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健康への被害

2015年3月23日 (月)

眠りに落ちた村:旧ソ連のウラン鉱跡で広がる謎の「眠り病」/英ガーディアン紙(3月18日)

●「謎の眠り病」

昨年の最後の夏の日、ビクトール・カザチェンコはカザフスタン(ロシアと中国に挟まれた中央アジアの小国)北部の自分の村から、ちょっとした用で近くの村へと車を走らせていた。ビクトールは草原を横切ろうとしていた。しかし、目的地に着くことはなかった。

「私の脳のスイッチが切れてしまったんです。」

ビクトールはこう述べる。

「そうとしか言えません。覚えていないんです。」

ビクトールはカザフスタンの首都から300マイル西にあるカラチ村を襲ったいわゆる「眠り病」にやられたのだった。

この不可解な病にかかった住民は昏睡状態に陥る。そして時に数日間・数週間にわたり眠り続けるのだ。

「私が町へ行こうとしていたのは8月28日のことでした。」

ビクトールはまだ自分の不可解な経験のせいで方向感覚を失ったかのようにインターネット誌「ユーラシア・ネット」からのインタビューに答えた。

「目が覚めたら9月2日でした。病院で目が覚めてやっと眠っていたことを知りました。」

ビクトールが突如昏睡状態に陥った時、彼は妻を後ろに乗せてバイクを運転していた。

「乗りなれていない乗り物でなくて良かった」

ビクトールは自分の車のそばに立って冗談めかしてこんな風に言った。ユーモアのセンスが無ければやっていけない。しかしビクトールが昏睡状態の発作に見舞われたのはもう二回目だった。


●様々な衰弱症状

しかし昏睡状態から覚めた後、ビクトールは原因不明の高血圧とひどい頭痛に襲われた。

「頭痛などという生易しいものではありません。6週間の間、どうすることもできませんでした。頭を働かすことができなかったのです。」

過去2年間、村の住民たちは突如として起きる昏睡状態の発作とめまい、吐き気、目の前が真っ白になるようなひどい頭痛、記憶喪失といった重篤な衰弱症状に悩まされている。被害者は152名、村全体の25%以上にのぼる。


●汚染と住民移転

旧ソ連時代のウラン鉱後が残るカラチ村では、放射線量の高まりと重金属を含む塩の集積が医師や科学者らによって確認されている。科学者らはこれらについて「許容範囲」だと述べている。しかし国立原子力センターのセルゲイ・ルカシェンコ所長は今年の1月、一部の被害者宅では一酸化炭素が通常の10倍以上にものぼっていたことを認めた。所長はまた、高い濃度の一酸化炭素が発生することにより「眠り病」のような症状が現れることも可能だと指摘している。

住民たちは村の入り口にあるウラン鉱後が原因不明の病の原因だと考えている。ここで採掘されたウランは、原発や核兵器に使われた。1990年代に閉山となった後は、だんだんと打ち捨てられゴーストタウンのようになっている。

カザフスタン政府とカラチ市の市長は住民移転を提案している。「自発的な移転」とは言っているが、実際のところは不透明であり、強く反対している住民もいる。

ビクトールは言う。

「私はどこにも行きません。なぜ出て行かなければならないのでしょうか。私はここに40年住んでいるのですよ。私はここで死ぬ覚悟です。」

ビクトールの妻ライザも言う。

「私はこの界隈にもう60年住んでいるのですよ。」

住民たちは眠り病の原因をウラン鉱跡から発生する有害物質だと考えている。

(抜粋、一部編集)


●元の記事:「眠りに落ちた村:カザフスタンの科学者を戸惑わせる『不可解な病』」/英ガーディアン紙(3月18日)
http://www.theguardian.com/world/2015/mar/18/kazakhstan-sleeping-village-mystery

2015年2月18日 (水)

チェルノブイリ事故から29年: 野火で広がり続ける放射能汚染/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)

1986年4月にチェルノブイリで起きた史上最悪の原発事故によって放出された死の灰は簡単には消えない。ウクライナとベラルーシをまたぐチェルノブイリ近辺の深い森の中の土の表面近くに今も残る放射性物質は、頻発する野火によって空中に放出され続けており、今後放射性の雲となってヨーロッパの上空を再び覆う可能性がある。ノルウェー大気研究所のニコラオス・エバンゲリオウ氏が率いる研究チームが発表した。

