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2012年7月

2012年7月28日 (土)

夏休みのお知らせ

いつも御愛読いただきありがとうございます。大変勝手ながら、8月3日頃まで夏休みを頂きます。暑さの折、皆様も十分に御自愛ください。また8月にお会いしましょう。

フランスねこ

2012年7月27日 (金)

「原発ゼロ」を望む日本人、原子力存続へ動く野田政権/ルモンド紙(7月25日)

2011年3月11日に福島で起きた悲惨な原発事故の後、日本は原子力発電にどのような位置付けを与えるのだろうか。日本の将来のエネルギー政策を再考するための政府委員会は、3つのシナリオを提案する。福島原発事故が起きる前は発電量全体の28%を占めていた原子力の割合を、2030年までに0%、15%、もしくは20〜25%にする、というシナリオである。委員会は最終的な決断を政府に任せている。その政府は8月中に結論を出すことを想定しており、15%案をひいき目に見ている印象だ。

しかし世論が政府案を支持する様子は全く見られない。日本人の圧倒的多数は原発の廃止を支持している。日本の国民は、活断層の上に建てられている可能性が指摘される大飯原発の2基の原発が7月に再稼働されたことに対し、不満を募らせている。毎週東京で実施される原発反対デモに参加する市民の数は増加の一途をたどっており、毎週何万人もの市民が参加している。そして7月29日には国会を囲む「人間の鎖」が計画されている。日本政府は討議型世論調査の実施を全国で予定しているが、既に実施された3ヵ所での討議では毎回原子力業界の関係者が20%~25%案を支持する意見を述べ、調査の中立性を疑問視する大論争が沸き起こっている。

(要約)

●元の記事:「原子力の廃止ではなく、部分的な縮小へと動く日本政府」/ルモンド紙(7月25日)
(Philippe Mesmer, « Le Japon s’oriente vers un retrait partiel du nucléaire, et non une sortie définitive », Le Monde, 2012.07.25)

2012年7月24日 (火)

フランスの電気料金、2020年には1.5倍以上に:「未来への投資」と原子力の代償/ルモンド紙(7月19日)

現在の法制度と人々の電力消費に関する行動パターンが変わらなければ、フランス一般家庭の電気料金は2020年に現在の1.5倍以上に増加する。自然代替エネルギー導入のための投資と原子力発電にかかるコスト増大がその理由だ。ただし「1.5倍」という数字には、原子力発電にかかわる新たな増加分―原子力施設の安全対策強化費や廃炉、事故に備えた保険料など―は含まれていない。原子力発電にかかる費用は今後最大で1.8倍に跳ね上がることが予想されており、電気料金をさらに押し上げる可能性がある。フランス元老院(上院に相当。注)が7月18日、国会内の政府エネルギー規制委員会による検討結果を元に作成した報告書の中で明らかにした。

オランド新大統領は選挙の公約としてエネルギー政策の転換に関する政策議論の実施を約束しており、同報告書は秋に実施される議論の元となるもの。フランス政府は同時に、生活に必要最小限の電力消費と、快適さ追求のための電力消費に差をつける料金体系を導入し、電気料金の総値上げ幅を2%に抑えることを検討している。

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2012年7月21日 (土)

「原発反対」を報じない日本のメディア/クーリエ・アンテルナショナル(6月21日)

福島原発事故の発生以来、日本で原発に反対する抗議運動に参加する人の数は衰えるところを知らない。デモによる抗議行動に加え、原子力の是非を問う国民投票の実施を求める請願書も提出されている。東京都では約32万人分の署名が集まったが、国民投票を求める声は6月18日、東京都議会によって拒否された。

そしてその3日前、約1万1千人の市民が、大飯原発の再稼働に反対し首相官邸前での抗議行動を行った。日本の大手メディアでこの大集会を報道したものはほとんどない。ただ一社、原子力の段階的な廃止を求める立場を明言している東京新聞のみが、読者からの投書にこたえる形でこれに言及した。

「官邸前での抗議行動を報道しなかったことにつきまして、読者の皆様より理由の説明を求める投書を100通以上頂きました。今回の件につきましては、報道活動への検閲は一切ございません。弊社の調整不足により現場に記者を派遣できなかったことによるものであり、御詫びを申し上げます。」

一部の新聞社は、オウム真理教による東京地下鉄サリン事件から17年が経った6月17日、最後の逃亡者が逮捕された事件を大きく取り上げ、大飯原発の再稼働問題を報道の表舞台から消し去った印象を与えた。こうした大手新聞社の対応に対し、インターネット上のソーシャル・メディアでは多くの批判が寄せられている。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事
「報道メディアに隠される『原発反対派』」クーリエ・アンテルナショナル(6月21日)
(Les « anti » éclipsés par les médias, Courrier international, n°1129, 2012.06.21)
http://www.courrierinternational.com/breve/2012/06/18/inquietudes-sur-l-approvisionnement-en-energie

2012年7月19日 (木)

米サン・オノフレ原発:蒸気生成装置で配管3400本が破損「当初発表より深刻な事態」/ルモンド紙(7月14日)

