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2012年5月

2012年5月30日 (水)

「マグロが運ぶ放射能、北太平洋全域を汚染」米科学者が専門誌で発表/ルモンド紙・PNAS(5月30日)

昨年8月にカリフォルニア沿岸全域で水揚げされた太平洋産のクロマグロから、セシウム137と134が検出されていた。これは、マグロが福島原発事故により放出された放射性セシウムを、北太平洋全域に拡散させたことを示している。スタンフォード大学の海洋学者ダニエル・マディガン教授らが5月28日、米科学誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)で発表した。

●論文の全文はこちら(英語です)
「太平洋産マグロ、福島原発事故による放射性核種をカリフォルニアへ運ぶ」
http://www.pnas.org/content/early/2012/05/22/1204859109.full.pdf+html?sid=61e6f2c5-5f36-4212-b5d1-4504d56bf88c (ウミガメやサメなどの移動性の動物たちによって、太平洋全域に放射性物質が運ばれている危険性を指摘しています。)

マディガン教授は昨年8月、カリフォルニア沿岸に水揚げされた魚介類を対象に調査を実施した。その結果、福島原発事故で発生した放射性物質が海水や風よりも早く魚によってカリフォルニアまで運ばれていたことを確認した。検出された放射性物質の量はわずかであり、健康への危険は無い。

(抜粋・一部編集)

<参考>「放射能汚染のマグロが米太平洋岸沖に」ウォールストリート・ジャーナル日本語版(5月29日)http://jp.wsj.com/US/node_450545 

( « Des thons porteurs de la radioactivité », Le Monde, 2012.05.30)

2012年5月29日 (火)

「僕らは全てを失った」福島の農家、フランスで語る/ラ・クロワ(5月23日)

南仏の地方議会議長が福島の農家をフランスに招き、その現状に耳を傾ける機会を設けました。証言の中で語られている様々な課題や状況については人それぞれに考えがあるかと思いますが、何より被災地の農家の声に直接耳を傾けようとする見知らぬ土地の人びとの姿勢に心を打たれます。
。。。。。。。。。。。。。。。。

ヴォクルーズ県(注1)のオリビエ・フロロン地方議会議長は、福島からの帰国後、原発事故の大惨事によって被害が倍増した日本での大津波から最初の1年がたつのを機会に、日本の同僚をフランスに招きその証言に耳を傾けることを決めた。福島の農家、武田伸也(注2)はこうしてヴォクルーズ県のペルヌ・レ・フォンテーヌ(注3)へやって来た。以下は武田伸也が語った言葉である。

「2011年の3月11日以来、日本の農業は悲惨な状況に直面しています。もう誰も、被災地や放射能に汚染された地域の農産物を買いたいという人はいません。米すらも輸入されているのです。津波で農地が破壊された後、原発事故が追い打ちをかけました。食品の問題はとても複雑に入り組んでいます。放射能の被害を受けた11の県では、もう何も売れません。有機栽培の農作物にも堆肥づくりにも、もう誰も目をくれません。

でも農民たちは避難せず自宅にとどまっています。お金がないので土地を捨てて出てゆくことができないのです。生産を続けていますが、農家と消費者の間の溝は悲惨な形で深まるばかりです。

それでもまだ足りないかのように、農民たちは3つ目の惨事にさらされています。政府がアジア太平洋地域の国々との自由貿易ゾーンに加入するために関税を撤廃することを決めたのです。農作物の輸入は爆発的に増えるでしょう。

原発事故を起こして資金が底をついた東京電力は、もはや補償金を被災者に払うことを保障できません。東電はもうすぐ国有化されることが決まっています。ですから、政府が保障をしなければならなくなります。税金を上げることによって。」

武田伸也は、決して笑顔を絶やさずに、今日福島周辺の農民たちがどんな犠牲を払いながら生きているのか、日本人が「復興」でどんな社会を目指すべきかについてどのように自問しているのか、について語った。

「もう稼働している原発はゼロになりました。全ての原発が止まって、再稼働は大きな議論を引き起こしています。私たちは経済の急降下とまた起きるかもしれない新しい原発事故の危険の狭間で生きています。福島原発第四号機の核燃料プールは今も私たちの不安の元凶であり続けています。そして私たち日本人は、再び大事故が起きるのを苦悩しながら待ち受けているのです。私たちは恐れの中に生きています。」


(注1)ヴォクルーズ県はフランスの南東に位置する地方。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Vaucluse_(d%C3%A9partement) 


(注2)武田さんは農家による組織「農民連」の国際部員で、小規模農民の権利を守るための国際的な農民組織「ラ・カンペジーナ」を通じたフランスを含む海外組織との連携活動を担当している。

