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フランスの原発業界

2015年2月26日 (木)

メルトダウンし続けるアレバ社:「産業界の福島第一」、2014年度6600億円の損失/「現在の技術動向」(2月24日)

アレバ社は2014年度、49億ユーロ(約6600億円、速報値)の損失を計上、政府と産業界に大きな懸念を引き起こした。

「産業界の福島第一」
「メルトダウンし、格納容器が崩壊しかけた原発同様の状態」

ルモンド紙のジャンミシェル・ベザ記者はためらい無くこう指摘する。経済情報サイト「キャピタル.fr」は「天文学的な損失額」、レゼコー紙は「フランスの原子力業界全体の未来がかかわる緊急事態」と報じた。

アレバ社は2013年の時点で既に5億ユーロ(約670億円)もの赤字を抱えていた。2014年度は更にその8.8倍の損失を被ったことになる。ところで、上記の49億ユーロにはフィンランドで建設中の最新式原子炉の工期が遅れていることによる賠償金23億ユーロ(3100億円)は含まれていない。

現在、フランスのボルドー地方にはヨーロッパ最大の太陽光発電設備(3キロ平方メートル当たり300メガワット)が設置されている。減価償却期間を過ぎた古い原発による発電費用は5.98ユーロ(約807円、キロワット時あたり)、しかし減価償却期間が過ぎた太陽光発電設備による発電には費用はかからない。フランス議会で電気料金に関する調査委員会でフランス電力公社(フランス最大の電力会社)のジャンベルナール・レヴィー代表はボルドーにある太陽光発電所における発電費用が新しい原発による発電費用より20%安いことを認めている。

実はボルドーは取り立てて太陽に恵まれた地域では無い。例えばトゥーロン市では更に30%多い太陽の光が得られる。フランスにおける太陽光の普及はドイツの8分の1にとどまっている。しかしアレバの損失額に相当する額の予算があれば、フランス国内における太陽光発電施設の発電容量を倍増することが可能だ。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「アレバのフクシマ:マクロン経産省大臣『アレバ社の資本金注入は優先事項では無い』」「現在の技術動向」(2月24日)
(« Le Fukushima d’AREVA / Areva : une augmentation de capital "pas la priorité" (Macron) », Actualités techniques de l’ingénieur, 2015.02.24)
http://www.techniques-ingenieur.fr/actualite/technologies-de-l-energie-thematique_89428/le-fukushima-d-areva-article_292592/

2013年4月 1日 (月)

アレバ社、2012年度は120億円の減益/マイアミ・ヘラルド紙(2月28日)

フランスの巨大原子力企業アレバ社は昨年度、9千9百万ユーロ(約120億円)の減益を記録した。同社は他方で、2011年に福島原発で起きた大惨事による世界的な原発離れと問題続きのウラン鉱開発事業による問題を何とか乗り越えるべく歩を進めているとも述べた。

福島原発事故の発生後、多くの国が原子力の使用についての見直しを実施、アレバ社は2011年度に25億ユーロ(約3千億円)の損失を計上した。不透明な経理処理によりフランス国内で当局の取り調べ対象となっている西アフリカでのウラン鉱開発事業問題でも多数の損失を記録。2012年度は前年度に比べウラン鉱事業が安定を取り戻すとともに原子炉の売り上げで前進を見せた結果減益額を縮小した。

(抜粋、一部編集)

● 元の記事:「フランスの巨大原子力企業アレバ、2012年に1億3千万ドルの減益」/マイアミ・ヘラルド紙(2月28日)
(Sarah Di Lorenzo, « French nuclear giant Areva loses $130M in 2012 », The Miami Heerald, 2013.02.28)

2013年1月11日 (金)

中国を前に戸惑うフランス原子力ムラ:魅惑の巨大市場は将来の商売敵/ルモンド紙(1月10日)

原発の輸出において、原子力技術の海外移転は必要不可欠の要素だ。しかし原発の国際市場で生き残ってゆく上で、この技術移転は危険を伴っている。

ピエール・モスコヴィッチ経済・財政大臣は1月8日、中国への短期訪問を終え帰国した。今回のモスコヴィッチ大臣による訪問の表向きの理由は、ユーロ経済やフランスの競争力に対する中国の不安を鎮めるというものだ。しかし今回の訪問にはもう一つの目的があった。中国への原子力技術の移転に対しフランス国内で沸き上がっている否定的な議論への、中国政府の反発を和らげるというものだ。