米国・原子力規制委員会(NRC)は7月12日、今年1月に放射性蒸気を流出させる事故を起こし原子炉の稼働を停止した「サン・オノフレ原発」(カリフォルニア州サンディエゴ市近郊)(注1)について、事故の原因となった蒸気生成装置(三菱重工業製造)(注2)内部の配管3400本が破損するという、当初の公式発表よりずっと深刻な事故であったことを明らかにした(注3)。

(注1)サン・オノフレ原発(画像)
http://www.google.co.jp/search?q=san+onofre+nuclear+power+plant&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=2IkHUKWXNuOMmQWYzcWnAw&sqi=2&ved=0CGYQsAQ&biw=1344&bih=694 

○サン・オノフレ原発の詳細(英語です)

http://en.wikipedia.org/wiki/San_Onofre_Nuclear_Generating_Station

(注2)「三菱重工業、サン・オノフレ原発の蒸気生成装置における深刻な故障を認める」/地球の友・アメリカ(4月20日、英語です)
http://www.foe.org/news/archives/2012-04-mitsubishi-affirms-serious-steam-generator-problem-at-san-onofre 
 
(注3)内部者により漏洩された7月5日付「サン・オノフレ原発第3号基 蒸気生成装置からの放射性蒸気漏れと配管の痛みに関する原因調査報告書」。放射性蒸気漏洩の原因となった大量の配管における破損が指摘されている。
http://libcloud.s3.amazonaws.com/93/3f/4/2278/Edison_Document_Tube_Wear.pdf

今回の事故を受け、アーニー・ガンダーセン氏をはじめとする政府外の専門家は、サン・オノフレ原発を米国内で最も危険な原発であると指摘している。又、周辺自治体では同原発の廃止を求める声が高まっている。

<参考>
5月10日「米国サン・オノフレ原発で再び事故:毎時100リットル以上の放射性蒸気が流出」
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/100-510-da28.html 

(AFP, « Etats-Unis : Inquiétude sur la centrale nucléaire de San Onofre », Le Monde, 2012.07.14)

2012年7月16日 (月)

「原発いらない」届け17万人の声/ルモンド紙(7月16日)

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(ルモンド紙より引用。AP Koji Sasahara)

福島での原発惨事が起きてから16ヶ月が過ぎた7月16日、原子力の使用をやめるよう求める数万人規模の大規模集会が東京で開かれた。主催者によると、この日代々木公園に集まった市民は17万人。当初の目標だった10万人を大きく上回った。市民らは、福島が位置する東北、北海道、九州、四国、関西など日本全国各地から、この集会のためにやって来た。

「原発いらない!」
「福島を返せ!」

集会の参加者らは出身地名や原発反対のメッセージが書かれた色とりどりのノボリを手に声を上げた。

「汚染のないきれいな日本を、私の子どもや孫に残したいと思います。」

引退し年金暮らしを送っている市川あきこは、滋賀県から参加した。

広場に設置された各地域のブース、歌、コント―集会の主催者らは今回の抗議行動に、思い切って「お祭り」の雰囲気を与えることを望んだ。他方、原発反対デモに参加する市民の数は、この数ヶ月増えつづけている。

現在日本にある50基の原子炉のうち、稼働しているのは1基のみだ。しかし各電力会社は原発の周辺に住む住民の心配にもかかわらず、原発を今後どんどん再稼働させることを望んでいる。

※ルモンド紙に掲載の他の画像(全8枚)も是非御覧ください。表示された写真をクリックすると次の画像が見れます。
http://www.lemonde.fr/japon/article/2012/07/16/importante-manifestation-antinucleaire-a-tokyo-16-mois-apres-fukushima_1733974_1492975.html 

(Le Monde.fr, « Importante manifestation antinucléaire à Tokyo, 16 mois après Fukushima », Le Monde, 2012.07.16)

2012年7月15日 (日)

「低線量被ばくがもたらす被害を解明せよ」被ばくした動物標本の保存に奮闘する世界の科学者たち/クーリエ・アンテルナショナル&ネイチャー(7月5日)

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(マヤック原子力発電所の入り口に立てられた「汚染地域につき立ち入り禁止」の標識。現在同発電所では使用済み放射性廃棄物の処理が行なわれている。Ozersk, Russia Yakovlev ITAR TASSをネイチャー誌の記事より引用。)


●被ばくした動物の皮膚が教えてくれること

事故を起こした福島原発の近くに住む住民は、低線量被ばくによりどのような影響を受けるのか。CTスキャンなどの医療検査や診療で受ける被ばくは人体にどのような影響を及ぼすのか。年間100ミリシーベルト以下の放射線被ばくによる被害は、いまだ十分に解明されていない。多くの国で原子力産業の労働者に適用されている年間被ばく量の上限についても、それ以下が安全であるとの根拠は無い。このように、低線量被ばくの被害にかんする世界的関心は、この数年間で大きく高まっている。

第二次戦から冷戦期にかけ、旧ソ連、米国、ヨーロッパ、および日本では動物を使った被ばく実験が多数行なわれ、実験に使用された動物の標本(特に被ばくした動物の皮膚)とデータが蓄積された。しかしこれらの貴重な資料は、冷戦終了後の時代の変化とともに打ち捨てられた。日本の広島大学で実施された被ばく実験による資料を含め、低線量被ばくの被害解明の鍵を握るとされる過去の貴重な資料の多くが、既に破壊され失われている。現在では、財政上・倫理上の理由から、過去に実施されたこれらの実験を再現することは不可能と考えられている。旧ソ連、米国、ヨーロッパ―世界の科学者たちは、EU、米国立癌研究所、米国エネルギー省などの支援を受けながら、遺失の危機に見舞われている貴重な動物標本の保存に乗り出した。