武田伸也さんのフォト・ジャーナル(2011年)
http://www.youtube.com/watch?v=l25TD104k9A 

農民連・災害支援隊オフィシャル・サイト
http://earlybirds.ddo.jp/earlybirds/saigai/?cat=8 

武田さんによる「ラ・カンペジーナ」についての報告
http://www.nouminren.ne.jp/dat/200906/2009062209.htm 


(注3)ペルヌ・レ・フォンテーヌは南仏に位置する人口約1万人の町。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Pernes-les-Fontaines 

(« Fukushima : ces paysans qui ont tout perdu », La Croix, 2012.05.23)
http://www.laprovence.com/article/carpentras/fukushima-ces-paysans-qui-ont-tout-perdu

2012年5月26日 (土)

「福島原発事故を繰り返してはならない」米国・原子力規制委員長、原発の安全対策強化を求め辞任に追い込まれる/ラ・プレス(5月21日)

米国・原子力規制委員会(NRC)のグレゴリー・ヤツコ委員長は今年2月、東芝とその傘下にある米国ウエスチングハウス社が申請した2基の新規原子炉建設に対し、福島原発事故の教訓を踏まえた安全対策の強化を求めてただ一人反対し、原子力業界関係者から非難を浴びた。そしてその3ヶ月後にあたる5月21日、辞意を表明した。

「福島での事故がまるで無かったかのように新たな原発の建設を認めることに、私は賛成できません。」
「私から見れば、今回の新規の原子炉建設を認めることは『フクシマ』がまるで起きなかったと言っているのと同じことなのです。」

今年の2月、ヤツコ委員長は東芝とウエスチングハウス社が申請したボーグ州(注)とジョージア州での新たな2基の原子炉建設について、昨年3月11日に福島で原発事故を起こした原子炉と同型の施設に関し、福島事故で明らかになった欠陥を直すことを承認の条件に挙げ、原子力業界に改善を求めていた。

ヤツコ委員長は原子力セクターに身を置きつつも、事故の危険を予防するという原則を非常に厳しく貫き通したある種の「自由人」だったと言えるだろう。

ヤツコ委員長は

「信じられないほど生産的な3年間でした。」

と自らの業務を前向きに振り返りつつ、

「しかし、別の場所に移って国民の安全を守る努力を続けて行く時がきました。」

と述べた。同委員長は、次期委員長が決定するまで現職にとどまる予定だ。

原子力に反対する民主党のエド・マーキー議員はヤツコ委員長について、

「原子炉への厳しい安全規準の適用に反対する原子力業界の中でも特に強攻な原子力推進派に対して、非常に困難な戦いを挑んでいた」

と見る。

ヤツコ委員長は1年以上前、職場でモラルハラスメントを行なったとして一部の職場関係者から非難を受けた。しかし委員長は本件を一貫して否定している。この件については、現在に至るまで政府内で特段の対応はなされてこなかったが、最近になって再び脚光を浴びている。

(抜粋、一部編集)

(注)ボーグ州ではすでに、東芝とウエスチングハウス社による新規原子炉の建設が進められている(画像あり)。スリーマイル島原発事故以来、30年ぶりの新規建設となった。
「米原子力規制委、東芝傘下の新型原子炉を認可」エクール(2011年12月23日) http://www.ecool.jp/foreign/2011/12/westinghouse11-ap1436.html

<参考>「ヤツコ米原子力規制委員長が辞任へ 在任中業界や委員と衝突」ウォールストリート・ジャーナル日本語版(5月22日)
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_446528 

(AFP, « Désavoué, le directeur de la sécurité nucléaire américaine démissionne», La Presse, 2012.05.21)
http://www.lapresse.ca/international/etats-unis/201205/21/01-4527198-desavoue-le-directeur-de-la-securite-nucleaire-americaine-demissionne.php

2012年5月23日 (水)

太陽エネルギー産業の再建:オランド新政権への期待と試練/ルモンド紙(5月22日)

「再生エネルギーの利用拡大を、関連産業への支援と合わせて強化する。」

フランソワ・オランド新大統領が選挙で掲げた60の公約のうちの一つだ。ニコル・ブリック環境・持続的発展・エネルギー大臣だけではなく、アルノー・モントブルク産業復興大臣も含めた閣僚たちが、ただちに取り組みを始めなければならない課題である。


