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IAEA 国際原子力機関

2012年12月28日 (金)

ヨーロッパ緑の党、福島でのIAEA国際会議に抗議「福島での原子力会合開催は品位を欠く行為」その2/ラ・プロヴァンス(12月15日)

「その1」から続きます。

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仏ラ・プロヴァンス紙のメロディー・テスティ記者が、福島を訪問中のヨーロッパ緑の党パスカル・ドゥラン事務局長にインタビューを行いました。

●「福島への訪問は今回が初めてですか?」

そうです。そして私がヨーロッパ緑の党の事務局長として行う最初の外遊でもあります。フランスでエネルギー政策の転換に関する議論が始まっている今の時期に福島を訪問することは大きな意味があります。IAEAが日本、それも福島で会合を開いている今この時に、ここ福島にいることが重要なのです。IAEAが福島で会合を開くなどということは、品位を欠く行為と言わざるを得ません。


●「今日、何を御覧になりましたか?」

一番に心に思い浮かぶのは、住民関係者が口々に語った(日本政府が福島の住民に対して行った避難の可否等に関する)信じられない内容の決定と、市民らの口をふさぐ「沈黙の掟」です。住民たちの証言によれば、汚職や不正も蔓延しています。お金にものを言わせて一部の人々の口をふさいでいるのです。

私たちは福島での事故が起きて以来、素早く情報を入手していました。だから現状については既に知っていました。しかし関係者からの証言を聞いて、問題の程度があまりにもひどいことに驚いています。福島原発での事故処理作業の開始以来、線量計を不正に操作して請負労働者に放射線被曝量を偽るよう要求しているという話を耳にしました。人を殺すというところまでやるとは思いませんでした。


●「パリに帰られたら何をされますか?」

(一方でIAEAのような)原子力業界による国際組織が存在しているわけですが、他方で全ての国の市民が国際的に手をつなぎ互いを支えあってゆく組織が存在するということが非常に重要です。今回私たちが福島で得た様々な出会いは、非常に有益でした。これは日本の市民たちに、ヨーロッパが彼らを応援していることを知ってもらう機会でもあるのです。今日、福島は重要な「痕跡」として存在しています。福島で起きた原発事故は、原子力がこれより先に進んではいけない、という非難のメッセージの表れなのです。

(抜粋、一部編集)

●元の記事:「ラ・プロヴァンス紙記者による福島同行記録」/ラ・プロヴァンス(12月15日)
(« Carnet de bord d’une journaliste de La Provence à Fukushima », La Provence, 2012.12.15)
http://www.laprovence.com/article/monde/carnet-de-bord-dune-journaliste-de-la-provence-a-fukushima

ヨーロッパ緑の党、福島でのIAEA国際会議に抗議「福島での原子力会合開催は品位を欠く行為」その1/ラ・プロヴァンス(12月15日)

ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(以下、「ヨーロッパ緑の党」。(注)参照)の議員団は12月15日、原子力に反対する世界会議「Free Nuclear Now」に出席するため日本を訪問した。今回の会議は、同時期に日本で開催された国際原子力機構(IAEA)閣僚会合に対抗し開かれたもの。議員団にはヨーロッパ緑の党のパスカル・ドゥラン事務局長はじめ複数の議員らが参加した。現地に同行したラ・プロヴァンス紙のメロディー・テスティ記者が福島より行った現地報告の一部を紹介します。

<参考>ヨーロッパ緑の党議員らによる福島訪問の様子
福島の関係者による証言、機動隊を前にIAEAへの抗議行動に参加するヨーロッパ緑の党の議員たちの様子(画像・動画)はこちら。
http://www.laprovence.com/article/monde/carnet-de-bord-dune-journaliste-de-la-provence-a-fukushima

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現地での第一日目、ヨーロッパ緑の党議員団は福島市から南相馬市にかけての避難指示区域/警戒区域をバスで訪問、福島原発より35キロの距離にある飯館村をはじめとする地域からの避難者の証言に耳を傾けた。

12月15日土曜日朝、IAEA閣僚会合の会場である郡山市議会議事堂の前では原発に反対する市民らによる抗議行動が行われていた。IAEA会合にはフランス政府からもデルフィーネ・バト環境・持続可能な開発・エネルギー大臣が参加している。

