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2012年4月30日 (月)

被ばくと癌に苦しむ原発下請け作業員:「私たちには、苦しみしかない」/バスタ!(4月23日)

フィリップ・ビラールはその昔、原発の下請け作業員と働いていた。現在は、「原子力・化学産業における下請け従業員の健康を守る会」のスポークスマンを務めている。フィリップは次の記事で、高度の放射能被ばくを伴う作業を専門にしていたかつての同僚との再会について詳しく語っている。癌にかかった以前の同僚は、それでも労災認定の申請を行うことを躊躇していた。疲れ切った孤独な男の姿がそこにある。

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今日、私は釣りに出かけた。釣り場を出たところで、以前フランス電力公社(仏最大の電力会社、EDF)の下請けで原発の仕事をやっていた昔の同僚に出会った。私たちはあれこれいろんな話をした。特に、庭いじりの話で盛り上がった。というのも、私が苦労して手入れをしている農園があるバルモン川の土手に、彼も最近「秘密の花園」(理想的な自分だけの農園)を買ったばかりだったから。

それから、私たちは昔の仕事の話をした。私たちはパルエルにある同じ原発の中で何年も一緒に働いていた。それからその同僚は、重い癌が二つできて死にそうになった話をした。膀胱癌にかかり、それから前立腺と周りの臓器に転移した。でも、労災認定の手続きはしなかった。申請はしていない、病気で疲れていたから、そして今もまだ疲れているから、と男は言った。


●下請け作業員が浴びる膨大な年間被ばく「許容量」

しかし私の同僚が労災の手続きをとらなかった本当の理由はむしろ、「癌になったのは被ばくのせいであるはずがない」、「(放射性の塵を吸い込んだことによる)内部被ばくのせいでもありえない」、「でも石綿のせいかもしれない」と言われたからだった。そのせいで彼は、労災を申請しても認定されることは難しいだろう、と考えて手続きをするのをやめてしまった。そしてたった一人で病気と戦わなければならなくなった。そして、助けるどころか、被ばくによる癌への補償を要求する権利を行使するのを思いとどまらせようとする医者たちにも立ち向かわなければならなかった。2008年のことだった。私はその同僚に、労災申請の手続きを手伝いたいと申し出た。でも彼は私を信用していない風だった。でも彼の妻は、より熱心に私の話に耳を傾けていた。

私たちは原発内の労働条件について話し合った。同僚の話を聞きながら、私は私たちが一緒に働いていた頃のことを思い出した。当時の年間被ばく許容量(「許容」だなんて、なんと言う恥ずべき言葉だろうか?)は50ミリシーベルトだった。しかし同僚はひどい被ばくにさらされた。というのも、彼は原子炉と蒸気発生装置をつなぐ管にもぐり込んで、導管の維持管理ができるよう栓をする「ジャンパー」の係(「ジャンプ係」)だったのだ。この作業はとても高い放射線にさらされるために1分半以上かかってはならないことになっていた。「ジャンパー」は数秒で一年分の被ばく許容量を浴びてしまうのだ。

同僚はまた、人間と思えないようなひどい扱いを受けた経験を私に話した。不安定な契約で働く他の作業員たちが、わざと彼の線量計を蒸気発生装置の外においたままにする、というよくある嫌がらせをやったのだ。


●日々起きる原発内での事故

その後私は別の「元原発作業員」に出会った。彼もまた、病気だった。フェカンの町(注)の中だけでも、癌になった同僚に会うのは3回目だった。そのうちの一人は、ルーエン病院で働く放射線医の助けを得て労災認定の申請を行っていた。他の二人は、疲れ切って今のところは何もしたくない、と言った。

原発ロビーというこの産業は、そこで働く作業員たちから本当に多くのものを奪っている。私が「下請け作業員は問題の痕跡を消すための道具だ」と言うとき、私は馬鹿げたことを言っているわけではない。私は本気だ。私たちが原発で働いたことのある作業員たちの健康状態を調べ、治療を行い、手を差し伸べて補償を行うために作業員に関する調査を要求するのは、原子力産業のお陰でたくさんの被ばく者が生み出されていて、彼等がたった一人で病気に立ち向かわざるを得ないからだ。作業員にはたった一つの権利しかない。苦しみを味わう権利だ。

原子力産業のおかげで、どれだけの人が被ばくによる病気に悩まされているのか。この人たちをこれからもたった一人にしておくのか。これもまた、原子力についての重要な問題の一つだ。いつになったらフランス人は、原発作業員や下請け作業員たちが日々さらされている、日常的な原発内での事故に対処しようとするのだろうか。

(一部編集)

(注)フェカン市はイギリスを対岸に臨むフランス北端の港町。
●地図と写真はこちら(仏語です)http://en.wikipedia.org/wiki/Fécamp

●フェカンの港町(画像のみ)http://www.google.co.jp/search?q=Fécamp&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=2ZqeT4mvLLGNmQWE7dHLDg&ved=0CEUQsAQ&biw=1142&bih=633

(Philippe Billard, « Nomade du nucléaire : Nous n’avons qu’un seul droit, souffrir », Basta !, 2012.04.23)
http://www.bastamag.net/article2331.html

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コメント

フランスねこさんへ
改めて原発は如何に人間に害を及ぼす物かと考えさせられますね。
しかし、原発でも福島原発事故現場は想像を絶する酷い状況ではと思います。 政府(官僚、政治家)と電力会社が,作業員の色々な面において早急に改善する手立てをしなければ, それこそ原発事故の収束を安全に進めないのではと危惧しています。
廃炉に向けての技術の後継者を育成する問題もあり また人間として精神力だけで仕事をさせるには限界があるだけに人材対策を実行しなければ 日本国内の原発の危機になるでしょう。
今現在 福島原発事故現場で従事されてる方々も感じて考えておられると思います。
再稼働云々と議論するよりも福島原発を早急に廃炉する為の前向きな議論をするべきで 日本政府は全く何を考えているのか 下手したら 本当に日本沈没になるのではと不安を感じています。 福島の子供達の内部被爆さえも政府は過小評価し放射能汚染の実害を風評被害として何も起きていないかように広報するようではと嘆いています。

奥田さん

コメントをありがとうございました。表向きには「事故が起きていない」はずの平時のフランスの原発でも、被ばくによる癌に苦しむ作業員の方が多くいるとすれば、福島原発で昨年から事故の処理にあたっている方々の健康はどのような状況なのだろうか、と思います。事故の前から遡って、これまで原発で仕事をしたことのある方たちの健康調査としかるべき補償を行ってゆくべきではないでしょうか。どうか楽しい連休をお過ごしください。

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