<画像>  チェルノブイリの野火(イメージ)/ロイター
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D


◆森の土壌に蓄積する放射能

エバンゲリオウ氏らはチェルノブイリ近辺における野火が2002年以降にもたらした影響を分析、同地域の汚染レベルを考慮した上で将来起きうる新たな野火の頻度とその影響規模を予測した。エバンゲリオウ氏によると森の中の地表近くの土壌には、現在も高い濃度で放射性物質が残留している。土壌中の放射性物質の濃度は通常、徐々に土が流されたり植物とともに土から引き抜かれることにより低下する。しかし人の出入りが途切れた深い森の中では、樹木が放射性物質を吸収し枯葉として放出した後、汚染はそのまま高い濃度で土壌に残留する。

エバンゲリオウ氏の指摘によれば、放射能による被害により虫や微生物が殺され減少したために、枯れ葉の腐食には通常以上に時間がかかっていると見られ、チェルノブイリ近辺の立ち入り禁止区域では森の手入れをする人がいないことと相まって土壌の放射性物質濃度を上昇させている。過去にWHOヨーロッパ事務所で放射線防護課の代表を務め、現在は東フィンランド大学で教えるキース・バヴェストックは同様の問題が福島にも起きうることを指摘する。


◆ヨーロッパ全土を覆う煙

野火は以前から続いており、既に多くの放射性物質がヨーロッパ全土に放出された。現在、野火によって煙の形で放出されている放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故が起きた1986年に放出された量の約10分の1にあたり、近辺に残留しているセシウムの2~8%に相当する。煙はヨーロッパの東部一帯に放出され、遠くトルコやイタリア、北欧諸国にまで到達している。更には近年の気候変動で野火の発生が増加しており、ウクライナ近辺の不安定な政治状況によって野火の消火を担当する消防団の人員が手薄になっている。

あなたは野火によって空中に放出される放射性物質の量などそれほどの量では無い、と思うかもしれない。エバンゲリオウ氏らの研究チームがチェルノブイリから近いウクライナの首都キエフで想定したところ、空気中の放射性物質濃度は平均で10マイクロシーベルトにとどまっていた。年間被ばく量の上限の1%である。

しかし米国サウス・キャロライナ大学のティム・ムッソー氏によれば、被ばくのリスクは放出された汚染物質がどこへ行くかによって決まる。野火の勢いが強まればより多くの放射性物質が放出される危険がある。汚染の平均値は問題では無い。野火でストロンチウムやプルトニウム、アメリシウム等の放射性物質が放出された際に、これを浴びたり、汚染物質が凝縮されたキノコを食べた場合には、これら特定の人たちが重度の汚染にさらされる。一度口から入った放射性物質は深刻な内部被ばくを引き起こす。このように被ばくは特定の人に集中して発生する傾向がある。他方、広い地域に広がる煙を通じてまき散らされた放射能による癌の発生を証明することは困難となる。ムッソー氏は言う。

「どんな少量の被ばく量であっても、人体に何の影響も与えないということはありません。安全な被ばく量、しきい値というものは無いのです。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事「野火の増加でチェルノブイリの放射能汚染、復活の可能性」/ニュー・サイエンティスト誌(2月9日)
( « Rise in wildfires may resurrect Chernobyl’s radiation », New Scientist, 2015.02.09)
http://www.newscientist.com/article/dn26933-rise-in-wildfires-may-resurrect-chernobyls-radiation.html#.VN4W7S5Rp2D 

2015年1月 8日 (木)

サイエンス誌が主張する「癌は偶然の産物」という嘘: 発がん性物質に汚染された環境で働く労働者が癌にかかる確率は、会社幹部の10倍/ルモンド紙(1月7日)

新年あけましておめでとうございます。
マイペースですが、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