フランスからの議員団は抗議行動を行う市民らに合流した。参加している市民らの数は100人足らず。IAEAの広報担当官に請願書を手渡している。福島での原発事故にも関わらず、抗議に参加している人の数は多いとは言えない。機動隊の隊列を押し返そうとする象徴的な素振りを見せた後、デモに参加する市民らはオリビエ・フロロンス議員を先頭に黙って議事堂の門へと歩き始める。メッセージを伝えるためだ。大弾幕に「再稼働反対」「IAEAにノー」「子どもを守れ」「原発を停止せよ」といったスローガンが書かれているのが見える。

フランスの環境・エネルギー大臣が建物の中でIAEA会合に出席しているその時に、ヨーロッパ緑の党パスカル・ドゥラン事務局長は日本の市民らのかたわらでIAEAへの抗議に参加している。数時間前、ドゥラン事務局長はバト大臣に会談を申し入れた。しかし大臣からは何の返事も無い。ドゥラン事務局長が自分の携帯電話からツィートし始めた正にその時、大臣からドゥラン事務局長に突然電話が入る。バト大臣はフランスからの議員団と福島県内の原発に反対する自治体代表者らに万難を排して面会すると約束する。福島県内の原発に反対する自治体代表者らは、IAEA閣僚会議に対する反対会合の開催を午後に予定している。

この時、地面が揺れ始めた。震度3の地震だと人々が我々に説明している。いったん中断された会議が再会する。日本では、地震は日常の一部だ。地面が揺れている。全てが、何事もなかったかのように普段通り進んで行く。

(その2に続く)

(抜粋、一部編集)

(注)ヨーロッパ緑の党は社会党とともに現フランス政権の連立与党を構成。与党内において原発推進派への牽制役をつとめている。

●元の記事:「ラ・プロヴァンス紙記者による福島同行記録」/ラ・プロヴァンス(12月15日)
(« Carnet de bord d’une journaliste de La Provence à Fukushima », La Provence, 2012.12.15)
http://www.laprovence.com/article/monde/carnet-de-bord-dune-journaliste-de-la-provence-a-fukushima

2012年3月24日 (土)

「世界の原発の80%が20年以上を経過、安全性に懸念」IAEA、原発の老朽化に警笛/ロマンディ・ニュース(3月13日)

「世界で稼働中の435基の原発のうち、80%は20年以上を経過しており、老朽化が原発の安全性に影響を与える懸念がある」

国際原子力機関(IAEA)が今後発表を予定している報告書の結論には、こう記されている。IAEAは福島原発事故から1年が経過した現在、関係者が議論を重ね作成したこの報告書の中で、多くの電力会社が原発の耐用年数を延長したいとの意向を示していると指摘した上で、老朽化する原発が安全基準を守りかつ発電を継続することができるかどうか不安があると指摘した。

IAEAの天野之弥(あまの ゆきや)局長はこれより1週間前、現在の原子力は福島原発事故が発生した1年前に比べ安全対策が向上したと述べている。しかし56ページからなるこの報告書では世界的な原発の老朽化に対する懸念が指摘されており、世界で稼働中の435基の原発のうち80%は、昨年末までに20年以上を経過したと主張している。更に原発全体の約70%は既に30年以上を経過しており、「大部分は当初の耐用年数を超えている」と述べている。報告書は電力会社に対し、交換不可能な主要部品(注)の老朽化についての安全対策に関する問題を詳細に分析するよう求めている。

(注)炉心等が含まれる。

(« 80% des centrales nucléaires dans le monde ont plus de 20 ans », Romandie News, 2012.03.13)
http://www.romandie.com/news/n/80_des_centrales_nucleaires_dans_le_monde_ont_plus_de_20_ans56130320121729.asp

2012年1月11日 (水)

IAEAに忠告を求めてはならない―「子供を守るために重要なのは、食品による内部被ばくを避けること」/ミッシェル・フェルネックス博士&Peace Phylosphy Centre(11月30日)

