仏政府、国内原子力企業に対し、2018年までに1兆円規模の安全強化対策を指示/ルモンド紙(6月28日)
経済危機を受け、政府省庁の厳しい歳出削減を公言するオランド新政権。しかし昨年の福島原発事故の発生を受けて決定した原子力施設の安全対策強化については実施されるようです。
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フランス原子力安全局(ASN)は国内の主要な原子力企業に対し、今後2018年までに千以上の具体的な安全強化対策の実施を指示した。今回の安全対策は、昨年3月11日に起きた福島原発事故の発生を受け、地震、洪水、電源および水源喪失などの事態に対応するために取られるもの。これらの対策にかかる費用は総額で約100億ユーロ(約1兆円)と見られている。
安全対策強化の指示を受けたのは、ヨーロッパ内外の原子力産業の中核を担うフランス電力公社(EDF、仏最大の電力会社)、アレバ社、及び原子力庁(CEA、民生・軍事の両面で核エネルギー開発を推進する公共事業体)。フランス原子力安全局のアンドレ-クロード・ラコステ代表とジャン-クリストフ・ニエル部長は、福島原発事故の発生を受けて実施されたストレステストの結果を受け、300ページにわたる詳細な安全対策の指示を発表した。その中で、フランス電力公社は稼働中の58基の原発と建設中のフラマンヴィルにある第三世代型原発、アレバは原発にかかる機材調達と核燃料の再処理、原子力庁については原子力にかかわる研究機関について対策を取ることになっている。
これらの安全対策が全て適用されれば、我が国の原子力施設の安全は確保されたことになるのだろうか。
「福島で起きた原発事故は、私がいつも言っていたことを証明しました。事故の可能性は、決して排除することができないのです。」
フランス原子力安全局のラコステ代表は述べる。すなわち、
「フランスで原発事故が起きないとは、誰も保障できません。」
原子力業界の警備隊である原子力安全局の代表はこのようにも述べる。
「今日私たちは、『多分起きない』だろうことが、実際に『起きうる』ことを知っているのです。」
(抜粋、一部編集)
(Pierre Le Hir, « Nucléaire : les injonctions de l'ASN pour améliorer la sûreté du parc français », Le Monde, 2012.06.28)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/06/28/nucleaire-les-injonctions-de-l-asn-pour-ameliorer-la-surete-du-parc-francais_1725632_3244.html
« 「他人の犠牲の上に成り立つ原発は、仏教の倫理に反している」中島哲演住職/The Asahi Shimbun(6月15日) | トップページ | 福島原発第一号機で毎時1万ミリシーベルトを突破:最大放射線量の記録を更新/ルモンド紙(6月27日) »
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