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2013年3月

2013年3月28日 (木)

フランスの農村、自然エネの「地産地消」で電力会社からの自立と経済活性化を達成(その2)/ルモンド紙(3月24日)

(その1からの続きです。)

全ては1999年の養豚農家グループによるメタンガス生成工場設立から始まった。豚の糞尿をメタンガスに変換する工場を自らの出資で建設したのである。

「この村は、ブルターニュ地方でも最も貧しい地域にあります。農業をやる人間として、私は可能な限り他人に頼らない自立した働き方を目指してきました。そして、安かった電気料金の値段もいつかは上がる日が来るだろうということにも気づいていました。」

他にも懸案はあった。自然エネルギーによる発電を始める前のル・ムネ地域の経済は、当時2500人の村人を雇用していた屠殺場に大きく依存していた。地方議員たちは、発電事業が経済の多角化を促すだろうと考えたのだった。ル・ムネの関係者らは2005年、過去15年間にわたり電力の自給に取り組んでいたオーストリアの町グッスリンク(Gussling)を訪れた。

「私たちは、廃棄物や風、太陽の光などを使って新しい経済の糧を作り出すことができると確信して帰路につきました。」

グレー町のミシェル・フェブレ町長は言う。

「そして発電事業を通じて良質な雇用を生み出すことができたのです。」

全てが最初からうまく行ったわけではなかった。

「いくつもの関係省庁や役所をまたいだ調整が必要となり、政府機関からの承認を取り付け物事を進めるのに多くの時間がかかりました。」

金融市場の規制は風力発電のための協同組合を作る際の足かせとなった。植物性燃料のロビー団体や肥料業界の推進派たちが農家自らが植物性燃料の生成工場を設立し肥料の原料となっていた豚の糞尿によるメタンガス生成工場を設立するのを妨害しにやってきたこともある。自己負担が必要な太陽光発電への参加をためらう村人も多い。

しかし村人たちは困難に立ち止まろうとはしない。発電事業の優位性は明確だ。石油2000トン分の電力を節約するよりも、風力発電で電力を作りだすほうがずっと容易なのである。それだけではない。

「発電事業に取り組んでいて一番驚くのは、人間として人生の冒険を体験できることです。」

メタンガス生成工場の工場長で養豚家のドミニーク・ロカボワはこのように自分の経験を表現した。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「ブルターニュで電力の自給自足に成功」/ルモンド紙(3月24日)
(« En Bretagne, l’autonomie énergétique en marche », Le Monde, 2013.03.27)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/23/en-bretagne-l-autonomie-energetique-en-marche_1853175_3244.html

フランスの農村、自然エネの「地産地消」で電力会社からの自立と経済活性化を達成(その1)/ルモンド紙(3月24日)

太陽と風と森と動物たち。豊かな自然に恵まれたブルターニュ地方(フランス北西部)の7つの町からなるル・ムネ地域(Le Mené、人口計6500人)は、地元の資源を用いた自然エネルギー発電を通じ、畜産業一辺倒だった経済から脱却しつつある。

●ル・ムネの風景
http://www.ccmene.fr/accueil/la_communaute_de_communes/histoire_et_patrimoine/le_patrimoine_paysager


1999年、数人の養豚農家が集まって豚の糞尿によるバイオマス発電所を設立して以来、「ブルターニュ地方の最も貧しい町」は、時に企業の妨害にも負けず、電力供給でも経済面でも自立した在り方を探り続けてきた。

●自然エネルギーの発電を議論するル・ムネの農民たち(ル・ムネのHPから)
http://www.ccmene.fr/accueil/preparer_lavenir/lautosuffisance_energetique


電力の完全自給を目指して着実に歩を進めるル・ムネ地域は今、経済活性化を目指すフランス全土の地方自治体の注目を浴びる。フランス全国の国会・地方議員が来訪する成功モデルの一つを紹介します。

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クレーン作業員が風車の羽を支柱の上部へと持ち上げる。

「あれから、どれだけ待っただろう。」

ジャッキー・エニェルがつぶやく。

3月19日、ル・ムネ地域の町の一つサン・グエノ市の市長が見もまる前で、5年間の努力が実を結び850キロワットの発電容量を持つ風車―7つのうちの最初の1つ―が稼働を始めた。この風車は他の地域にあるものとは趣を異にする。博学な発電施設の投資家が、風力発電の利益が地元に還元されるよう地域住民を出資に巻き込む努力を重ねた結果なのである。

