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2012年2月

2012年2月28日 (火)

「最悪のシナリオ」:福島原発事故当時、政府は首都圏3千5百万人の退避を検討/ルモンド・ブログ(2月28日)

2月27日付けのニューヨークタイムズ紙によると、福島原発事故が起きた当時、政府は原発を制御できなくなった場合を想定し、秘密裏に東京都と周辺の3県に住む住民3千5百万人を避難させるシナリオを描いていた。大学教授、司法関係者、ジャーナリストら13名からなる「独立検証委員会」が6ヶ月をかけて行った調査の結果として発表した。

<参考>「独立検証委員会」http://rebuildjpn.org/

またこの調査によれば、東京電力は事故現場を放棄して撤退を主張したが、菅直人首相の命令により事故の収拾作業を継続することを余儀なくされた。しかし委員会の専門家らによると、菅首相が当時こうした主張を行っていなければ、事故は更なる大惨事へと発展していたと予想される。

福島原発の周辺地域からは、事故発生後の最初の数週間のうちに数十万人の人が圏外への避難を行った。細野環境大臣によれば、一部の地域は強い放射能のために今後人が住むことができなくなる見込み。

(抜粋、一部編集)

(« Fukushima – L’évacuation de Tokyo aurait été envisagée », Le Monde Blogs « Big Browser », 2012.02.28)
http://bigbrowser.blog.lemonde.fr/2012/02/28/fukushima-levacuation-de-tokyo-aurait-ete-envisagee/#xtor=RSS-32280322

2012年2月27日 (月)

原子炉の覆いと格納容器にひび割れ 世界最古の原発inスイス「今すぐ止めてほしい」15団体が即時停止を要求/スイス・インフォ・コム(2月23日)

「『世界最古の原発』ベズナウ原発第一号基の即時停止を求める声、高まる」

英国オールズベリーの原発が廃炉になったことを受け、1969年から稼働を続けるスイスのベズナウ原発第一号基は世界最古の原発となった。グリーンピースや世界自然保護基金スイスを含む15の環境団体は、数々の問題を抱える同基(注)の即時停止を求めている。

「ベズナウ原発第一号基における安全問題の多くが、これまで置き去りにされてきました。」

環境団体は共同声明の中で、ベズナウ原発第一号基の電力供給設備に不安があること、そして原子炉の覆いと格納容器にひび割れが生じていることを指摘している。

「ベズナウ原発第一号基は、必ず廃炉にしなければなりません」

市民団体はまた、スイスの連邦核安全監督局(IFSN)が(破損した)原子炉の問題を真剣にとらえておらず、必要な安全対策を講じるよう電力会社を指導していないとして非難している。もしそれが本当なら、ベズナウ原発第一号基は2014年に終了する改装工事が終わるまで停止させなければならないことになる。

スイスの法律は原子炉の廃炉年限を定めていない。しかし国会の答弁では原子炉の安全は常に保たれなければならないと考えられている。原発を運営する電力会社は原発の安全性を証明する義務を負っており、連邦核安全監督局はこれを監督しなければならない。スイス連邦議会は国内で稼働中の5つの原発について、その廃炉年限を50年と見積もっている。これを受け、ベズナウ第一号基は2019年の廃炉が義務付けられている。

(注)ベズナウ原発では数々の危険が指摘されている。なお、同じタイプの問題は高浜原発その他の日本国内の原発でも指摘されている。

● ベズナウ原発・原子炉の上蓋に穴(「美浜の会」HPより)
http://www.jca.apc.org/mihama/vhpc/nirs_swiss_beznau.htm 

● ベズナウ原発で異常に高い放射線を検出し問題になったBNFL社製MOX燃料は、関西電力・高浜原発3・4号基でも使用されていた。BNFL社は自社の MOX燃料製造にかかるデータを捏造。ベズナウ原発と高浜原発以外にはドイツでも発覚し問題となった。(「美浜の会」HPより)
http://www4.ocn.ne.jp/~wakasant/news/55/55-2.htm 

オリジナル記事 スイス・インフォ・コム
(« Beznau I devient le plus vieux réacteur du monde : arrêt exigé », Swissinfo.ch, 2012.02.23)
http://www.swissinfo.ch/fre/nouvelles_agence/international/Beznau_I_devient_le_plus_vieux_reacteur_du_monde:_arret_exige.html?cid=32174166

2012年2月26日 (日)

「原子力からの撤退は致しません!」by絶対!原子力戦隊スイシンジャー/東京新聞・クーリエ・アンテルナショナル(2月23日)

たまには楽しくお笑いでも。今週のクーリエ・アンテルナショナルは日本の若いお笑い芸人&音楽家たちによる新しい作品をとりあげています。記事作成時点で9万人だった視聴者数は、本日時点で10万人を超えていました。

「絶対!原子力戦隊スイシンジャー」(Youtube動画)/尾米タケル之一座 
http://www.youtube.com/watch?v=0AcQJE_R0iw

