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原発作業員

2014年9月 2日 (火)

フランスで原発の洗浄下請け作業員がストライキ「派遣・下請けと正社員の待遇差別是正を」/レスト・エクレール(8月20日)

8月19日7時15分、フランス電力公社(仏最大の電力会社)から原発の洗浄作業を請け負うトネックス社の社員約20名は全員ストライキに突入した。

■原発の入り口でメッセージを掲げる原発洗浄作業員たち(画像、レスト・エクレール)
http://www.lest-eclair.fr/nogent-sur-seine/mouvement-de-greve-des-salaries-de-tnex-charges-du-ia0b0n268574

トネックス社の社員らは怒っている。理由は、劣悪な労働条件、特に期限付きの契約で働く下請け作業員と正社員の給与及び待遇差別の問題である。トネックス社員らは同等の資格を持つ社員に対しては下請け・正社員の別無く同じ時給を払うよう求めている。又、不在の作業員がいる場合には適切な人員補充を行うよう求めている。これら洗浄作業員らは、原発ごとに全作業員共通の労働条件を定めた労働協定を定めるように求めて現場の幹部に面会、要求事項への回答を待っている。

(抜粋、一部編集)


●元の記事:「原発の洗浄下請け業者トネックス社の社員らストライキへ突入」/レスト・エクレール(8月20日)
(« Mouvement de grève des salariés de Tnex, chargés du nettoyage industriel à la centrale nucléaire », L'Est Eclair, 2014.08.20)
http://www.lest-eclair.fr/nogent-sur-seine/mouvement-de-greve-des-salaries-de-tnex-charges-du-ia0b0n268574

2014年4月13日 (日)

「俺たちはグリルであぶられるソーセージみたいなもんだった」:原発下請け作業員という名の現代の奴隷労働/ルモンド紙(4月10日)

ジェラール・テイッシエーは原発労働がいかに「汚い」ものかを身を以て知っている。この頑丈そうな五十男は原発の下請け作業員として、そして主には土壌の除染作業員として過去10年働き続けてきた。本来、除染はブラシ付の掃除機で行うことになっている。しかし実際には、ジェラールが放射線防御用の覆面、紙のつなぎ、ビニール製の手袋を付け四つ這いになって素手で除染を行わなければならないことがしばしばだった。

今日フランスでは、フランス電力公社(EDF、仏最大の電力会社)所有の原発19基に関する維持管理業務の4分の3を2万2千人の下請け作業員が行っている。そして福島原発事故を踏まえた政府による原発の安全性強化命令を受け、原発の維持管理作業は今後2025年までの間に70%増加することが見込まれている。

「原発を長く止めることはできません。しかし原発関係の仕事に応募する人はほとんどいません。だから電力会社は応募者の要件を下げます。そして事故の危険が増すのです。」

政府の「原子力の安全に関する透明性と情報公開に関する高等委員会」で業種を超えた仏最大の労働者組合CGTの代表として委員を務めるミシェル・ラリエールは指摘する。


●「奴隷係」

ジェラールが原子力を悪く言うことはまずない。しかしジェラールら下請け作業員たちの言葉からは、彼らがありとあらゆる危険にさらされていることが伺える。

「俺は1995年に『奴隷係』としてこの仕事を始めたんだ。『奴隷係』って言うんだよ。皆が嫌がる仕事は全部やったもんさ。俺が初めて蒸気式発電機の中から這い出してきたのは2000年のことだった(注:最も被ばく量が高いとされる、原子炉と発電機を繋ぐ管に栓をする業務。30秒で1〜2ミリシーベルト被ばくする)。トリカスタン原発(注:過去に多くの事故が指摘されている)だったな。あそこで俺は線量計を置いてくようになったんだ。」

ジェラールが原発の下請け作業員を始めたのは、原発で働く知り合いの「手がきれいだった」からだった。知り合いたちは、当時コンクリートの床を建設する仕事をしていた自分より疲れが少ないように見えた。働いていた会社が倒産し、妻の妊娠を知った時、そして電力会社の人事担当者が「原発での仕事はテレビを見るより安全だ」と言うのを聞いた時、ジェラールは原発で働くことを決めた。


