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2012年9月

2012年9月29日 (土)

IAEA、原子力発電量の将来予測を下方修正/ルモンド紙(9月28日)

国際原子力機関(IAEA)は全世界における将来の原発建設と原子力による総発電量に関する予測を下方修正した。2012年現在での全世界を合わせた原子力による総発電量は計370ギガワット。IAEAは2011年の段階で、2030年時点での原子力発電量が501~746ギガワットに増加すると予想していたが、今回456~730ギガワットへの増加に下方修正した。

(一部編集)

●元の記事:「原子力発電、2030年時点での増加は減少」/ルモンド紙(9月28日)
(Le Monde&Reuters, « Nucléaire : Une moindre croissance à l’horizon 2030 », Le Monde, 2012.09.28)

2012年9月26日 (水)

フランス史上最悪の医療被曝事故:放射線治療で7名死亡、448名が過剰被曝/ルモンド紙(9月25日)&フランス国際放送(9月24日)

フランス史上最悪の放射線治療による過剰被曝事故は、フランス東部に位置するヴォージュ県立エピナル病院にて2001年から2006年の間に起きていた。被害者は前立腺癌の治療のために放射線治療を受けた448名で、うち7名については過剰被曝による死亡が調査で確定している。「説明」と「公正な司法判断」を求める犠牲者とその家族ら104名はしかし、9月24日パリの法廷で更に待たねばならなかった。判決は今後10月31日にかけて言い渡される予定。

被告席に立つのは、2名の放射線医と1名の放射線技師(過失致死、過失傷害、証拠隠滅、救助義務違反にかかる容疑)、および当時の病院長だったドミニーク・カペリー医師、ヴォージュ県の医療・社会保障局局長だったフランチェット・メイナール氏、ロレーヌ地域入院機構のジャック・サンズ元部長ら(それぞれ、救助義務違反にかかる容疑)。

裁判にこの日姿を見せた原告らは、「なぜ(治療を受けに病院へやってきたはずの)病人たちが(過剰被曝の)被害者にされたのか」という問いがやっと解明されることを期待してやってきた。被告らには最長5年の懲役刑が想定されている。

今回の事故の原因は新たな放射線治療の技術導入に伴うコンピューター機器の変数設定や患者の総体被曝線量を計算する際に起きたミスと確認されている。重い健康被害により裁判所に直接赴くことができなかった患者たちには、全ての裁判を見ることができるよう特別にビデオが準備された。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「エピナル病院の過剰被曝被害者たちによる裁判、パリにて開廷」/ルモンド紙(9月25日)
http://www.lemonde.fr/societe/article/2012/09/24/ouverture-du-proces-des-surirradies-d-epinal_1764315_3224.html

「エピナール病院の過剰被曝被害者スキャンダル」/フランス国際放送(9月24日)
http://www.rfi.fr/france/20120924-scandale-irradies-epinal-proces-justice-paris-france-cancer-radiotherapie

2012年9月23日 (日)

「将来の子ども達のために」カナダ・ケベック州の新政権、原発を廃止/ルモンド紙(9月23日)

カナダのケベック州(注)新政権は9月20日、州内唯一の原子力発電所を閉鎖するとともに、今後引き続き原子力の使用およびシェールガスの開発を行わないことを発表した。

ケベック州内にあるジャンティ原発第2号機は1983年より稼働を開始したが、今年7月末には故障を起こして運転を停止、再稼働を行なうには改修工事が必要となっていた。原子炉の交換費用は2008年の段階で19億ドル(約2040億円)と見積もられている。

「今回の決定が、将来の子ども達の環境と健康を守るケベックの象徴となりますように。」

ケベック州政権のポリーヌ・マロワ首相はこのように宣言した。

(一部編集)


(注)ケベック州はカナダの北東に位置する人口約800万人の州(首都はモントリオール)。公用語はフランス語。カナダの法律により、ケベック州は司法、医療、教育の各分野において中央政府から独立しかつ独占的な立法権を有している。今年の9月4日には新政権が誕生したばかり。