(Yoko Nakagawa, « Rire pour combattre le lobby nucléaire », Courrier international. n°1112, 2012.02.23-29)

2012年2月24日 (金)

フランス産業大臣、放射線防護服で福島原発を視察「それほどひどくない」「これからも原子力をよろしく」/ル・パリジャン紙(2月21日)

フランスのサルコジ政権下で強力な原発推進派として知られるエリック・ベッソン産業大臣。

「ベッソン大臣、福島で原子力推進キャンペーン」

リベラシオン紙は今回のベッソン大臣による福島訪問をこう報道しました。サルコジ政権の支持率は低下し続けており、次回の大統領選挙についても社会党のオランド候補に大きく差をつけられていることから、原子力業界の票固めの意味合いがあるのかもしれません。ベッソン大臣は、野田政権の原子力政策を陰で支える政治家の一人です。1月末にはパリを訪問した細野大臣と会見、廃炉期間を40年に延長した際も歩調を合わせました。今回は、リベラシオンその他の各紙とほぼ同じ内容を報じているル・パリジャン紙の記事を御紹介します。

●写真や動画はこちら(フランス語のオリジナル記事です)

http://www.leparisien.fr/tsunami-pacifique/japon-eric-besson-visite-les-ruines-de-fukushima-21-02-2012-1870911.php

(訂正とお詫び:エリック・ベッソン大臣の名前を誤って「リュック・ベッソン」と記載していたため、訂正させて頂きました。申し訳ありませんでした。リュック・ベッソンはフランスの映画監督です。御指摘下さった方、どうもありがとうございました。)
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フランスのエリック・ベッソン産業大臣は2月21日、放射線防護用の白のつなぎ服と手袋・マスク姿で福島原発第一号機を訪問した。現地では出迎えた高橋 毅(たけし)所長らと共に原発内を視察。東京電力からは感謝の言葉を受けた。ベッソン大臣は現場で事故処理にあたる作業員と東京電力の責任者に対し、

「私はこれからも安全な原子力を信じ続けます。原子力セクターにもう一度命を吹き込んでくれるよう、皆様に期待しています。」

と発言。現場では今もおよそ3000人の関係者が事故処理業務にあたっている。

「この原発で事故が起きてすぐ、フランス政府とフランスの原子力業界は日本に支援と協力を行う意思を表明したいと考えました。」

敷地内をバスで見学した一行はその後、事故で最も大きな被害を受けた第四号基の前でバスを下車(リンク先の写真は四号基前で撮影されたもの)。ベッソン大臣の感想は、

「事故が思ったほどでなくて安心した」。

ベッソン大臣が福島原発で過ごした時間は50分。2時間程の全行程で受けた被ばく量は40マイクロシーベルト。汚染の無い環境で同じ時間を過ごした場合に比べ、200倍以上高い被ばく量だった。

(抜粋、一部編集)

(Abtoine Bouthier, AFP, « Eric Besson visite les ruines de Fukushima », Le Parisien, 2012.02.24)
http://www.leparisien.fr/tsunami-pacifique/japon-eric-besson-visite-les-ruines-de-fukushima-21-02-2012-1870911.php

リベラシオン紙の記事はこちら。
http://www.liberation.fr/terre/01012391316-besson-visite-la-centrale-ravagee-de-fukushima 

2012年2月23日 (木)

猿を福島の「放射線量測定用モルモット」に/ル・パリジャン(2月20日)

福島県の71%を覆う森林。この森林に蓄積した放射能は雨が降る度に流れ出し、谷間にある居住地域を汚染している。福島大学の高橋隆行(たかはし たかゆき)教授(ロボット工学)らのチームは、福島の森に住む猿たちに線量計とGPS(衛星利用測位システム)を設置し、事故を起こした福島原発周辺の高度汚染地域における放射能測定調査を実施すると発表した。

今回の調査は、重度の放射能汚染のために人間が立ち入ることができない地域で、詳細な汚染地図を作成することが目的である。特に放射能の「動き」を把握することを念頭に置いている。

汚染された森林地帯は、周辺に深刻な放射能汚染を引き起こす原因として懸念されている。フランスおよび日本で放射能測定を行っているフランスのNGO「アクロ」に所属するダヴィッド・ボワレーは、「森林地帯への対応は優先度が高い重要な問題」と述べる。場所によっては、重度の汚染により今後何十年もの間放射能が消えないと考えられている。

(抜粋、一部編集)

(”Des singes cobayes à Fukushima”, Le Parisien, 2012.02.20)
http://www.leparisien.fr/environnement/des-singes-cobayes-a-fukushima-20-02-2012-1869398.php

2012年2月22日 (水)

チェルノブイリ原発事故から16年後。ベラルーシの子どもたちに起きた異変は/映画「チェルノブイリ・ハート」

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故から16年後のベラルーシ共和国。放射能による汚染は、心臓に生まれつき穴があく「チェルノブイリの心臓」(チェルノブイリ・ハート)という形で多くの子どもたちに異変を起こしていました。