●「あの人は自分の仕事が好きだった」

原発内での被ばく労働による労働災害(主には癌)の認定件数は過去一貫して年16~20件にのぼる。また、下請け作業員が労働事故に巻き込まれる時間当たりの確率は電力会社社員の2.7ポイントに対し4.2ポイントにもなる(2012年)。電力会社の社員が事故に遭う確率は年々減少に向かっているが、下請け作業員に関しては増大のカーブを描いている。

クリスチアン・ベロノは原発で30年働いた後、57歳で被ばくによる肺癌と診断された。労災が認められたが、会社を訴える間もなく亡くなった。残された妻のユージェニーは言う。

「あの人は自分の仕事が大好きでした。癌になったと分かったときも、原発の職場に戻りたがっていました。いつも戦っていました。最後は会社が補償金を払うようにと残されたエネルギーの全てを費やしました。でも一つ分からないことがあるの。なぜフランス電力公社は責任者なのに全くこの話に出て来ないのかしら。」

下請け作業員の作業時間はどんどん短縮され、以前は1ヶ月で行った作業を3週間で行うことを求められるようになっている。電力会社の指導で線量計を外しての作業が横行しているが、上司に刃向かえば遠い別の原発に異動させられる(「ツール・ド・フランスに出される」)生活が待っている。フランスの原発は、現代の奴隷労働によって成り立っている。


●元の記事:「俺たちはグリルであぶられるソーセージみたいなもんだった」/ルモンド紙(4月10日)
(« On était les saucisses à griller », Le Monde, 2014.04.10)

2014年1月17日 (金)

原発作業員を探して―大量退職、不人気、原発数の減少―アメリカ原子力産業の衰退と減り続ける原発作業員/ニューヨーク・タイムズ(1月11日)

米国テキサス州ヒューストンから南西に約90マイル。コロラド川のほとりに「南テキサス事業」が運営する原発がそびえている。この州内最大の原発の壁には、一枚の写真が額に入れて飾られている。200人の男女が横断幕とともに笑顔で写真におさまっている。まるで高校の集合写真のような雰囲気だ。円筒型の原発の煙突の前でポーズを取っている者がいることを除いては。横断幕には「1998年8月25日、商業用原発 第一号機」の文字が読める。

この写真に写る平均経験22年以上の豊かな作業員たちのうち、40%が来年以降の数年で退職年齢を迎える。マネージャーのデニス・コールは述べる。

「心配で夜目が覚めることがあります。」

原子力分野の労働者は被曝量との兼ね合いから長期間働き続けることができない。その結果、熟練労働者が常に不足する。今、米国内にある約100の原発で同じことが起きている。

●衰退する原発産業

2011年より前のその昔、米国政府は原子力に力を入れていた。オバマ大統領は83億ドルをジョージア州の原発建設にあてると約束し、テキサス州は8基の原発を建設することを予定していた。原発業界はこの時代を「原発ルネッサンス」という言葉で呼んだ。

今日、テキサス州で新たな原発一基の建設申請を行っているのはSTP社一社のみだ。しかし政府は放射性廃棄物の処理方法が定まっていないという理由から申請書類の確認自体を凍結した。

今日、原子力を取り巻く政治・経済状況は一変した。福島原発事故の悪夢は国民の記憶にまだ新しい。米国内では安価なシェールガスの開発が進んでいる。もう原子力の人材は必要ないのではないか、との声に原子力官僚たちは異を唱える。

原子力は米国のエネルギーの12%を占める。電力会社は以前より米国内の教育機関への寄付や原子力人材の育成機関設立を通じて必要な人材の確保に努めてきた。こうした動きは、今も止まっていない。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「明日の原子力労働者を求めて」/ニューヨーク・タイムズ(1月11日)
(“Seeking Nuclear-Power Workers of Tomorrow”, The New York Times, 2014.1.11)
http://www.nytimes.com/2014/01/12/us/seeking-nuclear-power-workers-of-tomorrow.html

2013年12月23日 (月)

原発作業員の鬱病・労災認定は「医師の職業倫理への違反」? 電力会社の主張に各界より高まる批判/レクスプレス(12月18日)

12月18日、オルレアンの医師・倫理委員会は、原発作業員の重度鬱病症状を原発での業務が原因と診断したドミニーク・ウエズ医師、および同医師の診断を「医師の職業倫理に対する違反行為」として訴えているフランス電力公社(EDF)の下請け会社・オリス社の両方から意見を聞く公判を行った。診断を受けた原発作業員は現在オリス社に対し、モラル・ハラスメントの訴えを起こしている。この日、公判会場はウエズ医師の支援に集まった50名以上の産業医、労働組合関係者、原発に反対する市民たちで非常な混雑となった。