●ロシア・オジョルスクに眠る25万匹分の動物標本

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(オジョルスクにある南ウラル生物学研究所に保存された動物標本のサンプル。S Tapio撮影。ネイチャー誌より引用。)


ロシアの片田舎、南ウラル地域に位置するオジョルスクの町(注1)には、動物実験に関わる巨大な秘密が隠されている。この町にある南ウラル生物学研究所では、1950年代初期から冷戦が終わるまで、ネズミ、犬、豚、猿を含むおよそ25万匹の動物が実験のために被ばくさせられた。アルファー線、ベータ線、ガンマー線などの放射線の爆風を当てられた動物もいれば、放射性粒子を食べされられた動物もいる。動物たちがさらされた放射線量は時に即死するほどの強いものであったこともあれば、一見、動物たちに影響がないかのように見えるほど低い放射線量の場合もあった。これらの動物たちが死んだ後、科学者たちはそれぞれの皮を剥ぎ取って放射線がどんなダメージを与えたのかを観察した。また、動物たちの肺、心臓、肝臓、脳、その他の臓器を薄くスライスしてパラフィンに包み、将来顕微鏡で分析できるよう固定した。中には、瓶に入れホルマリン漬けにされた臓器もあった。

なぜこのような実験が行なわれたのか?米国による核攻撃を恐れた旧ソ連政府は、放射線が皮膚にダメージを与え癌などの疾病を引き起こすメカニズムを解明しようとしたのである。1957年にオジョルスク近郊にあるマヤック原子力発電所で起きた原発事故(注2)による惨事の影響に関する懸念もあった。全実験を通じ、科学者たちは被ばくした動物の皮膚を注意深く保存し、実験結果を記録した。被ばくした皮膚の標本収集は、米国、ヨーロッパ、日本でも同様に作成された。その過程で、およそ5億匹もの動物たちが実験の犠牲になったのである。しかし冷戦後、これらのコレクションは破壊されてしまった。しかし今日、低線量被ばくの影響を研究する科学者たちにとってこれらの過去の標本は重要な情報源と見なされている。


●国境を超えた協力

「資金面、倫理面の理由から、同じ規模での動物実験を再び実施することは不可能です。」

米国のシカゴにあるノースウェスタン大学で教鞭を取る放射線生物学者、ゲイル・ウォロシャック教授は述べる。

「でもおそらく、過去の被ばく実験に使われた動物の皮膚を研究に再利用することが可能です。」

広島や長崎で原爆の被害にあった人々や、事故を起こしたマヤック原子力発電所内で働いていて放射能に汚染された労働者たちは、晩年になって通常より高い率で心臓血管系の疾病を発症した。こうして、被ばくが癌以外の病気を引き起こすことが明らかになった。しかし低線量被ばくがこうした疾病のリスクを高めるのかどうか、また高める場合にはどのように高めるのか、は明らかになっていない。

2007年2月、「ヨーロッパにおける放射線学に関する資料収集推進プログラム」は失われかけている貴重な資料を探索するため、オジョルスクの南ウラル生物物理学研究所小さな調査団を派遣した。このプログラムは、1996年にさかのぼりヨーロッパ圏内にある放射能実験によるデータを電子化し保存するイニシアチブである。

オジョルスクの町に近づくためには、ロシア政府からの許可が降りるまで何ヶ月も待たなければならなかった。長時間のフライトのあと、車に3時間揺られ冗長なセキュリティー検査を受けてから、科学者たちからなる調査団の一行は屋根に穴があき窓ガラスが割れた「あばらや」にたどりついた。スライドやノートが床に落ちたままになっている部屋もあった。しかしそれ以外の部屋には、2万3千匹分の動物から採取されたサンプル資料が整然と保存されていた。最盛期には100人以上のスタッフを抱えていた研究所は、冷戦が終ったとたんに4・5名に削減され、全資料の保存管理を任された。厳しい運営環境にもかかわらず、ロシアの科学者達は貴重な資料を守ったのだった。調査団は大きな感銘を受けて帰路についた。

失われつつある被ばく実験に使用された動物の皮膚を保存する動きは、アメリカでも広がっている。少なくともオジョルスク研究所に保管されていた動物の皮膚は、マヤック原子力発電所で放射能にさらされた労働者の皮膚とともに、今後すぐに最先端の保管施設に移される予定だ。

(抜粋、要約。小見出しはフランスねこがつけました。)

(注1)オジョルスクはロシアの北部に位置する人口約8万2千人の町。過去に深刻な放射能漏れ事故を起こしたマヤック原子力発電所の近郊に位置する。

オジョルスク(英語のウィキペディアから)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ozyorsk,_Chelyabinsk_Oblast 

オジョルスクってこんな町(画像集)
http://www.google.co.jp/search?q=Ozersk&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=xrQCUM72GM7qmAXftqHqCQ&ved=0CFwQsAQ&biw=1280&bih=628 