障害者の描き方等について一部で批判を受けている作品ですが、放射能汚染が子どもに与える影響を扱った映像が少ない中、現状の一端を伝える貴重な記録だと思います。これから生まれてくる子どもたちと一緒に放射能汚染の問題とどう向き合ってゆくのか。親として、社会の一員として、考えるきっかけを与えてくれる作品です。

マリアン・デレオ監督『チェルノブイリ・ハート』(2003年)
予告編はこちらです。http://www.gocinema.jp/c-heart/ 
大手のレンタルビデオ店でも貸し出しているようです。

2012年2月21日 (火)

福島原発から60キロ・福島市内で「被爆限度量」10倍以上の汚染「除染ではなく避難が必要」/ルモンド紙&グリーンピース(12月7日)

少し前の記事ですが、重要な記事ですので掲載させて頂きます。

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オランダのハーグに拠点を置く国際環境団体、グリーンピース・オランダは12月7日、3月に事故を起こした福島原発から60キロの距離にある福島市(注:渡利地区と大波地区)で放射線量を測定、この地域の住民が政府の定める年間被ばく許容限度の10倍を上回る被ばくを受ける可能性があると発表しました。

「福島市の住民たちは置き去りにされています。」

放射線の専門家であるイケ・トゥーリングはこう述べる。福島市は(避難区域に指定されている南相馬市と同レベルの放射能汚染が見られるにもかかわらず、)政府の避難区域に指定されていない。

「日本政府はせめて妊婦と子どもたちを、この地区が適切なレベルに除染されるまで避難させるべきです。」

「住民自身に除染をまかせ、高い放射線量で汚染されたこの地域に何か月も置き去りにしている。全く無責任で危険な行為です。」

(抜粋、一部編集)

(LeMonde.fr avec AFP, « Greenpeace dénonce l’abandon des habitants de Fukushima par les autorités », Le Monde, 2011.12.07)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2011/12/07/greenpeace-denonce-l-abandon-des-habitants-de-fukushima-par-les-autorites_1614204_1492975.html


●グリーンピースによる調査の詳細については、以下のプレスリリースをご覧ください。
「グリーンピース、行政による福島市周辺の除染作業の不備を指摘」(2011年12月7日)
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20111207/

2012年2月19日 (日)

子どもが語る福島―アラ・デ・アラン監督によるドキュメンタリー『瓶の中のメッセージ』3月より制作開始

フランスとベルギーにおける原発作業員の労働現場、そして放射能被曝や首切りの不安に揺れる彼等の胸の内を撮った秀作ドキュメンタリー『原子力発電所、異常無し』(« RAS, Rien à signaler »、ベルギー・フランス、2009年)。当時フランスのニヨンで開かれた「真実を伝える画像」国際映画フェスティバルでも、社会問題に切り込んだ「調査部門」の優秀作に選ばれました。

<参考> ベルギーとフランスのテレビにて放映。以下のリンクは仏語による動画です。http://www.youtube.com/watch?v=TnQG-DJW7lk
是非プロの翻訳家による字幕をつけて日本でも公開して頂きたいドキュメンタリーです。

この作品を作ったアラ・デ・アラン監督が、昨年末から今年にかけて福島原発事故の後の日本の子どもたちの言葉をドキュメンタリーに記録すべく製作活動を行っています。3月にも訪日が予定されているとのこと。子どもたちの今の気持と言葉を映す作品の制作に、フランスを含む海外でも期待が集まっています。

●詳しくはこちら 『瓶の中のメッセージ』公式ブログ
http://message.in.a.bottle.over-blog.com/pages/_-5678803.html

2012年2月16日 (木)

フランス人の55%が「原発は非常に危険」・IRSNによる認識調査/ルモンド紙(2月12日)

政府は国民を原子力災害の危険から守ってくれるのだろうか。フランス人が政府に寄せる信頼は、福島での原発事故の後激しく損なわれ、ますます多くの人が、原子力発電所が引き起こす事故の危険に不安を抱いている。放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)が今年実施した「危険と安全に関する認識調査」では、フランス人たちのそんな思いが明らかになった。

昨年3月11日に起きた福島原発事故は、フランスの世論に大きな衝撃を与えている。調査結果によれば、フランス人は原子力によるリスクを、「失業」・「金融危機」・「差別と排除」に次ぐ第四番目に大きな不安要因であると考えており、回答者の55%が「原子力発電所には高い危険がある」と答えた。他方、「安全対策について政府を信頼している」と答えたのは24%のみにとどまった。さらに、80%以上の人が「フランス国内の原子力施設にかかる安全評価については、国外の専門家を含めた複数の目で実施すべき」と指摘している。

(一部編集)

(« Le nucléaire inquiète les Français », Le Monde, 2012.02.12)

2012年2月15日 (水)