オリス社はウエズ医師が診断を受けた作業員に一度しか面会したことが無かったこと、同作業員がシノン原発への配属を、原発業務は危険であるとして退職を希望したことへの報復と見なしていた点を指摘、同医師の診断を根拠の無いものとして批判した。

これに対し職場での労働災害に関する専門家であるウエズ医師は、同作業員が救急室に担ぎ込まれた際に診察を行った事実を証言、

「この作業員は今にも空に倒れ込むところでした。」

と述べた。

精神科医で精神分析医のクリストフ・デジュー医師はウエズ医師について、仕事場における労働者の精神衛生に関する現状分析、情報共有、関係者への研修の実施において非常に重要な役割を果たしてきたと証言した。

ウエズ医師は又、今年の5月、原発作業員のカルテを見せるよう迫った電力会社に対し、職業倫理の観点から拒否を行ったことを明らかにした。委員会による最終判断は一ヶ月後に示される予定。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「倫理委員会からの諮問に直面する産業医」/レクスプレス(12月18日)
(« Un médecin du travail devant le Conseil de l’ordre », L’Express, 2013.12.18)
lentreprise.lexpress.fr/gestion-entreprise/un-medecin-du-travail-devant-le-conseil-de-l-ordre_44926

2013年8月31日 (土)

映画『グランド・セントラル(中央駅、大型発電所)』: 放射能汚染と労働者使い捨て時代の「禁断の恋」/ルモンド紙(8月28日)/ガーディアン紙(5月19日)

レベッカ・ズロトウスキー監督の映画『グランド・セントラル』(注:「中央駅」に「大型発電所」を掛けている)は、トレーラーで原発から原発へ渡り歩く下請け原発作業員の青年ギャリと監督作業員の妻カロルの間に芽生えた禁断の恋と、放射能汚染の最前線で死を目前に過酷労働を強要される「除染作業員」の姿を軸に展開する。カンヌ国際映画祭の「ある視点賞」受賞作品。

●出会い(動画、フランス語)
作業員同士の夕食会で談笑するギャリの前に現れたカロル。挑発的なカロルにギャリは戸惑う。
http://www.youtube.com/watch?v=f0NJ8TuHBMw 

●原発という仕事場(動画、フランス語)
被ばく量が上限に達すれば解雇が待っている。危険な被ばく労働と仕事を失う恐怖の板挟みになりながら働くギャリ。
http://www.youtube.com/watch?v=X-e0B1e9dss&feature=endscreen

資格を持たない無学の青年は下請け原発作業員の仕事に応募する。強く惹かれあう二人。しかし女の肌には罪悪感と羞恥がつきまとう。対する男は決して出身を明かそうとしない。傷つき、先の見えない、決して表に出すことのできない関係は、原発による汚染の悲劇の奥底に消えてゆく。情熱と危険、愛と死が同居する。

被ばくした身体を放射性廃棄物と見なし、即座に命を奪うことを厭わない巨大権力に搾取される労働者が体現する原子力時代の現状には背筋が凍る思いだ。しかし同時に私たちは、若い二人を結ぶ愛の力を讃えるのである。煙草臭い息と汗の匂いに満ちた、労働搾取の現状に切り込む今日稀な作品。

● 参考記事
「必見『グランド・セントラル』。原発の奥で展開する情熱」ルモンド紙(8月28日)
« Grand central à voir. Une folle chamade sur fond de radioactivité », Le Monde, 2013.08.28
http://www.lemonde.fr/culture/article/2013/08/26/grand-central-une-folle-chamade-sur-fond-de-reactivite_3466685_3246.html

「2013年カンヌ映画祭 『グランド・セントラル』 初見レビュー」/ガーディアン紙(5月19日)
« Cannes 2013 : Grand Central – first look review », The Guardian, 2013.05.19
http://www.theguardian.com/film/2013/may/19/cannes-2013-grand-central-review

2013年6月26日 (水)