(注2)マヤック原子力発電所の周辺では、放射能汚染によると見られる胎児の突然変異等、様々な人体被害が報告されている。2000年、ロシア政府は同発電所を外国からの引き受けた放射性廃棄物の処理場にする提案を行い、村人達の強い反発を招いた。200万人が反対署名を行い、マヤックの村人達は故郷の汚染された土を国会に運び抗議を行った。

当時の抗議の様子(英語、Environment News Serviceより。ショッキングな画像が含まれますので御注意ください。)
http://www.ens-newswire.com/ens/oct2000/2000-10-10-11.html 

(« Les aventuriers de l'archive perdue », Courrier International n°1131, 2012.07.05) 

この記事は、ネイチャー誌の記事を元にクーリエ・アンテルナショナルが掲載しました。仏文記事の元になっているネイチャーによるオリジナル記事(英語)はこちらです。

(Alison Abbott, «Radiation risks : Raiders of the lost archive », Nature, 2012.05.09)
http://www.nature.com/news/radiation-risks-raiders-of-the-lost-archive-1.10599

2012年7月13日 (金)

仏の核廃棄物、2030年までに倍増―東京ドーム2つ分以上に/ルモンド紙(7月13日)

フランス国内にある放射性廃棄物は2030年までに倍増する。不足する放射性廃棄物のための中間貯蔵庫の整備が急がれるとともに、危険な放射性廃棄物の処理を念頭に置いた将来のエネルギー政策についての議論が、早急に求められている。

フランスが処理しなければならない放射性廃棄物の量は、2030年に270万立方メートル(東京ドーム2つ分以上。注参照)にも達する。これは2010年末時点での廃棄物量の2倍に相当する。7月11日、フランス放射性廃棄物管理機関(Andra)が公表した。

2010年の末、フランス国内には130万立方メートルの放射性廃棄物が存在した。そのうちの大部分(59%)がフランス電力公社(EDF)の原子炉から排出されたものである。研究機関からは26%、軍事関係では全体の11%が排出された。残りは産業・医療関連のゴミが占める。

これらの放射性廃棄物の97%は中から低レベルのものだ。高レベル放射性廃棄物は全体の0.2%に過ぎない。しかしこの高レベル放射性廃棄物は原子炉で燃やされた放射性廃棄物を再度処理したもので、正に放射線量全体の96%を濃縮した非常に危険な物質である。これらは中レベルの放射線量を出す廃棄物、半減期が長い廃棄物(何百万年もの長期にわたるものを含む)とともに地下500メートルの深さに埋めなければならない。

「もっと急がなければなりません。次々と作り出される放射性廃棄物をどう処理すればよいのか、という問題なのです。」

仏放射性廃棄物管理機関のマリークロード・デュプュイ代表は述べている。核のゴミ処理という頭痛の種を解決する方策はその複雑さゆえにまだ見つかっていない。少なくとも、この問題は非常に緊急性が高い。2003年に開設されたモルヴィリエールの放射性廃棄物貯蔵庫は、65万立方メートルの容量にもかかわらず2025年にはいっぱいになると見られている。

(注)270万立方メートルは東京ドーム2つ分を上回る容積に相当する。東京ドームの容積は、124万立方メートル。

(抜粋、一部編集)

(Pierre Le Hir, « Les déchets nucléaires français auront doublé de volume en 2030 », Le Monde, 2012.07.13)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/07/12/les-dechets-nucleaires-francais-auront-double-de-volume-en-2030_1732590_3244.html

2012年7月10日 (火)

チェルノブイリの野火: ヨーロッパ全土を汚染する放射性の煙/BBC(7月7日)

1986年に起きたチェルノブイリ原発事故は大量の「死の灰」(放射性粒子)を発生させ、旧ソ連と西ヨーロッパを広い地域にわたって汚染した。重度の汚染により立ち入りが禁止されている同原発の周辺半径30キロの地帯の大部分は、松林に覆われている。ひどく汚染された松林はしばしば野火に見舞われるが、この野火により発生する煙はヨーロッパ全土を高度の放射能で汚染する危険をはらんでいる。ウクライナ共和国キエフ市からの特派員報告。


●ブルーベリーの季節

ウクライナ共和国の首都キエフから北へ向かう途中、道に沿って生えた背の高い赤くてまっすぐな松の木の陰に座り強い日差しを避けながら、孫たちと一緒にブルーベリーを売る年配の女性たちの姿を見かける。

ブルーベリーの季節だ。ブルーベリーはプラスチックのパックに入れられて売られていた。車を止めて値段を交渉することもできたが、キエフ生物科学大学の森林研究所からやって来たセルゲイ・ジブチェフ教授は勧めなかった。これらのブルーベリーは放射性ストロンチウムで汚染されているからだ。

ベリー類は非常に放射性物質を吸収しやすい。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故の際には、放射性物質の多くが煙の形で旧ソ連と西ヨーロッパ地域に放出された。放射性物質の汚染は公式の市場で売られている食品についてしか検査がなされていない。そして、通常は放射性セシウムについてしかなされない。年配の女性たちが経営する何百もの屋台形式の果物屋については、何の検査も無い。とは言え、全てのベリーが同じように汚染されている訳ではない。恐らくは、四分の一程度が汚染されていると考えられる。