福島で故郷を思う 〜原子力施設をかかえる仏自治体の首長らによる南相馬市訪問(3)/ルモンド紙(2月2日)

原子力施設をかかえるフランスの自治体代表者たちが1月末に行った福島訪問についての最終回です。

<前回までの記事はこちら>
その1 http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/122-d823.html
その2 http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/222-41c0.html

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●「復興できない」ということ

ストラスブール市を代表して訪問に参加したフランソワーズ・ビュッフェ副市長が気付いたもう一つの悲しい事実がある。

「日本人は原発が絶対に安全だと信じて暮らしてきました。福島での原発事故は、事実が正反対であることを証明したのです。」

ビュッフェ副市長は、飯舘村村長の証言が強く記憶に焼き付いたとつぶやいた。

「彼は津波によるひどいショックによる心の傷の方が、『放射能』という目に見えない永遠の苦しみよりかはまだ「まし」だ、と感じたのです。こういう状況では、「建て直せる」ことが重要なのです。でも、放射能という災禍の性質上、それができないのです。」


●「想定外」を想定する、という責任

原子力に最も親近感を抱いていた者たちですら、動揺しているように見えた。かつてアレヴァ社に勤め、現在はマンシュ県ボーモンアーグ市の市長を務めるミッシェル・ローラン。彼の町は最新式原子炉EPR(ヨーロッパ型加圧水型炉)の建設現場の近隣に位置し、ラ・アーグの放射性廃棄物再処理工場をも抱えている。ローラン市長は、

「事故の危険性について考える時には、常に『想定外』を想定する」

ことの重要性を大きな声で主張した。

「福島の惨事で、原発の安全対策予算を節約してはならないこと、そして原発を運営する電力会社を(政府が管理する)国営企業に留めておかなければならないことが明確になりました。」

ローラン市長は補償問題についてももっとよく知りたいと考えた。(この旅を企画した)フランス都市連合「CLI」の副代表で、ゴルフェック原発をかかえるタルヌ・エ・ガロンヌ県からやって来たピエール・ガイヤールは、(ゴルフェック原発を運営する)フランス電力公社が契約している保険会社の代表に会いたいと思った。ガイヤール副代表はこれまで何度も会見を申し込んできたが、まだ約束を取り付けることができずにいた。

ガイヤール副代表はまた、フランスで2年に1回行われている(原発事故に備えた)避難訓練のやり方についても自問した。

「バスの運転手や警察官や消防士に、こんな危険な状況下で出動を求めることができるのでしょうか。私たちには、彼らの身の安全を保障する手段があるのでしょうか。」

いくつかの懸念事項が明らかになった。ジャック・モーギャンは、ジロンド県にあるブライエ原発が1999年に水害で水浸しとなり、今もそのままであることを思い出した。

「水の力に対して、どんな安全対策をとることができるというのでしょうか。」

ストラスブール市のフランソワーズ・ビュッフェ副市長は、アルザス運河の側に位置し、この運河からの洪水の危険にさらされているフッセンハイム原発の老朽化を指摘しながら、自らの市がスイスやドイツにある多くの自治体と同じくこのフッセンハイム原発の即時停止を求めている事、そしてその要求が聞き入れられていないことに触れた。


●原子力をどうするか

最後に、関係者の関心は原子力の将来に向けられた。ビュッフェ副市長が「私たちにはその過程を制御することが不可能であり、大惨事を引き起こす可能性がある」と断定する、原子力技術の将来に、である。

シノン市副市長のイヴ・ドージュの答えは明確だ。

「今日、原子力をやめなければならないことは明らかです。そして、そのためには電力政策の見直しを行わなければなりません。原子力にかかる費用がどんどん高くなってゆく中、こうした見直しは必須です。」

ドージュは指摘する。ちょうど、フランス政府の会計検査院が発表した「原子力にかかる費用についての報告書」が示したように。1月31日に発表されたこの報告書は、原子力というセクターが持つ「大きな不確実性」を強調している。

(一部編集)

(Philippe Mesmer, « A Fukushima, des maires français face à « l’ennemi invisible », Le Monde, 2012.02.02)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/02/01/a-fukushima-des-maires-francais-face-a-l-ennemi-invisible_1637285_3244.html

2012年2月13日 (月)

仏サルコジ大統領、原発の稼働年限を40年に延長/ルモンド紙(2月12日)

日本政府が原発の稼働年限を例外的に60年まで認めるとの発表を行った1月下旬、細野豪志環境大臣はパリを訪問、原発推進派で知られるエリック・ベッソン産業エネルギー大臣を初めとするフランス政府の原子力関係者と会談を行っていました。

その後1月31日には、フランスの会計検査院がフランス史上初めて原子力事業にかかる費用の試算を発表。あえて「廃炉と放射性廃棄物にかかる費用は不明」とした上で、22兆7700億円が必要と見積もり、「フランス政府がこれほど巨額の投資を行うことは不可能」と指摘しました。この額はフランス電力公社が示した見積もりをそのまま使用していることもあり、環境団体は「過小評価」であり「より客観的な精査が必要」であると指摘しています。