●フランス太陽エネルギー産業の苦境

フランスで太陽光発電の先駆者的存在だった「フォトワット」社が、瀕死の状態から当時のサルコジ政権の介入で何とか息をとりとめた、という事実が示すように、そして再生可能エネルギー業界組合(SER)の関係者たちが述べているように、「フランスの太陽エネルギー産業は、再建を必要としている。」

他のヨーロッパ諸国同様、フランスの太陽エネルギー産業は、中国と台湾を中心とするアジアからの安価な光電池(光によって電力を起こす電池)の流入と、政府からの電力買い取り価格への補助金削減によって苦境に立たされている。

2011年、中国は世界の光電池生産量のうちの57%を、そして台湾は11%を占めていた(注:日本は6.9%)。反対にヨーロッパの生産量は9%にすぎず、そのうちの7%をドイツが占めている。中国はシリコンと光電池の生産に280億ドル(約2.8兆円)を投資したが、ヨーロッパ諸国による投資はその4分の1にも満たず、そのほとんどがドイツに集中していた。これと平行して、2011年にはフランスで業界数千人分の雇用が失われた。


●技術革新による打開戦略

しかしこうした状況とは裏腹に、フランスではかつてない勢いで太陽光発電設備への需要が拡大している。2011年には、2010年時の2倍にあたる1600メガワット分の太陽光パネルが新たに国内で設置された。

苦境の太陽エネルギー産業にも切り札が無い訳ではない。国内の関連研究所をとりまとめる国立太陽エネルギー研究所(INES)は、このセクターに関する研究所としてトップクラスの位置にある。

「新しい技術革新に投資し続けなければなりません。新しい技術を生むことによってのみ、私たちは他国に差をつけることができるのです。」

ヨーロッパ代替エネルギー研究所のジャン=フランソワ・バルは述べる。長期的には、「ポリマー」と呼ばれる高分子化合物素材による、より発電効率の高い電池を開発できる可能性もある。米国同様、ヨーロッパにはアジアの競争相手には無い技術力がある。技術力をうまく使うことができれば、素早くこれまでの遅れを取り戻せる可能性がある。しかしそのためには、研究開発への投資が必要だ。

政府の「原子力と原子力に代わるエネルギーに関する委員会」で科学研究部長と代替エネルギー部門の責任者をつとめるジャン・テルムは次のように述べる。

「発電は地域に密着した活動です。発電を行なう場所は消費地に近くなければならないのです。ですから、巨大な太陽光パネルの工場が中国その他にできたとしても、そのまま電力の世界市場に供給を行うということは考えられません。フランスに光電池分野で活躍する望みが全く無い訳ではないのです。」


●エネルギー政策の転換に向けたステップ

このシナリオに従えば、フランス産業界が太陽光発電産業の立て直しを求めるのは必然のことだ。そして今現在、政府は再生エネルギーの支援により前向きだ。オランド新政権は今後エネルギー政策転換に向けて国家レベルでの議論を行い、2013年の春に新たな法律の制定を目指している。 

「私たちは2013年の夏まで、(代替エネルギー)産業全体が安定し、人目を集め、前向きな体制に落ち着くのを待つ気はありません。」

仏大統領選挙の際、フランソワ・オランド新大統領のチームで環境問題を担当していたマリーヌ=エレン・オベールは言う。太陽光発電産業の斜陽に歯止めがかかるだろうか。新大統領の手腕が問われている。

(要約・抜粋)

(Pierre Le Hir, « Les industriels du solaire comptent sur la relance promise par François Hollande », Le Monde, 2012.05.22)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/05/21/les-industriels-du-solaire-comptent-sur-la-relance-promise-par-francois-hollande_1704756_3244.html

2012年5月20日 (日)

米国サン・オノフレ原発で再び事故:毎時100リットル以上の放射性蒸気が流出/第四世代原子力 &サン・オノフレの安全を守る会(5月10日)

米国・原子力規制委員会(NRC)は5月9日、カリフォルニア州にある「サン・オノフレ原発」から放射性の蒸気が流出していると発表した。放射性の蒸気は同原発の第三号機に設置されている蒸気生成装置から漏れ出ており、毎時100リットルを上回る量が排出されているとみられている。この事故は原子力事故の深刻度を測る国際原子力事象評価尺度(INES)でレベル1(異常事態と安全耐性の劣化)に相当する。この事故を受け、緊急の手動停止措置が取られた。蒸気流出の原因は、蒸気生成装置に付属する管の一つが破損したためと見られている。

今回事故が起きた蒸気生成装置は設置されてからまだ1年未満の比較的新しい装置。しかし同時期に交換が行なわれた他の3つの蒸気生成装置についても異常な速度での老朽化が見られると言う。蒸気生成装置は原子炉の安全に直結する重要度の高い装置。