フランス電力公社(EDF)は残酷な板挟みのただ中にある。フランスにとって、中国は自国の原子力業界の将来の大部分を担う市場だ。しかし顧客である中国は、自前の原子力企業経営を究めるために必要な外国の原子力技術を全て自分のものにしたいという意思を隠さない。

フランスの電気技師たちはどこまで将来の自分の競争相手たちと技術を分け合うべきなのだろうか。一部の官僚幹部や関連省庁の技術アドバイザーらは、中国への原発輸出契約を通じた知的所有権の侵害問題を挙げてフランス電力公社のアンリ・プログリオ代表取締役を攻撃している。フランス政府は今のところプログリオ代表取締役を現在のポストにとどまらせることを決めた模様だ。ただし厳しい監視体制の元に同氏を置くという条件つきで、である。

(以下2つの記事より抜粋、一部編集)

●元の記事「原子力:中国の黄金郷で罠にはまるフランス」、「中国における原子力のジレンマ」ルモンド紙(1月10日)
(« Nucléaire : la France dans le piègede l'eldorado chinois», Le Monde, 2013.01.10)

2012年2月24日 (金)

フランス産業大臣、放射線防護服で福島原発を視察「それほどひどくない」「これからも原子力をよろしく」/ル・パリジャン紙(2月21日)

フランスのサルコジ政権下で強力な原発推進派として知られるエリック・ベッソン産業大臣。

「ベッソン大臣、福島で原子力推進キャンペーン」

リベラシオン紙は今回のベッソン大臣による福島訪問をこう報道しました。サルコジ政権の支持率は低下し続けており、次回の大統領選挙についても社会党のオランド候補に大きく差をつけられていることから、原子力業界の票固めの意味合いがあるのかもしれません。ベッソン大臣は、野田政権の原子力政策を陰で支える政治家の一人です。1月末にはパリを訪問した細野大臣と会見、廃炉期間を40年に延長した際も歩調を合わせました。今回は、リベラシオンその他の各紙とほぼ同じ内容を報じているル・パリジャン紙の記事を御紹介します。

●写真や動画はこちら(フランス語のオリジナル記事です)

http://www.leparisien.fr/tsunami-pacifique/japon-eric-besson-visite-les-ruines-de-fukushima-21-02-2012-1870911.php

(訂正とお詫び:エリック・ベッソン大臣の名前を誤って「リュック・ベッソン」と記載していたため、訂正させて頂きました。申し訳ありませんでした。リュック・ベッソンはフランスの映画監督です。御指摘下さった方、どうもありがとうございました。)
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フランスのエリック・ベッソン産業大臣は2月21日、放射線防護用の白のつなぎ服と手袋・マスク姿で福島原発第一号機を訪問した。現地では出迎えた高橋 毅(たけし)所長らと共に原発内を視察。東京電力からは感謝の言葉を受けた。ベッソン大臣は現場で事故処理にあたる作業員と東京電力の責任者に対し、

「私はこれからも安全な原子力を信じ続けます。原子力セクターにもう一度命を吹き込んでくれるよう、皆様に期待しています。」

と発言。現場では今もおよそ3000人の関係者が事故処理業務にあたっている。

「この原発で事故が起きてすぐ、フランス政府とフランスの原子力業界は日本に支援と協力を行う意思を表明したいと考えました。」

敷地内をバスで見学した一行はその後、事故で最も大きな被害を受けた第四号基の前でバスを下車(リンク先の写真は四号基前で撮影されたもの)。ベッソン大臣の感想は、

「事故が思ったほどでなくて安心した」。

ベッソン大臣が福島原発で過ごした時間は50分。2時間程の全行程で受けた被ばく量は40マイクロシーベルト。汚染の無い環境で同じ時間を過ごした場合に比べ、200倍以上高い被ばく量だった。

(抜粋、一部編集)

(Abtoine Bouthier, AFP, « Eric Besson visite les ruines de Fukushima », Le Parisien, 2012.02.24)
http://www.leparisien.fr/tsunami-pacifique/japon-eric-besson-visite-les-ruines-de-fukushima-21-02-2012-1870911.php

リベラシオン紙の記事はこちら。
http://www.liberation.fr/terre/01012391316-besson-visite-la-centrale-ravagee-de-fukushima 

