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2015年2月18日 (水)

チェルノブイリ事故から29年: 野火で広がり続ける放射能汚染/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)

1986年4月にチェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故によって放出された死の灰は簡単には消えない。ウクライナとベラルーシをまたぐチェルノブイリ近辺の深い森の中の土の表面近くに今も残る放射性物質は、頻発する野火によって空中に放出され続けており、今後放射性の雲となってヨーロッパの上空を再び覆う可能性がある。ノルウェー大気研究所のニコラオス・エバンゲリオウ氏が率いる研究チームが発表した。

<画像>  チェルノブイリの野火(イメージ)/ロイター
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D


◆森の土壌に蓄積する放射能

エバンゲリオウ氏らはチェルノブイリ近辺における野火が2002年以降にもたらした影響を分析、同地域の汚染レベルを考慮した上で将来起きうる新たな野火の頻度とその影響規模を予測した。エバンゲリオウ氏によると森の中の地表近くの土壌には、現在も高い濃度で放射性物質が残留している。土壌中の放射性物質の濃度は通常、徐々に土が流されたり植物とともに土から引き抜かれることにより低下する。しかし人の出入りが途切れた深い森の中では、樹木が放射性物質を吸収し枯葉として放出した後、汚染はそのまま高い濃度で土壌に残留する。

エバンゲリオウ氏の指摘によれば、放射能による被害により虫や微生物が殺され減少したために、枯れ葉の腐食には通常以上に時間がかかっていると見られ、チェルノブイリ近辺の立ち入り禁止区域では森の手入れをする人がいないことと相まって土壌の放射性物質濃度を上昇させている。過去にWHOヨーロッパ事務所で放射線防護課の代表を務め、現在は東フィンランド大学で教えるキース・バヴェストックは同様の問題が福島にも起きうることを指摘する。


◆ヨーロッパ全土を覆う煙

野火は以前から続いており、既に多くの放射性物質がヨーロッパ全土に放出された。現在、野火によって煙の形で放出されている放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故が起きた1986年に放出された量の約10分の1にあたり、近辺に残留しているセシウムの2~8%に相当する。煙はヨーロッパの東部一帯に放出され、遠くトルコやイタリア、北欧諸国にまで到達している。更には近年の気候変動で野火の発生が増加しており、ウクライナ近辺の不安定な政治状況によって野火の消火を担当する消防団の人員が手薄になっている。

あなたは野火によって空中に放出される放射性物質の量などそれほどの量では無い、と思うかもしれない。エバンゲリオウ氏らの研究チームがチェルノブイリから近いウクライナの首都キエフで想定したところ、空気中の放射性物質濃度は平均で10マイクロシーベルトにとどまっていた。年間被ばく量の上限の1%である。

しかし米国サウス・キャロライナ大学のティム・ムッソー氏によれば、被ばくのリスクは放出された汚染物質がどこへ行くかによって決まる。野火の勢いが強まればより多くの放射性物質が放出される危険がある。汚染の平均値は問題では無い。野火でストロンチウムやプルトニウム、アメリシウム等の放射性物質が放出された際に、これを浴びたり、汚染物質が凝縮されたキノコを食べた場合には、これら特定の人たちが重度の汚染にさらされる。一度口から入った放射性物質は深刻な内部被ばくを引き起こす。このように被ばくは特定の人に集中して発生する傾向がある。他方、広い地域に広がる煙を通じてまき散らされた放射能による癌の発生を証明することは困難となる。ムッソー氏は言う。

「どんな少量の被ばく量であっても、人体に何の影響も与えないということはありません。安全な被ばく量、しきい値というものは無いのです。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事「野火の増加でチェルノブイリの放射能汚染、復活の可能性」/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)
( « Rise in wildfires may resurrect Chernobyl’s radiation », New Scientist, 2015.02.09)
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D 

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