立ち入り禁止区域の周辺は数年前に来たときよりもにぎわっている印象だった。しかし、チェルノブイリに大量に植林された松の木は深刻な問題を引き起こしていた。


●燃える松の木と、ヨーロッパ全土に広がる放射性の煙

松は傷つきやすい。風ですら折れてしまう。虫に喰われる。旱魃(かんばつ)になると簡単に野火を起こす。そして放射能に汚染された木々は、洗浄するにはあまりにも危険であり予算がかかりすぎると考えられている。ある専門家は、もしチェルノブイリ周辺の松林に火がつけば、東ヨーロッパに原子力爆弾を落とすのと同様の深刻な放射能被害を与えると指摘する。風は放射性の煙を遠くまで運ぶ。ウクライナの中だけでは無い。ヨーロッパ大陸全土に広がるのだ。

この仮説について調べるため、セルゲイ教授はチェルノブイリまでデータを収集しにやって来た。教授は同僚とともにチェルノブイリの森がもつ危険をモデル化して示すための資金を集めたいと考えている。最も危険な松林の区画を示すことができれば、ウクライナ政府や外国のドナーに対し(野火の消火にあたる)消防士たちを被曝から守るための研修や機材の供与を行うよう説得する段階に移ることができる。そして恐らくは、最も危険な松林の区画を伐採することも考えられるだろう。


●被ばくにさらされる消防士

チェルノブイリの消防士という仕事は、世界でもっとも人気の無い仕事だ。野火が起きると彼等は無線で互いに連絡を取り、場所を確定する。消防隊は旧ソ連製の大きな赤い消防車に飛び乗って草が生い茂るひび割れた道路を火元へと突き進んで行く。

消防士達が使用する機材は非常に簡単なものだ。彼等は自分たちが放射性の炎と戦っている時には、それが自分で分かると信じている。皮膚がちくちくして金属に触れているような感じがすると言うのだ。しかし消防士たちは高温の放射性粒子にさらされる危険がいかに深刻なものであるかを十分理解している訳ではない。彼等の仕事はいまだに旧ソ連の英雄主義の文脈で語られる。自分に何があろうとも、後でどんな被害に遭おうとも、火を消さねばならない、というものだ。


●風の吹くまま

セルゲイ教授は、1992年に起きたようなより大規模な野火はウクライナのイメージに絶望的なダメージを与えると述べる。しかしそれだけではない。ヨーロッパ全土の農地にとっても深刻な被害を与える危険がある。毎年(野火が発生しやすい)夏の暑い時期には、多くの研究者がこの問題について研究を続けてきた。セルゲイ教授その同僚たちは支援を必要としている。単にチェルノブイリの消防士たちが高度の被ばくにさらされないように救いだすためだけではない。放射性粒子が空中を漂い風の吹くままに飛んで行き、チェルノブイリ原発事故の負の遺産をまき散らすのを止めるために、である。多くの人は、チェルノブイリ事故の影響は既におさまっており、安心して忘れても良いと考えている。しかし悲劇は終わっていない。

(抜粋、一部編集。小見出しはフランスねこがつけました。)

●オリジナル記事(現地の画像はこちらからどうぞ)
(Patrick Evans, « Chernobyl’s radioactive trees and the forest fire risk », BBC, 2012.07.07)http://www.bbc.co.uk/news/magazine-18721292

●著者のパトリック・エヴァンズBBC記者自身による音読でも記事を「聞く」ことができます。放送はこちらから。http://www.bbc.co.uk/programmes/b01kjgp3 (複数ある中の、2番目のお話です。英語です。)

2012年7月 8日 (日)

再稼働から1週間、膨れ上がる怒りの声/ルモンド紙(7月6日)

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AP/Koji Sasahara(ルモンド紙の記事より転載、以下同様)

「Saikado hantai!(再稼働反対!)」

市民たちの声が響く。福島原発事故の発生以来、初めての原発再稼働から約1週間を迎えた7月6日、原子力に反対する何千もの市民はこの金曜日も首相官邸前を埋め、再稼働停止を求める抗議行動を行った。

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大飯原発第3号基は再稼働がなされたばかり。第4号機についても再稼働が目前に迫る。しかし日本国民は原子力施設の安全性に疑いの目を向け続けている。地震学者は警笛を鳴らし、原発の事故予防措置は不十分と指摘されている。

Afp3

デモに参加している市民らによると、今日の抗議行動には米国在住の著名な作曲家、坂本龍一氏が参加した。坂本氏はノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏、原子力業界の汚職を糾弾する報道記者、鎌田慧氏とともに原発反対運動を率いて来た。

原子力に反対する何千もの市民たちが、毎週日本全国から、政府への反対を表明するためにやってくる。男性・女性を問わず、全ての年齢層に至る市民たちが参加している。彼らは野田政権が、各分野の専門家たちが原発の危険性について発する警告を無視していると指摘する。

Afp4

今回の「金曜デモ」は、国会の事故調査委員会が福島原発事故に関する調査報告書を発表した翌日に行われた。同報告書は、(東電および政府の)組織管理と技術面の両面にわたる欠落が、昨年3月11日に地震と津波が東北沿岸を襲った際に起きた原発事故の惨事を引き起こしたと糾弾している。

