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2012年3月25日 (日)

被ばく被害者684人中、補償は4名のみ: 仏核実験の被害者への補償阻む「病気と被ばくの因果関係」/ルモンド紙(2月23日)

IRSNは、福島で実施されている被ばくによる健康被害に関する疫学調査(統計的手法による因果関係の確定調査)では、被ばくと健康被害の因果関係を確認することはほぼ不可能と指摘しました(注)。これは私たちにとって何を意味するのでしょうか。フランスが過去に太平洋とアフリカで行った核実験は現地の人々の健康に深刻な影響を与えました。しかし「病気と被ばくの因果関係を証明しなければ補償を行わない」という政府のルールは、健康被害に苦しむ人々を置き去りにし続けています。疫学という検証手法の限界を認知すべき時が来ているのではないでしょうか。

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フランスは1960年から1996年の36年間に太平洋に浮かぶポリネシア諸島とアフリカのサハラ砂漠で210回の核実験を実施、これらの地域を放射能で汚染した。フランス政府はこの事実を2010年に認め、過去の核実験による被ばく被害者への救済を約束したが、684名の人々が被害についての救済と補償を求める申し立てを行ったのに対し、これまでに補償を受けられたのは4名の病人もしくは死亡者の家族に留まっている(補償額は約160万円〜600万円)。

補償を受けることができた被害者がこれほどに少ない背景には、フランス政府が「放射能による被ばくが原因で引き起こされたと推定できる疾病についてのみ、補償する」との補償基準を固持していることによる。

2010年に制定された救済のための法律によれば、当時汚染地域にいた住民および軍隊関係者が病気になった場合には全員が補償を受けることができると定められている。しかし、国はこれと反対の考え方を示している。法律制定前に策定された「被ばくと病気の因果関係についての評価基準」がそのまま引き継がれたからである(注:この基準では、疫学による因果関係を証明できない疾病については補償を行っていない)。

被害者の補償申し立てを扱うセシール・ラブリュニー弁護士は、

「(『被害者全員を救済する』と規定している)法律の現状により近い精神にのっとった被ばくの評価手法を用いなければなりません」

と指摘する。この基準のために、「核実験による被ばく退役軍人の会」は政府と被害者への補償額について妥協しなければならなかった。

「私たちは憤っています。政府の不誠実な態度に。」

放射能汚染の被害を受けた地域から選出された国会議員であるジャン—パトリック・ジルは言う。核実験による補償問題を担当する防衛省は、今後新たな政令を出し、補償の対象地域を広げるとともに対象疾病リストに3種の癌を追加する「改善処置」を行うと発表し自画自賛している。しかし、核実験による被ばく退役軍人の会」の代表をつとめるジャン—ルーク・サンは防衛省を去り際にこう言った。

「そんなことでは(ほとんど補償を受けられない現実は)何も変わりはしません。政府は(因果関係を直接証明できなくとも被害者が救済されるよう)補償の枠組み全体を修正しなければいけないと(被害者が)言うなら、もう防衛省ではこの件を扱わない、そう言っているのと同じです」

(注)フランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)「日本政府の被ばく調査は福島事故の健康被害を計測せず」
その1 http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/irsn1irsn228-b1.html 
その2 http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/irsn2irsn228-04.html 


(Nathalie Guibert, « Essais nucléaires : une indemnisation au compte-gouttes », Le Monde, 2012.02.23)
http://www.lemonde.fr/societe/article/2012/02/22/essais-nucleaires-une-indemnisation-au-compte-gouttes_1646781_3224.html

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コメント

フランスねこさんへ
いつも貴重な情報を有り難う御座います。
日本の福島原発問題もフランスと同様な結果になるのは間違いないでしょうね。
このような現実を日本国民は知らないのではと……
被爆だけでなく公害の被害者の方々も似たような待遇でしたね。
このような話を我が身の事として日本全国民に知ってほしいものです。

奥田さん

メッセージをありがとうございました。こちらこそ、いつも貴重な情報をお知らせ頂き大変感謝しております。原発や核兵器を使う/使われた国々には、被ばくの事実との因果関係を証明できず、何の補償も受けられないままに置き去りにされている人がたくさんいます。先日もイギリス政府が被ばく者に同様の理由で補償を行っていないとの記事を読み、心が痛みました。おっしゃる通り、石綿や水俣病などの他の公害でも同様の状況です。体内のセシウムを計測するなどの方法で、せめて重度の被ばくを受けていることを記録するなどの対応を取れないものでしょうか。医療関係者も交えて、被ばくを記録するための対策が急がれていると思います。

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