時は2008年、地域の農家127人が風力発電設備の設置にかかる全体投資額の30%を握る「投資組合シーガル」が設立された。村人たちが参加する風力発電事業の実施は、ル・ムネ地域における電力政策の要の一つをなしている。この地域では、近隣の森で取れる木屑を用いた暖房設備(ゴレー市)、豚の糞尿を用いたメタンガス発電(サン・ジル・ドゥ・ムネ市)、植物性燃料生産(サン・グエノ市)、そして太陽光発電(プレッサーラ市)が行われている。

これらの取り組みは、ル・ムネ地域が目指す「2025年までに石油年2万2千トン分の必要電力を自給する」という目標の達成につながるものだ。今日、ル・ムネ地域は、複数の自然エネルギー発電を組み合わせ地方ベースで電力を地産地消している成功例として、フランス全国から国会議員や地方議員が訪れるまでになっている。

<続く>

(抜粋、一部編集)

(注)ル・ムネ地域はフランス語でLa Communauté des communes du Menéと表記されます。

●元の記事:「ブルターニュで電力の自給自足に成功」/ルモンド紙(3月24日)
(« En Bretagne, l’autonomie énergétique en marche », Le Monde, 2013.03.27)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/23/en-bretagne-l-autonomie-energetique-en-marche_1853175_3244.html
※ 記事に登場する関係者の写真も多数掲載されています。是非ご覧ください。

2013年3月25日 (月)

3.11、悲しみと祈りの風景/ルモンド紙(3月11日)

死者・行方不明者1万9千人、避難者31万5千人。
2年前のこの日、マグニチュード9の大地震が日本を襲い、巨大津波と国際規準上最も深刻な事故に適用されるレベル7相当の福島第一原発事故を引き起こした。

14時26分、黙祷。
人々は日本の各地で犠牲者への静かな祈りを捧げた。

3月11日、ルモンド紙は日本各地より12枚の画像を掲載しました。
http://www.lemonde.fr/japon/portfolio/2013/03/11/deux-ans-apres-le-japon-se-souvient_1846020_1492975.html 
(以下、画像の説明です。画像の右端にある矢印をクリックすると次の画像が現われます。)


1.宮城県 石巻市   黙とうをささげる警察官たち

2.宮城県 仙台市   死者を悼み海に花をささげる人々

3.福島県 浪江町   2年が経っても、多くの地域ではまだ立ち入りが制限されている。津波による瓦礫の搬出は今も終わっていない。

4.福島県 浪江町   福島第一原発から数キロメートル。一人の警察官が瓦礫にふさがれた海辺を大股で歩いてゆく。

5.宮城県、南三陸   黙とう

6.宮城県、南三陸   「この土地で、きっと立ち上がる。」再起を誓う地元の業者の看板

7.宮城県、石巻   津波の犠牲者を悼む石碑を囲む人々

8.東大震災の犠牲者追悼式で天皇・皇后両陛下に一礼する安倍普三総理大臣

9.岩手県、宮古   仏教僧の葬列

10.本社で黙とうを捧げる東京電力社員

11.この日、首都東京では追悼式と平行して大地震を想定した避難訓練が行われた。
(写真は地下鉄で実施された訓練の様子。)

12.黙とう。首都東京の路上で


■元の記事「東北大震災から2年、あの日を想う日本」/ルモンド(3月11日)
http://www.lemonde.fr/japon/portfolio/2013/03/11/deux-ans-apres-le-japon-se-souvient_1846020_1492975.html 
<フランスねこのNews Watching 3月25日掲載>
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/311311-c1b1.html

2013年3月22日 (金)

「福島だけじゃない。原発で、日本全国が被災したんです。」映画『希望の国』、フランスで初公開/ルモンド紙(3月10日)

黒い服に黒い帽子、黒いフレームのメガネ。全身黒づくめのその男は、煙草の入った「ホープ(希望)」の箱を机の上に置いて、それから自分の服と同じ黒色の眉をグッとしかめた。

「僕は災害映画とか、原子力時代の後の世界についてのSFはよく知りません。でも僕は福島で、まるでSF映画に出て来るような、捨てられて全く人を寄せつけない被災地を見て以来、フィクションをフィクションとして見ることができなくなりました。」

日本のカウンター・カルチャーを代表する映画監督で詩人でもある園子温(その しおん)は、4月24日よりフランスで公開される最新作「希望の国」の紹介に合わせてパリを訪れた。