(参考)ケベック州の風景
http://www.google.co.jp/search?q=Québéc&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=wIFeUJnoJqeKmQWp-IC4Cg&ved=0CD4QsAQ&biw=927&bih=609

●元の記事:「ケベック、唯一の原発を閉鎖」/ルモンド紙(9月23日)
(« Le Québec ferme son unique centrale », le Monde, 2012.09.23)

2012年9月21日 (金)

日本の「2030年代に原発ゼロ」宣言におびえるアレバ社/ルモンド紙(9月18日)

2011年3月11日に起きた福島原発事故による惨事から1年半が過ぎた今日、「福島の痛み」が再び原子力業界を襲った。ドイツ、ベルギー、スイスに続き今度は日本が、2030年代の終わりまでに原子力から脱却することを宣言したのである。アレバ社の幹部らは比較的冷静な態度を保っている。しかし今回の日本の宣言は、同社にとって新たな厳しい一撃となった。アレバ社だけではない。原子力業界全体にとっても厳しい一撃である。

福島原発事故が起きる前、世界最大の原子力企業を誇るアレバ社では、日本での業務が売上の8%を占めていた。

「公式に原子力脱却を決めたのはドイツだけです。」

アレバ社は日本について、何も変化は無いと判断している。

「日本では、原子力政策についての議論もそれほど明確な方向性を持った形では実施されませんでした。今回の政府宣言についても慎重に見極める必要があります。人々が感情的になっている時には、こうした宣言が出てくるのもよく理解できます。」

アレバ社のルーク・ウルセル社長は述べる。

「ドイツ同様、国会議員選挙の数週間前に宣言がなされている点にも留意が必要です。つまり、次の政権がこの宣言を踏襲すると確言するかどうかを見極めなければなりません。」

アレバ社は同社の財政状況を立て直すための戦略計画「アクション2016」において、日本にある原発の3分の2が再稼働することを期待するとの考えを示した。しかし現実はその期待から程遠い。

「再稼働がなされれば、まず核燃料の供給が再開することになります。」

こうウルセル社長は述べる。アレバ社は2008年以来、三菱グループと共同で日本の原発への核燃料の供給を行っている。同社長はまた、日本政府が青森県の核燃料サイクル事業を継続するとの確約を行ったことについても喜びを隠さない。アレバ社は青森県の六ヶ所村で放射性廃棄物の再処理工場を運営する日本原燃とパートナー関係にある。フランスの原子力を担うアレバ社は、不安と期待の両方をもって日本の原子力政策の行方を注意深く見守っている。

(抜粋、一部編集)

●元の記事 「東京による選択の衝撃を最小限にとどめようとするアレバ社」/ルモンド紙(9月18日)
(Jean-Michel Bezat, « Areva tente de minimiser l’impact du choix de Tokyo », Le Monde, 2012.09.18)

2012年9月18日 (火)

電気を使うほど高くなる料金体系で節電をめざすフランス/ラ・トリビューン(9月11日)

フランス政府は節電促進策の一貫として、電気を多く使う人ほど電気代が高くなる料金体系を導入するための法律制定を目指している。これは、電気使用量によって「基本」「快適「無駄遣い」の3つの料金を設定するもので、「基本」と「無駄遣い」では20%の料金差が想定されている。

これに対し、100%自然エネルギーによる電気を供給する市民団体「電気協同組合友の会」(Enercoop)は、「無駄遣い」層の料金を「基本」の3倍に設定するとともに、家計の10%以上を電気代に当てている貧困世帯に「電気手当」を支給するよう求めている。フランス人は比較的安い電気料金のためにドイツ人より27%も多く電気を消費する一方で、所得が低いために低価格の電気料金の適用を受けている世帯は60万軒にとどまっている。

(要旨)