サン・オノフレ原発は今年1月、配管が破損して水が漏出、放射性物質が大気に放出される事故を起こしたために緊急停止した。同原発はこの事故以来停止している。サン・オノフレの安全を守る会によれば、装置が交換された際、元の装置と違う型の装置が取り付けられたために装置につながれた管に振動が生じ破損した可能性がある。尚、サン・オノフレ原発の停止にかかわらず、夏のピーク時にも電力は不足しない見込み。

(両ソースより抜粋、一部編集)

●サン・オノフレ原発(英語です)
http://en.wikipedia.org/wiki/San_Onofre_Nuclear_Generating_Station

●サン・オノフレの安全を守る会/「不吉な振動:サン・オノフレ原発の蒸気生成装置は安全な修理が不可能」市民団体「新しい公正な風」主席エンジニアによる報告
http://sanonofresafety.org/2012/05/15/bad-vibrations-san-onofre-steam-generators-cannot-safely-be-repaired-new-fairewinds-video-and-report/ 

(« La fuite radioactive sur le site de San Onofre USA supérieure à 100 l / heure », La 4ème génération nucléaire (gen4), 2012.05.10)
http://www.gen4.fr/blog/2012/02/la-fuite-radioactive-sur-le-site-de-san-onofre-usa-supérieure-à-100-l-heure-1.html

2012年5月18日 (金)

アレバ社、三菱商事の子会社とオーストラリアでウランを採掘/ロマンディ・ニュース(5月14日)

フランスの原子力企業グループ・アレバ社は5月14日、米国にある三菱商事の子会社(三菱商事会社、Mitsubishi International Corporation。注1)と連合を組み、オーストラリアでウランの採掘を行うと発表した。

アレバ社によるプレスリリースによれば、2社はウランの採掘が現在ほとんど行われていない面積数万平方キロメートルにわたる地域で数年間にわたって行われる予定。オーストラリアはカザフスタンとカナダに続く世界第三位のウラン産出国。2011年には約6千2百トンのウランを産出し、ウランの地下埋蔵量は世界一とされる。

アレバ社で採掘を担当するオリビエ・ワンツ副社長によれば、「アレバ社と三菱社は力を合わせ、オーストラリアの地下に眠っているとみられるウラン鉱を採掘するための重要な手段を提供する」という。又、長期的には新たなウラン鉱山の発見による安価なウラン生産が可能になることを期待しているという。

2社の合意書によれば、この事業を実施するにあたり、オーストラリアにある三菱グループの系列会社「三菱ディベロップメント社」(注2)がアレバ社の系列会社「アフメコ鉱業開発」に対し、数年間にわたり資金を提供することになっている。三菱ディベロップメント社からの支援額が一定額を超えた時点で、同社はアフメコ社が所有するオーストラリア国内の未開発地域でのウラン採掘権のうちの49%を入手する。全体の事業経営は2社の合同企業が受け持つ予定。

(注1)三菱商事会社は、米国に本拠地を置く三菱商事の100%子会社。
http://www.mitsubishicorp.com/us/en/

(注2)三菱デベロップメント社(Mitsubishi Development Pty Ltd)は、オーストラリアのシドニーに本拠地を置く三菱商事の100%子会社。

(« Areva s’allie avec Mitsubishi pour chercher de l’uranium en Australie », Romandie News, 2012.05.18)
http://www.romandie.com/news/n/_Areva_s_allie_avec_Mitsubishi_pour_chercher_de_l_uranium_en_Australie38150520120918.asp

2012年5月16日 (水)

心を蝕む被ばくの代償は:被ばく後の不安にさいなまれる元原発作業員、フランス電力公社を提訴/マ・ヴィル.com(4月28日)

被ばくの体験は、身体のみならず精神的にも大きな負担をもたらします。大量の放射線を浴びた一人の原発作業員は、電力会社に対し精神的な被害への保障を求める最初の声を上げました。

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パリの急速審理裁判所(注1)は6月4日、フランス電力公社(EDF、フランス最大の電力会社)が運営するグラブリンヌ原発(仏北部の町。注2)で原子炉の維持管理を行なっていた元原発作業員が、作業中に大量の放射能による被ばくを受けた後に不安に悩まされるようになったのは、同社が原因による「精神的損害」である、として起こした最初の裁判について判決をくださなければない。4月28日、この訴えを起こした被害者を代表するエマニュエル・ルド弁護士が明らかにした。