1月7日にパリで起きた新聞社シャルリー・エブド社本部への襲撃事件につきましては、日々のニュースに目を通す市民の一人として一日も早い解決を望んでおります。時に読者を驚かせ笑わせ、権力者を怒らせる風刺漫画を発信の柱とする同社は、政治家、宗教指導者にかかわらず権威者への皮肉という武器で自由な意見表明に貢献してきました(反イスラム教ではなく、宗教的な中立を掲げています)。昨夜フランス全土で「表現の自由を守れ」「民主主義を守れ」との声を上げて街頭に繰り出した10万人以上の市民とともに、一部の犯罪者をイスラム教徒と同一視するという誤りを犯すことなく、言論を力で封じる暴力への抗議の声に賛意を示したいと思います。

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著名な科学雑誌「サイエンス」誌が現在進めている「癌になるのは偶然」という研究に、原発、石綿、化学物質、殺虫剤、石油などの癌を引き起こす有害物質を放出する産業の関係者は微笑んでいることだろう。この「科学的発見」によって、自らの事業のせいで人々が癌になる危険性についての論争に幕を下ろすことができるのだから。社会科学高等研究院のアニー・テボード・モニ教授(社会学、保健医療)は権威ある科学雑誌に掲載された論文がはらむ詭弁を指摘する。フランスでは大多数の人が発癌性物質にさらされることによって癌になっている。そして、労働者は上級幹部の10倍の高確率で癌にかかるという現実がある。

事の初めは、1月2日にサイエンス誌に掲載されたクリスチャン・トマセッティとベール・ボジェルスタインによる論文である。自ら変化する幹細胞に関する研究で、癌になるのは偶然の確率に寄るもの、と主張している。しかし劣悪な環境で働き癌になった労働者は、癌になる確率がずっと低いホワイトカラーのエクゼキュティブに比べて偶然にも癌になりやすい細胞を持っていたのだろうか?現実には、人々の生活や労働を取り巻く社会環境や汚染についても考慮する必要がある。


●クリスチャン・トマセッティとベール・ボジェルスタインによる論文(英語です)
Christian Tomasetti & Bert Vogelstein
「Variation in cancer risk among tissues can be explained by the number of stem cell divisions」
http://www.sciencemag.org/content/347/6217/78


統計データの解釈に際しては、社会科学高等研究院のジョゼフ・クラッツマンが言うように、1950年から1990年の間に冷蔵庫を使う人が増えたからと行って、同じ時期に起きた発癌率の増加とは何の関係も無い。平行して数値が増えていたからと言って、二つの数値の間には何の因果関係も無い。冷蔵庫を使ったから癌になった、とは言えないのである。あなたはこの例を見て「馬鹿げている」「ひっかかる訳が無い」と笑うかもしれない。しかし、科学雑誌に載っている論文で同じ議論が行われると、いとも簡単に騙されてしまう。

サイエンス誌に掲載された記事も同様である。細胞が癌化するには、石綿や放射線、ディーゼル車の排ガス、殺虫剤などの発癌物質にさらされることが条件となるが、同誌はこの点に触れず発癌物質の役割を無視している。また、トマセッティ氏らの調査は民間企業からの助成金で実施されている。資金提供の筆頭に立つバージニア・DKルードビッヒ財団は石油を運ぶ大型タンカーの使用やアマゾン流域での原生林の伐採で利益を上げており、儲かりそうな癌の研究に関心を持つ一方、貧しい人を含めた全ての人のための公衆衛生には関連が無い研究に予算を費やしている。メディアが大きく取り上げる論文、著名誌に掲載される論文であっても、読者は十分な吟味が必要だ。

(抜粋、一部編集)

元の記事:「いいえ、癌は偶然の産物ではありません!」/ルモンド紙(1月7日)

« Non, le cancer n’est pas le fruit du hasard ! », Le Monde, 2015.01.07
http://www.lemonde.fr/idees/article/2015/01/07/non-le-cancer-n-est-pas-le-fruit-du-hasard_4550613_3232.html

2014年11月27日 (木)

原発周辺住民の甲状腺がん訴訟で裁判所が電力会社に賠償命令:釜山/11月6日(Wall Street Journal+ジュルナル・デナジー)

【御詫びと訂正】 賠償金額の記載に誤りがありましたので訂正します。申し訳ありませんでした。
(誤) 68万円 → (正)168万円
.....................................................