2011年11月24日 (木)

フランス電力公社、「最新型原子炉EPRからの撤退」を報じたトリビューン紙から広告引き揚げ/ル・パリジャン(11月16日)

フランス国内最大手の電力会社であるフランス電力公社(EDF)は11月18日、同社が最新型原子炉EPRから撤退することを示唆する記事を掲載したトリビューン紙に不満を表明、2011年末まで広告の掲載を中止した。トリビューン紙のジャック・ロゼラン代表が自らのツイートで明らかにした。広告の掲載中止による損害額は8万ユーロ(約830万円)。

トリビューン紙はフランスの経済紙として知られる。11月16日付けの同紙の記事によれば、フランス電力公社の技術者はアレバ社とドイツのジーメンス社によって開発されたEPRに反発。中国と共同で別の新型原子炉の開発に着手していることを暴露した。最新型原子炉EPRによる原発建設の是非は、2012年の大統領選に向けた緑の党とフランス社会党の政策協議における焦点の一つともなっている。

●Le Parisien, « Piqué au vif après un article, EDF supprime ses pubs dans la Tribune », 2011.11.16
http://www.leparisien.fr/economie/pique-au-vif-apres-un-article-edf-supprime-ses-pubs-dans-la-tribune-16-11-2011-1723225.php

●La Tribune, « En pleine polémique sur Flamanville, EDF se prépare à abandonner l’EPR », 2011.11.16
http://www.latribune.fr/entreprises-finance/industrie/energie-environnement/20111113trib000663723/en-pleine-polemique-sur-flamanville-edf-se-prepare-a-abandonner-l-epr.html

2011年11月 2日 (水)

原発輸出の最前線(4)「インド・ジャイタプールの原発反対運動」その3/ルモンド・ディプロマティーク(4月19日)

前回に引き続き、ジャイタプールの記事を読んで行きます。

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「インド・ジャイタプールの原発反対運動」

プラフル・ビドワイ(Praful Bidwai、ジャーナリスト、ムンバイ在住)
訳:木田剛(ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版2011年4月号)


4. 生物多様性と地震の危険
 
ジャイタプール原発計画には、植物学者たちによるとインド固有植物の密度が最も高い生態系の真っただ中という立地決定も批判の的だ。ここは生物多様性にとっても、それに依存した豊かな農業・園芸・漁業経済にとっても、かけがえのない地域である。山脈地帯にあるコンカン海岸には、5000種以上の顕花植物、139種の哺乳類、508種の鳥類、179種の両生類が生息しており、その内325種は絶滅が危惧されている(2)。地域の2大河川であるクリシュナ川とゴーダヴァーリー川の水源はここにあり,他に類を見ない生態系が存在するのだ。

 この地域では5000隻以上の漁船が操業している。ムスリムが住民の大多数であるナテ村に住む漁師、アムジャド・ボルケルは言う。「季節労働者に多くの州の最低賃金の3倍から4倍払えるくらいわれわれは稼いでいる。なのに原発はここの経済を破壊してしまう。われわれには漁業しかない。インド第1号のタラプール原発が地域の漁師を壊滅させたように、ここも原発に息の根を止められる。だから、農家と手を携えて反対運動を行っている」

 漁民たちは、特殊な構造物や沿岸警備隊の展開という施設周辺の警備態勢のせいで、漁場が狭められることを心配している。しかも、原発からは海水より5度高い水が毎日合計520億リットル放出されるようになるため、死んでしまう魚が増えるおそれがある。

 もっと深刻なのは、ジャイタプールが地震多発地帯に位置することだ。1967年12月11日にマグニチュード6.3の地震がジャイタプール北100キロのコイナで発生し、177人が死亡し、約5万人が家を失った。環境保護団体グリーンピースはこう指摘する。「ジャイタプールでは過去20年の間に、マグニチュード5を超える地震が3回起きている。1993年のマグニチュード6.3の地震は、9000人の死者を出した。2009年の地震では、ジャイタプールで橋が崩落した。立地の選択に当たって、こうしたことはまったく考慮に入れられなかった(3)」。インド原子力発電公社は、地震対策のために設計変更するつもりがあるかどうかを明らかにしていない。

(続く)

この記事は、ルモンド・ディプロマティーク日本語・電子版のサイトからは既に削除されていましたので、リンクは張っていません。フランス語版の出典記事はこちらです。
http://www.monde-diplomatique.fr/2011/04/BIDWAI/20396