●予告編はこちら
(トロント国際映画祭 最優秀アジア映画賞受賞作。DVDも発売中だそうです)
http://www.youtube.com/watch?v=zkxFrqK-ujg&feature

●映画の紹介はこちら
 http://www.kibounokuni.jp/


時は近未来の日本。「長島原発」(長崎、広島、福島を掛け合わせた名前)が爆発する。人々は福島原発事故が発生した2年前と同じ世界を再び体験し、同じ苦難に遭う。嘘で塗り固められた政府の発言、混乱。

「福島原発事故が起きたとき、日本全土が被災しました。全ての国土がやられたのです。僕は東京の自宅で、ガイガーカウンターを使って放射線量を測っていました。そしてある日、クーラーの近くの放射線量が高くなっているのに気づいたのです。フィルターを掃除したら、放射線量は下がりました。」

そして映画監督は福島から避難中の被災者たちに会いに出かけた。

「6ヶ月間、福島事故の被災地を車で走り続けました。そして被災地で原発事故の被害者についての映画を撮りたいという考えが湧いたのです。映画の観客には、理屈ではなくて、ハートでこの映画を理解してほしいと思っています。」

園は立ち入り禁止区域を何度も訪問し、農民たちの間に入ってカメラを回し続けた。いつもこっそり隠れて、事故を起こした福島原発に近づきすぎないように気を配りながら。

逃げるか、残るか。映画は特定の立場を取ろうとしない。今回の映画ほど資金集めが難しい映画は無かった、と園は振り返る。そして、映画業界が原子力業界と癒着していることを認める。

「私たちは2年前に起きたことを忘れようとしています。何万人もの人々が土地を失い、二度と自宅に帰れない人すらいるのに、です。日本政府は『全てうまく行っている』、『みんな幸せ』と言って日本が復興したというイメージを振りまこうとしているのです。」

(抜粋、一部編集)

(Laurent Carpentier, « « Land of hope », une fiction-catharsis sur la catastrophe », Le Monde, 2013.03.10)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2013/03/09/land-of-hope-une-fiction-catharsis-sur-la-catastrophe_1845533_1492975.html

2013年3月20日 (水)

「福島で電源喪失、再び」: 世界、日本の刻一刻を注視/ルモンド紙(3月19日)

3月18日に起きた福島原発での電源喪失発生後、世界各地のメディアは現場の状況を注視、刻一刻とその状況を伝えています。以下、ルモンド紙からの抜粋です(一部編集しています)。

(※ルモンド紙によるその後の紙面更新を受け、日本時間の3月20日夕刻に更新させて頂きました。)
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●ルモンド紙 3月19日 日本時間13時3分

「3月18日の日本時間18時57分(パリ時間10時57分)、福島第一原発で原因不明の電源喪失が発生、第一、第二、第四号機の使用済み核燃料プールで冷却装置が停止した。3月19日、東京電力が発表した。現場では3月19日の朝10時(パリ時間2時)を過ぎた今も電源の回復に至っていない」


●ルモンド紙、3月19日日本時間18時13分追記

「3月19日現地時間14時20分(パリ時間6時20分)、電源の一部が回復、第1号機にある核燃料プールの冷却装置が再稼働」

「1330本の使用済み核燃料と200本の未使用核燃料が格納され最も危険が心配される第四号機の使用済み核燃料プールについては、19日現地時間朝10時(パリ時間2時)の段階で水温30.5度と推定」


●ルモンド紙、3月19日日本時間18時53分掲載、22時9分追記

「3月18日、福島原発で新たに起きた電源喪失事故の発生は、2011年の事故で破壊された同原発が今も不安定な状態にあることを私たちに再認識させた。」

「19日の午前中、東京電力は『夕方遅くには電源をほとんど回復できる見込み』と発表」

「『私たちは全く心配しておりません。』

大量の核燃料をかかえる第四号機の核燃料プールに関する記者団の質問に対し、菅義偉(すが よしひで)官房長官(自民党、神奈川2区)は今回の電源喪失が深刻な事故に至る可能性を全否定した。日本の公式見解では、福島原発は2011年12月時点で危険な時期を脱したことになっている。」


●ルモンド紙、3月20日日本時間11時29分掲載、18時19分追記
「東京電力は3月20日、同日0時12分に核燃料共用プール冷却装置の電源を回復したと発表した。また、同社のプレスリリースによれば、福島原発第一、第二、第四号機の核燃料プールについても電源を回復した。」