フランスのNGO「チェルノブイリとベラルーシの子どもたち」の創設者であるスイスの医学博士ミッシェル・フェルネックス教授は2011年11月、福島原発事故後の被曝被害にかんする緊急声明を発表しました。カナダに本拠地を置く「平和主義センター(Peace Phylosophy Centre)」が日本語訳を発表していますので、ここに御紹介させて頂きます。

http://peacephilosophy.blogspot.com/2012/01/edr-michel-fernex-warns-health.html?spref=tw

2011年11月23日 (水)

福島原発事故から8ヶ月―IAEAが提言する「効率的な除染」は可能か?/IAEA(11月16日)

国際原子力機関(IAEA)は11月15日、日本政府による福島原発20キロ圏外における除染への提言を、81ページの調査報告書として発表しました。この報告書は、IAEAが10月7日から15日にかけ派遣した調査団の報告に基づいたものです(一部公表済み)。日本政府による除染の努力を認めつつも、たまり続ける大量の放射性廃棄物の処理に不安を示し、「効率性」を重視した除染へと更なる改善を求める提言を行っています。

原子力の推進を任務とするIAEAは、原子力産業との強い結びつきをかねてから指摘されてきました。従って、今回の報告書の内容についても精査の必要があります。また、今回の提言と矛盾する事実や指摘も、チェルノブイリ原発事故後に専門家が行った報告等に複数見られます。しかし、日本政府による今後の除染政策に大きな影響を与える提言の一つとして、今回その要旨を御紹介します。
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1. 除染の対象地区
・ 除染の対象となっているのは、次の二種類の地区である。なお、本報告書が調査の対象としたのは福島原発から20キロを超える地域である。

➢ 年間被曝量が20ミリシーベルト以上の500km2
➢ 年間被曝量が5〜20ミリシーベルトに上る1300km2


2. 日本政府の取り組みと進捗
日本政府は福島原発事故の被災者を対象とした除染プログラムにおいて子どもを優先した活動を実践している。学校の除染については、生徒の親を中心としたボランティアによって除染が実施されており、効果的な自助努力と評価する。


3. 改善に向けた提言

● 除染については、(限られた投入により)最大限の放射線量低減を実施することを念頭に、慎重になりすぎないことが望ましい。また、特段の放射線防御手段を必要としない廃棄物については、「放射性廃棄物」と分類することを避けることが重要。日本政府は、現実的かつ信頼に足りる形での放射性廃棄物の廃棄承認レベルの上限について再検討すべき。承認レベルを満たす廃棄物の残骸については、建設資材に混ぜるなどしてリサイクルが可能である。

<参考>20年以上にわたり水と土壌の除染を研究するべラルーシのソスヌイ研究所 ユーリー・ダビドフ研究員
「最も簡単で効果的なのは、当時も今も、表土をはいで人の少ないところに持って行くこと。でも、畑や森林など広い面積には対応できない。経済的に見合わないから。」
(朝日新聞 11月23日「汚染大地から チェルノブイリ原発事故25年(上)森も畑も除染断念」)

● 都市部の廃棄物については、大部分の放射線量は比較的低いと考えられることから、一時的、もしくは中間貯蔵庫を設置することを検討すべきと思われる。産業廃棄物については、自治体による既存の施設を活用すべきである。

<参考>現在日本政府が焼却可能としている「1キロあたり8000ベクレル」という放射能汚染の基準については、「米国であれば放射性廃棄物と定義され、燃焼させるには危険なレベル」と一部の海外の学者から指摘されている。

「ガンダーセン博士 8月21日 がれき 焼却で 汚染拡大 」
http://www.youtube.com/watch?v=LoEC7Tph9OM

● 計画的避難区域については、市民が区域に立ち入り不要な被曝を受けることを避けるため、明確な標示を行うべき。

<参考>「計画的避難区域」
http://www.meti.go.jp/press/2011/04/20110422004/20110422004-5.pdf

● 森や比較的外部被曝が少ないと思われる地域については、被爆線量を下げるのに最適な除染対象箇所にフォーカスをあてるよう留意すべき。

● 来年以降の収穫期には、汚染された地域の農業生産に関する現在のような慎重な態度を改めるべき。

<参考>チェルノブイリ原発事故から数年がたっても、周辺地域での生産物には強い放射能汚染
デビル-カベリンG.他『農業における対策:チェルノブイリ事故後15年における効率の評価とその教訓』(2001年キエフ国際会議のプロシーディング)(国連人道問題調整部、ニューヨーク(2001)118-128、翻訳責任:国際医療福祉大学 鈴木元)(国立保健医療科学院生活環境研究部によるサイトに掲載されています)http://trustrad.sixcore.jp/kiev_proceedings.htmlfd