韓国第二の都市、釜山の裁判所は10月17日、古里原発から7キロの距離に20年以上年居住していたゲウム・サン・パクさん(48歳、女性)が「原発からの放射線により甲状腺がんに罹患した」との訴えを裁判所に起こしたのに対し、同原発を運営・管理する韓国水力・原子力発電株式会社に約1万1千ユーロ(約168万円)の賠償金の支払いを命じた。

裁判官は「原子炉から発生した放射線と癌の因果関係は明白ではない」としつつも、「原告は原子炉から半径10キロ以内の地点に20年以上居住しており、長期にわたり放射線にさらされてきた」と指摘した。韓国水力・原子力発電株式会社は即時抗告を行った。

チョイ・ホーシク裁判官による今回の判決では、韓国で2012年に実施された疫学調査の結果が根拠となった。調査によれば、原発から5キロ以内の距離に住んでいる女性で甲状腺がんを発症した人の数は、原発から30キロ以内の距離で発症した女性の数に比べ2.5倍以上にのぼっていた。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「甲状腺がん患者の訴え:韓国の裁判所、原子力事業者に敗訴判決」/11月6日(Wall Street Journal+ジュルナル・デナジー)
http://journaldelenergie.com/nucleaire/une-malade-de-la-thyroide-fait-condamner-loperateur-nucleaire-sud-coreen/

2014年8月27日 (水)

福島の子ども発癌率、通常の14倍:「人道への罪」「避難を」無策の政府に声を上げる保護者たち/メディアパール&エネ・ニュース(8月21日)

日本政府は人間の尊厳に対する罪を犯し続けている。福島の子どもたちは今、放射能に汚染された「戦場」にいる―そしてその場を立ち去ることを許されていない。

福島の子ども達とその両親を代表する柳原敏夫(やなぎはら・としお)弁護士は8月18日、東京で記者会見を実施、福島の子ども達における癌の発生率が通常の14倍以上にのぼるとの調査結果を公表、日本政府はこれらの子ども達を汚染地域から避難させようとせず人道への罪を犯していると指摘した。


●福島の子どもたちの避難を訴える保護者たち/メディアパール(画像)
http://blogs.mediapart.fr/edition/japon-un-seisme-mondial/article/210814/fukushima-les-autorites-japonaises-commettent-un-crime-contre-lhumanite-les


福島ではチェルノブイリ原発事故後のウクライナに比べずっと早いペースで小児癌が発生している。今年6月、福島における甲状腺癌に関する調査委員会は初めて、癌の疑いがあるとされたケースの多くがリンパ節への転移の疑いによるものであることを認めた。

「ここで起きている現実を口に出して声を上げることにしました。犯罪者たちに対抗する唯一の手段だからです。」
「声を上げるのは容易ではありません。でも私たちには責任があります。今からでも、やらなければいけないと思います。」

保護者たちはこのように述べる。2013年4月、仙台高等裁判所は福島の子どもたちの命が危険に曝されていると指摘したが、日本政府は以来何の対応も取っていない。

(抜粋、一部編集)


●元の記事:「福島:人道への罪をおかす日本政府 発癌率、今や14倍」
○   メディアパール(8月21日)
« Fukushima : Les autorités japonaises commettent un crime contre l'humanité. Les taux de cancer sont maintenant 14 fois plus élevés. », Médiapart, 2014.08.21
http://blogs.mediapart.fr/edition/japon-un-seisme-mondial/article/210814/fukushima-les-autorites-japonaises-commettent-un-crime-contre-lhumanite-les

○   エネ・ニュース
“Tokyo Press Conference: Gov’t is committing crimes against humanity; Fukushima children living in war zone and can’t leave — Childhood cancer developing much faster than Chernobyl; Rate now 14 times higher — Parent: “I’m revealing the reality of what’s going on… it’s only way to get rid of the criminals” ” (VIDEO), Energy News
http://enenews.com/tokyo-press-conference-officials-committing-crimes-against-humanity-fukushima-children-living-war-zone-evacuate-childhood-cancer-developing-faster-chernobyl-rate-14-times-higher-parent-im-reveal