(抜粋、一部編集)

● 元の記事:
「福島原発で電源喪失」/ルモンド紙(3月19日)
(« Panne de courant à la centrale de Fukushima au Japon », Le Monde, 2013.03.19)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2013/03/19/panne-de-courant-a-la-centrale-de-fukushima-au-japon_1850216_1492975.html 

「福島原発で新たな故障事故発生」/ルモンド紙(3月19日)
(« Nouvel incident à la centrale nucléaire de Fukushima », Le Monde, 2013.03.19)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/19/nouvel-incident-a-la-centrale-nucleaire-de-fukushima_1850328_3244.html

「福島原発:核燃料格納プールの冷却装置電源、完全に回復」/ルモンド紙(3月20日)
(« Fukushima : reprise complète du refroidissement des piscines de stockage », Le Monde, 2013.03.20) /ルモンド紙(3月19日)
http://www.lemonde.fr/japon/article/2013/03/20/fukushima-reprise-complete-du-refroidissement-des-piscines-de-stockage_1850765_1492975.html

2013年3月17日 (日)

「日本国民の尊厳は、これっぽっちも守られていません。」 3月11日、スイス・ジュネーブから日本市民へ強い団結のエール/レマン・ブルー・Info TV(3月11日)

2011年、福島での大惨事を目の当たりにしたスイス国民は「危険過ぎ」かつ「あまりにもひどい汚染を引き起こす」原子力の廃止を決めた。レマン湖のほとりに位置し多くの国際機関を抱えるスイスのジュネーブ市では3月11日、ジュネーブ市長と多数の市民による「チェルノブイリ、福島、もう二度と繰り返さない!」原発反対集会(環境団体グリーンピース主催)が開かれました。地元テレビ局の報道より抜粋し紹介します。


●「チェルノブイリ、福島、もう二度と繰り返さない!」の大弾幕を掲げるジュネーブ市民たち(3分54秒〜 ※立ち上がりに少し時間がかかりますが、待っていると始まります。)
http://www.lemanbleu.ch/vod/leman-bleu-info-11032013 

「福島原発事故から2年が経ちますが、大惨事は続いています。日本の人々の尊厳は、これっぽっちも守られてはいません。ジュネーブは国際都市です。私たちは、この週末日本で原発反対の声を上げている何万人もの人々に共感と団結の態度を示したいと思います。次の大惨事が起きる前に、何としても原子力を止めなければなりません!」/市民団体「原発反対」(ContreAtome)広報担当官(4分14秒〜)


●福島事故から2年が経つが、人々の関心は衰えてはいない。ジュネーブ市内では現在、チェルノブイリや福島で市民の日常を撮影し続けているイタリア人写真家プレルパオロ・ミッチーカ氏による写真展「チェルノブイリからフクシマへ」が開催されており、会場は連日多くの市民でにぎわっている。(10分〜)

「記憶を残すことは非常に重要です。なぜなら、私たちは忘れてしまうからです。全てのことを素早く忘れてしまうのです。原発事故が起きて、人々が住んでいた土地は汚染されてしまいました。もうこんな発電方法は使えないと伝えなければなりません。人の道に反しているのだと、伝えなければならないのです。」/イタリア人写真家プレルパオロ・ミッチーカ(10分30秒〜)

写真展初日の開会式にはジュネーブ市長とヒューマン・ライツ・ナウの伊藤和子事務局長も出席、伊藤氏は「大変な人権侵害が起きています。」と日本の現状を訴えた。


この他、レマン・ブルー・Info TVでは原発に反対する環境市民団体グリーンピース・スイスのマチアス・シュレーゲル代表と原発推進派のエリック・レイブラズ国会議員による原発討論会を放映した(5分15秒〜)。スイスでは2011年3月に行われた世論調査で国民の87%が原発廃止を支持、2034年までに全ての原発を廃止することが決まっている。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「福島原発事故から2周年」/レマン・ブルー・Info TV(3月11日)
( « 2 ans après Fukushima », Léman Bleu Info TV, 2013.03.11)
http://www.lemanbleu.ch/vod/leman-bleu-info-11032013

2013年3月14日 (木)

毎時一千万ベクレルの放射能が降る国で―大手ゼネコンの懐に消える1.5兆円の「除染費用」/ルモンド紙(3月12日)

【御詫びと訂正】当初の記載にありました「青木仁志環境大臣」は「環境省の青木仁氏」の間違いです。御詫びして訂正致します。大変申し訳ありませんでした。(3月17日)