(抜粋、一部編集)

(LeMonde.fr avec AFP, « Japon : des antinucléaires contestent la relance d’un réacteur », Le Monde, 2012.07.06)
http://www.lemonde.fr/japon/portfolio/2012/07/06/japon-des-antinucleaires-contestent-la-relance-d-un-reacteur_1730326_1492975.html

2012年7月 7日 (土)

野田政権と関西電力、750万人の反対署名と大規模デモを無視し再稼働/ルモンド紙(7月2日)

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「7月1日、大飯原発前で声を上げるデモ隊と機動隊」(ロイター/共同、ルモンド紙より引用)


関西電力は7月1日(日)の日本時間夜9時頃(パリ時間の午後2時頃)、世論の強い反対と市民による連日のデモにもかかわらず大飯原発第三号機を再稼働した。野田首相と福島県とおおい町は6月16日、関西電力に対し大飯原発第三・第四号機の再稼働を承認、同社は即座に再稼働の準備を進めていた。

今回の再稼働は、昨年3月11日に起きた福島原発事故以来初めてのもの。原子力に反対する国民署名は750万人分を突破、毎金曜日には首相官邸前で大規模な原発反対デモが開かれている。大飯原発周辺では、地元と全国から集まった数百人の市民が再稼働の3日前から原発への道を塞ぎ抗議を行っている。

(要約)

(LeMonde.fr & AFP, « Japon : des antinucléaires contestent la relance d’un réacteur », Le Monde, 2012.07.06)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2012/07/01/le-japon-redemarre-un-reacteur-nucleaire-dans-la-kansai_1727551_1492975.html


2012年7月 6日 (金)

7月1日、大飯原発前/川添文子(写真家)

フランス語の記事ではありませんが、まだ御覧になっていない方のために、あの日の記憶のかけらを残しておきます。
写真家、川添文子さんのフォトギャラリーから(奥田さん、情報のご提供をありがとうございました)。

http://www.google.co.jp/gwt/x?guid=on&output=xhtml1_0&wsc=tb&wsi=988f94b62e1eb34f&source=m&u=http%3A%2F%2Ft.co/Yj59g5GI&ei=cP_yT9yiD86ckgXMuITABA


車の中から不安そうに大人達のやりとりを見つめる子どもたち。
君たちは、どんな大人になるのだろう。

(全ての写真を御覧になりたい方はこちらから:http://fmk1980.tumblr.com/)  

「再稼働」を反対から読んで「ODAKIAS」―坂本龍一さんの新曲も御一緒にどうぞ(星月夜さんに教えて頂きました)。タイトルにアーチストらしいユーモアのセンスが感じられます。

http://www.youtube.com/watch?v=1yKN174GwLY

2012年7月 4日 (水)

王と原発/ルモンド紙(7月1日)

福島原発事故の発生からちょうど1年が過ぎた今年の3月11日、福島県選出の国会議員である玄葉外務大臣は、中東の国ヨルダンに降り立ちました。「アラブの春」の流れの中で王国から議会制民主主義への移行を望む声が高まるヨルダン。玄葉大臣を迎えるはずだった外務大臣は突如国王に罷免され、首都アンマンは混乱に包まれていました。

日本が原発の売り込みをはかるこの国では、下院議員の8割が原子力に反対していると言われています。

<参考>
「ヨルダン国会議員に聞く 難問山積『原発いらぬ』 下院議員は8割が反対」東京新聞(1月14日)/Various Topicsより
http://afternoon-tea-club.blog.ocn.ne.jp/blog/2012/01/post_a95b.html

「ヨルダン議会、原発事業一時停止を議決 安全性など懸念」朝日新聞 5月31日
http://www.asahi.com/international/update/0531/TKY201205310119.html 

揺れる砂漠の国での議論の一端を御紹介します。

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●王の願い、そして大地の揺れ

4月の末、ヨルダン・ハシェミット王国(以下、ヨルダン、注1)の首都アンマンで、ヨルダン原子力委員会のハレド・トウカン委員長は勝ち誇った風に私たちの目の前に「ヨルダンの地震地図」を広げた。カラフルな王国の地図。ヨルダンの国土に沿って伸びるシリア・アフリカ断層から伸びた部分が赤く塗られている。それは、全ての危険が潜む地域だ。そこからずっと東に行ったところ、茶色と緑の部分の間に、「ゾーン2A」と書かれ黄色に塗られた部分がある。トゥカン委員長は、そこがまさに将来新しい原発が建設される場所だ、と説明した。

「リフト地域の東に120キロ行ったところになります。つまり、地震が起きる危険が非常に少ない地域だということです。」

委員長はこう言い添えた。

それから14日後の5月11日午後9時50分、大地は揺れに見舞われた。マグニチュード5.5の揺れは確かに「中程度の揺れ」だったが、イスラエルの首都エルサレムからヨルダンの首都アンマンに至る地域の人々全てが揺れを体感したのである。