フランス電力公社(EDF)、原発作業員を被ばく死させた罪で法廷へ/メディア・パール

7月2日朝9時、オルレアン(パリの南西部)の社会保障裁判所法廷で、放射能被ばくにより被害で死亡した元フランス電力公社の原発作業員ジャン‐フランソワ・クロワ氏の労災認定に関する判決が下される。クロワ氏は2009年4月25日、内外の被ばくにより死亡した。今回の裁判ではフランス電力公社が犯した決して許されない過ちを認める判決が下される見込み。

クロワ氏は1979年5月から死亡した2009年4月までフランス電力公社に勤務、他の従業員と同様に原発の中での業務を行った。フランス国内の法律で定められている作業員用の放射線被ばく限度量(かつては年50ミリシーベルト、現在は年20ミリシーベルト)を下回る量の内部および外部被ばくを受けたが、死亡に至った。

クロワ氏がフランス電力公社の原発内で受けた被ばくについては、2010年2月に既に労災の認定がなされている。

「下請け原発作業員の健康を守る会」はクロワ氏の妻であるロール・アミオとその子どもたちを支援するため、より多くの人が裁判に同席するよう呼びかけている。

●元の記事:「フランス電力公社訴訟:放射線被ばくと労災認定」/メディア・パール(6月23日)
( « Edf en Procès : Rayonnements ionisants et reconnaissances des maladies professionnelles », Médiapart, 2013.06.23)
http://blogs.mediapart.fr/edition/nucleaire-lenjeu-en-vaut-il-la-chandelle-pour-lhumanite/article/230613/edf-en-proces-rayonnements-ionisants-et-reco

2012年12月 1日 (土)

仏カットゥノン原発で、下請け作業員らが初の抗議行動/ル・レピュブリカン・ロラン(11月28日)

4時間以上にわたる交渉は、それでも十分では無かった。フランス最大の電力会社「フランス電力公社」(EDF)の下請け会社で、カットゥノン原発(注)の清掃業務を担当するTNEX社の社員らは今日、11月26日に実施された同社の経営陣との交渉が決裂したことを受け、下請け作業員として初めての抗議行動を11月29日に実施することを決定した。

TNEX社の社員らは原発内での労働環境の改善をめざし、13項目にわたる要求事項を提出して交渉に臨んだ。しかしTNEX社のオレリアン・フォルティエー代表はそのうちの一部についてしか回答を行わなかった。回答が見送られた事項については毎年実施が義務づけられている次回以降の年次協議で取り上げられる事になる。しかしTNEX社の社員らによれば、現場では原発の清掃にあたる作業員数および作業器具すらも不足する状況にある。これまで7名体制で作業を行っていた作業チームは1チームあたり3名の作業体制に縮小され、場合によっては2名体制となるチームすら出ている。

しかし経営陣は作業員らに対し、高圧的な態度を取り続けている。

「『おかしな態度を取れば、フランス電力公社はお前たちを外へ放り出すぞ』、と経営陣は言います。これは恐喝です。」

しかし、TNEX社の労働組合員らはこのように付け加えた。

「でも今回は、私たちが圧力をかける番です。」

(抜粋、一部編集)

(注)カットゥノン原発はフランスとドイツ及びルクセンブルクの国境沿いに位置する原子力発電所。1986年より稼働。2005年と2008年には作業員が被曝する事故が起きている。

カットゥノン原発の様子(画像)
http://www.google.co.jp/search?q=Cattenom&hl=ja&client=safari&tbo=u&rls=en&tbm=isch&source=univ&sa=X&ei=BI-5UMWNFo7LmgWN14G4Bg&ved=0CDoQsAQ&biw=1030&bih=614 

●元の記事:「カットゥノン:原子力発電所で明日、熱い一撃」ル・レピュブリカン・ロラン(11月28日)
(« Cattenom : Coup de chaud demain à la central nucléaire », Le Républicain Lorrain, 2012.11.28)

2012年5月16日 (水)

心を蝕む被ばくの代償は:被ばく後の不安にさいなまれる元原発作業員、フランス電力公社を提訴/マ・ヴィル.com(4月28日)

被ばくの体験は、身体のみならず精神的にも大きな負担をもたらします。大量の放射線を浴びた一人の原発作業員は、電力会社に対し精神的な被害への保障を求める最初の声を上げました。