そして2月12日、ベッソン産業エネルギー大臣はサルコジ大統領の決定として、フランスの原発稼働年限を40年にまで延長すると発表しました。

フランスと日本は、足並みをそろえて原発の稼働年限を延長することを決めていたのでしょうか。再選が不可能と見られるサルコジ政権の末期にあって、ベッソン産業エネルギー大臣は原子力のための最後の巻き返しをはかっているのでしょうか。

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フランスのエリック・ベッソン産業エネルギー大臣は2月12日、サルコジ大統領が、安い電気を確保するために原発の稼働年限を40年にまで引き上げる決定を行った、と発表した。原発稼働年限の延長は、ベッソン大臣が現在作成中の2050年までのエネルギー政策に関するシナリオの中で、(電力を手に入れるための)「最も安上がりな選択肢」と位置づけられている。

ベッソン産業エネルギー大臣はまた、米国が原発の稼働年限を60年に定めていると指摘、フランスによる稼働年限の延長を正当化した。

フランス電力業界の最大手であるフランス電力公社(EDF)によれば、原発の稼働年限の延長には原子炉一基あたり6.8億~8.6億ユーロ(約680億円~860億円)の費用が必要となる。他方、アレバ社が開発した新式の原子炉を新設した場合には、原子炉一基あたり500億ユーロ(約5兆円)が必要になるとされている。

(抜粋・一部編集)

(LeMonde.fr avec Reuteurs, « La durée de vie des centrales nucléaires françaises prolongée », Le Monde, 2012.02.12)

http://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2012/article/2012/02/12/sarkozy-va-prolonger-la-duree-de-vie-des-centrales-francaises_1642284_1471069.html

2012年2月11日 (土)

福島で故郷を思う 〜原子力施設をかかえる仏自治体の首長らによる南相馬市訪問(2)/ルモンド紙(2月2日)

前回の(1)に続き、1月末に福島を訪問した、原子力施設をかかえるフランスの自治体代表者たちの言葉を御紹介します。

<前回の記事はこちら>
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/122-d823.html
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●見えない敵

これは、一切の楽観主義を生み出さない状況だ。ストラスブール市(注)の副市長であるフランソワーズ・ビュッフェは、福島の農村風景を眺めながら地元ヴォージュにある森のことを思い出し、彼の地の自然が大量の放射性降下物のために

「今日では危険で触れることすら許されない」

ことを嘆き悲しんだ。そして周囲の放射線量があまりにも高いために、訪問団が持参した放射線測定器は度々警報音を発した。

飯舘村の菅野典雄村長はこうした放射能による汚染を「見えない敵」と呼ぶ。飯舘村は事故を起こした福島原発の北西約40キロの距離に位置し、有機農業を主体とする内陸の村だ。6千人の住民たちは(村が)運悪く原発事故の惨事が起きた最初の数日間に発生した非常に高い濃度の放射能を帯びた雲の通り道にあったために、避難を余儀なくされた。

「私たちは、風の気まぐれの犠牲になりました。」

菅野村長は村役場を移転させた先の福島市の郊外で悔しがる。菅野村長の証言は、聞く者の心を揺さぶらずにはいられない。彼の証言が示す放射能汚染の深刻な現状は、除染という複雑な課題によっても示されている。除染が進まないために、住民たちは今日、自らの村に帰ることができない。

「いつの日か、」

ジロンド県で地元住民のための原子力情報センター代表を務めるジャック・モーギャンは断言する。

「いつの日か、日本政府は勇気を出して、除染は時間だけが解決できる問題だ、ということを認めなければならないと思います。この土地を『普通』の状態に戻すには、少なくとも40年以上の時間が必要です。」

実際に、NGO「オンザロード(道の途中、On the Road)」の事務局長で、日本政府の復興委員会における委員をもつとめる伊地知 亮(いじち りょう)は、

「除染に力を注いでも、大した成果は出ません。」

と説明した。風や雨が、森や山に積もった放射性降下物を押し流す。そして事故を起こした原発は、毎時7千ベクレルのセシウムを吐き出し続ける。たとえ「除染」がなされても、数日後には再び汚染されてしまうのである。


●「見捨てられた」

フランスからの自治体代表者たちが心に留めたのは、何千もの住民、特に若者や子供たちを避難に追い込んでいる汚染の問題だけではない。彼等はまた、福島で出会った自治体の責任者たちが、事故発生後の数日間、(外の人間に)「見捨てられた」という思いを強く抱いたことに気づいた。

南相馬市は人口7万1千人を抱える海岸の町だ。津波の被害を受け、敷地の一部は(立ち入り禁止区域に指定されている福島原発からの)20キロ圏内に位置している。南相馬市の桜井勝信市長はあの日々のことをこんな風に振り返った。