( « Il faut facturer trois fois plus cher l’énergie gaspillée », La Tribune, 2012.09.18)
http://www.latribune.fr/entreprises-finance/industrie/energie-environnement/20120911trib000718936/electricite-il-faut-facturer-trois-fois-plus-cher-l-energie-gaspillee-.html

2012年9月15日 (土)

原子力脱却を宣言しながら原発を作り続ける日本/ルモンド紙(9月15日)

9月14日金曜日に2030年代における原子力の廃止を宣言した日本政府は、翌日の9月15日土曜日、現在建設中の3基の原発について建設を認める旨を公式発表した。また、これら3基の原発の稼働を承認することについても否定しない方針を示した。

「経産省が一度建設を承認した原発について、許可を取り消すことは考えていません。」

青森県を訪問中の枝野幸男経済産業大臣はこのように述べた。新規建設中の3基の原発のうちの2基は青森県にある。

(抜粋、一部編集)

( « Malgré l’arrêt prévu du nucléaire, le Japon continue de construire des réacteurs », Le Monde, 2012.09.15)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2012/09/15/malgre-l-arret-prevu-du-nucleaire-le-japon-continue-de-construire-des-reacteurs_1760745_1492975.html

2012年9月14日 (金)

インド・クダンクラム原発:反対住民に警察が発砲、一名死亡/ロイター(9月10日)

インド最大の発電量をめざすクダンクラム原発(インド南部)で9月10日、稼働に反対する漁師ら周辺住民に警察が発砲、一名が死亡した。発電所近辺の浜辺には女性や子どもを含む4千名以上の住民が稼働反対のために集まっていたが、発砲直前には警察が住民を追い払おうと催涙弾を発射した。

<参考画像>
○警察による発砲で返り血を浴びた住民
http://www.reuters.com/article/2012/09/10/us-india-nuclear-idUSBRE8890ZE20120910

○住民による大規模な抗議行動の様子
http://www.dianuke.org/peoples-seige-in-koodankulam-latest-pictures/?utm_source=supporter_message&utm_medium=email
 
インド政府は昨年以来同原発の稼働を目指している。しかし福島原発事故で放射能漏れと大量の避難民が発生したことを受けて周辺住民が強い反対運動を展開、難航している。今後数週間以内の原発稼働を目指すインド政府は、発電所への道をふさいでいた漁民らに発砲、今回の惨事が起きた。

(要旨)

●元の記事「インドでの原子力発電所への反対で一名死亡」/ロイター(9月10日)
http://www.reuters.com/article/2012/09/10/us-india-nuclear-idUSBRE8890ZE20120910
Source : Reuters

2012年9月11日 (火)

韓国の検察、アレバ社製品の模造品作成容疑で韓国水力・原子力公社幹部らを逮捕―古里・霊光両原発にて使用か/ルモンド紙(9月3日)

韓国・蔚山(ウルサン)の検察当局は7月末、韓国の原子力セクターをつかさどる公的企業、韓国水力・原子力公社(注)の幹部ら22人をアレバ社製原子力部品の違法な模造を行なった容疑で逮捕した。検察の調べによると、同社が運営する古里(コリ)原発(韓国南東部)の調達部門責任者は、賄賂と引き換えに炉心と原発制御室の間のデータ移送をつかさどる導管の気密性保持に使われる部品の模造品製造を手配したと見られている。

模造品の元となった部品はアレバ社より購入された。逮捕された韓国水力・原子力公社幹部は、地元の企業に模造品を作成させるため2009年に部品と設計図をこっそり盗み出したとみられる。地元企業は純正部品を多少変形して特許を取得、その後は古里原発に複数の模造品を納品した。同様の部品は南西部に位置する霊光(ヨングァン)原発でも見つかっている。