※メディアパールの記事はエネ・ニュースの記事が元になっています。

2014年4月25日 (金)

原子力施設と癌:「原子力ムラと軍事産業ムラを怒らせる質問」と答え(その2)/テレビ放送「ヨーロッパ1」(4月22日)

「健康被害の不正な隠蔽」

●アナウンサー:「私たちは被ばく被害の不正な隠ぺいを目の当たりにしているのでしょうか。今日、何十万という人が放射性物質に触れ被ばくにさらされる業務にたずさわっています。たとえばフランス国内にある58基の原発で働く人々のことが思い浮かびますが。。原発についても、被ばくによる健康被害が不正に隠ぺいされている可能性があるのでしょうか?」

テボード=モニー教授:「全くその通りです。私は原発の維持管理にたずさわる下請け労働者について10年以上調査を行ってきました。これらの人々は、無視することのできない大量の被ばくに見舞われながら働いています。今日20年を経て、これら下請け作業員たちには癌の兆候が現れています。放射能は深刻な健康被害を引き起こします。私たちは石綿被害問題以来の、新たな健康被害に関する隠蔽と不正に直面しているのです。」


●「あなたが政府関係者に被ばくの危険性を警告した時、政府は問題を隠そうとしたのですか?」

テボード=モニー教授:「私は2000年に職場での被ばく被害と癌の関係に関する研究論文を発表しました。その中で被害を防ぐための予防策、監視や健康状態に関するモニター制度の設置を提言しました。どんな回答が寄せられたと思いますか?ゼロ回答です。」


放射能による癌―どう対処するのか

「アルビオン核兵器工場や原発から数キロの距離に住んでいる人たちは放射能による健康被害について心配するべきなのでしょうか?」

テボード=モニー教授:「被ばくは放射能による汚染を伴います。被ばくの瞬間から私たちは発癌性物質にさらされます。そして被ばくによるしきい値(これ以下であれば安全であるという水準)はありません。」


●「多少の発がん性を持つものは私たちの身のまわりにたくさんあります。私が原発の横に住んでいたとしたら、急いで引っ越しするべきなのでしょうか?」

テボード=モニー教授:「急いで引っ越しするべきかどうか、については私は分かりません。ただ、労働法はいかなる発がん性物質であれ、労働者を発がん性物質にさらすことを禁じています。そういう決まりになっているから私は指摘しているのです。原発だろうが核兵器工場だろうが、同じです。私たち研究者が長い間警告してきたとおり、今非常に深刻な状況が展開しているのです。ブレストの兵器庫で労働者らに線量計が導入されたのは1996年になってからのことでした。労働者たちが健康被害を恐れるようになったために導入されたのです。被ばく量を測定しなければ、政府や軍に『私たちじゃない。私たちには関係ない。』と言わせ続けることになるのです。」

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「原子力施設と癌の関係は?」あなたもこれで全てが分かる/テレビ放送「ヨーロッパ1」(4月22日)
http://www.europe1.fr/MediaCenter/Emissions/Vous-allez-tout-comprendre/Videos/Un-lien-entre-cancers-et-sites-nucleaires-2099267/#

原子力施設と癌:「原子力ムラと軍事産業ムラを怒らせる質問」と答え(その1)/テレビ「ヨーロッパ1」(4月22日)

仏アルビオンの核兵器生産工場で長年核ミサイルの生産にたずさわったフランス軍兵士たちは、放射能被ばくによって癌に冒された。テレビ「ヨーロッパ1」では4月22日の朝7時15分から「怒りを招く質問:フランス軍はアルビオン核兵器工場で働いた退役軍人の癌発生に責任があるか?」と題し、フランス国立公衆衛生研究所で「労働災害による癌の発生に関する科学的分析チーム」を指揮する医療社会学の専門家、アニー・テボード=モニー教授(パリ第13大学)を招き原子力施設における被ばく労働と癌発生の関係について話を聞いた。