2011年10月26日 (水)

フランス電力公社、脱原発運動の情報を目当てにグリーンピース幹部のPCに違法アクセス〜検事が禁固刑を含む実刑を求刑/ルモンド紙(10月26日)

フランス政府が株の70%を保有する世界最大級の電力会社、フランス電力公社(EDF)。そのフランス電力公社が、経済コンサルタント会社を通じ国際環境団体グリーンピース幹部のコンピューターに不法にアクセス、自社の原発について予定されている(脱原発)活動についての情報を入手するため個人情報を盗み出していた問題で、10月24日、ベンジャミン・ブランシェ検事はナンテール地方裁判所においてフランス電力公社を強く非難、当時同公社で安全管理を担当していた幹部2名と、依頼されて情報を盗み出した経済情報コンサルタントに対し禁固刑を含む厳罰を求刑した。うち、現在もフランス電力公社につとめる同社の幹部2名には、禁固刑6ヶ月を含む実刑3年と罰金3万〜4万5千ユーロ(約320万円〜480万円)が求刑された。

(要約)

(Pascale Robert-Diard, « Procès Greenpeace : le procureur fustige ces officines qui « blessent l’Etat de droit », Le Monde, 2011.10.26)

2011年9月13日 (火)

「ガール県マルクール核廃棄物処理施設で爆発、死傷者発生」ルモンド紙(9月12日)

ガール県のマルクール核施設で9月12日に起きた爆発は、死傷者を出しました。幸いCRIIRAD研究所によれば、今のところ大気中への放射能の放出は観測されていません。しかし、アヴィニヨンやマルセイユといった地中海沿いの大都市に近接する核施設での事故は、人々に波紋を広げています。
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原子力セクターの安全を所管する仏原子力庁(ASN)によると、9月12日、ガール県のローヌ川沿いに位置するマルクール核廃棄物処理施設内にある商業用核廃棄物処理を行う半円筒形の施設とみられる施設で爆発が起き、死者が出る事態となった。

1955年に建設されたこの核施設では、約5000人の関係者が働いている。今日、同施設は軍事用の業務に加え4つの商業用原子力施設を備えている。アレバ社による Mox核燃料加工施設や「セントラコ」と呼ばれるフランス電力公社(EDF)による放射性廃棄物処理施設である。

「セントラコ」では1990年代から250人ほどの人を雇い、廃棄物を溶かしたり燃やしたりして処分している。2008年、原子力庁は「組織、および安全に関する習慣面での問題」によっていくつもの「空白」が生じているとして、同施設への検査の回数を増加させた。原子力庁は、当時の「空白」問題と今回の事故の関連を否定している。

CRIIRAD研究所は24時間体制で大気中の放射性物質を監視中。フランス時間の9月13日12時30分(日本時間の9月13日20時30分)現在の計測によれば、放射能汚染は検出されていない。


参考記事:AFPBB Newsによる報道
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2826822/7761376 

出典:
ルモンド紙「ガール県マルクール核施設」
(Le Monde fr & AFP, « Le site de Marcoule, dans le Gard », Le Monde)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/12/le-site-de-marcoule-berceau-de-l-industrie-nucleaire-du-retraitement_1571279_3244.html 

CRIIRAD研究所
フランス国内における大気・水中の放射性物質監視所 測定結果(9月13日12時半)
http://balisescriirad.free.fr/ 

2011年8月12日 (金)

「仏ビュジェー原子力発電所で汚染瓦礫の持ち出しによる放射能汚染」ルモンド紙(8月10日)

フランス電力公社(EDF)は8月10日、ビュジェー地方(スイス国境に近いフランスの町。注を参照。)にある原子力発電所内に置かれていた放射能に汚染された瓦礫が誤って外部に搬出され、石切り場に放出されていた、という「プログレ」紙による報道を公式に認めた。EDFは、今回の事故による放射能汚染は健康に害の無い範囲の量であるとして、原発事故としてはINES尺度で0に相当する、としている。

(注)ビュジェー地方の位置(スイスのジュネーブ市から車で約1時間の距離にある田舎町。)
http://www.paysdubugey.fr/france/DT1232647690/page/Acces.html