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●IAEAによる報告書はこちら(英文)
« Final Report of the International Mission on Remediation of Large Contaminated Areas Off-site the Fukushima Dai-ichi NPP » (7 – 15 October 2011) http://www.iaea.org/newscenter/focus/fukushima/final_report151111.pdf 

2011年9月23日 (金)

「福島原発事故から6ヶ月。IAEAは2030年までに90以上の原子炉新設を見込む」ルモンド紙(9月23日)

原子力推進を組織目標の一つに掲げる国際機関、IAEA。主な支援国はアメリカと日本で、両国は2011年度予算の拠出金額においても第1位と2位を占めている(注1、p.5)。

<参考>
「IAEAは『原子力産業による原子力産業のための組織』」ル・モンド・ブログ
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/iaea41-d38f.html

日本政府とIAEAとのつながりは深く、我が国が2011年度にIAEA向けに拠出した分担金は63億円(注2、外務省資料p.15)。今日は、ウィーンで開かれていたIAEA総会の模様を紹介します。

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国際原子力機関(IAEA)は、福島における核の大惨事から6ヶ月が過ぎた今日、先進工業国の大多数、特に新興国が、依然として原子力を支持し続けていると考えている。これは、151カ国の加盟国がIAEAのウィーン本部に集まり9月23日までの日程で開催している第55回IAEA総会における重要なハイライトの一つである。

IAEAは当初の予測を多少下回るとは言え、2030年までに世界に90以上の原子炉を建設することを見込んでいる。また、楽観的なシナリオによれば、350以上の原子炉を建設する可能性も排除していない。IAEAの統計局長を勤めるハンス・ホルガー・ログナーは、これは主に新興国による新設分だと強調している。

事実、インド、中国、韓国、ブラジル、南アフリカなどの新興国は今後も継続して原子力発電所の建設を予定しており、インドは福島で起きたような事故が自国で起きる可能性は低いとしている。

IAEA総会は、現在世界に432ある原子力発電所の安全性を強化するため、9月22日(木)に行動計画を承認した。この中で、IAEA加盟国は(原子力発電所に)国際的な専門家による訪問を受け入れるよう促されている。しかしこうした訪問は、その性質上も日程上も強制を伴うものではない。特に米国と中国からの抵抗と圧力により、原子力の安全に関する問題は(他国が口出しできない)「各国の内政問題」にとどめられた。

欧米の工業国では原子力がいまだにエネルギー戦略の要を担っている。フランスは全エネルギーの75%を原子力に頼る一方、イギリスでは15%にとどまっている。いずれにせよ、ドイツ、スイス、イタリアは原子力をやめることを宣言している。「他国はドイツほど豊かではない」ために原子力をやめることができない、とハンス・ホルガー・ログナーは強調している。

(注1)IAEAの2012年度一般会計予算に関する各国の支援金予測(2011年8月11日付IAEA第55回総会資料)。尚、実際には最終的な交渉を経てこれと違った支援金額となった可能性がある。また、補正予算によって上乗せが行われた可能性がある。
http://www.iaea.org/About/Policy/GC/GC55/GC55Documents/English/gc55-8_en.pdf 

(注2)外務省 平成23年度予算、平成22年度補正予算(政府案、一般会計)  http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/yosan/23/pdfs/h23_seifuan.pdf 


記事の出典(ルモンド紙)

(LeMonde.fr avec AFP, « Malgré Fukushima, l’AIEA annonce 90 nouveaux réacteurs nucléaires d’ici à 2030 », Le Monde, 2011.09.23)

http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/23/malgre-fukushima-l-aiea-promet-90-nouveaux-reacteurs-nucleaires-d-ici-2030_1576565_3244.html