「私たちには関係無い」兵器工場での癌患者発生を否定する政府

アナウンサー:「原子力を扱う施設で働くことと癌の発生には因果関係があるのでしょうか?イエスかノーかでお願いします。」

テボード=モニー教授:「もちろんあります。放射能に発がん性がある以上、原子力関連施設と癌の発生の関係には疑いありません。」


「でもそれは理論上そうだ、ということですよね。アルビオン核兵器生産工場に限らず、あなたは科学的なデータに基づいてそれを証明されたのですか?」

テボード=モニー教授:「2つの原子力施設の比較を例に挙げましょう。最初のケースは、ブレストの兵器庫で国との契約で雇われた労働者が25年間、放射能による被ばくについて全く何も知らせられずに核ミサイルの弾頭に触れる業務を行っていたケースです。彼等は癌を発症し、労務災害を認められました。防衛大臣も自らの責任を認め、決して許されない過ちを犯したと認めたのです。」


「しかしフランス軍はアルビオン核兵器工場での労働者被ばく問題については、こう言いました。『私たちじゃない。私たちには関係ない。』国のこうした対応に驚かれましたか?」

テボード=モニー教授:「ええ、とても!驚きました。なぜなら2つのケースは同じ原因によって同じ結果が生じたケースであると思われるからです。どちらの兵器工場の労働者も、各弾頭に触れる業務を行っていました。核弾頭を取り換えたり維持管理をしたり、全く同じタイプの業務を行っていたのです。(それなのに、一方については被ばくによる労災を認め、他方には認めないという対応には説明がつきません。)」

(その2に続く)

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「原子力施設と癌の関係は?」あなたもこれで全てが分かる/テレビ放送「ヨーロッパ1」(4月22日)
http://www.europe1.fr/MediaCenter/Emissions/Vous-allez-tout-comprendre/Videos/Un-lien-entre-cancers-et-sites-nucleaires-2099267/#

2014年4月 4日 (金)

「今後10年で、福島にいる女児の10人に1人が癌に」米ガンダーセン博士/MédiaPart(3月30日)

今日、福島には36万人の子どもたちが居住している。しかし日本政府が「安全」と主張している年20mSVの被ばく環境で育つ福島の子どもたちのうち、被ばくの影響を特に受けやすい女児(通常の5倍)は、今後毎年100人に1人の割合で癌に罹患し、10年後には福島に居住する女児の10人に1人が癌に罹ることが予想される。また、複数国の原発作業員に関する疫学を用いた健康追跡調査によれば、原発作業員らは平均年2mSVの被ばくで癌を発症していることが分かっており、年20mSVの被ばくによる危険性が懸念される。米国の民間情報提供組織フェアウインズ・エナジーのイアン・ガーター研究員が米国国立科学アカデミーによる調査結果はじめ複数の調査研究結果を総合的に分析した結果指摘した。

今後女児を中心に多数の癌の発生が予想されることから、同じくフェアウインズ・エナジー所属のアニー・ガンダーセン博士は「原発事故はコントロールされている」と発言した安倍首相に対し、人々の健康を守るために早急な対策を取るよう求めている。

又、ビデオの冒頭でアニー・ガンダーセン博士は、昨年首都圏の放射線量の10倍にものぼる高放射線量が指摘された杉花粉の飛散による健康被害について、公衆衛生問題として一般の人々の健康を守る対策の実行に取り組むよう日本政府に求める発言を行った。酒の肴として食されている放射性のイナゴについても、その危険性を指摘している。

(要約)

● 元の記事:「10年後、福島にいる女児の10人に1人が癌に」
( « Fukushima dans 10 ans, une fillette sur 10 sera cancéreuse », MédiaPart, 2014.03.30)
http://blogs.mediapart.fr/edition/japon-un-seisme-mondial/article/300314/fukushima-dans-10-ans-une-fillette-sur-10-sera-cancereuse 

英語による要約版/子どもを放射能から守る世界ネットワーク(World Network for Saving Children from Radiation、3月28日)
http://www.save-children-from-radiation.org/2014/03/27/cancer-risk-to-young-children-near-fukushima-daiichi-underestimated/

2014年3月 7日 (金)

木々に溜め込まれるフクシマの「死の灰」/「研究」(2014年3月号)