ルド弁護士はこの日、原発作業員だったフィリップ・クリブリ氏52歳に対し心理分析の専門家による診断を行うよう、裁判所への訴えを起こした。訴えが受理されれば、特に重要な訴訟を選んで扱うパリ大審裁判所で判決が言い渡されることになる。

クリブリ元原発作業員は1986年から1989年にかけてフランス電力公社の下請け企業に所属して原発での業務に従事していた。しかし今では極度の不安や悪夢にさいなまれているという。


「数年前のことを考えるのです。あの時私たちが浴びた放射線量のことと共に。あの放射能で、私たち作業員の体のどの部分がやられたのだろう、ってね。もしあの時会社が、

『気をつけなさい、普通の人の20倍以上の確率で癌になる可能性があるのだから。』

と言ってくれていたら。私は

『親方、もうこの仕事は結構です!』

と答えていたでしょう。考えないように努力しているのですが、何度も考えてしまいます。私は(まだ病気になってはいないけれど、病気になっても当然の状態にある)『執行猶予付きの病人』なのです。」


クリブリ元原発作業員はRTLラジオに対し、このように述べた。

クリブリ元作業員は、フランス電力公社の下請け企業で働いていた。しかしルド弁護士は下請け企業の代わりにフランス電力公社を訴えることを決めた。ルド弁護士は、


「フランス電力公社は当時、危険な被ばく作業の実態を知っていたにも関わらず、法を隠れ蓑にして黙っていたからです。」


と述べる。

フランスにも適用されるEUの新しい規準によれば、当時クリブリ元作業員が浴びた放射線量は危険なレベルに相当する。当時フランス電力公社は、作業員が浴びる放射線量の上限が、作業期間内に浴びた瞬間の放射線量のうち、最も高いものを基準に定められていたことを知りながら、作業員が一日に浴びた平均放射線量のみを考慮の対象としていた。

クリブリ氏は自らが浴びた放射線量を証明する放射線量手帳を保存していたことが決め手となり、今回の裁判を起こすことができた。不安による精神的損害への補償については、既に石綿による公害被害者の一部に対し認定されている。

(抜粋、一部編集)

(注1)急速審理裁判所:緊急の事件や執行の困難な事件を審査し、対処を命ずる裁判所。我が国の行政処分に相当する暫定的措置を命ずることができる。

(注2)グラブリンヌ市は、イギリスを望むフランス北端の海岸町。

○グラブリンヌ市の画像
http://www.google.co.jp/search?q=Gravelines&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=ziWzT7uaCIXJmQWTmZGgBQ&ved=0CIQBELAE&biw=1344&bih=693 

グラブリンヌ原発は1980年より運転を開始。6基の原子炉をかかえる。周囲1キロの地域では海水温度の上昇等が報告されている。

(« Un ex-employé du nucléaire à Gravelines assigne EDF pour préjudice d’anxiété », Ma Ville.com, 2012.04.28)
http://www.valenciennes.maville.com/actu/actudet_-Un-ex-employe-du-nucleaire-a-Gravelines-assigne-EDF-pour-prejudice-d-anxiete_fil-2146380_actu.Htm

2012年5月13日 (日)

アレバ社ウラン鉱山の労働者が肺癌で死亡ー仏裁判所、アレバ社に有罪判決「許されない過ち」/ルモンド紙(5月11日)

原子力発電の燃料となるウラン。ウランを採掘するためのウラン鉱山でも、被ばくにより癌に亡くなる関係者が報告されています。大企業を恐れ口をつぐんできた労働者とその家族達は今、公正な裁判と補償を求めて声を上げ始めています。

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ムラン市(注)の社会保障裁判所は5月11日、アレバ社がニジェール(西アフリカ)に所有するウラン鉱山で働いていた同社の系列会社の元社員が肺癌で死亡した問題に関し、アレバ社への有罪を言い渡した。被害者・家族側の弁護士が公表した。

肺癌で死亡したのは、ニジェール北西部のアコカンという地域でウランを採掘するアレバ社の系列会社でニジェール国籍のコミナック社に勤めていたセルジュ・ブネル元社員。1978年から1985年にかけてコミナック社で働いた後、2009年7月に死亡した。59歳だった。被害者の娘であるペギー・ブネル氏は法廷弁論で、ブネル氏が死亡する数ヶ月前に、肺病の専門医より「癌の原因はウランの粉塵を吸い込んだことによるもの」との指摘を受けていたと説明した。