2011年9月15日 (木)

「福島原発事故から6か月、IAEAは世界の原発所有国に強制力を持てず」ルモンド紙(9月14日)

福島での大惨事から6か月が経過した。原子力セクターで秩序維持の役目を負う国際原子力機関(IAEA)は9月13日、世界で稼働中の432基の原発の安全性を高めるための行動計画を承認したが、計画に強制力を持たせることができなかった。

「福島原発事故が起きる前にあった規則に比べれば、重要な前進だ。」

IAEAの天野之也事務局長は言う。

しかし、今後3年間、毎年世界の10%に相当する数の原子炉に対し国際的な専門家による定期的なストレステストを実施する、という従来のIAEAによる提案は、各国からの要請がある場合にのみ実施されることとなった。2009年、ウクライナはロブノ原発における原子炉が放射性の汚染水に52日間浸かったままになる、という深刻な事故が起きたにもかかわらず、IAEAへの報告を怠っていた(抜き打ちの外部者による評価を実施しない場合、こうしたケースが隠されたままになる可能性が残されている)。

ドイツ、フランス、デンマーク、カナダ、シンガポールなどの各国は、IAEAによる今回の会議の結果に失望感を表明した。特にスイスは、IAEAが承認した行動計画について、6月末にウィーンで実施された原子力の安全に関する閣僚級会合での決定から「明らかに後退する内容である」と評している。

福島原発での事故発生に至るまで、原子力に関する情報の透明性という観点からは決して優等生ではなかった日本はどうだろうか。IAEAは何とか今週の火曜日に福島での大惨事に関する新しい報告書を日本政府から入手したが、その内容は公表されていない。一般の日本国民は、どのような失敗の連鎖によって事故が起きたのか、そのより詳細な情報を得るまでには、まだしばらく待たねばならないだろう。

(Joëlle Stolz, « L'AIEA échoue à imposer aux Etats des règles contraignantes de sûreté nucléaire », Le Monde, 2011.09.14)

2011年8月11日 (木)

原発礼賛の論理を読み解く:「環境活動家」(?)ジョージ・モンビオは、科学データを読むのをやめたのか?(その1)/ガーディアン&クーリエ・アンテルナショナル(7月28日)

福島原発事故の後、他の複数の「環境活動家」たちと共に原発推進派に転向した英ガーディアン紙の環境コラムニスト、ジョージ・モンビオ(注1)。「福島原発事故の後で、私が原子力を愛するようになった訳」で原発礼賛宣言を行い、その転向ぶりで世界の環境関係者の注目を浴びた。以来、既に複数の環境専門家が、モンビオが記事で引用した科学データの解釈に関する多くの誤りを指摘している(注2)。

日本では長く「原発は(発電時に)二酸化炭素を出さないので、環境に優しい」との広告が使われて来た。福島原発事故の後、原発推進派はどのような論理を用いて生きのびようとしているのだろうか。そしてその論理に正当性はあるのだろうか。

環境問題を専門とするモンビオは、正しいデータに誤ったデータを混ぜて提示することで、原子力を正当化しようとしてみせる。原発反対派に受け入れられやすい政府批判、電力会社批判とともに、原発を擁護する。

モンビオの記事を、原発が抱える問題を指摘する他の科学者たちのデータや解釈と照らし合わせながら、確認してみよう。

(下記の訳は、英ガーディアン紙に掲載された記事の抜粋を『クーリエ・アンテルナショナル』が仏語で掲載したものに基づいています。この記事は、原発のコストを指摘する広瀬隆による「週刊朝日」の記事等と共に、原発推進派の意見として掲載されました。)

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「原子力発電を行う企業は政府と癒着している。でもそれは火力/水力発電、代替エネルギーによる発電でも同じこと」

権力は腐敗している。そして原子力発電は権力の腐敗そのものだ。そもそも、原子力セクターとは核開発研究の副産物として発展したのである。核の軍事利用と民間利用の二つがこれまで無理やり分けられてきた一方で、世界のあちこちにいる原子力関係者たちは、政府との親密な関係、という最も大きな秘密を隠し、説明を拒否した上で維持し続けている。