韓国水力・原子力公社の責任者は

「外国製品の模造品とはいえ地元企業が特許を取得した部品であり、『本物』だ」

として安全面で全く問題は無いとマスコミに公言した。
アレバ社はこの問題についてほとんどコメントを行っていない。

「私たちは韓国水力・原子力公社と直接やり取りする方が良いと考えています。」

アレバ社は韓国水力・原子力公社に対し訴訟を起こすには至っていない。しかし「韓国を超える地域に適用するとみられる部品の特許を無効にする」ことを優先している。

「アレバ社はあまりよけいなことを言いたく無いのです。」

韓国の原子力専門家は述べる。アレバ社とその前身となった公社は1981年以来ずっと韓国水力・原子力公社と連携しており、同社を「良いお客」と見なしている。韓国水力・原子力公社は2009年にアレバ社より9機の発熱装置を購入、現在はアレバ社の協力を受けながら「使用済み核燃料の処理に関する国家政策」を策定中だ。

今回の模造品事件や汚職は個別の例外的ケースでは無い。古里原発のある幹部は、2008年から2010年にかけて廃棄予定だった錆びた安全弁を洗浄し新品の価格で同原発用に売却したかどで、現在3年の刑に服している。毎回事件が起きるたびに韓国水力・原子力公社は「個別のケース」と主張するが、今回の模造品事件を捜査した蔚山の検察当局は捜査の結論の中で「公的企業における構造的な汚職」と指摘している。

2月、古里原発の第一号機で電力供給が12分切断される事故が起きた。この事故は非常に深刻な事態を招く危険性があったが、事故発生の事実は一ヶ月の間、同原発の所長によって隠されていた。こうした問題が起きる背景には、電力料金を格安に抑えようとする韓国政府からの圧力があると韓国の原子力セクターに詳しい専門家は指摘する。

(注)韓国水力・原子力公社 http://ja.wikipedia.org/wiki/韓国電力公社 

●元の記事 「韓国で原子力部品の偽物スキャンダル」/ルモンド紙(9月3日)

« Scandale de contrefaçon nucléaire en Corée du Sud », Le Monde, 2012.09.03
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/09/03/scandale-de-contrefacon-nucleaire-en-coree-du-sud_1754896_3244.html

2012年9月 8日 (土)

広がり続ける「原発反対」の声、原発に邁進する野田首相/クーリエ・アンテルナショナル(8月16日)

過去何年もの間、自国のエネルギー政策に対し沈黙を守って来た日本の市民たちは、自らの声を上げ始めた。夏の初め以来、原子力に反対する市民の動きは急速に拡大している。

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●元の記事「原子力に反対する市民パワー」/クーリエ・アンテルナショナル(8月16日)
Courrier international n°1137, 2012.09.16 – 22(朝日新聞による記事の要約・仏語訳)

2012年9月 6日 (木)

仏最古の原発フッセンハイムで事故―作業員ら化学物質で火傷、高まる国民の不信/フランス国際放送(9月5日)

【御詫びと訂正】その後の報道記事より、事故発生当時の状況に関する冒頭部分を修正しました。お詫びして訂正致します。(9月7日)

フランス最古の原発(運転開始後35年目)フッセンハイム原発(アルザス地方)で9月5日、化学反応によると見られる蒸気が突然発生し、2名の原発作業員らが両手に化学物質による火傷を負う事故が発生した。現場にはおよそ50台の消防車が駆けつけ事態の収拾に追われた。オランド新政権は大統領選挙の際にフッセンハイム原発を稼働40年目にあたる2017年までに廃炉にすることを公約。フッセンハイム原発の事業責任者であるフランス電力公社は「火事では無い」として事故の被害を小さく見せようと躍起になっている。しかし今回の事故を機に同原発の安全性を疑問視する声は高まっており、緑の党や原発に反対する市民団体らは「40年の稼働期間は安全性の観点から問題がある」として廃炉の時期を早めるよう求めている。

(要旨、一部編集)

●参考 現場に到着した多数の消防車(画像)「フッセンハイム原発で化学反応事故」/ルモンド紙(9月5日)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/09/05/des-blesses-apres-un-incident-a-la-centrale-de-fessenheim_1755978_3244.html