●「許されない過ち」

裁判所は、アレバ社がコミナック社と共にブネル氏を雇用していたことから、共同雇用者として「許されない過ち」を犯したとの判断を示した。被害者の家族を代表するジャン-ポール・テッソニエール弁護士によれば、セルジュ・ブネル元社員の妻は今回の判決により、当初の同社員の年金の倍額と被害者が生きていた場合にもらうことができたと考えられる給与の受け取りが可能となる。また今回のアレバ社への有罪判決により、被害者の家族は健康保険基金に対し被害額と利子を合わせた上限20万ユーロ(約2千万円)までの請求を行なう権利を得ることになる。

アレバ社はこれに対し、

「ムラン裁判所による判決については理解していない。」
「判決文の全文が入手でき次第、我々には控訴する権利があります。」

と述べている。同社は「(ブネル氏の)肺癌と(同氏が)コミナック社で働いていた事実の間にある因果関係は証明されていない」と推定しており、健康保険基金はアレバ社に対し労働災害の責任を問うてはいないことを明らかにした。又、健康保険基金がアレバ社に被害者への賠償を行なうよう結論したとすれば、「我が社が被害者の最後の雇用先だったから」と述べている。


●アレバ社と系列企業社員の間にある実質的な関係を認定

被害者であるセルジュ・ブネル元社員の娘はこの日、

「とてつもなく大きな喜びを感じています。」
「でもまだ終っていません。きっとアレバ社は控訴するでしょうから。」

と述べた。その上で、

「今回の判決は他の被害者にとっても救済の突破口になると思います。」

とも話した。多くの被害者がアレバ社を恐れ、訴えることを躊躇しているという。又、他に少なくとも2件、類似の裁判が係争中だと言う。

被害者の家族を代表するテッソニエール弁護士は、

「難しいケースです。」

と述べる。

「司法上は、アレバ社は被害者の直接の雇用主ではありませんでした。でも、安全対策やウラン鉱の採掘条件を決めているのはアレバ社です。」
「裁判所は、現実にある企業と労働者の間の関係を考慮するために、見かけの契約関係を超えた関係が存在することを認めたのです。」

と推察している。

(抜粋、一部編集)

(注)ムラン市はパリの南東、セーヌ河のほとりにある歴史ある町。6世紀の文献にも既にその名前が記されていたという。http://ja.wikipedia.org/wiki/ムラン

○画像で見るムラン市
http://www.google.co.jp/search?q=Melun&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=TKevT8DuC4HWmAWjppyqCQ&ved=0CJEBELAE&biw=1268&bih=618 

(Le Monde.fr & AFP, « Areva condamné après la mort par cancer d’un ex-salarié d’une mine d’uranium », Le Monde, 2012.04.13)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/05/11/areva-condamne-apres-la-mort-par-cancer-d-un-ex-salarie-d-une-mine-d-uranium_1699804_3244.html

2012年5月10日 (木)

フランス原子力庁最高顧問、福島原発第四号機・核燃料プールの危険性を指摘「大地震が起きれば、再び大惨事に」「一刻も早い対応を」/ルモンド&リベラシオン(5月3日)

ルモンド紙とリベラシオン紙は5月3日、去る2月に福島原発を視察したフランス原子力庁(CEA)の最高顧問ベルナール・ビゴによる福島原発第四号機への発言を掲載しました。フランスの原子力を推進する原子力庁の最高幹部は、第四号機の燃料プールに残された大量の使用済み核燃料が予断を許さない危険な状態にあることを指摘し、新たな地震による大惨事再来の可能性を予見しています。そして、核燃料を一刻も早く安全な場所に移すべきと警告しています。

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●「福島原発の危機的状況、続く」ルモンド紙(抜粋)

建物には近寄れず、汚染水の保管場所は不足、そして新たな爆発の危険がつきまとう。福島原発事故が始まってから1年と2か月余りが過ぎた。しかし、事故を起こした福島原発は依然として厳しい状況にある。約3千人の作業員たちが破壊された現場の整理と事故の収拾に追われる現場では、新たな大地震が起きれば再び大事故が起きる危険にさらされている。昨年3月11日から今年の3月11日までの間に日本で起きたマグニチュード6以上の地震は、97回にのぼっている。地震の活動は収まっていない。

1535本の燃料棒が格納されている福島原発第四号機は、見るからに脆弱そうに見える。この原子炉の内部は、爆発によって構造がもろくなっている。去る2月、フランス原子力庁のベルナール・ビゴ最高顧問は日本を訪れた際、福島四号機の燃料プール(から使用済み核燃料棒を運びだしプール)を「空にする」必要があると警告した。4月上旬には、同様に米国のロン・ワイデン上院議員が第四号機・燃料プールの危険性を公けの場で指摘し、事故が起きれば昨年3月11日に起きた福島原発事故を上回る量の放射性物質が放出される大事故につながる可能性がある、と述べている。