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福島原発事故から2年が経つ今日、巨額予算を伴う除染事業は当初予定の15%しか完了していない。今年の一月時点での計測によれば、福島原発第一・第二・第三号機から排出されるセシウム134・137の合計は今も毎時一千万ベクレルにのぼる。これは、原子力の専門家が「深刻な放射線レベル」と指摘するレベルの量である。大量の放射性物質が今現在も大気へと吐き出される中で、除染の意義を疑問視する声すらある。

2011年3月11 日に悲惨な原発事故の災禍に見舞われた福島県では、除染で剥ぎ取られた土を詰めた青い大きなビニール袋があちこちで目につく。学校の校庭、家の庭、田んぼの片隅。。。青いビニール袋はそこここの場所を占領している。本来、除染で出された汚染土や汚染された木の枝を入れたビニール袋は放射性廃棄物用の貯蔵庫に一時保管されることになっている。

「問題は、誰も自分が住む地域に貯蔵庫を建設してほしくないと考えていることです。」

環境省の青木仁氏は述べる。

行き場の無い青いビニール袋は、しばしばビニールシート一枚で覆われただけで監視のないまま放置される。

今年初め、朝日新聞は除染で集めた汚染された木の枝を除染作業員たちが川に捨てていたことを指摘した。家屋を除染した際に出た放射性の汚染水がそのまま周囲に流されたこともある。除染をこう呼ぶ人がいる。

単なる「汚染の移動」、と。

除染事業には今後2014年7月まで1.45兆円の予算がつけられている。この巨大な公共事業は大手建設業者を惹き付けた。清水建設や竹中工務店といった大企業が続々と国や自治体の除染業務を請け負っている。しかし大手ゼネコンのみが事業を請け負っている現状に、企業選定過程の不透明性を指摘する声もある。入札に参加した外国企業のうち、最終的に除染業務を受注したものは一社も無い。

除染という巨大な公共事業は、結果を伴わない形で今日も続けられている。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事:「福島における不器用な除染作業」ルモンド紙(3月12日)
(« A Fukushima, une laborieuse décontamination », Le Monde, 2013.03.12)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/11/a-fukushima-une-laborieuse-decontamination_1846051_3244.html

2013年3月11日 (月)

福島から25キロ―土遊びをためらう子どもたち/ルモンド紙(3月11日)

ルモンド紙は3月11日、福島原発事故2周年を機に福島の特集記事を多数掲載しました。

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● 引き裂かれる人々

結婚の破談、アパートへの入居拒否、親しかった友人との断絶。福島県民や原発作業員に対する差別はこれまでも危惧されて来た。こうした問題は実際にはそれほど多くないように見えるが、存在している。この事実はこの地域に住む住民たちの不安を増大させ、「汚染地域」として知られる地区では多くの人が故郷に戻ることに迷いを感じている。

「たくさんの夫婦が、故郷に帰るかどうかという問題のせいで破局を迎えています。」

福島原発事故の被災者を支援する市民団体JANICの福島所長を務める竹内俊之はこう述べる。

「父親は福島県に仕事があるので帰りたいと考えますが、母親は子どもの健康を心配して拒みます。緊張が高まって離婚に至るケースもあります。」


●増加する甲状腺の異常

「18歳以下の子どもたちは全て甲状腺の検査を受けています。」市民団体「ビーンズふくしま」で子どもを担当する中鉢博之事務局長は指摘する。

「子どもたちの甲状腺には高い率で異常が見つかっています。でもこれまでこうした調査を実施したことがなかったので、原発事故との因果関係が分からないのす。」

南相馬市立病院の副院長、及川友好医師もこれに同意する。

他方、日本政府は何としてでも放射能の危険を小さく見せようとやっきになっている。世界保健機構(WHO)は2月28日、放射能被ばくによる癌の危険性は福島原発の近隣のみとする報告書を発表した。福島原発の近くでは、乳幼児の頃に放射能を浴びた女児の場合甲状腺癌に罹る危険性が0.75から1.25に増加する、というのである。この控えめな報告書はしかし、日本政府の激しい反発を呼び起こした。日本の環境大臣は、WHOが被ばくの危険性を大げさに主張し人々の不安を無用に煽っている、と指摘したのである。