こうした訳で、イギリス政府が福島での大惨事の影響を最小限に見せるために、企業と共謀していたことが、6月の末にガーディアン紙の手で明るみになったのである。民間企業を所管するイギリス政府の官庁によれば、事故への対応に関連する大臣たちへの公式の要旨説明や大臣たちが行う宣言の内容にすら、電力会社が作成した分析が使用されていたという。

まさに、この種の政府と企業の間の共謀関係があるために、事故が起きる。国際原子力機関(IAEA)による最新の報告書によれば、福島原子力発電所を運営していた東京電力という会社は、津波の脅威を過少評価し、いくつもの故障が起きることを十分に予想していなかった、という(注3)。一時的な法規制では怠慢を防ぐことはできなかったのである。世界中で、原子力発電を行う電力会社は、腐敗と「いんちき」にまみれた「ろくでなし集団」として批判を浴びてきた。

こうした観点からは、原子力発電を行う電力会社というのは残り電力セクターから明確に区別される。原子力にかかわらない残りの電力セクター関係者にしても、原子力企業よりましだということはない。彼等の唯一の関心ごとは、ちょっとした幸せを広めること、といった次第だ ― 石炭、石油、ガス、原子力、風力、太陽光、といった、電力会社にとっての全ての投資先組織は、政治家たちをあやつり、監視機関に圧力をかけ、世論を丸め込むのである(注4)。これら企業が持つ過度の権力は、多くの被害をひきおこしている。原子力に対する損害は、その一つだ。しかしながら、原子力を支持する議論は手堅い。


「福島原発事故が証明した『最も安全な科学技術』原子力」

安全性についての話から始めよう。原子力発電所の安全性と耐久力は、福島原発事故で一目瞭然となった。メルトダウンや爆発が起きた福島第一原発の方ではない。その隣にある第二原発(注5)のことである。「福島第二原発」なんて、一度も聞いたことがない、だって?説明しよう。こちらの原発も「福島第一」と同様、怠慢な会社が運営している。同じ地震、同じ津波に遭った。でもこちらは良好に維持されている。大波に襲われた他の全ての原発同様、「福島第二」は自動的に停止され冷却された(注6)。核ミサイルによる攻撃と同様、想定される全てのテストの中で最も厳しいテストに耐えたのである。

「福島第一」と「福島第二」の違いは、1970年代に作られた安全装置と1980年代に作られた装置の違いを如実に表している。「福島第一」の最も古い原子炉は、1971年に稼働を始めた。「福島第二」の原子炉は1982年である。そして現在の科学技術は「福島第二」に使われているもの以上に安全だ。21世紀に作られた原発を非難するために40年前に建設された原発の問題を糾弾するのは、現代の飛行機による交通システムを批判するのに、「ヒンデンブルクの悲劇」(35人の死者を出した1937年の旧式飛行機事故)の事例を用いるようなものだ(注7)。

ところで、国際原子力機関(IAEA)によれば、福島第一原発で起きた原子炉のメルトダウンは健康への影響は一切無いということだ(注8)。今回の事故は心に傷を残し混乱を招くものであったにせよ、事故の発生以来放出された「放射能にさらされた人たちについては今のところいかなる健康被害も確認されていない」と記載されている。

(その2に続く)


(注1)ジョージ・モンビオ「私が福島原発事故の後で原子力を愛するようになった訳」ガーディアン紙 3月21日(英文)
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2011/mar/21/pro-nuclear-japan-fukushima


(注2)「ジョージは原発ロビーに迎合するために、科学データを読むのをやめたらしい」環境専門家のポール・モブスがジョージ・モンビオによる原発記事で使用されている科学データの誤りを詳細に指摘(英文)。
http://www.energybulletin.net/stories/2011-03-31/new-report-picks-apart-george-monbiots-support-nuclear-power-and-finds-factual-an


(注3)IAEAによる報告書は、東京電力の主張に沿って「想定外の地震や津波の被害を受けて福島原発事故が起きた」、との点を強調する内容となっており、全電源喪失の原因となった設備の不備や、原発の管理体制、そして後に述べられる放射能による健康への影響については指摘がなされていない。IAEAと同時期に日本で調査を行い報告書を出したフランスの独立研究所CRIIRADによる分析とは対照的な内容となっている(CRIIRADによる報告書については「注8」を参照)。