● 「福島原発では誰も『原発を止めろ、私たちは間違いを起こしている』と言う勇気のある人がいなかった」ベルナール・ビゴ原子力庁・最高顧問へのインタビュー/リベラシオン紙(抜粋)

リベラシオン紙:「(2月に福島原発を視察した時、)福島原発の建物はどのような状態でしたか?」

ビゴ最高顧問:ショックを受けたのは、水素爆発によって何もかもが破壊されてしまった様子を見た時でした。日本人たちは特に第三号機・四号機の周りを中心に懸命に瓦礫を集める作業を行なっています。原子炉を取り囲む建物の掃除にとりかかるため、クレーン車が配置されていました。使用済み核燃料がある燃料プールに近づくためです。もしまた地震が起きて燃料プールの中の水が空になったら、再び大惨事になるでしょう。ですから、できる限り早急に使用済み核燃料を取り出して、別の場所に保管しなければなりません。日本人たちは2年後にそれができれば、と期待しています。

(抜粋・一部編集)

(Philippe Mesmer, « La situation demeure critique à la centrale de Fukushima », Le Monde, 2012.05.03)ウエブ上のリンクはありません。

(A Fukushima, personne n’a eu le courage de dire « stop nous faisons une erreur », Libération, 2012.05.03)
http://www.liberation.fr/terre/01012393621-a-fukushima-personne-n-a-eu-le-courage-de-dire-stop-nous-faisons-une-erreur

2012年5月 8日 (火)

フランス電力公社、内部文書にて「国内31箇所の原子炉で冷却設備の耐久性に不安」/AFP(5月2日)

フランス電力公社(EDF、フランス国内最大の電力会社)は同社の内部文書で、国内に59基ある原子炉のうちの31基について、「原子炉内に冷却水を流す主要冷却水路に取り付けられている鉄製弁の耐久性に不安がある」と言及した。5月2日、パリにベースを置く全国組織「原子力をやめる会」(注)が明らかにした。AFPからの問い合わせに対しフランス電力公社は、「即時の回答は見送りたい」と答えた。

発表を行った「原子力をやめる会」によれば、フランス電力公社はその内部文書の中で、特に出力900メガワットの31箇所の原子炉において、主要冷却水路の弁が高温による金属の劣化により摩耗しやすく、激しく破砕する可能性があると指摘している。主要冷却水路の弁には、流量を調節する仕切弁が含まれている。

フランス電力公社によるシナリオでは、高温による老朽化によって弁が破砕された場合、主要冷却水路の水が大幅に失われる可能性があるという。過酷事故が起きた場合には弁は最短90分で破砕し、現場の作業員はいかなる対応も不可能となり、短い時間の間に周囲の環境への大規模な汚染が起こる危険性がある。

「原子力をやめる会」によれば、フランス電力公社は自らが「不安がある」と考えている118の弁の交換を最優先事項とは考えていない。弁の取り換えは電気技師による単純な作業で実施可能であるにもかかわらず、2015年まで完了しない見込みだとういう。

(抜粋、一部編集)

(注)「原子力をやめる会」(Sortir du nucléaire)
http://www.sortirdunucleaire.org/ (仏語です。日本での全原発停止のニュースが最新記事として掲載されています。)

(« Nucléaire : des documents internes d’EDF révèlent des doutes sur des robinets », AFP, 2012.05.02)
http://www.romandie.com/news/n/_Nucleaire_des_documents_internes_d_EDF_revelent_des_doutes_sur_des_robinets83020520121931.asp

2012年5月 5日 (土)

「チェルノブイリ、福島―もう二度と繰り返さない!」チェルノブイリ原発事故から26年、世界184の町から広がる原発反対の輪/原子力をやめる会(4月26日)

今日5月5日は、日本全国の原発が全て停止する歴史的な日。皆様はどのようにお過ごしでしょうか。福島原発事故の発生から1年余り。一つの大きな前進だと思います。

さて、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故から26年目となる4月26日から5月上旬にかけて、フランスおよび世界各地では「チェルノブイリ、福島―もう二度と繰り返さない!」を合い言葉に原発に反対する「世界チェルノブイリ・デー」キャンペーンが開かれました。パリの街角から、小さな町の市場に至るまで。世界16カ国184の町で、人間の鎖、ガイコツ姿の仮装デモ等々、各地で市民たちが思い思いの衣装と行動で心を一つにしました。

「チェルノブイリ、福島―もう二度と繰り返さない!」世界チェルノブイリデー・キャンペーン動画by「原子力をやめる会」(音楽もチェルノブイリや福島について歌っています)
http://www.youtube.com/watch?v=ZUGJEroLgE8 