● 疲弊する子どもたち

このような環境にあって、人々は見えない危険と戦いながらこれまでとは異なる暮らしを強いられている。中鉢は言う。

「今では子どもたちは雪や砂で遊ぶのをためらうようになりました。子どもたちは森に行っては行けないことも知っています。(重度の被ばくにさらされるからです。)」

子どもたちの間では肥満やストレス、発育障害などの問題が現場の教員より指摘されている。この地域では、今でも蛇口の水道水を飲む住民はいない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「雪や土と遊ぶのをためらう幼い子どもたち」/ルモンド紙(3月11日)
(Philippe Mesmer, « Dans la neige ou le sable, les petits hésitent à jouer », Le Monde, 2013.03.11)
http://abonnes.lemonde.fr/planete/article/2013/03/09/a-25-km-de-la-centrale-de-fukushima-les-enfants-hesitent-a-jouer-dans-le-sable_1845536_3244.html

2013年3月10日 (日)

「福島を忘れない」怒りと団結と―フランス市民、原子力ムラに対し大規模抗議/ルモンド紙(3月9日)

「フクシマを二度と繰り返すな!」

福島原発事故の発生から約2年を迎えた3月9日、2万人(3月10日時点での主催者発表より引用)にのぼるフランス市民がこう叫びながら、原子力を支える巨大企業が軒をつらねる首都パリの北部デファンス地区から経済省に至る18カ所のポイントを巨大な「人間の鎖」でつなぎ、フランスでの軍事・民生の両面における全ての原子力の使用停止を求めた。この日の抗議行動には参加者に加え多くの観客がかけつけ、付近の歩道は大変な混雑となった。

● エッフェル塔を背景に「人間の鎖」で原子力企業と政府機関を囲むフランス市民たち(ルモンド紙より画像多数)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/09/pres-de-deux-apres-fukushima-manifestations-au-japon-et-a-paris_1845641_3244.html

パリ中心部のオペラ地区では、原発建設に出資しているBNPとソシエテ・ジェネラルの2大銀行の本店を市民らが「鎖」で取り囲んだ。その他、原子力を動かす「権力の中枢」と見なされている国会、経済省、原子力安全局、保健省などの関連省庁、フランス電力公社、アレバ社などの原子力企業が市民たちのつなぐ手によって囲まれた。

この日の抗議行動を組織した脱原発ネットワーク(Sortir du nucléaire)の広報官ピエリック・デュフロは今回の目的を次のように述べる。

「日本の人々に私たちの共感と団結の意志を示すとともに、原子力を動かし続ける意思決定者たちに対して怒りのメッセージを伝えるのが目的です。」

「私たちは全ての原子力の使用をやめることを求めています。特に稼働後30年を超える全ての原発をただちに止めることを求めます。」

この日の抗議には緑の党から10人余りの国会議員が参加した他、左派政党からも議員が参加した。この日、日本の東京でも市民らが原子力の早期廃止を求めデモ行進を行った。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事「パリで原子力に反対する数千人が『人間の鎖』」
(« Une chaîne humaine de milliers de personnes à Paris contre le nucléaire », Le Monde, 2013.03.09)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/09/pres-de-deux-apres-fukushima-manifestations-au-japon-et-a-paris_1845641_3244.html

2013年3月 9日 (土)

「原発いらない」東京とパリで同時に大規模抗議集会/ルモンド紙(3月9日)

福島原発事故の発生から約2年を迎えた今日、東京では1万5千人(主催者発表、現段階では警察は未発表)の人々が参加して、阿部政権に対し全原発の速やかな廃炉を求める大集会とデモ行進を行った。安倍晋三首相は昨年12月の衆議院選挙で勝利をおさめて以来政権を握っている。集会には福島県の住民やノーベル文学賞を受賞した作家の大江健三郎氏も参加した。

フランスではこの日、脱原発ネットワーク(Sortir du nucléaire)がパリで核兵器や原子力発電を含む全ての原子力の使用停止を求める巨大な「人間の鎖」を計画。「鎖」は原子力に関連する意思決定を行う主な省庁を手をつないで取り囲むことを予定している。

● パリ市内中心部で「人間の鎖」を作る市民たちと、集会が行われた明治公園内の様子(画像)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/03/09/pres-de-deux-apres-fukushima-manifestations-au-japon-et-a-paris_1845641_3244.html

(明治公園での集会に参加された読者の方より画像を提供頂きましたので、以下に御本人の許可を頂いて掲載させて頂きます。ありがとうございました。)

