失敗」と指摘しており、政府内でも工事を完成させることへの支持は低い。第4号基の建設には、当初予定の4倍の20億ユーロ(約2千億円)の予算が必要と推定されている。

(注)<参考>台湾の原子力施設(日本原子力産業協会 資料)
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2007/taiwan_map.pdf 


(以下の2つの記事から一部を抜粋・編集しました。2月9日に一部の和訳修正を行いました。)

●ルモンド紙「台湾という原子力魔女の弟子」2月8日
(Florence de Changy, « Taïwan, l’apprenti sorcier du nucléaire », Le Monde, 2012.02.08)

●ルモンド紙「國聖、金山―世界で最も危険な二つの原発」2月8日
(Florence de Changy, « Kuosheng et Quinshan, deux centrales parmi les plus dangereuses au monde », Le Monde, 2012.02.08)

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コメント

フランスねこさんへ
日本の政府は放射能汚染された瓦礫処理を広域処理で 核汚染を日本全国に拡散させようとマスメディアのコメンテーターならびにオカルト議員や某新聞社の記者等々が公共の電波を使い科学的見地からでなく感情論に訴えております。
子供達の命までも守らない日本とは異常な国ではないでしょうか.人々をモルモットにでもと日本政府は考えているのかと 怖い国です。
悲しいかな日本政府=Nazi と思えてなりません。

奥田さん

コメントをありがとうございました。瓦礫処理の問題が再びクローズアップされていますね。福島や宮城の民家で使われていた薪ストーブの灰から高い濃度のセシウムが検出されているという報道もあり、焼却という処理方法の安全性が問われていると思います。

何故 民意に耳を傾けず 強引に国を汚染をさせようとするのでしょうか……
Zのような感じがしてなりません。

「ラッセル・アインシュタイン」を拡散しようとしたものです。
何か良いアイデアがあればご教授願えれば幸いです。

小林さん

コメントを頂きありがとうございます。「良いアイデア」はすぐには浮かばないのですが、それぞれの人がそれぞれの立場から、自分の得意分野で働きかけて行く事が大事なのではないでしょうか。パグ・ウォッシュ会議のように世界の科学者の立場から発言がなされることにも大きな意義があると思います。一緒に少しずつでも前に進んでゆきましょう。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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