☆各地での活動のいくつかを御紹介します。

●プラドの市場を仮装して練り歩く市民たち。「『イチゴ1パック、1ユーロ』の看板の横で『チェルノブイリ、福島―もう二度と繰り返さない!』」
http://chernobyl-day.org/Mobilisation-antinucleaire-a?lang=fr 

<参考>プラド市はフランスとスペインの国境に位置する町です。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Prades_(Pyrénées-Orientales) 


●ラニオン市で行なわれた「チェルノブイリの掃除人」への追悼
http://chernobyl-day.org/Lanion-22-Hommage-aux-liquidateurs?lang=fr

<参考>ラニオン市はフランス西岸に位置する城下町です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Lannion 


●カナダのトロント市の交差点で「ダーリントン原発建設反対」の大弾幕を広げる市民たち。オンタリオ州ではダーリントン原発の建設が計画されている。
http://chernobyl-day.org/Action-a-Toronto?lang=fr


●その他、フランス、ドイツ、カナダの各地で行なわれた市民行動の様子(各行をクリックすると、各地で開かれたイベントについての動画・写真・説明などが読めます。フランス語ですが、動画や写真をどうぞ。ただし、説明文のみのものもあります。)
http://chernobyl-day.org/Comptes-rendus-des-actions?lang=fr 


出典:「世界チェルノブイリ・デー」オフィシャル・サイトby原子力をやめる会/Sortir du nucléaire
http://www.chernobyl-day.org/?lang=fr

2012年5月 3日 (木)

ロシア原子力業界を覆う汚職の黒雲―不正契約で国家に4.2億円の損失/ルモンド紙(4月27日)

韓国では原発の部品納入をめぐる汚職事件が報道されていますが(注1)、ロシアでも国営原子力企業の幹部による大規模な汚職が連続して摘発されています。

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新たな汚職の発覚がロシアの原子力業界を揺るがしている。ロシアの内務大臣は4月27日、同国の原子力市場を独占する公的企業「ロスアトム」(前のロシア原子力庁)の責任者が、放射性物質を格納するコンテナの購入に際し不正な契約を結び、国家に約4.2億円の損失を与えていたことを明らかにした。

この責任者の名前は明らかにされていない。しかし大臣の説明によれば、2010年12月に750個のコンテナを購入した際、入札を行わなかったばかりか、市場価格の2.5倍にあたる4.5億ルーブル(約12.2億円)で購入の契約を結んでいたという。


●政府幹部を巻き込んだ大規模汚職が頻発

ロシアの原子力業界での汚職が明らかになるのは、今週でこれが2件目。内務大臣は4月25日、自らの補佐も兼任するロスアトム・グループの系列会社「ハイドロプレス」社の代表取締役が、原発の建設に際し結んだ機材の購入契約を通じ、2千6百万ルーブル(約7千万円)を横領した容疑で逮捕されたと発表したばかりだった。同社の副社長は2011年7月、2008年と2009年に計1.1兆ルーブル(約3兆円)を横領し逮捕されている。


●監視機関・裁判所ともに機能せず

世界各国における汚職行為を監視する国際組織「トランスペアレンシー・インターナショナル」は2010年、ロスアトム社に対し独立した立場から監視を行う機関が全く存在していないことを指摘している。

2005年には元原子力大臣のエフゲニ・アダモフが、1986年に起きたチェルノブイリ事故を受けてロシア国内の原子力施設の安全対策強化のために米国政府が供与した900万ドル(当時換算で約9.6億円)以上の資金を横領したかどでスイスにて逮捕されている。アダモフ元大臣は後に総額1700万ドル(当時換算で約18億円)を横領した罪で懲役5年以上の刑を求刑されたが、最終的には執行猶予付き懲役4年の刑に減刑され、すぐに釈放されている。

(抜粋・一部編集)

(注1)「原発汚職:韓国水力原子力の幹部4−5人が捜査線上に」朝鮮日報 5月3日 
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/05/03/2012050301111.html 

(注2)ロシア国営原子力企業「ロスアトム」
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=13-01-02-09

(注3)世界の汚職を監視する国際組織「トランスペアレンシー・インターナショナル」
○本部HP(英語です) http://www.transparency.org/ 
○日本支部HP http://www.ti-j.org/ 

(« Nouvelle affaire de corruption dans le nucléaire russe », Le Monde, 2012.04.27)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/04/27/nouvelle-affaire-de-corruption-dans-le-nucleaire-russe_1692579_3244.html

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