(LeMonde.fr & AFP, « Des gravats radioactifs quittent par erreur la central nucléaire du Bugey », Le Monde, 2011.08.10)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/08/10/des-gravats-radioactifs-quittent-par-erreur-la-centrale-nucleaire-du-bugey_1558315_3244.html

2011年7月27日 (水)

「フランスの夢の『最先端原子炉』EPR、福島原発事故と同様の電源喪失で壊滅的ダメージの恐れ」ルモンド紙(7月25日)

フランスが自国の原子炉輸出における戦略的存在と位置づける「欧州加圧水型軽水炉(EPR)」(注1)。Mox燃料の使用も可能な低コストでの発電を実現する新型原子炉、として当初は注目を浴び売り出されました。既にフィンランド、フランスのフラマンビル、中国(「台山原子力発電所1号機」)などで着工していますが、相次ぐトラブルによる工事の遅れと膨らむ総費用が問題化しています。これに加え、7月25日、環境団体のグリーンピースは、EPRにおける電源喪失の可能性とこれによる壊滅的な打撃を指摘する報告書を発表しました。

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1.福島での「電源の完全喪失」、再び

環境NGOのグリーンピースは7月25日、「未来の第三世代原子炉」と目されるEPRに、福島原発で3月11日の地震および津波の後で起きたような停電が発生した場合に起きる安全性の欠陥を指摘した。

グリーンピースは「(EPRの)安全対策は、電力網もしくは発電機による電力供給が24時間以内に復旧する、という仮説に基づいている」と指摘、「福島では完全な電源喪失が11日間継続した」と述べている。今回のグリーンピースの指摘は、原子力分野におけるドイツ・オーストリア両政府の技術専門家をつとめ、かつ経済協力開発機構(OECD)の原子力エネルギー機構が設ける専門家部会の委員をつとめるオーストリア人専門家、エルムート・イルシュ氏が作成した報告書(注2)に基づいている。                                                    

2.アレバ社による危険の軽視

この報告書は、「福島原発事故から導かれる重要な教訓は、安全装置への電源喪失が起きた場合、原子炉は脆弱であるという事実である」と述べている。さらに報告書では「日本で起きたような全電源喪失のような状態がEPRに起きた場合には、原子炉内の水を100度以下に冷やすことができない。また、原子炉を安定した安全な形で停止することはできなくなる」としている。

報告書はまた、「アレバ社は、EPRにおける停電の予防策をむしろ減らすという程度にまで停電の危険性を軽視している。」と指摘している。グリーンピースによれば、アレバ社は非常用の発電機の数を減らしており、発電機は手動でスイッチを入れなければならないため、ヒューマンエラーの可能性を増幅させている。

日本で大地震と津波が起きて5日後の3月16日、当時のアレバ社社長だったアン・ロヴェルジェオン氏は国会議員による委員会での聴取の後で行った記者会見で「福島でEPRを使っていたならば、どんな状況でも外部へ放射性物質が漏れることはなかった」述べた。

他方、7月25日朝のテレビ番組「ラ・マティナル・ド・フランス・インター」(早起きフランス市外局番)に出演したエリック・ベッソン産業省大臣は、オーストリア人の研究者であるヒルシュ氏の専門性とグリーンピースの真剣さに疑問を呈し、次のように述べた。

「グリーンピースはこの件について本当にばかばかしいことを本当に長い間言ってきた。質問の報告書のことは知らないし、私は国際的に最高レベルの専門家、フランス人の、じゃなくてね、の言うことしか認めない。これらの専門家は、現在の知識ではEPRが最も安全なタイプの原子炉だと言っているよ。」

他方、「第三世代の原子炉」第一号であるフラマンビルのEPRは、工事の遅れにより2016年まで稼働が開始できない見込みとなった旨が先週水曜日に発表されたばかりである。

(Le Monde.fr & AFP, « Greenpeace souligne les failles de l’EPR en cas de panne électrique », Le Monde, 2011.07.25)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/07/25/greenpeace-souligne-les-failles-de-l-epr-en-cas-de-panne-electrique_1552664_3244.html 

(注1) 「欧州加圧型軽水炉(EPR)」とは?
財団法人 高度情報化額技術研究機構による解説(2008年当時の解説)。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-08-03-05 

(注2)グリーンピースによる報告書(英文)
http://www.greenpeace.org/france/PageFiles/266521/EPR_Report_Greenpeace.fr.pdf