「何て事はありません。」

ハレド・トウカン委員長は動じない。そしてヨルダンの環境保護主義者たちが

「科学技術が高度に発達した日本ですらひどくやられたのです。ヨルダンのような田舎の国が、地震で原発事故が起きたりしたらそれに立ち向かえるのでしょうか?」

という風にヨルダンとフクシマと並べて比較するのに反論する。

「『自称専門家』による初歩的な批判だ!」

そしてこう続ける。

「日本の原発は地震には完璧に対応しました。問題は津波です。それで、ここでは津波なんて(ありませんから)。」

このように、トゥカン委員長はアブダラ二世国王の意志を忠実に通訳してみせる。国王閣下は自分の原発が欲しいのだ。たとえ隣国のイスラエルや米国が原発の建設をやめさせたがっていると思ってはいても。両国ともそんな「邪悪な意図」を持っていることは否定しているが、真実はいつも灰色でどっちつかずだ。


●電力への渇望

ヨルダンは石油以外の電力源を必要としているだろうか。これについては疑い無い。国土の92%が砂漠で世界で4番目に水源が貧しいこの国では、(海水から飲料水を作るための淡水化に必要な電力も含めて)電力の96%が輸入に頼っており、そのうちの80%は隣国のエジプトからガスの形で輸入されている。最終的には、「輸入されていた」と言うべきかもしれないが。。 昨年の2月以来、ヨルダンとイスラエルにガスを供給するガス田は遊牧民のベドウィン達によって14回も止められた。新しいエジプト大統領はイスラエルにガスを送るのをやめるかもしれない。そしてエジプトの政権についたムスリム同胞団を排除しているヨルダン王家は有利な立場には無い。

2011年、ヨルダン政府の電力料金は45億ドル(約4500億円)にのぼった。生活費の上昇はこの一年ヨルダンで起きている社会や政治面での衝突に油を注ぐことになる。手始めに2020年頃までに1000メガワットの電力を発電できれば、国内で必要とされる電力の30%をまかなうことができる。良いことだが、これは高くつく。50〜70億ドル(約4000億〜5600億円、現在レート)もかかるのだ。


●反対の声

原子力委員会は新しい原発の立地を紅海の脇にあるアカバの側に移した後、シリアとの国境からそう遠くないマフラク(注2、首都アンマンより80キロ地点)に移した。2013年の初めには、フランスのアレバ社と日本の三菱社の合弁会社がこの原発建設を落札したのか、それともロシアのアトムストロイエクスポート社が落札したのかを我々は知ることになるだろう。それまでに、国王とトウカン原子力委員会委員長は(原発の危険性を指摘する)「フクシマ症候群」に勝たねばならない。

環境保護主義者たちは、原発が環境や健康に及ぼす危険を強調している。100億ドル(約8000億円、現在レート)以上にもなると思われるとんでもない費用についても警笛を鳴らしている。そして、こうした議論は支持を得ている。「イスラム行動戦線」(ムスリム同胞団の政治支部)の政策チーフをつとめるザキ・バニ・エルシェッドは、党の(原子力の安全に関する)評価チームが

「原子力の害はそのメリットを上回る」

と結論した、と述べる。

しかしトウカン委員長はこうした注意深い態度を排除する。

「環境保護主義者たちの心配事は、空想のプロパガンダだ。そしてイスラム主義者たちは問題を理解していない。」

イスラエルは実際のところ、ヨルダンの原子力発電に反対していない。むしろ、発電がなされれば電気を買ってもよいとすら言っている。

「でも最終的には、一番シンプルなのはこういうことじゃないでしょうか?」

イスラエルの諜報・原子力大臣であるダン・メリドールは親切そうに提案する。

「ヨルダンはアラブ首長国連邦が米国との間で結んだ合意のモデルに従うのです。つまり、使用済み核燃料の再処理をやめることに決めるのです。」

使用済み核燃料による核兵器開発の危険性を懸念する隣人もまた、王の決定に否定できない影響を与えている。

(抜粋、一部編集)

(注1)ヨルダン・ハシェミット王国は中東に位置する人口630万人のイスラム教国(本文では「ヨルダン王国」と省略)。国民一人当たりの国内総生産は5300ドル(約5万3千円)の中進国。リン鉱石、天然ガス、ウランなどを産出する。パレスチナ暫定自治区と国境を接しており、世襲制の国王が統治する立憲君主制国家。しかし「アラブの春」以来、議院内閣制への移行を求める声が高まってきている。首都はアンマン。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%B3 

(注2)マフラク市は、首都アンマンから北に80キロの距離に位置する人口5万6千人の町。中東戦争の際、イスラエルの政治捕虜が収監されていたことで知られる。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mafraq

(« Le roi, le nucléaire, les Frères et les voisins... », Le Monde, 2012.07.01)

2012年7月 3日 (火)

本の御紹介 『原発難民日記 怒りの大地から』/秋山豊寛

1990年、日本人初の宇宙飛行士として宇宙に旅立った秋山豊寛(とよひろ)さん(69歳、注1)。その後TBSでの記者としての仕事を引退され、福島原発から32キロの距離にある田村市滝根町(注2)にて有機農業による椎茸作りに取り組みつつ、自給自足の生活を送っていらっしゃいました。しかし昨年3月に起きた原発事故の後、秋山さんは長年住んだ家と畑を後にし、友人のつてを頼りながら日本各地を点々とせざるを得なくなりました。そして最後にはライフワークだった椎茸栽培をも諦めることを強いられたのでした。そんな秋山さんの手記を、ここに御紹介しておきます。

