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2012年6月19日 (火)

原子力発電の隠された犠牲者たち:誰も知りたがらないウラン鉱山の真実 その1/ル・タン(5月23日)

大飯原発を含む我が国の原発で燃料として使用されるウランは、どのように採掘されているのだろうか。またウランの採掘は現地の人びとの生活にどんな影響を与えているのだろうか。

現在、世界の原発に燃料を供給しているのは、最貧国が集中する西アフリカの国々である。スイスの代表紙「ル・タン(時代)」が、ウラン鉱を抱えるアフリカの村々での現状を記事にして掲載しました。

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私は西アフリカのマリ共和国(注1)で開かれた「ウラン鉱開発による健康リスク」についてのシンポジウムから戻ったところだ。この会議は、「核兵器に反対する国際医師会」と西アフリカの最貧国マリ共和国の首都、バマコ市の西に位置するファレア(注2)の住民達が作る住民組織によって開催された。ファレアでは今後カナダの鉱山会社「ロックゲート・キャピタル社」(注3)がウランの採掘を予定している。シンポジウムには、アレバ社が過去40年以上にわたってウランの採掘を行なっている近隣のニジェール共和国アルリ鉱山や南アフリカからも代表者が駆けつけた。

私はこの会議で人々の証言に耳を傾けながら、ウラン鉱山を抱える地域に住む住民たちに対して、まともで科学的な情報を共有することがいかに重要であるかを改めて痛感した。


●汚染された井戸、死にゆく動物たち

カナダの鉱山会社ロックゲート・キャピタル社は、今後ファレア市でウラン鉱山を開発するための事前の調査として、400箇所以上にのぼる穴を市内のあちこちに掘った。これらの穴は深さ100メートルから300メートルにも及び、その過程で掘り出された土壌の量は、全長100キロメートルの穴を掘った場合に出る土壌量に相当する。掘り起こされた土は、そのままあちこちに放置されている。しかしこの試掘は深刻な汚染を引き起こした。

地中深くにあるウランが発する放射性ラドンは、試掘によってできた穴をつたってのぼってゆき、地上の放射線量を上昇させるとともに全ての地域を放射能で汚染した。今日いくつもの井戸で、地下からくみ上げた水から放射能による汚染が見つかっている。ある場所では、人口千人以上の住民が使っていた井戸が汚染され、人々は何キロも離れた場所に水を探しに行かなければならなくなった。鉱山会社は新しい井戸を掘ると約束したが、約束は守られていない。水を飲むのは人間だけではない。家畜たちは放射能に汚染された水を飲み、牛が何頭も死んでいった。鉱山会社が堀った穴は地下水の流れに影響を与えたが、調査は何もなされていない。将来干上がってしまう井戸があるのか。答えは誰も知らない。

マリ政府の鉱物資源大臣は、

「ウランは(貧困にあえぐ)ファレアの住民達にとって心の慰めです。」

と述べる。

「神は私たちにウランを授けました。ですからこのウランを開発しなければなりません。」

しかしアレバ社が過去40年にわたりウランの採掘を行なう隣国のニジェール共和国は、国連開発計画(UNDP)が2012年3月に発表した人間開発指標(注4)の世界ランキングで187ヵ国中186位にある。ウランの採掘は地元を豊かにする、との約束は守られていない。アレバ社はニジェール共和国アルリ鉱山でとれるウラン酸塩に、この何十年もの間、1キロ当たり32ユーロ(約3千2百円)しか払ってこなかった。この値段が1キロ当たり106ユーロ(約1万6百円)に引き上げられたのは最近のことだ。

(続く)

(抜粋、一部編集。小見出しはフランスねこがつけました。)

(注1) マリ共和国は西アフリカに位置する最貧国の一つ。一人当たりの国民総所得(GNI)は677米ドル(約6万7千7百円)

○マリ共和国の地図
http://www.luventicus.org/chizu/afurika/marikyouwakoku.html

○マリ共和国に関する画像
http://www.google.co.jp/search?q=%E3%83%9E%E3%83%AA%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=w7DeT76XNaTGmAWkvbytDA&sqi=2&ved=0CH0QsAQ&biw=1344&bih=693 

(注2)ファレアはマリ共和国カイ州に位置する人口約1万8千人の町。

(注3)ロックゲート・キャピタル社はカナダのバンクーバーに2005年に設立された鉱山会社。
http://www.rockgatecapital.com/s/Home.asp(同社のホームページ)

(注4)人間開発指数は、国民の購買力のみならず、健康な生活、教育へのアクセス、富の公平な分配、人間らしい生活水準といった基本次元における各国の平均達成度を総合的な視点で測るための指標。国選開発計画(UNDP)が毎年各国のランキングを発表している。

<参考>2011年の人間開発指数概況
http://www.undp.or.jp/hdr/global/pdf/111102Press_Release_HDI.pdf

(Isabelle Chevalley, « Mine d’uranium, ce scandale que l’on refuse de voir », Le Temps, 2012.05.23)
http://www.letemps.ch/Facet/print/Uuid/390924be-a43a-11e1-8393-1fc615131f93/Mine_duranium_ce_scandale_que_lon_refuse_de_voir

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