「情報も、上からの指示も、物資の供給も、一切、何もありませんでした。私は全てをたった独りで決めなければならなかったのです。特に、『避難』という(重要な)問題について。」

これに対し、ジロンド県原子力情報センターのジャック・モーギャンはこんな風に感想をもらした。

「フランスでは通常、各県の知事が住民の避難についての決定を下すことになっています。でももし知事が決めなかったとしたら、私たち自治体の長はどうすればよいのでしょうか。」

原子力発電所においても、責任者たちは悲劇のただ中にあって、自らが全く孤立していると感じていた。このような(それぞれのレベルでの責任者たちと)東京電力本社との情報伝達の断絶を目の当たりにして、モーギャンはこう言わずにはいられなかった。

「(もし同じ状況に置かれたら、)フランス電力公社(注:フランス最大の電力会社)は東電と同じ行動をとるだろう。」

と。

(続く)

(注)ストラスブール市はEUの欧州議会を擁するドイツとフランスの国境町。http://ja.wikipedia.org/wiki/ストラスブール
ストラスブール市にあるフランス最古の原発「フッセンハイム原発」(1977年に竣工、稼働35年目)は老朽化による危険性が問題視されており、2011年4月には地元議会がほぼ満場一致で即時停止と廃止を求める決議を行った。フッセンハイム原発の廃炉は今年行われるフランス大統領選挙の争点の一つ。

(Philippe Mesmer, « A Fukushima, des maires français face à « l’ennemi invisible », Le Monde, 2012.02.02)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/02/01/a-fukushima-des-maires-francais-face-a-l-ennemi-invisible_1637285_3244.html

2012年2月 8日 (水)

廃棄物処理場を持たない台湾、「世界で最も危険な原発」の建設を再開/ルモンド紙(2月8日)

台湾で1月に行われた大統領選挙では馬英九総統の再選が決まりました。その馬政権の下で、国民の反対を押し切って原発の建設が再開されようとしています。

1. 台湾の原発:福島原発と同型・同時期の原子炉

昨年3月に福島で起きた原発事故の後、台湾人たちは自らの国にも福島原発と多くの共通点を持つ原発がいくつも建てられていたことを発見した。例えば、台湾の原発第一号機である金山原発(注)は、福島にある6基の原発のうちの5基と同じGE社製の「マーク1」型の原子炉を使用しており、事故を起こした福島原発とほぼ同時期(1978年)に作られた同型の沸騰水型原子炉だ。台湾では、日本と同様に強い地震と大規模な津波の危険性がある。


2. 放射性廃棄物の処理場、「存在せず」

台湾には現在3基の原発があるが、最初の原発が建設された34年前以来、台湾政府は放射性廃棄物を処理することなく敷地内にそのまま溜め込んできた。(「一つの中国」を推進する)中国の反対で国連に加盟できず、国家としてのステータスをも認められていない台湾は、海外に廃棄物処理を依頼することができない。また、台湾によるプルトニウムの抽出とこれに続く核兵器の開発を恐れる米国と中国の反対によって、国内での処理も実施できないままに現在に至っている。処理がなされていない大量の放射性廃棄物は、原発事故が起きた場合には国民を高度の危険にさらすことになる。

現在ある使用済み核燃料用の貯蔵プールの一つは、2014年にはいっぱいになると見られている。また、他の貯蔵プールについても、他の廃棄物と放射性廃棄物が混ぜて捨てられているなど、ずさんな管理が指摘されている。放射線防護協会の会長をつとめるピーター・チャン教授は、蘭嶼にある低放射性廃棄物用の中間貯蔵庫が、5年前より既にいっぱいになっていると指摘している。又、近隣の畑や田んぼでは1999年以来セシウムが検出されており、放射能漏れが指摘されている。政府は新たな廃棄物貯蔵庫の設置場所を探しているが、受け入れを表明している自治体は皆無である。


3. 高まる不安

チャン教授が1月の大統領選前に実施した調査では、70%以上の人が台湾の原発に関する安全対策は日本の対策に比べても劣っていると考えており、80%の人が、原子力に関連する事故が起きた際には、政府はうまく住民を避難させることができないだろうと考えている。


4. 新政権下での新規建設の再開

こうした中、1月14日に誕生した台湾新政権は、政権が誕生したその日に、建設が中断している第4号機の建設再開を指示した。第4号基は先に米国GE社とウェスチングハウス社が合同で建設した3基の原発と異なり、国営企業である「台湾電力」が建設を監修している。しかし台湾電力は第4号基の建設以前に原発を建設した経験が無く、これまでに多くの欠陥工事が指摘されている。台湾当局内で原子力の安全を所管する原子力委員会の安全局チェン・イービン局長は第4号基の建設工事を「完全な失敗」と指摘しており、政府内でも工事を完成させることへの支持は低い。第4号基の建設には、当初予定の4倍の20億ユーロ(約2千億円)の予算が必要と推定されている。

(注)<参考>台湾の原子力施設(日本原子力産業協会 資料)
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2007/taiwan_map.pdf 