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パリの急速審理裁判所(注1)は6月4日、フランス電力公社(EDF、フランス最大の電力会社)が運営するグラブリンヌ原発(仏北部の町。注2)で原子炉の維持管理を行なっていた元原発作業員が、作業中に大量の放射能による被ばくを受けた後に不安に悩まされるようになったのは、同社が原因による「精神的損害」である、として起こした最初の裁判について判決をくださなければない。4月28日、この訴えを起こした被害者を代表するエマニュエル・ルド弁護士が明らかにした。

ルド弁護士はこの日、原発作業員だったフィリップ・クリブリ氏52歳に対し心理分析の専門家による診断を行うよう、裁判所への訴えを起こした。訴えが受理されれば、特に重要な訴訟を選んで扱うパリ大審裁判所で判決が言い渡されることになる。

クリブリ元原発作業員は1986年から1989年にかけてフランス電力公社の下請け企業に所属して原発での業務に従事していた。しかし今では極度の不安や悪夢にさいなまれているという。


「数年前のことを考えるのです。あの時私たちが浴びた放射線量のことと共に。あの放射能で、私たち作業員の体のどの部分がやられたのだろう、ってね。もしあの時会社が、

『気をつけなさい、普通の人の20倍以上の確率で癌になる可能性があるのだから。』

と言ってくれていたら。私は

『親方、もうこの仕事は結構です!』

と答えていたでしょう。考えないように努力しているのですが、何度も考えてしまいます。私は(まだ病気になってはいないけれど、病気になっても当然の状態にある)『執行猶予付きの病人』なのです。」


クリブリ元原発作業員はRTLラジオに対し、このように述べた。

クリブリ元作業員は、フランス電力公社の下請け企業で働いていた。しかしルド弁護士は下請け企業の代わりにフランス電力公社を訴えることを決めた。ルド弁護士は、


「フランス電力公社は当時、危険な被ばく作業の実態を知っていたにも関わらず、法を隠れ蓑にして黙っていたからです。」


と述べる。

フランスにも適用されるEUの新しい規準によれば、当時クリブリ元作業員が浴びた放射線量は危険なレベルに相当する。当時フランス電力公社は、作業員が浴びる放射線量の上限が、作業期間内に浴びた瞬間の放射線量のうち、最も高いものを基準に定められていたことを知りながら、作業員が一日に浴びた平均放射線量のみを考慮の対象としていた。

クリブリ氏は自らが浴びた放射線量を証明する放射線量手帳を保存していたことが決め手となり、今回の裁判を起こすことができた。不安による精神的損害への補償については、既に石綿による公害被害者の一部に対し認定されている。

(抜粋、一部編集)

(注1)急速審理裁判所:緊急の事件や執行の困難な事件を審査し、対処を命ずる裁判所。我が国の行政処分に相当する暫定的措置を命ずることができる。

(注2)グラブリンヌ市は、イギリスを望むフランス北端の海岸町。

○グラブリンヌ市の画像
http://www.google.co.jp/search?q=Gravelines&hl=ja&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=ziWzT7uaCIXJmQWTmZGgBQ&ved=0CIQBELAE&biw=1344&bih=693 

グラブリンヌ原発は1980年より運転を開始。6基の原子炉をかかえる。周囲1キロの地域では海水温度の上昇等が報告されている。

(« Un ex-employé du nucléaire à Gravelines assigne EDF pour préjudice d’anxiété », Ma Ville.com, 2012.04.28)
http://www.valenciennes.maville.com/actu/actudet_-Un-ex-employe-du-nucleaire-a-Gravelines-assigne-EDF-pour-prejudice-d-anxiete_fil-2146380_actu.Htm

2012年5月13日 (日)

アレバ社ウラン鉱山の労働者が肺癌で死亡ー仏裁判所、アレバ社に有罪判決「許されない過ち」/ルモンド紙(5月11日)

原子力発電の燃料となるウラン。ウランを採掘するためのウラン鉱山でも、被ばくにより癌に亡くなる関係者が報告されています。大企業を恐れ口をつぐんできた労働者とその家族達は今、公正な裁判と補償を求めて声を上げ始めています。

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ムラン市(注)の社会保障裁判所は5月11日、アレバ社がニジェール(西アフリカ)に所有するウラン鉱山で働いていた同社の系列会社の元社員が肺癌で死亡した問題に関し、アレバ社への有罪を言い渡した。被害者・家族側の弁護士が公表した。