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●岩手出身のレゲエ・シンガー、Likkle Maiさんによるサウンドデモ in 霞ヶ関 (Youtube動画)
http://www.youtube.com/watch?v=BR7ET5IN6a0

(要約、一部編集)

● 元の記事「福島原発事故から約2年、日本とパリで原発に対する抗議行動」
(« Près de deux ans après Fukushima, manifestations au Japon et à Paris », Le Monde, 2013.03.09)

2013年3月 7日 (木)

手をつなぐ福島とチェルノブイリ―共に語り、歩き出そう/スード・ウェスト(3月5日)

福島原発事故から2周年を迎えるのを前に、3月9日土曜日、世界各地で原発に反対する大集会が行われます。フランスでは各都市の市民がバスや電車を乗り継ぎパリでの大集会とデモに参加します。

こうした中、3月4日にはフランス南西部の町アジャンにて「ゴルフェッシュ原発を止める会」(注1、2)主催による「原子力を語る月曜日の夕べ」が開かれ、チェルノブイリ原発で働いた父を持つウクライナ人女性オレナさんと福島原発事故についての記事を発信しているパリ在住ジャーナリストの小林コリンさんが講演を行いました。

●オレナさんと小林記者の画像はこちら
http://www.sudouest.fr/2013/03/05/l-ukraine-et-le-japon-pour-parler-du-nucleaire-984669-3603.php 

アレナさんの父親はチェルノブイリ原発で使用する発電機を供給する仕事をしていたため、アレナさん自身も1986年のチェルノブイリ原発事故を経験、幼い頃から被曝の影響がないかを確かめるための検査を受け続ける日々が続きました。小林記者は日本政府が福島原発事故の後自国をどのように扱っているのかについてフランスの市民に伝えたいと述べています。

(注1)アジャンの町(画像)
http://www.google.co.jp/search?q=Agen&hl=ja&client=safari&rls=en&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=qJA4Uf_MCIiElQXK7YHgAg&ved=0CEYQsAQ&biw=1274&bih=590

(注2)ゴルフェッシュ原発:アジャンから東に20キロの距離に位置する原子力発電所。
画像はこちら
http://www.google.co.jp/search?q=Golfech&hl=ja&client=safari&rls=en&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=w504UdC2J9GRkgWLooHoDQ&ved=0CC8QsAQ&biw=1274&bih=590

●元の記事「原子力を語るウクライナと日本」/スード・ウェスト(3月5日)(“Agen : l’Ukraine et le Japon pour parler du nucléaire") http://www.sudouest.fr/2013/03/05/l-ukraine-et-le-japon-pour-parler-du-nucleaire-984669-3603.php

2013年3月 5日 (火)

台湾、原発の新規建設をめぐり国民投票へ/台湾インフォ(2月27日)

台湾の与党・野党の国会議員は2月26日、既に着工している第四原発の建設工事について、同原発の建設の是非を巡る国民投票の決着まで実施を差し止めることで合意した。この間、第四原発に関する追加予算の審議は全て停止され、核燃料の運び込みについても一切停止される。また、この決定がきちんと実施されているかどうかを監視するための与党・野党による合同委員会が合わせて設置される。国民投票の結果が承認されるためには全有権者の半数以上による参加が必要だ。

議会による今回の国民投票実施の決定を受け、経済省は有権者が第四原発の建設に反対した場合の措置について検討を開始した。台湾では2019年に第一原発が、2023年には第二原発が廃炉となる予定。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「国民投票まで第四原発建設のための予算差し止め」/台湾インフォ(2月27日)
(« Pas de nouveau budget pour le chantier de la 4e centrale nucléaire avant le référendum », Taïwan Info, 2013.02.27)
http://taiwaninfo.nat.gov.tw/ct.asp?xItem=202219&CtNode=458&htx_TRCategory=

2013年3月 3日 (日)

「WHO報告書は福島事故の被曝被害を過小評価」環境団体、WHO報告書を「原子力産業を守るための政治声明」と非難/ルモンド紙(3月2日)

【御詫びと訂正】いつも御愛読頂きありがとうございます。記事の中に誤訳がありましたので、以下のとおり訂正致します。大変申し訳ありませんでした(「シーベルト」を「ミリシーベルト」に訂正致しました)。(3月4日)