(以下の2つの記事から一部を抜粋・編集しました。2月9日に一部の和訳修正を行いました。)

●ルモンド紙「台湾という原子力魔女の弟子」2月8日
(Florence de Changy, « Taïwan, l’apprenti sorcier du nucléaire », Le Monde, 2012.02.08)

●ルモンド紙「國聖、金山―世界で最も危険な二つの原発」2月8日
(Florence de Changy, « Kuosheng et Quinshan, deux centrales parmi les plus dangereuses au monde », Le Monde, 2012.02.08)

2012年2月 6日 (月)

福島で故郷を思う 〜原子力施設をかかえる仏自治体の首長らによる南相馬市訪問(1)/ルモンド紙(2月2日)

1月末、フランス各地で原子力施設をかかえる自治体の市長たちが南相馬市を訪問しました。これから数回に分けて、彼等の目に映った福島の様子、そして彼等自身が自分の町の将来について考えたことについて御紹介します(小見出しは訳者によるものです)。

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●フランスから福島へ

「美しい福島の農村が、今日こうして放射能に汚染されて、そして次々と車窓を通り過ぎてゆくのを見る時、私は自分の故郷のことを思わずにいられません。そして私たちの土地がこれからどうなってゆくのか、と考えずにいられないのです。」

心の中の思いが、言葉となって一度にあふれてゆく。バスの窓際で福島の美しい自然の風景に目を見張りながら、アンドル・エ・ロワール県シノン市からやってきたイヴ・ドージュ副市長はつぶやいた。

雲一つない空に高く太陽がのぼり、雪を頂く山々を背景に、もはや耕されていない田園とどこまでも続く森が広がっている。この絵はがきから抜け出したような美しい風景に魅せられているのは、イヴ・ドージュ副市長だけではない。(原子力施設を抱える)フランス各地の自治体からやってきた他の7人の首長たちも同様だ。

彼等は、日本の北東地域に位置する福島県で数日を過ごすためにやってきた。旅の目的はただ一つ。

「福島原発での事故と事故による被害に、日本の地方自治体たちがいかに立ち向かっているのかを見届けること。」

である。

今回の旅は、フランスの地方自治体による活動を国際的な舞台で支援する「都市連合」が、日本にある同様の団体組織「クレア」と協力して1月12日から14日までの日程で企画した。2011年3月に福島第一原発で起きた事故に日本もフランスも同じく強い衝撃を受けたことをきっかけに生まれた企画だ。

招かれたのは、原子力施設を抱えるフランス各地の自治体で活躍する市長たちだ。マンシュ県ラ・アーグ市、シノン市、上ライン県フュッセンハイムからも参加があった。

3月11日の大地震と津波、そして特にチェルノブイリ原発事故以来、史上最悪の原発事故に見舞われたこの地に、数日の間全身で浸る―この大きな悲劇を身をもって体験するこの機会について、(旅の企画者であり)フランス都市連合の代表をつとめるベルトラン・ギャレは、「この学び多き旅にもっと多くの首長が参加してほしかった」と残念がる。                                                                                                                  
●未来予想図

「学び多き旅」、そして激しく心を揺さぶる旅でもあった。

「私たちにとって」

とイヴ・ドゥージュ副市長は言う。

「この旅は(これから私たちの町で起きることの)具体的な例を示しているのです。耳にしたこと全てにひどく心が乱れます。将来、誰がここに住みたいと願うでしょうか?どんな会社がここに投資をしたいと思うでしょうか?」

なぜなら、これらの市長たちはこの数日の間、日本でも最も広い県の一つである福島を早足で歩き回り、事故を起こした原発の周辺20キロ半径に設定された立ち入り禁止区域を訪れ、地元の議員、首長たち、そして住民たちからの話に耳を傾けて、10万人以上の人を避難させなければならない事態を招いた大惨事、その収拾に今後40年の時間と1兆1500億円もの経費を必要とする非常事態の現状を、まざまざと目の当たりにしたのである。ただしこの時間と経費の試算には、今後数年のうちに何千人もの人々の身体に感じられることになるであろう健康被害の影響や、長い間続くであろう放射能による汚染の問題は考慮されていない。

(続く)

(Philippe Mesmer, « A Fukushima, des maires français face à « l’ennemi invisible », Le Monde, 2012.02.02)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/02/01/a-fukushima-des-maires-francais-face-a-l-ennemi-invisible_1637285_3244.html

2012年2月 3日 (金)

「テント村を守れ」世界から枝野大臣に数万人の抗議メッセージ/フクシマ・オーバー・ブログ(1月28日)

他に例を見ない世界運動が展開している。数万通にのぼる(世界からの)抗議メッセージが、一日のうちに枝野経産相大臣に届けられた。経済産業省の前で、原子力利用の永久停止と福島県の汚染地域からの公的避難を求めキャンプを続ける市民と福島の母親たちを支援する何百もの人が、この日経産省が立ち退きの期限に指定した時間に集まった。

