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2012年2月11日 (土)

福島で故郷を思う 〜原子力施設をかかえる仏自治体の首長らによる南相馬市訪問(2)/ルモンド紙(2月2日)

前回の(1)に続き、1月末に福島を訪問した、原子力施設をかかえるフランスの自治体代表者たちの言葉を御紹介します。

<前回の記事はこちら>
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/122-d823.html
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●見えない敵

これは、一切の楽観主義を生み出さない状況だ。ストラスブール市(注)の副市長であるフランソワーズ・ビュッフェは、福島の農村風景を眺めながら地元ヴォージュにある森のことを思い出し、彼の地の自然が大量の放射性降下物のために

「今日では危険で触れることすら許されない」

ことを嘆き悲しんだ。そして周囲の放射線量があまりにも高いために、訪問団が持参した放射線測定器は度々警報音を発した。

飯舘村の菅野典雄村長はこうした放射能による汚染を「見えない敵」と呼ぶ。飯舘村は事故を起こした福島原発の北西約40キロの距離に位置し、有機農業を主体とする内陸の村だ。6千人の住民たちは(村が)運悪く原発事故の惨事が起きた最初の数日間に発生した非常に高い濃度の放射能を帯びた雲の通り道にあったために、避難を余儀なくされた。

「私たちは、風の気まぐれの犠牲になりました。」

菅野村長は村役場を移転させた先の福島市の郊外で悔しがる。菅野村長の証言は、聞く者の心を揺さぶらずにはいられない。彼の証言が示す放射能汚染の深刻な現状は、除染という複雑な課題によっても示されている。除染が進まないために、住民たちは今日、自らの村に帰ることができない。

「いつの日か、」

ジロンド県で地元住民のための原子力情報センター代表を務めるジャック・モーギャンは断言する。

「いつの日か、日本政府は勇気を出して、除染は時間だけが解決できる問題だ、ということを認めなければならないと思います。この土地を『普通』の状態に戻すには、少なくとも40年以上の時間が必要です。」

実際に、NGO「オンザロード(道の途中、On the Road)」の事務局長で、日本政府の復興委員会における委員をもつとめる伊地知 亮(いじち りょう)は、

「除染に力を注いでも、大した成果は出ません。」

と説明した。風や雨が、森や山に積もった放射性降下物を押し流す。そして事故を起こした原発は、毎時7千ベクレルのセシウムを吐き出し続ける。たとえ「除染」がなされても、数日後には再び汚染されてしまうのである。


●「見捨てられた」

フランスからの自治体代表者たちが心に留めたのは、何千もの住民、特に若者や子供たちを避難に追い込んでいる汚染の問題だけではない。彼等はまた、福島で出会った自治体の責任者たちが、事故発生後の数日間、(外の人間に)「見捨てられた」という思いを強く抱いたことに気づいた。

南相馬市は人口7万1千人を抱える海岸の町だ。津波の被害を受け、敷地の一部は(立ち入り禁止区域に指定されている福島原発からの)20キロ圏内に位置している。南相馬市の桜井勝信市長はあの日々のことをこんな風に振り返った。

「情報も、上からの指示も、物資の供給も、一切、何もありませんでした。私は全てをたった独りで決めなければならなかったのです。特に、『避難』という(重要な)問題について。」

これに対し、ジロンド県原子力情報センターのジャック・モーギャンはこんな風に感想をもらした。

「フランスでは通常、各県の知事が住民の避難についての決定を下すことになっています。でももし知事が決めなかったとしたら、私たち自治体の長はどうすればよいのでしょうか。」

原子力発電所においても、責任者たちは悲劇のただ中にあって、自らが全く孤立していると感じていた。このような(それぞれのレベルでの責任者たちと)東京電力本社との情報伝達の断絶を目の当たりにして、モーギャンはこう言わずにはいられなかった。

「(もし同じ状況に置かれたら、)フランス電力公社(注:フランス最大の電力会社)は東電と同じ行動をとるだろう。」

と。

(続く)

(注)ストラスブール市はEUの欧州議会を擁するドイツとフランスの国境町。http://ja.wikipedia.org/wiki/ストラスブール
ストラスブール市にあるフランス最古の原発「フッセンハイム原発」(1977年に竣工、稼働35年目)は老朽化による危険性が問題視されており、2011年4月には地元議会がほぼ満場一致で即時停止と廃止を求める決議を行った。フッセンハイム原発の廃炉は今年行われるフランス大統領選挙の争点の一つ。

(Philippe Mesmer, « A Fukushima, des maires français face à « l’ennemi invisible », Le Monde, 2012.02.02)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/02/01/a-fukushima-des-maires-francais-face-a-l-ennemi-invisible_1637285_3244.html

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