● 元の記事 フランス国際放送による« 24h en France »(9月5日 放送分)のトップ記事より作成しました。

●参考「フッセンハイム原発で原子力事故、複数の負傷者」/フランス国際放送(9月5日)
http://www.rfi.fr/france/20120905-nucleaire-incident-fessenheim-fait-blesses

2012年9月 5日 (水)

米国:格安シェール・ガス出現で原子力の競争力が急降下 フランス電力公社、米国での原発建設を予定せず/ルモンド紙(9月5日)&ラ・トリビューン紙(8月31日)

米国の原子力規制委員会は8月30日、フランス電力公社(仏最大の電力会社)が提出していたメリーランド州カルバート・クリフにおける最新型原子炉EPR(欧州加圧水型炉)の新規建設についての申請を却下した。米国の法律は外国籍企業主体の原発建設を禁じているが、フランス電力会社は2010年に米国企業との連携を解消(注)、ラ・トリビューン紙によれば今回の却下は事前に予想されていた。なぜフランス電力会社が事前に申請を取り下げなかったのかは不明だが、米国では格安シェール・ガスの出現により原子力が競争力を失っており、フランス電力公社はこれを踏まえ2010年以降は米国でのEPR(欧州加圧水型炉)建設を計画していない。

(注)フランス電力公社は2010年、米国にて共同企業体ユニスターを結成した際の米国籍パートナー・コンステラシオン・エネルギー社を買収、米国籍企業とのパートナー関係については解消するに至った。

● 元の記事
1.「フランス電力公社、米国にEPRを建設できず」/ルモンド紙(9月5日)
(« EDF ne pourra pas construire d’EPR aux Etats-Unis », Le Monde, 2012.09.05)

2.「原子力:米国政府、フランス電力公社の事業を『落第』に」/ラ・トリビューン紙(8月31日)
(« Nucléaire : l’administration américaine retoque le projet d’EDF », La Tribune, 2012.08.31)
http://www.latribune.fr/entreprises-finance/industrie/energie-environnement/20120831trib000717235/nucleaire-l-administration-americaine-retoque-le-projet-d-edf.html

2012年9月 2日 (日)

行き場を失ったフランスの放射性廃棄物: 裁判所による貯蔵庫の建設許可差し止めと、強まる周辺住民からの「反対」の声/ルモンド紙(8月29日) 

フランスの電力政策を支える原子力。しかし放射性廃棄物の保管場所は確保されていない。そして隣国のスイスからも、国境地域での中間貯蔵庫の建設に反対する姿勢が公式に打ち出されつつある。

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目の前に、打ち捨てられた工事予定地らしき場所が広がる。背景にはビュジェー原発の4つの原子炉から伸びる冷却塔の煙突。

「ここに放射能のゴミ捨て場はいりません!」

「ビュジェー原発を止める会」のメンバー、ジャン‐ピエール・コレが叫ぶ。

ここはリヨン市(フランス第2の都市)から約30キロの距離に位置するアン県(注1)ビュジェー原発(注2)に通じる道の円形交差点。約100人強の周辺住民が結成する「ビュジェー原発を止める会」は、毎月1-2回、この場所を占拠して抗議行動を行っている。ジャン‐ピエールは地元の学校につとめる教員だ。白のつなぎを着た市民らが円形交差点に横断幕を揚げる。

「もうすぐ何千トンもの放射性廃棄物が、全フランスからビュジェーに運び込まれ貯蔵されます。イセダ(ICEDA)反対」

「イセダ(ICEDA)」とは何だろうか?イセダは、フランス電力公社(フランス最大の電力会社)がビュジェー原発の敷地内に建設を開始した放射性廃棄物の中間貯蔵施設を指している。フランス電力公社は廃炉の時期を迎えた9つの原子炉(増殖炉を含む)から出る放射性廃棄物を、ここにまとめて貯蔵することを予定している。