経産省は立ち退きを強行しなかったが、立ち退き命令を取り下げていない。これらの市民は、あなたの支援を必要としている。

(一部編集)

( « Tokyo : la tente est restée debout ! », Fukushima Over Blog, 2012.01.27)
http://fukushima.over-blog.fr/(本件に関する記事は下の方にあります)

2012年2月 1日 (水)

原発労働者を裏切り続ける日本政府(3)―「契約の無い仕事」/Rue 89(1月15日)

これまで2回にわたって掲載して来ました「Rue 89」紙ティエリー・リボー記者による「なすび」さんへのインタビューの最終回です。被差別部落の出身者からフィリピン人まで、福島で働く原発作業員への差別と搾取の現状を伝えています。

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●臨時雇用の原発労働者たちは、会社と契約を結んでいるのですか?

原発労働者で契約がある人は非常にまれです。ですから、予定外の勤務地に送られるということが起こります。契約無しの仕事は、下請け労働の一つの特徴です。一次請け、二次請けであれば契約があるかもしれませんが、それ以上の下請けになるとありません。

こうした契約無しでの雇用は現在社会の批判を浴びており、雇用者の中にはこれまでの態度を改めて契約を結ぶ人も出てきています。ただし、労災の申し立てをしないという約束をしなければ、労働者は契約をもらえない条件になっています。たくさんの労働者たちが、このような非合法的な契約取り引きについて証言しています。

こうした状況にも関わらず、(福島原発事故が発生した)2011年3月11日以来、日雇い労働者たちは自らの労働条件の改善を求める運動に取り組み始めました。私は『被ばく労働自己防衛マニュアル』というパンフレットを出版しました。でも、(現場で働く原発労働者による)ストライキが一番効果的な抗議行動であることには変わりありません。


●このパンフレットには何が書いてあるのですか?

(原発労働者を雇用する)企業には原発で働くための基本情報を原発労働者に伝える義務があります。でも、企業はきちんとこうした情報を伝えていません。このパンフレットでは、労働者が雇用者に契約を求めることができること、労働者が浴びた放射能の被ばく量を企業が記載する被ばく手帳を手に入れることができること、について説明しています。企業は労働者と労働契約を結び被ばく手帳を配布する義務がありますが、大概はそのことを労働者に伝えていません。また、労働者もそうした権利について知らないのです。

パンフレットでは、つなぎ服を正しく着用する方法、マスクにフィルターを設置する方法を説明しています。企業の側はつなぎ服もマスクのフィルターも、たいがい準備していません。基本的には昔から原子力分野で働いている古株の労働者たちがこうしたことについて説明できるのですが、現在の福島では原発で働いた経験を持たない初心者の労働者がたくさんいます。


●どんな人が労働者として福島原発に来ているのでしょうか。

労働者は日本全国からやってきます。外国人もいます。現在はたくさんのフィリピン人労働者たちが福島原発で働いています。日本人の原発労働者たちによれば、フィリピン人労働者たちは日本人が手を出さない最も危険な仕事をまかされています。被差別部落出身の人たちもいます。大雑把に言えば、貧しい家出身の労働者たちがやってくるのです。


●今後はどんな活動をする予定ですか。

福島に原発労働者のための常設相談窓口を開きたいと考えています。被ばくした原発労働者のためだけのものではありません。たとえば、公共事業の現場で働く他の労働者たちにも(彼等を守るために必要な情報提供を行うという意味で)同じように関係があります。

また、政府の関連省庁や福島に(違法な形で)労働者を送っている人材派遣会社と交渉して、(福島原発以外の)他の分野に労働者を送るよう交渉しなければなりません。

たとえば、東京の山谷で集められた日雇い労働者たちが福島市の下水処理施設に送られたケースがありました。労働者たちが現場に到着すると、被ばく対策のためのつなぎ服や防御マスク、原子炉の中で使用する作業道具が渡されました。でも労働者たちは仕事場の放射線量を知らされませんでした。常設の相談窓口を開くことができれば、たくさんの人が相談に来ると思います。

原発事故の被害に対する損害賠償を定めた法律では、(原発に関連する被害については原発事業の責任者である)企業に最終的な責任があると定められています。ですから、私たちは原発作業員を福島原発に送っている派遣会社に対して(作業員を違法な形で派遣しないよう)交渉し、次に東京電力と交渉するつもりです。今に至るまで東京電力は(被曝労働者に対し)全く賠償を行っていません。他の原発に関わる電力会社も同様です。そして労働組合は決して裁判を起こそうとして来ませんでした。私たちはこのような状況を変えてゆきます。

    (了)

(Thierry Ribault, « Nucléaire au Japon : « L’Etat est un traître pour les travailleurs », Rue 89, 2012.01.15)

http://www.rue89.com/rue89-planete/2012/01/15/nucleaire-au-japon-letat-est-un-traitre-pour-les-travailleurs-228381

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