原発と生きるとは、どんなことなのか。

「福島から離れるほど、福島の人たちの気持ちが分らなくなるのです。」

そうおっしゃった農家の方がいらっしゃいました。一人一人の声に、耳をすまさなければならないと思います。御関心のある方は、ぜひ書店や図書館で実際に本を手に取ってみてください。

『原発難民日記 怒りの大地から』秋山豊寛(とよひろ)、2011年、岩波書店(560円+税)(本の詳しい解説はこちら:
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/2708250/top.html 岩波書店HP)  

(以下、心に残った部分の引用です。)
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●原発事故発生-3月17日、郡山から南へ避難する国道四号線の渋滞の中で

「小奇麗な車が多い。それでも、たとえとしては正確ではないのだが、この時、何となくジョン・スタインベックの『怒りの葡萄』を想い浮かべていた。
 暴力的な『近代』アメリカの資本主義が小作農民を、その生まれ育った大地から追い立てる状況は、『原発』という『近代の暴力』によって、普通の暮らしをしていた阿武隈の中山間地の人々が、そして私のような零細農民が追い立てられる状況と、構造として無縁ではない感じがしたからだ。」(p.23)


●3月23日、辿り着いた避難先の群馬県の友人宅で

「浦部さんがハウスで働いているのを見ていると、改めて暮らしの基盤を失った哀しさがわいてくる。やはり、土に触れないと落ち着かない。」(p.27)

プルトニウムやストロンチウムが飛散している状況を知らせない政府の対応への疑念が記されている。(p.44)


●6月1日、「農家にはなぜ『休業補償』がないのだろう」

「私も、たった15年だが、農家の暮らしをしてきたせいか、身体が季節に反応するようになった。春になると、特に朝から晴れた日など、家や建物の中にじっとしてはいられない気になる。疎開先で野良仕事ができることは、何ともありがたく嬉しいことだ。」
「時々、田圃のまわりの草刈りなどの手伝いをさせてもらうくらいしか、野良仕事はしていないのだが、この作業は、いろいろ考えごとをするには良い時間になる。何を考えるのかというと、やはり在所の田畑のこと。阿武隈の春から夏にかけての風景。畦畔の草は、どうなっているのか。昨年の秋に植えた露地タマネギは、放射線を浴びながらも、汚染されながらも、ちゃんと育っているのか、そんなことが気になる。そして、これからどうすれば良いのかを想い、切なくなる。タマネギ畑のイヌフグリの青い花やハコベの白い花やナナホシテントウ。アゲハチョウの飛ぶ様子も目に浮かぶ。」(p.48-49)


●一時帰宅。農協で補償についてきく

「私の場合は、椎茸を含め、育てた野菜を農協経由で出荷しているわけではないために、東京電力と交渉するなら個人的にやるほかないとも言われた。農協に入っていても『出荷しない限り補償はもらえない』そうだ。稲にしろ、育てない限り補償はされない、ということだ。町内に残っている農家の人々は、放射性物質があっても『ただちに健康に影響するわけではない』という国の方針のもと、内部被曝の可能性に不安を抱きながらも、野良仕事をしなければならない。万一、内部被曝した場合については、政府は裁判で決着しろというのだろう。
 漁業関係では『休業補償』がある。農家の場合、育てない限り、何の補償もないのは納得しがたいというところだ。」(p.50)


●6月20日、モスクワの病院内で出会った放射線の専門家らしき人から受けた忠告

「第一は、内部被曝にかかわる点。『水』には充分注意すること、というもの。食物については、肉、牛乳、野菜、魚が汚染されているかどうか、産地を選べるが、水はどうしても地元の水を飲まざるを得ない。(略)
 もう一つは、甲状腺への影響。若い人だけでなく年配の人も影響を受けるのだから、これも『年を取っているから気にしない』などと思わないように。
 そして最後に、放射線の『許容量などない』という点。怖いのは染色体のDNAへの影響。『特に妊婦は影響を受けやすい』と言う。」(p.56)


●9月28日、友人がワイン用の有機葡萄の買い取りを拒否された話を聞く

「醸造工場が断って来た理由は『原発から三十数キロの地域で育ったブドウからは放射能が出る恐れがある』というものだ。滝根行政局の担当者のほうでも『事故原発から三十数キロメートルのブドウ畑でできたワインを買う人などいないでしょう』というのだそうだ。
 行政担当者のこうした姿勢について、正倫さんは『町内の放射線量をちょちょっと調べて、もう畑で作業しても大丈夫と言っておいて、いざ、ブドウができたら、売れっこないからと言う』のはひどすぎると怒る。」(p.76)

この他、なぜキノコ類から高い濃度の放射能汚染が検出されるのか、についても椎茸農家の視点から詳しく語られています。


(注1) 秋山さんは現在、関西に避難され、京都の大学で教鞭を取っておられるとのことです。6月14日の「たね撒きジャーナル」でもご自身の状況を語っていらっしゃいます。 
http://www.youtube.com/watch?v=0YxQf4-5otA 
(奥田さん、情報の御提供をありがとうございました。)

(注2)故郷、滝根町の様子 http://abukumado.jp/(滝根町観光協会のHPから)

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