肺癌で死亡したのは、ニジェール北西部のアコカンという地域でウランを採掘するアレバ社の系列会社でニジェール国籍のコミナック社に勤めていたセルジュ・ブネル元社員。1978年から1985年にかけてコミナック社で働いた後、2009年7月に死亡した。59歳だった。被害者の娘であるペギー・ブネル氏は法廷弁論で、ブネル氏が死亡する数ヶ月前に、肺病の専門医より「癌の原因はウランの粉塵を吸い込んだことによるもの」との指摘を受けていたと説明した。


●「許されない過ち」

裁判所は、アレバ社がコミナック社と共にブネル氏を雇用していたことから、共同雇用者として「許されない過ち」を犯したとの判断を示した。被害者の家族を代表するジャン-ポール・テッソニエール弁護士によれば、セルジュ・ブネル元社員の妻は今回の判決により、当初の同社員の年金の倍額と被害者が生きていた場合にもらうことができたと考えられる給与の受け取りが可能となる。また今回のアレバ社への有罪判決により、被害者の家族は健康保険基金に対し被害額と利子を合わせた上限20万ユーロ(約2千万円)までの請求を行なう権利を得ることになる。

アレバ社はこれに対し、

「ムラン裁判所による判決については理解していない。」
「判決文の全文が入手でき次第、我々には控訴する権利があります。」

と述べている。同社は「(ブネル氏の)肺癌と(同氏が)コミナック社で働いていた事実の間にある因果関係は証明されていない」と推定しており、健康保険基金はアレバ社に対し労働災害の責任を問うてはいないことを明らかにした。又、健康保険基金がアレバ社に被害者への賠償を行なうよう結論したとすれば、「我が社が被害者の最後の雇用先だったから」と述べている。


●アレバ社と系列企業社員の間にある実質的な関係を認定

被害者であるセルジュ・ブネル元社員の娘はこの日、

「とてつもなく大きな喜びを感じています。」
「でもまだ終っていません。きっとアレバ社は控訴するでしょうから。」

と述べた。その上で、

「今回の判決は他の被害者にとっても救済の突破口になると思います。」

とも話した。多くの被害者がアレバ社を恐れ、訴えることを躊躇しているという。又、他に少なくとも2件、類似の裁判が係争中だと言う。

被害者の家族を代表するテッソニエール弁護士は、

「難しいケースです。」

と述べる。

「司法上は、アレバ社は被害者の直接の雇用主ではありませんでした。でも、安全対策やウラン鉱の採掘条件を決めているのはアレバ社です。」
「裁判所は、現実にある企業と労働者の間の関係を考慮するために、見かけの契約関係を超えた関係が存在することを認めたのです。」

と推察している。

(抜粋、一部編集)

(注)ムラン市はパリの南東、セーヌ河のほとりにある歴史ある町。6世紀の文献にも既にその名前が記されていたという。http://ja.wikipedia.org/wiki/ムラン

○画像で見るムラン市
http://www.google.co.jp/search?q=Melun&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=TKevT8DuC4HWmAWjppyqCQ&ved=0CJEBELAE&biw=1268&bih=618 

(Le Monde.fr & AFP, « Areva condamné après la mort par cancer d’un ex-salarié d’une mine d’uranium », Le Monde, 2012.04.13)
http://www.lemonde.fr/planete/article/2012/05/11/areva-condamne-apres-la-mort-par-cancer-d-un-ex-salarie-d-une-mine-d-uranium_1699804_3244.html

2012年4月30日 (月)

被ばくと癌に苦しむ原発下請け作業員:「私たちには、苦しみしかない」/バスタ!(4月23日)

フィリップ・ビラールはその昔、原発の下請け作業員と働いていた。現在は、「原子力・化学産業における下請け従業員の健康を守る会」のスポークスマンを務めている。フィリップは次の記事で、高度の放射能被ばくを伴う作業を専門にしていたかつての同僚との再会について詳しく語っている。癌にかかった以前の同僚は、それでも労災認定の申請を行うことを躊躇していた。疲れ切った孤独な男の姿がそこにある。

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今日、私は釣りに出かけた。釣り場を出たところで、以前フランス電力公社(仏最大の電力会社、EDF)の下請けで原発の仕事をやっていた昔の同僚に出会った。私たちはあれこれいろんな話をした。特に、庭いじりの話で盛り上がった。というのも、私が苦労して手入れをしている農園があるバルモン川の土手に、彼も最近「秘密の花園」(理想的な自分だけの農園)を買ったばかりだったから。