 <誤>ドイツ人専門家オダ・ベッカー氏が「福島原発から半径20キロ以内の地域では、住民一人当たりの被曝量は数百シーベルトにのぼる」と推定

 <正>ドイツ人専門家オダ・ベッカー氏が「福島原発から半径20キロ以内の地域では、住民一人当たりの被曝量は数百ミリシーベルトにのぼる」と推定

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世界保健機構(WHO)は2月28日、福島原発事故がもたらす健康被害に関する報告書を初めて発表した。WHOはこの報告書の中で、放射能による健康被害は福島から遠い地域には及ばないとしつつも、福島原発の近隣住民及び事故処理にあたる原発作業員の癌罹患率が明らかに上昇する事実を認めた。

報告書によれば、事故を起こした原発近隣の重度汚染地域に住む乳幼児が一生涯のうちに癌にかかる危険性は悪性腫瘍全般に関し4%増加、女性における乳がんで6%、男性における白血病で7%増加する。また、女性が甲状腺癌にかかる危険性については70%もの増加を指摘した。原発作業員については「今のところ急性被曝による影響は出ていない」としつつも、最も若い世代で20%もの癌発生率の増加を指摘した。

環境市民団体グリーンピースはこれに対し、報告書の作成にかかわったドイツ人専門家オダ・ベッカー氏が「福島原発から半径20キロ以内の地域では、住民一人当たりの被曝量は数百ミリシーベルトにのぼる」と推定していることに言及、

「WHO報告書は福島原発から半径20キロ以内にいた人たちが素早く逃げることができなかったために事故直後に浴びた放射能による被害を過小評価している」
「同報告書は原子力産業を守るための政治声明に過ぎず、健康問題についての科学的分析ではない」

と指摘した。東京電力は福島原発で事故処理にあたった2万人の原発作業員に関する被曝データを今も政府に提出していない。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事:「WHO、福島事故による癌の増加を発表 福島原発周辺での甲状腺癌への罹患率は70%増」/ルモンド紙(3月2日)
(Paul Benkimoun, « Selon l’OMS, l’accident de Fukushima va entraîner davantage de cancers », Le Monde, 2013.03.02)

2013年3月 1日 (金)

「ただちに健康への危険はありません」:米ハンフォード原子力施設から漏れ出す4万リットルの高度放射能汚染水と沈黙を守る米国メディア/ルモンド紙(2月27日)

広島、長崎に落とされた原爆の製造地、米ハンフォード原子力施設(ワシントン州)。ワシントン州のジェイ・インスレー知事は2月22日、同施設の地下に埋められた高度放射性廃棄物の貯蔵容器6個から放射性物質が漏洩していることを認める公表を行った。事態は先に米国エネルギー省が発表した「貯蔵容器1個のみからの汚染水漏洩」という状況をはるかに上回る深刻な事態に発展している。

1940年代に建設された米国内最古の原子力施設の地下には、廃棄物貯蔵容器170個分、およそ20万立方メートルに上る高度放射性物質が格納されおり、このうち3分の1の容器からは既に汚染物質の漏洩が確認されている。「環境団体ハンフォード・チャレンジ」のトム・カーペンター代表は既に3.8万リットルに上る高度汚染水が漏れ出したと指摘している。

この緊急事態に対し、米国当局はハンフォードの周辺住民を安心させるべく素早い行動をとった。

「ただちに健康への危険はありません。」

短期的に見れば、当局のこの言葉は確かに正しい。カーペンター代表も米国政府のこうした見解に異を唱えない。しかし長期的に見れば別の話だ。ハンフォード原子力施設の地下から漏れ出しているプルトニウムの半減期は25万年もの長期にわたる。

こうした状況に直面しても、米国メディアはまだ沈黙を守っている。

「米国メディアが黙っていることに驚いてはいけません。長い時間が経たなければ、被曝被害が目に見える形で現れることはないのです。」

カーペンター代表は指摘する。放射性物質の新たな漏洩が発表されたにもかかわらず、米メディアがこれを大きな見出しで取り上げることは無いのだ。ハンフォード原子力施設近辺の住民は述べる。

「もしテロリストがここで漏れ出しているのと同じ量の劣化ウランを搭載した爆弾をアメリカのどこかの町に仕掛けたとしたら、アメリカ中が大騒ぎになるでしょうよ。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事:ハンフォード原子力施設で汚染水漏えい―米では「だから何?」/ルモンド紙(2月27日)
(« Aux Etats-Unis, le site nucléaire de Hanford fuit...Et alors ? », Le Monde, 2013.02.28)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2013/02/26/aux-etats-unis-le-site-nucleaire-de-hanford-fuit-et-alors_1839031_3244.html

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