福島の森は、人々の生活を脅かしているのか。
地面に落ちた木の葉は、川や人々の居住地域を汚染しているのだろうか。

これらの問いがはらむ重要性は、事故を起こした福島原発周辺に広がる重度汚染地域の70%以上が森に覆われているという事実が示している。

フランスの政府機関、「フランス放射線防護原子力安全研究所」(IRSN)と「原子力発電環境整備機構」(ANDRA)が筑波大学の恩田祐一・加藤弘亮両教授らのチームと合同で福島県の川俣町山木屋地区で実施した調査結果によれば、事故から約3年以上がたった現在、福島原発周辺の汚染地域を覆う森林には事故当時吸収された放射性物質の10〜20%もの量が蓄積されたままと見られている。木々に蓄積された死の灰は枯れ葉などを通じて森の地面に移行し、周辺の汚染を助長している。

これは、フランスの専門家らが驚くほどの高い濃度である。

「チェルノブイリでは、事故から2年後には木々に含まれる放射線物質の量が高くても当初の5〜10%になりました。」

ニコラ・ロフレード研究員は指摘する。

ヒノキと杉をはじめとする福島原発周辺の針葉樹林は福島原発事故で空気中に放出された死の灰(放射性降下物)の95%を吸収した。これらの木々に吸収された放射性物質は、杉やヒノキの性質や原発が爆発した際の環境条件により、チェルノブイリ原発事故の際の木々の汚染に比べその低減に予想を大幅に上回る時間を要している。

IRSNのフレデリック・コッパン研究員らが調査を行った山木屋地区の放射線量は年間8〜27ミリシーベルトにのぼる。日本政府は年間20ミリシーベルト以下の地域については住民の帰還が可能との考えを示しているが、フランス国内の規則では年間1ミリシーベルトが許容の上限とされている。針葉樹林に残る高い濃度の放射能汚染は、この高い放射線量の原因になっている。

森の汚染は今後数十年、そして数百年の間残存すると見られている。森林は除染の対象外となっているが、こうした高い濃度の汚染が人々の生活に与える影響はまだ十分に知られていない。どちらにしても、日本人には今後被ばくへの危険に対する強い警戒が求められる。山火事は木々が含む放射性物質を空気中にまき散らす原因になりかねない。また、放射能に汚染された木々を薪として燃やせば高濃度の放射性の灰が発生するため、薪の使用を制限しなければならない。キノコ類や汚染された野禽類は口に入れることを避けなければならない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「放射性物質の貯蔵庫と化した日本の森林」/「研究」(2014年3月号)
(« Les forêts japonaises, les réservoirs radioactifs », La recherche, 2014.3)
http://www.larecherche.fr/savoirs/nucleaire/forets-japonaises-reservoirs-radioactifs-01-03-2014-171498

2014年2月17日 (月)

イタリアからアフリカ大陸までを汚染した原子力爆弾「青いねずみ」:フランス軍への機密文書公開請求で50年ぶりに明るみに/ルモンド紙(2月14日)

1960年2月13日、アフリカ北部のアルジェリアでフランス軍が投下した最初の原子力爆弾「青いねずみ」から放出された放射性物質は、これまでの想定を大きく上回る広大な地域―北はイタリアのシチリア島から、南は西アフリカの全域まで―を飲み込み重度の汚染を引き起こしていた。

軍事機密として政府が非公開としていたフランス軍所有の地図が、「核実験被害兵士の会」が求める刑事捜査の枠組みにおいて2013年4月4日に公開されたことにより明らかになった。「青いねずみ」の規模は広島で投下された「リトル・ボーイ」に相当する。

公開された地図によれば、放射性物質は投下後13日目 になっても放射性雲となって広がり続けた。核実験の専門家ブルーノ・バリリョ医師は放射性物質が広がった汚染地域における癌や心臓疾患の発生を指摘する。しかし情報が今日まで隠されていたため、被害の規模が把握されていない他、救済は一切なされていない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「フランスの核実験によりアルジェリアの広い地域で放射能汚染」/ルモンド紙(2月14日)
(En Algérie, de vastes zones contaminées par les essais nucléaires français)
http://lemonde.fr/international/article/2014/02/14/de-vastes-zones-contaminees-par-les-essais-nucleaires-francais-en-algerie_4366318_3210.html

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