それから、私たちは昔の仕事の話をした。私たちはパルエルにある同じ原発の中で何年も一緒に働いていた。それからその同僚は、重い癌が二つできて死にそうになった話をした。膀胱癌にかかり、それから前立腺と周りの臓器に転移した。でも、労災認定の手続きはしなかった。申請はしていない、病気で疲れていたから、そして今もまだ疲れているから、と男は言った。


●下請け作業員が浴びる膨大な年間被ばく「許容量」

しかし私の同僚が労災の手続きをとらなかった本当の理由はむしろ、「癌になったのは被ばくのせいであるはずがない」、「(放射性の塵を吸い込んだことによる)内部被ばくのせいでもありえない」、「でも石綿のせいかもしれない」と言われたからだった。そのせいで彼は、労災を申請しても認定されることは難しいだろう、と考えて手続きをするのをやめてしまった。そしてたった一人で病気と戦わなければならなくなった。そして、助けるどころか、被ばくによる癌への補償を要求する権利を行使するのを思いとどまらせようとする医者たちにも立ち向かわなければならなかった。2008年のことだった。私はその同僚に、労災申請の手続きを手伝いたいと申し出た。でも彼は私を信用していない風だった。でも彼の妻は、より熱心に私の話に耳を傾けていた。

私たちは原発内の労働条件について話し合った。同僚の話を聞きながら、私は私たちが一緒に働いていた頃のことを思い出した。当時の年間被ばく許容量(「許容」だなんて、なんと言う恥ずべき言葉だろうか?)は50ミリシーベルトだった。しかし同僚はひどい被ばくにさらされた。というのも、彼は原子炉と蒸気発生装置をつなぐ管にもぐり込んで、導管の維持管理ができるよう栓をする「ジャンパー」の係(「ジャンプ係」)だったのだ。この作業はとても高い放射線にさらされるために1分半以上かかってはならないことになっていた。「ジャンパー」は数秒で一年分の被ばく許容量を浴びてしまうのだ。

同僚はまた、人間と思えないようなひどい扱いを受けた経験を私に話した。不安定な契約で働く他の作業員たちが、わざと彼の線量計を蒸気発生装置の外においたままにする、というよくある嫌がらせをやったのだ。


●日々起きる原発内での事故

その後私は別の「元原発作業員」に出会った。彼もまた、病気だった。フェカンの町(注)の中だけでも、癌になった同僚に会うのは3回目だった。そのうちの一人は、ルーエン病院で働く放射線医の助けを得て労災認定の申請を行っていた。他の二人は、疲れ切って今のところは何もしたくない、と言った。

原発ロビーというこの産業は、そこで働く作業員たちから本当に多くのものを奪っている。私が「下請け作業員は問題の痕跡を消すための道具だ」と言うとき、私は馬鹿げたことを言っているわけではない。私は本気だ。私たちが原発で働いたことのある作業員たちの健康状態を調べ、治療を行い、手を差し伸べて補償を行うために作業員に関する調査を要求するのは、原子力産業のお陰でたくさんの被ばく者が生み出されていて、彼等がたった一人で病気に立ち向かわざるを得ないからだ。作業員にはたった一つの権利しかない。苦しみを味わう権利だ。

原子力産業のおかげで、どれだけの人が被ばくによる病気に悩まされているのか。この人たちをこれからもたった一人にしておくのか。これもまた、原子力についての重要な問題の一つだ。いつになったらフランス人は、原発作業員や下請け作業員たちが日々さらされている、日常的な原発内での事故に対処しようとするのだろうか。

(一部編集)

(注)フェカン市はイギリスを対岸に臨むフランス北端の港町。
●地図と写真はこちら(仏語です)http://en.wikipedia.org/wiki/Fécamp

●フェカンの港町(画像のみ)http://www.google.co.jp/search?q=Fécamp&hl=ja&client=safari&rls=en&prmd=imvns&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=2ZqeT4mvLLGNmQWE7dHLDg&ved=0CEUQsAQ&biw=1142&bih=633

(Philippe Billard, « Nomade du nucléaire : Nous n’avons qu’un seul droit, souffrir », Basta !, 2012.04.23)
http://www.bastamag.net/article2331.html

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