●建設許可の差し止め

合計8千平方メートルにわたる巨大な3つの広間からなるこの建物は、2千トンにのぼる放射性廃棄物を貯蔵できるように設計されている。持ち込まれる予定の廃棄物の放射線量は中程度だが、300年以上の長きにわたって管理する必要がある。

フランス電力公社は、建設中の施設を「貯蔵庫」ではなくて「経由施設」だと説明する。これらの廃棄物は、現在建設中で2025年から開設が予定されているビュール県の地下貯蔵施設に退避させられる予定だからだ。しかしそれでも、中間貯蔵庫は50年間の間廃棄物を保管し続けなければならない。

1億5千万ユーロ(約150億円)をかけて建設されたこの施設は、あと機材を搬入すれば良いだけの状態にある。そして2014年の初めには開所のはずだった。しかし、今年の1月にリヨンの行政裁判所から建設許可の取り消し判決が出て以来、全ての工事は止まったままだ。

●高まる反対の声

工事の差し止めに成功したのは、「ビュジェー原発を止める会」の活動家たちではない。近隣で果樹や野菜、花を栽培する園芸農家、レオナール・ルーゼンである。ルーゼンは原発から廃棄される水を使って、ヤシの木などの熱帯植物を育てる温室の保温を行って来た。しかしルーゼンの弁護士はこう述べる。

「発電所の近くで(野菜や果物を)栽培しているというのと、放射性廃棄物の中間貯蔵庫の近くで育てているというのでは、与える印象が異なります。」

今回、放射性廃棄物の中間貯蔵庫建設の差し止めを命じた裁判官たちは、中間貯蔵庫が本来「ビュジェー原発に関連する活動しか行ってはならない」との規定に反していると指摘した。

ビュジェー市の市長、マルセル・ジャキンは言う。

「もともと2006年に計画が立ち上がった時、私達は反対しました。それが2010年になってアン県の知事が建設許可を出し、当時の首相だったフランソワ・フィヨンが許可を出すための命令に署名を行ったのです。今日では、国が私たちの代わりに物事を決めるより、私たち自身が私たちの要求事項に従って直接物事をコントロールする方が良いと考えています。」

それでも中間貯蔵施設の完成をもくろむフランス電力公社の前に、別の障害がもちあがっている。ビュジェーから100キロほどの距離にある隣国スイスのジュネーブ市とジュネーブ州が、フランス議会に施設の建設反対の訴えを起こしたのである。ジュネーブ州は、

「州はいかなる法的・政治的手段を用いても、中・高度の放射性廃棄物を貯蔵する施設や再処理工場を敷地内および近隣に建設することに反対する。」

と定めている。

それだけではない。7つの原発に反対する市民団体も同じく議会に対し訴えを起こした。彼らは放射性廃棄物が鉄道や道路を使ってビュジェーに運搬されることの問題点を指摘している。

一つの質問が頭をもたげる。フランスにある原発を廃炉にした後、その放射性廃棄物をどうするのか?答えは見つかっていない。


(抜粋、一部編集)


(注1)ビュジェーが位置するアン県は、フランス東部に位置する自然と花に囲まれた緑豊かな地域。人口57万人のこの県はスイス国境に位置し、ジュネーブ市からの距離は110キロ。

アン県の風景はこちらです。
http://www.google.co.jp/search?q=ain+france&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=Hes-UJv8J67nmAXNoICIDA&sqi=2&ved=0CDAQsAQ&biw=1120&bih=577

(注2)ビュジェー原発(仏語ですが、写真をどうぞ)
http://fr.wikipedia.org/wiki/Centrale_nucléaire_du_Bugey

●元の記事:「原子力:廃炉で発生するフランスの放射性廃棄物をどうするのか?」/ルモンド紙(8月29日)
(Pierre Le Hir, « Nucléaire : que faire des déchets français de démantèlement ? », Le Monde, 2012.08.29)

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