IAEAによる報告書(和訳、東京茶とら猫さん訳、ex-skfさん掲載。)
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/06/iaea.html 

<参考>フランスねこ 報告書の一部解説
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/iaea52461617-e6.html


(注4)日本を含む世界各国で強い政治的影響力を誇る原発ロビーの力は広く知られている。少数の独占電力企業が、原発以外の電力源の開発を後回しにして原発を推進する現状では、「風力ロビー」、「太陽光ロビー」などが原発ロビーと同等の影響力で存在している、とは言いがたい。同じ企業が、一方で原発を推進しながら他方で太陽光のロビーとして動くということは考えにくいからである。


(注5)震災前に福島第二原発で発生していた事故

・1989年1月、3号機の原子炉の心臓部にあたる再循環ポンプの内部で異常が起き、異常振動の警報が発せられたにもかかわらず、運転員が警報を無視したためにポンプの内側が大破した。大破の際にポンプの羽根の破片やケースが削られたことによる金属片・金属粉が大量に炉心に入り、その一部はほとんど回収不能となった。ポンプの破損が外側に及んでいたら、一時冷却水が漏れだし空焚き事故やメルトダウンにつながる危険もあった。その後、発電所は長期にわたって停止されるに至った。

・2008年1月、3・4号廃棄物処理建屋(RW/B)の海水ポンプA(以後RWSWポンプ)の吸い込み側配管及び電動機と羽根車をつなぐシャフトが折損するトラブルが発生。これを受け3号RWSWポンプBを緊急点検、東京電力、東電環境、東電工業等が点検を実施する事となった。

・2008年2月、サイドバンカーにて2号の使用済み核燃料を積載したキャスクをクレーンで吊り上げ作業中にクレーンがトリップするという事象が起きた。
(ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/福島第二原子力発電所、高木仁三郎「食卓にあがった放射能」p107-108)


(注6)東日本大震災発生時の福島第二原発における事故対応(朝日新聞、8月10日)

「東京電力は(8月)10日、東日本大震災で被災した福島第二原発(福島県楢葉町、富岡町)の事故直後の対応状況を発表した。福島第一原発のような炉心溶融や爆発は避けられたものの、冷却装置が津波で損傷し、水温が100度以下で安定する冷温停止になるまで最も遅かった4号機で4日近くかかった。」「津波による故障で3号機以外は海水ポンプを使った冷却ができなくなり、地震や津波で外部電源や非常用ディーゼル発電機も一部失われた。」
http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY201108100522.html


(注7)事故が起きた福島第一原発の第一号機(米ゼネラル・エレクトロニック社製)と同型・同年代の原子炉はアメリカでも広く使用され、現在も稼働している。チェルノブイリ事故の原因となった第四号機と同型の原子炉についても、いまだロシア国内で広く稼働している。従って、古い科学技術が今は使用されていない過去のものだと言うことは難しい。

また、最新式の「第三世代原子炉」と目されるフランスの「欧州加圧水型軽水炉(EPR)」についても、電源喪失の可能性があることが指摘されている。
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/epr725-7cc1.html

EPRを設置予定の「夢の原発」フラマンビル原発竣工に関連した問題の数々
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/15722-f523.html


(注8)IAEAと同時期に日本および福島で福島原発事故について調査を行ったCRIIRADは、事故が与える健康への影響について強く警告している。

CRIIRADによる報告書(パート1〜3)
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad20115246.html 
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad201152-1.html
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/criirad201152-2.html 


(George Monbiot, « Les antinucléaires se trompent ! » Courrier international n°1082, 2011.07.28)

2011年6月29日 (水)

IAEA「事実確認のための専門家調査団」による福島原発事故についての報告書(6月17日)

国際原子力機関(IAEA)は6月17日、5月24日から6月1日にかけて福島原発事故を検証するために来日した「事実確認のための専門家調査団」による調査結果を、報告書(英文)の形で加盟国に配布した。

同報告書は福島原発における地震・津波への対策が不十分であったことを指摘しつつも、これらの災害および福島原発事故が「想定外」であったことを強調、今後IAEAを中心とした国際的な安全対策の枠組み強化の必要性を述べている。

以下、報告書の一部を紹介します。今回の原発事故が原発作業員や事故現場周辺の住民の健康に与える被害を小さく見積もる一方で、原発が停止したことによる経済への影響を強調、原子力発電の重要性を暗示する内容にも読めます。

●原発作業員の被曝について(40ページ~41ページ)
「100~250ミリシーベルトという被曝量は、浴びることによって(。。。)後に何らかの健康影響を及ぼす可能性が少し高まるものの、直ちには身体的な影響を及ぼさない。」

●周辺住民の健康と経済への影響について(43ページ)

「放射能による健康被害については未だほとんど見られない一方で、何万人もの人々が原子力発電所の周囲から退避したこと、食品や飲料水について規制がもうけられたこと、海が汚染されたことにより、事故が社会や環境に与える影響は甚大かつ広い地域にわたっている。加えて日本国内外では事故で放出された放射能の健康その他への影響について不安が高まっている。最後に、原発の停止は経済に大きな影響を与えている。」

IAEAによる報告書(全文)
http://www-pub.iaea.org/MTCD/Meetings/PDFplus/2011/cn200/documentation/cn200_Final-Fukushima-Mission_Report.pdf 

IAEAによる報告書(要約)
http://www.criirad.org/actualites/dossier2011/japon_bis/pdf/rapport_aiea_bilan.pdf

<参考>関連報道(朝日新聞)
http://www.asahi.com/international/update/0618/TKY201106180184.html

2011年6月26日 (日)

「華々しい演説の後に〜IAEA閣僚級会合の結論『原発の安全管理は各国まかせ』」ルモンド紙(6月25日)

国際原子力機関(IAEA)の天野之弥(ゆきや)事務局長は、6月20日から24日にかけてウイーンで開かれた原子力の安全に関する閣僚会合(注)の開会式で、極めて攻撃的な演説を行った。原発を所有する全ての国は、福島原発事故の後の原子力に対する一般の信頼を回復するために、原発の安全確認試験と国外の関係者を交えた評価を実施しなければならない、と宣言したのである。


これに対するIAEA作業部会の結論は、当初の天野事務局長の演説に比べてずっと臆病な内容のものだった。151カ国の参加国は、体系的に原発の安全性を見直すことが「重要と認識」するにとどまり、国外の専門家による評価を実施する、という考えは単なる「提案」としてのみ言及されたのである。


このIAEAによる演説と実際の行動の間にある大きな落差は、この閣僚会合の主催者の意図を反映している。全ての国が原子力の安全管理にかかる国際規定をより厳格化することに賛成し、これにIAEAが「指導的役割」を果たすことを支持する一方で、それぞれの国にとって足かせになるような決定事項には一切同意しなかったのである。


実際のところ、IAEAという国連の原子力機関には影響力が無い。非軍事部門における原子力セクターについては全てが参加国政府の「良心」に任されている。多くの国際枠組みが存在するが、全ての参加国政府が批准している訳ではない。たとえば原子力安全条約(1996年発効)には151カ国中72カ国の政府しか参加していない。


米国、中国、ブラジルといった大国は、外交用語で言うところの「他国の内政に対する不当干渉を避ける」という立場から意図的に沈黙を守っている。対するロシアやフランスは逆により緊密な国際協力体制を推進している。


こうした状況にもかかわらず、IAEAの天野事務局長は会合の成果について、「この会合は当初の目的を達成し、フクシマ後の世界において原子力の安全を高めるための国際枠組み作りへの第一歩となった」とまで高く評価した。各国による行動計画は9月に提出の予定だ。


他方、小さいとは言え前進も現実となりつつある。6月23日、南アフリカ共和国がコエベルク原子力発電所の安全確認試験実施にあたりIAEAとの援助協定に署名を行っている。


注1)日本からは海江田経済産業大臣が出席。

(Pierre Le Hir, « Timide avancée sur la sûreté nucléaire à la conférence de Vienne », Le Monde, 2011.06.25)